- 耐火構造ってなに?
- 耐火構造と準耐火構造ってなにが違うの?
- 耐火構造の認定番号ってどう読むの?
- 耐火構造ってどんな種類があるの?
- 性能の基準ってどう決まってるの?
- 現場でなにを確認すればいいの?
上記の様な悩みを解決します。
耐火構造は建築基準法のなかでもかなり高頻度で出てくる用語ですが、「準耐火構造」「防火構造」「耐火被覆」など似た言葉が多くて、いざ調べると頭がこんがらがるんですよね。施工管理としても、図面の凡例に「耐火構造(FP060NE)」みたいな認定番号が書いてあって「で、結局これって何が決まってるの?」と感じる場面が多いです。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
耐火構造とは?
耐火構造とは、結論「火事が起きても一定時間は崩れたり延焼したりしない、と国に認められた構造」のことです。
もう少し正確に言うと、建築基準法第2条第七号で「壁、柱、床その他の建築物の部分の構造のうち、耐火性能(通常の火災が終了するまでの間、当該火災による建築物の倒壊及び延焼を防止するために当該建築物の部分に必要とされる性能)に関して政令で定める技術的基準に適合するもの」と定義されています。
ポイントは2つです。
- 倒壊防止:火災が完全に終わるまで建物が崩れない
- 延焼防止:隣の部屋や隣の建物に火が燃え広がらない
「ある程度燃えにくい」ではなく、「火災が終わるまで持ちこたえる」のが耐火構造の世界。だからこそ仕様も厳しくて、いわゆるラーメン構造のRC造はそのまま耐火構造として扱えますが、鉄骨造では露出した鉄骨に必ず耐火被覆を施す必要があるんですね。
なお、似た用語の整理として「耐火構造=部位の構造の話」「耐火建築物=建物全体の話」になります。「ウチの建物は耐火建築物だ」と言うとき、その耐火建築物を構成しているのが耐火構造の壁・柱・床、というイメージですね。
耐火構造に求められる性能基準
耐火構造の性能は、建築基準法施行令第107条で部位ごと・階数ごとに「何時間持ちこたえるか」が決められています。代表的な要求時間は以下のとおりです。
| 部位 | 最上階から数えた階 | 要求耐火時間 |
|---|---|---|
| 間仕切壁・外壁 | 最上階〜4層 | 1時間 |
| 間仕切壁・外壁 | 5〜14層 | 2時間 |
| 間仕切壁・外壁 | 15層以上 | 2時間(外壁は耐力壁の場合) |
| 柱・はり | 最上階〜4層 | 1時間 |
| 柱・はり | 5〜14層 | 2時間 |
| 柱・はり | 15層以上 | 3時間 |
| 床 | 全階共通 | 階数に応じて1〜2時間 |
| 屋根 | — | 30分 |
| 階段 | — | 30分 |
「最上階から数えた階」というのが少し独特な数え方で、最上階から1層目・2層目…と数えていきます。15階建てなら最上階が1層目、1階が15層目になるので、低層の柱ほど要求性能が高いですね。火災時に下の階が崩れるとそのまま全層が落ちてしまうので、足元ほどしっかり、という発想です。
要求時間に対して、加熱試験で「何分持ちこたえたか」を国土技術政策総合研究所(国総研)等の機関が試験して、性能評価書を交付し、それをもとに国土交通大臣が認定を出す。この大臣認定を取得した仕様が「耐火構造」と名乗れる、という仕組みになっています。
耐火構造の認定番号の読み方
図面や仕様書に出てくる「FP060NE-9117」みたいな英数字、これが大臣認定番号です。最初は呪文みたいですが、実は法則があるので一度覚えるとだいぶ楽になります。
認定番号は基本的に「部位記号 + 性能時間 + 構造種別 + 連番」で組み立てられています。
部位記号の例:
- F:床(Floor)
- P:柱(Pillar)※ 旧記号で柱はCの場合あり
- W:壁(Wall)
- B:はり(Beam)
- R:屋根(Roof)
- S:階段(Stair)
性能時間(分):
- 030:30分
- 045:45分
- 060:60分(=1時間)
- 120:120分(=2時間)
- 180:180分(=3時間)
構造種別の例:
- NE:非耐力(Non-loadbearing External or 内部非耐力)
- L:耐力(Loadbearing)
- R:屋根
「FP060NE-9117」を分解すると、「床(F)+ 柱(P、両方記載のパターン)+ 60分 + 非耐力 + 連番9117」となります。実務的には「FP060」の頭3〜4文字が読めれば、何の部位の何時間性能かがすぐ分かるので、現場で図面確認するときはまずそこを見るとラクです。
なお、認定番号は国土交通省の「建築基準法に基づく告示・大臣認定」のページから検索できます。気になる仕様があれば、認定番号で検索→評価書PDFを開く→「使ってよい構成材・寸法・厚み」をその場で確認、という流れが組めるので、施工監理の引き出しに入れておくと便利です。
耐火構造の主な種類と仕様
実際にどんな構造が「耐火」と認められているのか、代表的なものを整理しておきます。
1. 鉄筋コンクリート造(RC造)
そもそもコンクリートの被り厚さが十分にあるRC造は、ほとんどの部位がそのまま耐火構造として扱えます。柱なら被り厚40mm以上、はりなら40mm以上、耐力壁なら20mm以上、というのが告示で定められた最低ライン。詳しいRC造の特徴はhttps://seko-kanri.com/rc-zo/ にまとめてあります。
