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テレビ共聴設備とは?仕組み、機器、地デジ、BS、施工のポイント等

  • テレビ共聴設備ってなに?普通のテレビ配線と何が違うの?
  • どんな機器で構成されているの?
  • 地デジ・BS・CSの信号はどう流れるの?
  • ブースターって何のためにあるの?
  • 4K8K対応で気をつけることは?
  • 「テレビが映らない」のときどこをチェックすればいい?

上記の様な悩みを解決します。

テレビ共聴設備とは、結論「マンション・ビル・ホテルなど多数の世帯・部屋で1組のアンテナを共有して、各戸にテレビ信号を分配する設備」のことです。「共同受信設備」とも呼ばれ、屋上のアンテナで受信した電波をブースター(増幅器)で必要なレベルまで増幅し、分岐器・分配器・直列ユニットを経由して各戸の壁面端子(テレビコンセント)まで届ける、という構成。施工管理として竣工検査で「テレビが映らない」というトラブルに当たることも多い設備で、信号の流れと各機器の役割を押さえておくと、原因切り分けが格段に早くなります。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

テレビ共聴設備とは?

テレビ共聴設備とは、結論「集合住宅や事務所ビルなど、多数の利用者で1組のアンテナを共有して各戸にテレビ信号を届ける設備」のことです。

正式には「共同受信設備」または「共同視聴設備」で、業界では「共聴」と略されます。

仕組みのざっくりした流れは、

  1. 屋上のアンテナで地上デジタル放送・BS・110度CSの電波を受信
  2. ブースター(増幅器)で信号レベルを上げる
  3. 混合器で地デジとBS/CSを1本のケーブルにまとめる
  4. 分岐器・分配器で系統を分けながら各階へ配分
  5. 直列ユニット(壁面端子)から各戸内へ
  6. テレビ・チューナーで受信

という、上から下へ「信号を分配しながら届ける」設備。

戸建ての一般的なテレビアンテナ→チューナーの直結配線と違い、多数のテレビが共存する前提の設計になっているのが特徴です。

共聴と単独受信の違い

項目 単独受信(戸建て) 共聴設備(集合住宅・ビル)
アンテナ数 1戸1組 全体で1組
信号レベル管理 簡単(1戸分) 複雑(多数の分配ロスを補正)
ブースター 1台(必要なら) 必須
設備規模
管理責任 居住者 管理組合・所有者

集合住宅では「テレビが映らないと管理会社のクレームに直結」する設備なので、設計・施工・保守の責任範囲がはっきりしているのが共聴の特徴です。

構成機器

テレビ共聴設備の主要機器を順番に整理します。

①アンテナ

  • UHFアンテナ:地上デジタル放送(地デジ)受信用。物理チャンネル13〜52ch(470〜710MHz)に対応
  • BS/110度CSアンテナ:パラボラ型。BS(11.7〜12.0GHz)、110度CS(12.2〜12.75GHz)受信用
  • FMアンテナ:FMラジオ受信用(採用は減少傾向)

最近は地デジ+BS/110度CS(4K8K対応)の2種が標準。

②ブースター(増幅器)

アンテナから受信した信号を増幅する機器。

  • 混合機能付きが主流(地デジ+BS/CSを1本にまとめる)
  • 利得(ゲイン):30dB前後が標準
  • 入力レベル監視機能で受信状況をチェックできるタイプもあり

ブースターは屋上または天井裏に設置することが多く、100V電源の供給が必要。

③分岐器・分配器

機器 役割
分岐器 幹線から1〜数本の枝線を分岐させる。通過信号は減衰が小さい
分配器 1本を等分割(2分配・4分配・6分配・8分配)

集合住宅では幹線に分岐器を縦列接続して各階へ分け、各階内で分配器で各戸へ配分するのが基本パターン。

④直列ユニット(壁面端子)

