- SI単位系って結局なんのこと?
- 基本単位と組立単位って何が違うの?
- N(ニュートン)とkgfって同じ?違う?
- 建築でよく使う単位って何があるの?
- mmAq、cal、Btuみたいな古い単位はどう換算するの?
上記の様な悩みを解決します。
SI単位系とは、結論「世界共通で使われている『国際単位系(Système International d’Unités)』」のことです。1960年に国際度量衡総会で決められたもので、長さ・質量・時間など7つの基本単位を軸に、すべての物理量を統一的に表します。建築界も1992年の計量法改正以降、SI単位系への完全移行が進められて、kgf(重量キログラム)→N(ニュートン)への置き換えが行われた経緯があります。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
SI単位系とは?
SI単位系(International System of Units、略してSI)は、世界中の科学・技術の場で共通言語として使われる単位の体系です。日本では計量法という法律で「取引・証明に使う単位はSIで」と定められています。
特徴を3つ挙げると、
- 単位が7つの基本単位から組み立てられている
- 接頭語(k、M、G、m、μ、n…)で10倍刻みでスケールを変えられる
- 国際的に完全互換なので、海外資料・海外メーカー資料を読んでも単位の違いに困らない
旧単位(メートル法以外も含む)との一番の違いは「物理量同士の関係が単位の中で完結している」点です。たとえば力の単位N(ニュートン)は「1kgの物体に1m/s²の加速度を与える力」と定義されているので、F=ma の式に他の換算が一切要らない。これがCGS単位やヤード・ポンド法だと、いちいち係数が必要になって計算が煩雑になります。
SI単位系の7つの基本単位
SI単位系の土台となる7つの基本単位は以下です。建築で出てくるのは特にm(メートル)・kg(キログラム)・s(秒)・K(ケルビン)・cd(カンデラ)あたり。
| 基本量 | 単位 | 記号 | 建築での主な使われ方 |
|---|---|---|---|
| 長さ | メートル | m | 建物の寸法、距離 |
| 質量 | キログラム | kg | 部材の重さ、積載荷重 |
| 時間 | 秒 | s | 振動、養生時間 |
| 電流 | アンペア | A | 電気設備の電流 |
| 熱力学温度 | ケルビン | K | 温度差、断熱計算 |
| 物質量 | モル | mol | 化学反応(コンクリート・配合) |
| 光度 | カンデラ | cd | 照明設計 |
この7つはすべて「自然定数(光速・素電荷など)に基づいて」定義されているので、国・年代に関係なくブレません。たとえば1メートルは「光が真空中を1/299,792,458秒間に進む距離」、1キログラムは「プランク定数を6.62607015×10⁻³⁴J·sと固定したときに導出される値」と定義されています。
SI単位系の組立単位(建築で頻出するもの)
基本単位を掛け合わせ・割り合わせて作られる単位を組立単位と呼びます。建築でよく出てくるのは以下です。
| 物理量 | 単位 | 記号 | 基本単位での定義 | 建築での使われ方 |
|---|---|---|---|---|
| 面積 | 平方メートル | m² | m·m | 床面積、居室面積 |
| 体積 | 立方メートル | m³ | m·m·m | コンクリート量、土量 |
| 力 | ニュートン | N | kg·m/s² | 構造計算の荷重 |
| 圧力・応力 | パスカル | Pa | N/m² | コンクリート強度、風圧 |
| エネルギー | ジュール | J | N·m | 熱量、仕事 |
| 仕事率 | ワット | W | J/s | 電力、空調能力 |
| 周波数 | ヘルツ | Hz | 1/s | 振動、地震動 |
| 照度 | ルクス | lx | lm/m² | 居室の明るさ |
| 音圧レベル | デシベル | dB | (無次元) | 騒音規制 |
特に押さえたいのがN(ニュートン)とPa(パスカル)。
- 1N = 1kg·m/s²(質量1kgに1m/s²の加速度を与える力)
- 1Pa = 1N/m²(1m²あたり1Nの圧力)
実務では「kN(キロニュートン=1000N)」「MPa(メガパスカル=100万Pa)」がよく使われます。
応力・許容応力度・ヤング率などはすべてN/mm²(=MPa)で表され、これは「1mm²あたりの力(N)」を意味しています。
建築でよく使うSI単位の早見表
実務で頻出する単位とスケールを一覧にしておきます。
力・荷重
– N、kN、MN(1MN = 1,000,000N)
– 部材1本にかかる軸力 → kNオーダー
– 建物全体の地震荷重 → MNオーダー
応力・圧力
– Pa、kPa、MPa、GPa
– コンクリート強度Fc24 = 24N/mm² = 24MPa
– 鋼材のヤング率 = 205,000N/mm² = 205GPa
– 風圧力 = 数百Pa〜kPaオーダー
長さ
– mm、cm、m、km
– 建築の寸法はほぼmmで統一(寸法表記)
質量・重さ
– mg、g、kg、t
– 質量と重さの違いはSI単位系の重要トピック
温度
– K(絶対温度)、℃(セ氏)
– 建築では℃が日常使い、Kは温度差や熱伝導計算で
– 温度差は「K」「℃」のどちらでも値は同じ(差分なので)
エネルギー・電力
– J、kJ、MJ、Wh、kWh
– 1kWh = 3.6MJ(電気代の請求はkWh)
光
– lm(光束)、lx(照度)、cd(光度)
– 居室の照度基準(JIS Z 9110)は事務室750lx、廊下100lxなど