2. 鉄骨造(S造)
鉄骨は400〜600℃で急激に強度が落ちるため、そのままでは耐火構造になりません。耐火被覆(吹付ロックウール、巻付け耐火材、ケイ酸カルシウム板など)を施して、初めて耐火構造として成立します。耐火被覆の仕様や厚みについてはhttps://seko-kanri.com/taika-hifuku/ で詳しく解説しています。
3. 鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)
RCとSのハイブリッドであるSRC造は、コンクリート部分が鉄骨を覆っているため、被り厚が確保されていれば耐火構造になります。詳しくはhttps://seko-kanri.com/src-zo/ を。
4. ALCパネル
外壁・間仕切壁としてよく使われるALCは、厚み75mm以上で1時間耐火、100mm以上で2時間耐火の認定を持っているものが多いです。軽量で耐火性能を確保できるのが強み。ALCの基本特性はhttps://seko-kanri.com/alc/ を参照してください。
5. 強化石膏ボード張り耐火被覆
LGS下地に強化石膏ボード(GB-F)を2〜3枚重ね張りすることで、間仕切壁の耐火構造として認定を取った構成も多数あります。鉄骨柱の耐火被覆としても、最近は吹付に代わってこの「巻付け+強化石膏ボード」工法が主流になりつつあります。
耐火構造と準耐火構造・防火構造の違い
ここが一番混乱しやすいので、表でまとめておきます。
| 区分 | 性能の主旨 | 要求時間(柱の例) | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| 耐火構造 | 火災終了まで倒壊・延焼を防ぐ | 1〜3時間 | 耐火建築物(高層・大規模) |
| 準耐火構造 | 火災時に一定時間は持ちこたえる | 45分または1時間 | 準耐火建築物(中規模) |
| 防火構造 | 周囲からの延焼を防ぐ(外側からの火に耐える) | 30分(外壁・軒裏のみ) | 防火地域・準防火地域の住宅外壁等 |
ポイントは、「耐火構造は内側からの火災に耐える」のが基本目的で、「防火構造は外側からのもらい火を防ぐ」のが目的、という性能の方向性の違いです。準耐火構造はその中間で、「火災終了までは持たないけれど、避難・消火活動の時間は確保する」というレベル感ですね。
混同しがちですが、防火構造の住宅外壁は「もらい火対策」なので、内側で火事が起きたときの倒壊までは要求していません。一方、耐火構造の壁は「内側で火事が起きても倒れない」ことまで要求します。同じ「壁」でも、性能要件はまったく別物だということです。
現場で耐火構造を確認するときのポイント
施工管理として現場で耐火構造を扱うとき、特に詰まりやすいポイントを挙げておきます。
1. 認定仕様書(評価書)と現物が一致しているか
これが最重要。例えば「FP060NE」の壁認定で、「強化石膏ボード厚15mm×2枚張り、目地は15mm以上ずらす」と評価書に書いてあるのに、現場で12.5mm品が使われていたら、その瞬間に耐火性能はゼロです。納入されたボードの品番・厚みを必ず受入検査でチェックすること。
2. 開口部・貫通部の処理
壁本体が耐火構造でも、配管や電線が貫通している部分の処理が抜けていれば意味がありません。ここはhttps://seko-kanri.com/bouka-kukaku-kantu-syori/ の防火区画貫通処理に直結する話なので、合わせて押さえておくのがおすすめ。
3. 認定外の納まりを「現場判断」しない
「ここだけ少し納まりを変えてもいいか」と現場で判断してしまうと、評価書の構成と外れて認定無効になります。違う納まりが必要なら、設計者経由でメーカーに確認 → 別認定を探す or 試験データを取り寄せる、というルートで進めるしかないです。これは僕が現場で先輩から「耐火だけは絶対に勝手にいじるな」と何度も言われた箇所で、後から検査で指摘されると是正が本当に痛いんですよね。
4. 補修・改修時の取り扱い
既存の耐火構造の壁を一部はつったり、ボードを切ったりした場合、そのままでは性能がリセットされます。補修材は同等品で施工し、補修範囲・施工写真をきちんと残しておくことで、消防検査時に説明できる状態にしておきましょう。
耐火構造に関する情報まとめ
- 耐火構造とは:火災終了まで倒壊・延焼しないと国に認定された構造
- 要求性能:階に応じて1〜3時間(最上階から数えて足元ほど高性能)
- 認定番号の読み方:部位記号+性能時間+構造種別+連番(例:FP060NE)
- 主な種類:RC造(被り厚で成立)/S造(耐火被覆が必須)/SRC造/ALC/強化石膏ボード張り
- 準耐火・防火との違い:耐火=火災終了まで/準耐火=避難時間確保/防火=もらい火対策
- 現場のポイント:評価書と現物の一致、貫通部処理、勝手な納まり変更NG、補修記録の保管
以上が耐火構造に関する情報のまとめです。
耐火構造は法令と認定の世界なので、「同じ壁でも認定品でなければ耐火構造じゃない」というのが少し冷たい話なんですが、逆に言うと評価書さえ正しく読めていれば現場での判断はぶれません。施工管理としては、図面凡例の認定番号を見たら必ず評価書を取り寄せて読む、という習慣をつけておくとミスがぐっと減ります。
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