各戸の壁面に取り付けるテレビコンセントのこと。

  • 出力1端子型:テレビ1台用
  • 出力2端子型:テレビ+ビデオなど2台用
  • 電流通過型:BS/CSアンテナ電源を後段から供給する場合に必要

直列ユニットは端末用(最後の部屋用)中間用(途中の部屋用)で型番が違うので、施工時の機器選定ミスが起きやすいポイント。

⑤同軸ケーブル

  • 5C-FB:戸内配線で標準
  • 7C-FB/10C-FB:幹線・長距離用
  • S-5C-FB(衛星対応):4K8K対応では必須

ケーブルにも減衰量・周波数特性があるので、ブースター選定とセットで考えます。

信号の流れと周波数

地デジ・BS・CSの信号がどう共聴設備を流れるのか、整理します。

周波数帯の整理

放送 周波数
地上デジタル(UHF) 470〜710MHz
BS(11.7〜12.0GHz)→IF変換後 1032〜1336MHz
110度CS(12.2〜12.75GHz)→IF変換後 1595〜2071MHz
新4K8K衛星放送 2071〜3224MHz

衛星放送はBS/CSアンテナ内蔵のLNB(低雑音ダウンコンバータ)でIF(中間周波数)に変換してから同軸ケーブルで運ぶ仕組み。これにより、屋内配線でも扱える周波数になっています。

LNB電源の供給

BS/CSアンテナのLNBには+15V程度の電源が必要。これは、

  • ブースターから供給(一般的)
  • テレビ・チューナーから供給(戸建て向け)

のどちらか。共聴設備ではブースターから供給する設計が標準で、直列ユニット選定時に「電流通過型」を間違えないことが大事です。

レベルダイアの考え方

各戸の壁面端子で何dBμVの信号レベルが取れるか」を計算するのが、共聴設計の本質。

  • アンテナ入力:例えば地デジで70dBμV
  • ブースター利得:+30dB → 100dBμV
  • 分岐器の通過減衰:−1〜2dB
  • 分配器の分配減衰:−4dB(4分配の場合)
  • ケーブル減衰:5C-FBで100MHzあたり約5dB/100m
  • 直列ユニット減衰:約−1dB

これらを足し算引き算して、各戸末端で「47〜81dBμV程度」を確保するのが目標。下限を下回ると映りが悪く、上限を超えると逆にチューナーで歪みが出ます。

4K8K対応のポイント

2018年の新4K8K衛星放送開始以降、共聴設備の4K8K対応が大きなテーマになっています。

4K8K対応の要件

  • アンテナ:右旋(左旋)対応のBS/110度CSアンテナ
  • ブースター:3224MHzまで通過する仕様
  • 分岐器・分配器:3224MHz対応品
  • 直列ユニット:3224MHz対応品
  • 同軸ケーブル:S-5C-FB(衛星対応)またはS-7C-FB

3224MHz対応」がキーワード。古い機器(2150MHzまでしか対応していない)は4K8K非対応で、4K放送が映らない/ノイズが入るなどの不具合が出ます。

改修時の注意

既存マンションを4K8K対応にする改修工事では、

  • アンテナ・ブースター交換
  • 直列ユニット交換(戸内に立ち入る必要あり)
  • 同軸ケーブル交換(壁内配線の場合は引き直し困難)

戸内配線の同軸ケーブルが4K8K非対応の古い5C-FBだと、機器交換だけでは対応できません。配線引き直しは居住者の協力が必要なので、改修計画は慎重に立てる必要があります。

CATV・ひかりTV・光ファイバー連携

最近は地上波・衛星放送だけでなく、CATV(ケーブルテレビ)光ファイバーテレビ(ひかりTVなど)との連携も増えています。

CATV方式

  • CATV事業者の同軸ケーブルを建物に引き込む
  • 共聴設備の幹線として活用
  • 地デジ・BS・CSをCATV事業者がパッケージで提供
  • 4K8K含む多チャンネル契約も可能

光ファイバー(FTTH)方式

  • 光ファイバーで建物に信号を引き込み
  • 建物内で光-電気変換(V-ONU)してから同軸に変換
  • ひかりTV・スカパー!光などのIPサービスにも対応
  • 電波塔からのアンテナ受信が困難な地域で有効

