- 5類って、どの器具を扱う免状なの?
- 避難はしごなら全部5類?木製やロープのはしごは?
- 緩降機と救助袋って、そもそもどういう器具?
- 甲種と乙種、できることは何が違う?
- 甲種の免状が要るのはどの器具の工事?立てかけはしごも?
- 避難器具って、どんな建物のどの階に付けるもの?
- 何人以上いる階から避難器具が要るの?
- 階によって使える器具が決まっているって本当?
- 施工管理技士を持っていれば甲種5類を受けられる?
- 電気工事士を持っていたら試験は免除になる?
- 合格率はどのくらい?前の年と比べてどう?
上記の様な悩みを解決します。
第5類は、消防法施行規則第33条の3の表で金属製避難はしご、救助袋、緩降機にあたる消防設備士の区分です。甲種は工事と整備、乙種は整備ができます。免状が要る工事は施行令第36条の2の「設置に係る工事」で、「固定式のものに限る」とあるのは金属製避難はしごだけです。試験に電気の問題は無く、令和7年度の合格率は甲種40.5%、乙種41.2%でした。
5類は、救助袋と緩降機、そして金属製避難はしごを受け持つ区分です。ところが5類を扱う記事の多くは合格体験記や教材選びが中心で、免状が要る工事の範囲が条文でどう書かれているか、避難器具が要る階を施行令第25条がどう決めているか、電気工事士の免状だけでは5類の試験科目が減らないことまで触れているものは多くありません。今回は区分と甲乙の違い、受験資格、試験科目、合格率という基本を一通り押さえ、そのうえで「固定式」の限定が付く器具と付かない器具、令第25条の階と収容人員の線、告示と規格省令で「避難はしご」が指す範囲の違いまで、条文と年度表をそのまま並べる形で整理しました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、改修工事で避難器具の取替えを担当することになった施工管理の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
5類の免状とは?規則の表で「金属製避難はしご、救助袋又は緩降機」と書かれた消防設備士の区分
消防設備士5類とは、結論、消防法施行規則第33条の3の表で「第五類」の欄に「金属製避難はしご、救助袋又は緩降機」と書かれている区分のことです。この表は甲種の表(第1項)と乙種の表(第3項)の2枚があり、第五類の行はどちらにも同じ文言で載っています(消防法施行規則 第33条の3)。第1項は甲種が行える「工事又は整備の種類」、第3項は乙種が行える「整備の種類」を定める条文で、免状の種類ごとにできることの範囲は消防法第17条の6第2項が総務省令に任せています(消防法 第17条の6)。
消防試験研究センターの受験案内にある区分表でも、第5類の欄は「金属製避難はしご、救助袋、緩降機」の3つです。センターの説明では「甲種消防設備士は、消防用設備等又は特殊消防用設備等(特類の資格者のみ)の工事、整備、点検ができ、乙種消防設備士は消防用設備等の整備、点検を行うことができます」とされ、工事・整備・点検ができる設備は免状に記載された種類になります(消防試験研究センター「消防設備士について」)。点検の文言はこのセンターの説明に出てくるもので、規則第33条の3の表そのものは「工事又は整備」「整備」とだけ書いています。
他の類で扱う消火設備や警報設備との位置づけを先に見ておきたい方は、消防設備士の資格を類ごとに見渡した記事から入ると全体がつかめます。
3つの器具は省令と告示でこう定義されている
緩降機は、緩降機の技術上の規格を定める省令で「使用者が他人の力を借りずに自重により自動的に連続交互に降下することができる機構を有するもの」と定義されています。同じ条文には、常時取付け具に固定されて使用する「固定式緩降機」と、使用時に取付け具に取り付けて使用する「可搬式緩降機」が別の号で並びます(緩降機の技術上の規格を定める省令 第2条)。
金属製避難はしごの規格省令は、避難はしごを「固定はしご、立てかけはしご及びつり下げはしご」と定義しています。固定はしごは常時使用可能の状態で防火対象物に固定されて使用されるもので、収納式や下部を折りたたむ・伸縮させる構造のものも含みます。立てかけはしごは立てかけて、つり下げはしごはつり下げて使用されるものです(金属製避難はしごの技術上の規格を定める省令 第2条)。
救助袋は、避難器具の基準(昭和53年消防庁告示第1号)の用語の意義で「使用の際、垂直又は斜めに展張し、袋本体の内部を滑り降りるもの」とされています(避難器具の基準 第二)。
「避難はしご」は告示と規格省令で指す範囲が違う
注意したいのが「避難はしご」という言葉です。避難器具の基準(告示)の用語の意義では、避難はしごは「固定はしご、立てかけはしご及びつり下げはしごで金属製以外のもの」とされています(避難器具の基準 第二 一)。金属製のはしごは、上で触れた金属製避難はしごの規格省令の側で定められています。
規則第33条の3の第五類に書かれているのは「金属製避難はしご」です。告示の言葉だけを拾って「避難はしごは5類」と読むと、金属製以外のものまで5類の欄に入れてしまうことになります。用語は根拠の法令とセットで読むのが安全だと、個人的には思います。