トルクの単位もSI単位系ではN·m(ニュートンメートル)で、kgf·m(旧単位)との換算が必要になることがあります。
旧単位(非SI)との換算
建築では1992年の計量法改正でSIに完全移行したものの、現場ではまだ旧単位を見かけます。代表的な換算を覚えておきましょう。
力:kgf → N
1kgf = 9.80665N ≒ 約9.8N(実務では10N換算でもOK)
「100kgのもの」と言ったら、それは質量100kgで、地球上で受ける重力(重さ)は100kg×9.8 = 980N = 約1kNです。「kgfが付いていれば力」「kgが付いていれば質量」と切り分けるのが基本。
応力:kgf/cm² → MPa
1kgf/cm² ≒ 0.0980665MPa ≒ 約0.098MPa
つまり、昔の鋼材で「引張強さ40kgf/mm²」と書かれていたら、SIでは40×9.80665 ≒ 392MPaに相当します。SS400の「400」はN/mm²(MPa)なので、旧単位の40kgf/mm²と現行のSS400はほぼ同じ強度の鋼材を指している、という訳です。
圧力:mmAq、mmHg → Pa
1mmAq(水柱ミリメートル) = 9.80665Pa ≒ 約9.8Pa
1mmHg(水銀柱ミリメートル) = 133.322Pa ≒ 約133Pa
空調機・換気の機外静圧で「20mmAq」と書かれていたら、SI単位では20×9.8 ≒ 196Pa。空調設計や換気計算でいまだに残っている表記なので、換算式を覚えておくと混乱しません。
熱量:cal、kcal → J
1cal = 4.184J(厳密には4.1855Jだが現場では4.184J)
1kcal = 4,184J ≒ 4.184kJ
熱量(米英):Btu → J
1Btu = 1,055J ≒ 約1.055kJ
海外メーカーのエアコンや空調機カタログで「12,000Btu/h」と書かれていたら、12,000×1.055 ÷ 3,600 ≒ 3.52kW = 3,520Wに相当(つまり3.5kWのエアコン)。
主な換算まとめ
| 旧単位 | SI単位 | 換算 |
|---|---|---|
| 1kgf | 9.80665N | ≒10N |
| 1kgf/cm² | 0.0980665MPa | ≒0.1MPa |
| 1kgf/mm² | 9.80665MPa | ≒9.8MPa |
| 1mmAq | 9.80665Pa | ≒10Pa |
| 1mmHg | 133.322Pa | ≒133Pa |
| 1cal | 4.184J | |
| 1Btu | 1,055J | |
| 1Btu/h | 0.293W | |
| 1馬力(PS) | 735.5W | ≒0.736kW |
SI単位系を扱うときの注意点
最後に施工管理として気を付けたいポイントを4つ。
1. 接頭語のk・M・Gのスケール感
- k(キロ) = 10³ = 1,000
- M(メガ) = 10⁶ = 1,000,000
- G(ギガ) = 10⁹ = 1,000,000,000
構造計算で「24MPa」と「24kPa」を読み違えると、コンクリート強度の話なのか風圧の話なのか180度違います。「Mが付いたら100万倍」を体に染み込ませるのが大事。
2. 質量と重さは別物
地球上で「重さ」と呼んでいる現象は、本質的には「質量×重力加速度」で計算される力です。SI単位系では質量はkg、重さ(力)はNと厳密に分けられています。「100kgのコンクリートブロック」は質量を指し、「重さ」と聞かれたら980N ≒ 1kNです。
質量と重さの違い記事もあわせて読むと、構造計算で何を入力しているかの理解が深まります。
3. 旧単位は廃止されたわけではない
計量法では「取引・証明にはSIを使う」と決められていますが、研究・教育・設計の現場では旧単位(kgf、mmAqなど)が今でも普通に使われます。設計図書・仕様書がSI、メーカー資料が旧単位、というケースは普通にあるので、両方読めるようにしておく必要があります。
4. 単位を省略しない
施工管理として、現場でメモを書くときに「100」とだけ書いてしまうと、後で「100kg?100kN?100mm?」と分からなくなります。単位の省略はトラブルのもと。「100kg」「100kN」と必ず単位を添える癖を。
僕は新人時代、配筋検査でメモに「鉄筋径=13」とだけ書いて先輩に怒られた経験があります。「13mmなのか、D13(呼び径13mm)なのか、ピッチ13mmなのか分からんやろ」と。SI単位系というよりは「単位を書く」という基本動作の話ですが、これが現場でやらかすと致命傷になります。
SI単位系に関する情報まとめ
- SI単位系とは:1960年に国際度量衡総会で定められた、世界共通の国際単位系
- 7つの基本単位:m・kg・s・A・K・mol・cd
- 組立単位:N(力)、Pa(応力)、J(エネルギー)、W(仕事率)、Hz(周波数)、lx(照度)など
- 接頭語:k(千倍)、M(百万倍)、G(十億倍)、m(千分の一)、μ(百万分の一)
- 旧単位換算:1kgf ≒ 9.8N、1kgf/cm² ≒ 0.1MPa、1mmAq ≒ 10Pa、1Btu ≒ 1,055J
- 注意点:接頭語のスケール感、質量と重さの区別、旧単位の併用、単位の省略禁止
以上がSI単位系に関する情報のまとめです。
SI単位系は「7つの基本単位+組立単位+接頭語」の3層構造で、一度頭に入れてしまえばあらゆる物理量に対応できます。建築では特にN・Pa・MPaが構造計算の中核を占めるので、ここを押さえてから旧単位(kgf、mmAq)の換算へと拡張していくのが効率的です。あわせて応力・許容応力度・ヤング率・トルクの単位・質量と重さあたりを読むと、単位を媒介にした建築の物理量の世界が見えてきます。



