- 誘導灯ってどんな種類があるの?
- A級・B級・C級ってなに?
- 避難口誘導灯と通路誘導灯はどう使い分ける?
- 非常灯との違いは?
- 設置基準はどう決まってるの?
- 点検は何をすればいい?
上記の様な悩みを解決します。
商業施設や事務所ビルの天井をよく見ると、緑のピクトサインが光っている標識が必ず見つかります。これが誘導灯で、火事や災害のときに避難経路を示す重要な消防設備のひとつ。
新築・改修の電気工事を担当すると、誘導灯の選定・設置位置・配線まで関わることになります。でも実は誘導灯、用途別に3種類、等級別に3階級あって、消防法施行規則の条文に細かい設置基準がびっしり書かれていて、間違えて設置すると消防検査で全部やり直しという結構シビアな世界。
この記事では、誘導灯の種類・等級・非常灯との違い・設置基準・点検と更新・施工管理の注意点まで、施工管理視点で網羅的に整理します。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
誘導灯とは?
誘導灯とは、結論「火災などの非常時に、避難する人を避難口や安全な経路へ誘導するための表示灯」のことです。
消防法施行令で消防用設備等として定められた装置で、緑色のピクトサインで非常口・通路の方向を示すものが誘導灯。24時間365日、常時点灯しているのが特徴で、停電時にも内蔵バッテリーで20分以上連続点灯できる仕様になっています。
誘導灯の3つの基本要件
1. 24時間常時点灯(緊急時に確実に光るため)
2. 停電時にもバッテリーで20分以上点灯
3. 緑色背景に白色のピクト(または文字)で視認性確保
「24時間光ってる電気代がもったいない」と感じるかもしれませんが、これがJIS C9620(誘導灯及び誘導標識の規格)と消防法で義務化された必須設備。商業施設・興行場・宿泊施設・病院など特定防火対象物では絶対に外せない装備です。
非常灯(非常用照明設備)と混同されやすいので、まず違いを整理しておきます。
| 項目 | 誘導灯 | 非常灯 |
|---|---|---|
| 根拠法 | 消防法 | 建築基準法 |
| 目的 | 避難方向の誘導 | 避難経路の明るさ確保 |
| 常時点灯 | 常時(緑のピクト) | 常時消灯(停電時のみ点灯) |
| バッテリー時間 | 20〜60分 | 30分以上 |
| 管轄 | 消防署 | 建築主事 |
詳しい非常灯の解説はこちらが詳しいです。

誘導灯と非常灯の違い
両者はよく混同されるので、もう少し丁寧に整理します。
1. 「方向を示す」か「明るくする」か
- 誘導灯:避難口・通路の方向を示す装置(情報を提供)
- 非常灯:避難経路の明るさを確保する装置(光量を提供)
両者が同時に必要な施設も多く、並んで設置されているケースも普通です。
2. 「平常時に光ってるか」
- 誘導灯:平常時から24時間光っている(緑のピクト)
- 非常灯:平常時は消灯、停電時のみ点灯
「いつもは消えていて、停電したら勝手に点く」のが非常灯で、「いつもピカピカ光ってる」のが誘導灯、と分けると間違えにくいです。
3. 設計の根拠法と所轄
- 誘導灯:消防法・施行令・施行規則で規定。所轄は消防署
- 非常灯:建築基準法・施行令・告示で規定。所轄は建築主事
新築工事では、消防検査と完了検査の両方で別々に確認されます。「両方の法律をクリアする」のが商業ビル・施設の電気工事のポイント。
誘導灯の用途別の種類
誘導灯は設置場所と用途によって3種類に分類されます。これが現場でも一番覚えるべきポイント。
1. 避難口誘導灯
避難口の上に設置し、「ここが避難口だよ」と示す誘導灯。緑色背景に走り出す人と扉のピクトが描かれています。
| 設置場所 | 内容 |
|---|---|
| 直接外に通じる出口 | 屋外避難口の真上 |
| 直接屋外に通じる階段への入口 | 階段室の入口上 |
| 避難階段への扉 | 通路から階段への扉上 |
| 直通階段(避難階)への扉 | 各階の階段扉上 |
「ここを通れば外に出られる」という最終目的地の表示が避難口誘導灯です。
2. 通路誘導灯
廊下・通路に沿って設置し、「あっちの方向に避難口があるよ」と矢印で示す誘導灯。
| 設置場所 | 内容 |
|---|---|
| 廊下の壁面 | 一定間隔で設置 |
