- 耐震構造ってなに?
- どうやって地震に耐えるの?
- 免震・制震と何が違う?
- 耐震等級って?
- 旧耐震基準・新耐震基準の違いは?
- 現場で気をつけることは?
上記の様な悩みを解決します。
「耐震構造」は、すべての日本の建築物の標準的な耐震対策。免震・制震の発展形があるとはいえ、ベースはあくまで耐震構造です。施工管理として、仕組み・基準・他構造との違いを整理しておきましょう。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
耐震構造とは?
耐震構造とは、結論「建物自体を強くして、地震の揺れに耐える構造形式」のことです。
英語で「Earthquake-Resistant Structure」「Seismic Structure」。「震動に耐える」という、日本の建築物の最も基本的な耐震対策。
耐震構造の基本特性
- 建物自体の強度・剛性を高める
- 柱・梁・耐力壁・接合部を強化
- 地震時に建物が揺れることは許容
- 倒壊・大規模損傷を防ぐことが目的
- 建築基準法の最低基準として全建物に適用
「踏ん張って地震に耐える」のが耐震構造の本質。
免震・制震との比較は別記事でも触れています。
耐震構造の仕組み
具体的に「どうやって地震に耐えるか」を整理します。
強度・剛性で抵抗
耐震構造の基本的な抵抗メカニズム
- 柱・梁の断面を大きくして曲げ・せん断強度を確保
- 耐力壁・筋交いで水平力に抵抗
- 接合部の補強で部材の脱落を防止
- 靱性(粘り強さ)で大変形時の倒壊を防ぐ
1次設計と2次設計
建築基準法の構造設計は2段階に分かれています。
1次設計(許容応力度設計)
- 中地震(震度5強程度)に対する設計
- 部材が弾性域内に収まるようにする
- 建物に損傷が出ないことを確認
2次設計(保有水平耐力計算)
- 大地震(震度6強〜7程度)に対する設計
- 部材の塑性変形を許容
- 建物の倒壊を防ぐことが目的
- 一定の損傷は許容、命を守る
「中地震では無傷、大地震では損傷しても倒壊しない」が日本の耐震設計の基本思想。
層間変形角や剛性率の話はこちら。



耐震構造の主な種類
耐震構造の中にも、いくつかのバリエーションがあります。
1. ラーメン構造
柱と梁の剛接合で抵抗。中高層建物の主流。
詳しくはこちら。
2. 壁式構造
耐力壁で抵抗。低層マンションの主流。
詳しくはこちら。
3. ブレース構造
柱・梁+筋交い(ブレース)で抵抗。鉄骨造で多用。
ブレースの話はこちら。