CATVや光配信を採用する場合、屋上アンテナを設置しない選択肢もあり、マンション計画の初期段階でどの方式を採用するか決めるのが基本です。

施工管理のチェックポイント

施工管理として共聴設備で押さえるべきポイント。

①竣工検査でのレベル測定

  • 各戸の壁面端子で信号レベルを測定(レベルチェッカー使用)
  • 地デジ各物理チャンネルのレベル・MER(変調誤差比)・BER(ビット誤り率)確認
  • BS/CSの右旋・左旋それぞれの主要チャンネル確認
  • 記録を竣工書類として保存

レベルチェッカーはマスプロ・DXアンテナなどのプロ用機器を使います。「全戸測定」が原則で、サンプル抽出は不可(最後の1戸だけ映らない、というのが起こり得るため)。

②不良戸の切り分け

◯号室のテレビが映らない」というクレームへの対応手順は、

  1. 直列ユニット出口でレベル測定:信号が来ているか確認
  2. 直列ユニット交換:機器不良の可能性
  3. 戸内配線・テレビ側の問題:F型コネクタの接続確認、テレビ側のチャンネル設定
  4. 上流(分配器・幹線)の問題:他の戸も映らない場合は上流不良

不具合の切り分けは信号の上流へ遡るのが基本パターン。

③ブースター電源の確認

  • ブースターのAC100V電源が落ちていないか
  • 電源電圧・LNB供給電圧が規定範囲か
  • 過電圧・過電流の保護機能が動作していないか

ブースターはひと夏越したあとの故障率が高いので、夏の終わり〜秋の点検が定例化している現場もあります。

④経年劣化のチェック

  • 同軸ケーブルの劣化:紫外線で被覆がボロボロ
  • F型コネクタの腐食:屋外設置部位
  • アンテナ素子の歪み:強風・台風後に確認

特に屋上設置の機器は台風後に必ず点検するのがマンション管理の基本ルーチン。

⑤4K8K化の段階的計画

新築では当然4K8K対応で設計しますが、既存改修では、

  1. 第1段階:アンテナ・ブースター・分配器の上流を4K8K対応化
  2. 第2段階:必要な戸(4K対応テレビを買った人)から直列ユニット交換
  3. 第3段階:戸内配線が古い場合は引き直し検討

という段階アプローチが現実的。全戸一斉改修は工事費・居住者調整が大変なので、計画的に進めます。

テレビ共聴設備に関する情報まとめ

  • テレビ共聴設備とは:マンション・ビルなどで多数の世帯が1組のアンテナを共有する設備
  • 構成機器:アンテナ/ブースター/混合器/分岐器・分配器/直列ユニット/同軸ケーブル
  • 信号の流れ:屋上アンテナ→ブースターで増幅→各階で分岐分配→各戸壁面端子へ
  • 周波数帯:地デジ470〜710MHz、BS/CS(IF)1032〜2071MHz、4K8K最大3224MHz
  • レベルダイア:各戸末端で47〜81dBμV確保が目標
  • 4K8K対応:3224MHz対応のブースター・分配器・直列ユニット・S-5C-FB以上のケーブル
  • 代替方式:CATV方式、光ファイバー(FTTH)方式
  • 管理ポイント:竣工時全戸レベル測定、不良戸の切り分け、ブースター電源、経年劣化、改修の段階計画

以上がテレビ共聴設備に関する情報のまとめです。

テレビ共聴設備は「動いて当たり前」の設備で、トラブルが起きた時にだけ存在を意識される類のもの。だからこそ、竣工時の全戸レベル測定と記録を抜かりなくやっておくと、引き渡し後のクレーム対応が圧倒的に楽になります。4K8K化の改修需要も増えているので、信号の流れと各機器の役割を腹落ちさせておくと、設備計画から保守まで一貫して仕事ができるようになるかなと思います。一通り基礎知識は理解できたと思います。

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