| 曲がり角の壁面 | 角ごとに矢印 |
| 天井埋め込み | 高天井での視認性確保 |
矢印の向きを避難口の方向に向けて設置するのがポイント。矢印の向きを間違えると消防検査で確実に指摘されます。
3. 客席誘導灯
劇場・映画館・ホールの客席用で、客席通路の床面照度を確保する誘導灯。床面で0.2 ルクス以上の照度が義務付けられています。
| 設置場所 | 内容 |
|---|---|
| 客席の通路 | 段差・通路を確認できる照度 |
| 客席の縁 | 暗闇での通行安全 |
通常の劇場・ホールでは通路に沿って暗めの誘導灯が並んでいるのを見たことがある人も多いと思います。
誘導灯の等級(A級・B級・C級)
用途別の3種類に加えて、表示面の大きさでA級・B級・C級の3等級に分かれます。
等級と表示面のサイズ
| 等級 | 表示面のサイズ | 視認距離(避難口) | 視認距離(通路) |
|---|---|---|---|
| A級 | 大きい(300mm以上) | 60 m | 40 m |
| B級 | 中(200mm以上300mm未満) | 30 m | 20 m |
| C級 | 小(100mm以上200mm未満) | 15 m | 10 m |
「広い空間ほど大きい誘導灯」というシンプルなルール。百貨店・大型ホール・空港の通路ではA級が標準で、事務所ビル・小規模店舗ならC級でOK、というように使い分けます。
B級の細分(BHとBL)
B級だけはBH(Bright High)とBL(Bright Low)に細分されています。
| 細分 | 内容 |
|---|---|
| BH級 | 高輝度型B級。視認性高い |
| BL級 | 低輝度型B級。コスト抑え |
劇場・映画館などで短時間に多数の人が避難する施設ではBH級が要求されます。
等級と用途別の使い分け表
| 用途 | A級 | B級(BH/BL) | C級 |
|---|---|---|---|
| 避難口誘導灯 | 大規模施設(百貨店・ホール) | 中規模(事務所ビル・店舗) | 小規模・住宅系 |
| 通路誘導灯 | 大規模施設の通路 | 中規模ビル | 小規模 |
| 客席誘導灯 | 大ホール(要BH級) | 中規模映画館 | 小規模会場 |
誘導灯の設置基準
消防法施行規則第28条の3に設置基準が細かく規定されています。施工管理が押さえるべき要点を整理。
1. 防火対象物の種別による必要性
| 用途 | 誘導灯の要否 |
|---|---|
| (1)劇場・映画館・公会堂 | 全て必要(規模問わず) |
| (2)キャバレー・遊技場 | 全て必要 |
| (3)飲食店 | 概ね必要(規模・階数で判定) |
| (4)百貨店・物品販売店 | 全て必要 |
| (5)ホテル・旅館 | 全て必要 |
| (6)病院・診療所 | 全て必要 |
| (15)事務所 | 規模・階数で判定 |
| (17)文化財建造物 | 必要 |
「小さな個人事務所」でも11階以上の階・地階・無窓階は誘導灯の設置義務が発生します。設計初期の用途分類で誘導灯の要否が決まるので、見落とさないように。
2. 設置位置の基準
| 位置 | 基準 |
|---|---|
| 避難口の上部 | 床面から高さ1.5〜2.5m程度 |
| 通路の壁面 | 床面から1.0〜1.5m程度 |
| 天井埋め込み | 視認できる位置 |
| 設置間隔(通路) | 視認距離以下 |
3. 「視認距離以下」のルール
通路誘導灯の設置間隔は視認距離以下にする必要があります。B級なら20m間隔、C級なら10m間隔が目安です。
通路誘導灯の間隔の目安
A級:40m以下
BH級:20m以下
BL級:15m以下
C級:10m以下
長い廊下では「等級と間隔のセットで」設置位置を計画。等級を下げると本数が増えるので、コストとトレードオフで判断します。
4. 配線・分電盤の規定
誘導灯は専用回路で配線するのが標準。他の照明と混在させないのがルールです。
| 配線項目 | 内容 |
|---|---|
| 電源 | 専用回路(誘導灯専用ブレーカー) |
| ケーブル | 耐熱配線(FP・MIなど)が望ましい |
| 接地 | D種接地工事 |
| ブレーカー | 過電流遮断器のみ(漏電遮断器は原則不可) |