4. 木造軸組構造(在来工法)
柱・梁+筋交い・面材壁で抵抗。戸建住宅の主流。
在来工法の話はこちら。

5. 2×4工法(枠組壁工法)
面構造で抵抗。木造の壁式構造。
耐震・免震・制震の違い
3兄弟の比較を整理します。
| 構造方式 | 仕組み | 揺れ低減 | コスト | 損傷度 |
|---|---|---|---|---|
| 耐震 | 強度・剛性で抵抗 | 小(建物揺れる) | 標準 | 中規模損傷あり |
| 制震 | ダンパーで揺れ吸収 | 中 | やや高 | 損傷小 |
| 免震 | 地盤と切り離す | 大 | 高 | ほぼ無損傷 |
3つのイメージ比較
- 耐震:「踏ん張る」スタイル
- 制震:「揺れを吸収」スタイル
- 免震:「揺れから逃げる」スタイル
すべての建物は耐震構造を基本に、追加で制震・免震を重ねる形になります。
耐震基準の歴史
建築基準法の耐震基準は、過去の大地震をきっかけに改正されてきました。
主な耐震基準改正の歴史
- 1924年(大正13年):市街地建築物法改正、最初の耐震規定
- 1950年(昭和25年):建築基準法制定
- 1971年(昭和46年):旧耐震基準の改正
- 1981年(昭和56年):新耐震基準(現在まで継続)
- 2000年(平成12年):木造住宅の耐震基準強化
- 2007年(平成19年):構造計算適合性判定の義務化
「1981年6月1日」が建築界での最重要日付。それ以前=旧耐震、以降=新耐震として、不動産取引でも明確に区別されます。
新耐震基準の建物は阪神大震災・東日本大震災で倒壊が極めて少ないことが実証されました。
耐震等級
住宅性能表示制度で定められた耐震等級は、新築マンション・戸建で必ず話題になります。
耐震等級の3段階
- 耐震等級1:建築基準法と同等(震度6強〜7で倒壊しない)
- 耐震等級2:等級1の1.25倍の強度(学校・避難所レベル)
- 耐震等級3:等級1の1.5倍の強度(消防署・警察署レベル)
戸建住宅では耐震等級3を目指すケースが増えています。
詳しくは別記事で(耐震等級)。
耐震構造の補強方法
既存建物の耐震補強もよく出てくるテーマ。
主な耐震補強の手法
- 柱・梁の断面増し:鉄板巻き・コンクリート巻き
- 耐力壁の増設:RC壁・ブレース壁
- 基礎の補強:杭打ちで支持力アップ
- 制震・免震の追加:レトロフィット
- 接合部の補強:金物追加
旧耐震建物は、耐震診断→補強計画→補強工事の流れが一般的。学校・公共施設で大規模に進められています。
施工管理として押さえる耐震構造のポイント
現場で耐震構造を管理する際のチェックリスト。
耐震構造施工管理のチェック項目
- 構造図・計算書の理解:1次設計・2次設計の意味
- 配筋検査の徹底:主筋本数・帯筋ピッチ・かぶり厚さ
- 構造金物の取付確認:HD金物・羽子板ボルト・接合部金物
- 耐力壁の壁倍率と配置:偏心率を抑える
- コンクリート強度の管理:設計基準強度確保
- 溶接・ボルト接合の品質(鉄骨)
- 耐火被覆の厚み(鉄骨・SRC)
- 増改築時の構造変更影響
配筋検査の話はこちら。

耐力壁スリーブ追加:「径と補強筋セット」で構造設計者承認が鉄則
RC造マンションで施工後に耐力壁へスリーブを追加したくなる場面は頻発します。一般的な目安は「スリーブ径φ100以下+補強筋を入れるならOK」という条件付きですが、独断で開けると一発で耐震NGで、是正には注入補強・別ルート振替などのコスト発生。スリーブ追加要望が出たら必ず構造設計者に経由→承認図→施工のフローを徹底し、口頭OKで進めない運用が安全です。耐震構造は目に見えない部分の品質で性能が決まるので、現場判断のスピードよりも承認プロセスを優先するのが定石。
耐震構造に関する情報まとめ
- 耐震構造とは:建物自体を強くして地震の揺れに耐える構造形式(最も基本的な耐震対策)
- 設計の2段階:1次設計(中地震で無損傷)/2次設計(大地震で倒壊しない)
- 構造種類:ラーメン/壁式/ブレース/木造軸組/2×4
- 3兄弟の違い:耐震は踏ん張る、制震は吸収、免震は逃げる
- 耐震基準の歴史:1981年(新耐震基準)が最重要分岐点
- 耐震等級:1(基準法レベル)/2(1.25倍)/3(1.5倍)
- 既存補強:断面増し/耐力壁増設/基礎補強/制震・免震追加
- 施工管理の勘所:配筋検査/構造金物/壁倍率と配置/コンクリート強度/構造変更慎重判断
以上が耐震構造に関する情報のまとめです。
一通り耐震構造の基礎知識は理解できたと思います。「新耐震基準+耐震等級でレベル分け、免震・制震は耐震を補強する追加対策」という枠組みを押さえておけば、耐震の話で迷うことが激減しますね。
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