漏電遮断器を入れないのは、漏電で誘導灯が落ちると意味がないから。電気工事士からするとちょっと違和感のあるルールですが、「誘導灯は最後まで光らないとダメ」という消防法の哲学で説明できます。
耐熱配線の話はこちらが詳しいです。

誘導灯の点検と更新
設置後の管理ポイントも、施工管理が知っておくべきです。
点検の種類
| 点検区分 | 頻度 | 内容 |
|---|---|---|
| 機器点検 | 6か月ごと | 視認状態・点灯状態・損傷確認 |
| 総合点検 | 1年ごと | 蓄電池の20分点灯試験 |
| 報告 | 1年ごと(特定)/3年ごと(非特定) | 消防署への報告 |
特定防火対象物では消防点検結果の年次報告が義務。点検結果は消防庁に提出する書類になります。
バッテリーの寿命と更新
誘導灯の最大の弱点はバッテリーの劣化。設置から4〜6年でバッテリー交換が標準です。
| 経過年数 | 兆候 |
|---|---|
| 4〜6年 | バッテリー寿命、20分点灯不可になりがち |
| 8〜10年 | 表示面のフィルム劣化(変色・割れ) |
| 15年〜 | 器具自体の更新推奨 |
「誘導灯のバッテリー交換忘れ」は意外に多くて、点検時に20分試験で点滅して気づくケースが定番。設置時に予備バッテリーの型番・調達先を記録しておくのが施工管理のひと仕事。
LED化の流れ
近年はLED誘導灯が主流で、消費電力1/3〜1/4、寿命10年以上になっています。従来の蛍光灯式誘導灯をLED誘導灯にリプレースする更新工事も多いです。
誘導灯の施工管理における注意点
施工管理として押さえるべきポイントを整理します。
1. 消防検査前のセルフチェック
消防検査では全ての誘導灯の視認確認・矢印方向・点灯試験が行われます。設置時にセルフチェックを完了しておくのが鉄則。
消防検査前のセルフチェック
- 全数の視認確認(表示面の損傷なし)
- 全数の点灯試験(バッテリー試験含む)
- 矢印方向の整合(避難口の方向か)
- 設置位置の建築図整合
- 専用回路の配線図確認
2. 矢印方向の間違いゼロ運動
「矢印が壁を向いている」「避難口と逆方向」というのが現場で実際に起こる定番ミス。取付け前に1台ずつ矢印方向を確認するのが鉄則。取付後の修正は補修跡が残るので、施工前のチェックが何より大事。
3. 視認距離の現場確認
設計図で視認距離以下になっているはずでも、実際の現場では曲がり角・什器・壁柱で直接見えないケースがあります。現場で「ここから誘導灯が見えるか」を歩いて確認するのが消防検査の通過率を上げるコツ。
4. 客席誘導灯の床面照度測定
劇場・映画館の客席誘導灯は床面0.2ルクス以上の照度確保が必要。照度計で実測して数値を記録します。
照度計の話はこちらが詳しいです。

5. 階段室・共用部での連続性
避難経路が連続していることが大事で、1か所でも誘導灯が抜けている階段は不適合。全階の階段室に均一に設置されているか、設計時の配置計画と照合します。
6. 改修工事での扱い
既存ビルの改修では、誘導灯の位置変更・撤去が発生します。「そのまま付け替え」のつもりが実は法令で位置変更が必要だったケースも。改修プランに誘導灯計画を必ず織り込み、消防同意・確認を取って進めます。
誘導灯の種類に関する情報まとめ
- 誘導灯とは:火災など非常時に避難方向を示す消防設備(緑のピクト)
- 非常灯との違い:誘導灯は方向の表示(消防法)、非常灯は経路の明るさ(建築基準法)
- 3つの用途:避難口誘導灯/通路誘導灯/客席誘導灯
- 3つの等級:A級(大施設)/B級(BH/BL、中規模)/C級(小規模)
- 設置基準:消防法施行規則第28条の3。視認距離以下の間隔/専用回路/D種接地
- 点検:機器点検6か月/総合点検1年/バッテリー寿命4〜6年
- 施工管理の注意点:矢印方向/視認距離の現物確認/客席照度測定/階段の連続性/改修時の同意
以上が誘導灯の種類に関する情報のまとめです。
誘導灯は「24時間ずっと光ってる地味な箱」ですが、消防検査で最も指摘が多い設備のひとつで、安全に直結するからこそ法令も細かい世界です。種類・等級・設置基準を押さえた上で、現場で歩いて視認できるかを自分の足で確認するクセをつけると、消防検査の通過率がグッと上がります。
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