甲種の免状が要る工事:金属製避難はしごは固定式に限り、救助袋と緩降機に限定は無い
消防設備士の免状が無いとできない工事は、消防法第17条の5で決まっています。条文は「消防設備士免状の交付を受けていない者は、次に掲げる消防用設備等又は特殊消防用設備等の工事(設置に係るものに限る。)又は整備のうち、政令で定めるものを行つてはならない」です(消防法 第17条の5)。対象になる設備は、第一号が「第十条第四項の技術上の基準又は設備等技術基準に従つて設置しなければならない消防用設備等」、第二号が「設備等設置維持計画に従つて設置しなければならない特殊消防用設備等」です。そのうえで、この「政令で定めるもの」を具体的に並べているのが消防法施行令第36条の2で、第1項が工事、第2項が整備を受け持ちます。
第1項の柱書は「法第十七条の五の政令で定める消防用設備等又は特殊消防用設備等の設置に係る工事は、次に掲げる消防用設備等(…)又は(…)の設置に係る工事とする」という書き方で、そのあとに第一号の屋内消火栓設備から第十三号の緩降機までが続きます(消防法施行令 第36条の2第1項)。5類にあたるのは最後の3つの号です。
第十一号〜第十三号と、規則の表を並べてみる
令第36条の2第1項の第十一号は「金属製避難はしご(固定式のものに限る。)」、第十二号は「救助袋」、第十三号は「緩降機」です(消防法施行令 第36条の2第1項第十一号〜第十三号)。括弧書きで範囲が絞られているのは第十一号の金属製避難はしごだけで、救助袋と緩降機の号には括弧書きが付いていません。
一方、免状の種類を決めている規則第33条の3の表の第五類は「金属製避難はしご、救助袋又は緩降機」で、こちらには「固定式」の語がありません(消防法施行規則 第33条の3)。つまり、免状の区分を示す規則の表と、免状が無い人にはできない工事を並べた政令の号とで、金属製避難はしごの書きぶりが違っています。並べると次のとおりです。
- 消防法施行規則 第33条の3(甲種・乙種の表の第五類):金属製避難はしご、救助袋又は緩降機
- 消防法施行令 第36条の2第1項第十一号:金属製避難はしご(固定式のものに限る。)
- 同 第十二号:救助袋
- 同 第十三号:緩降機
規格省令の定義と見比べると、金属製避難はしごには固定はしご・立てかけはしご・つり下げはしごの3種類があり、緩降機には固定式緩降機と可搬式緩降機の2種類があります。そのうえで第十一号は「固定式のものに限る。」と書き、第十三号は「緩降機」とだけ書いていて、固定式・可搬式の区別は書かれていません。立てかけはしごやつり下げはしごの工事がどう扱われるかを、令第36条の2はこれ以上の言葉で書いていません。この記事では条文の文言を示すところで止め、それ以上の当てはめはしません。
同じ第1項の柱書は、列挙した消防用設備等のほかに、「必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等若しくは特殊消防用設備等」のうち「次に掲げる消防用設備等に類するものとして消防庁長官が定めるものに限り」と書いて、これらの設置に係る工事も対象に含めています(消防法施行令 第36条の2第1項)。工事の範囲は、号に挙がる消防用設備等と、柱書のこの部分に書かれた設備等の設置に係る工事で組み立てられています(消防法施行令 第36条の2第1項)。
甲種と乙種の分かれ方も、この号の並びと対応させると整理しやすくなります。規則第33条の3では甲種が「工事又は整備」、乙種が「整備」なので、第1項のうち第十一号〜第十三号の工事を行えるのは甲種第5類、第2項のうち同じ器具の整備は甲種・乙種どちらの第5類でも行える、という組み立てです(消防法施行規則 第33条の3)。工事まで担当するなら甲種、整備だけなら乙種、と目的から逆算して種別を選ぶことになります。
柱書の括弧書きは第十号までの列挙
第1項の柱書には、号ごとに工事の対象から外す部分を書いた括弧書きがあります。文言は「第一号から第三号まで及び第八号に掲げる消防用設備等については電源、水源及び配管の部分を除き、第四号から第七号まで及び第九号から第十号までに掲げる消防用設備等については電源の部分を除く。」です(消防法施行令 第36条の2第1項)。
この括弧書きが挙げているのは第十号までで、避難器具の第十一号から第十三号は挙がっていません。避難器具について電源などの部分をどう扱うかは、この括弧書きの中には書かれていない、というのが条文から言える範囲です。
括弧書きの前半がどの号に掛かるかを見比べたい方は、消防設備士1類の工事範囲を条文で追った記事と並べて読むと違いがはっきりします。
整備は第2項。「設置に係る工事」の文言も確かめておく
整備のほうは第2項で、「法第十七条の五の政令で定める消防用設備等又は特殊消防用設備等の整備は、次に掲げる消防用設備等又は(…)の整備(屋内消火栓設備の表示灯の交換その他総務省令で定める軽微な整備を除く。)とする」とされ、その第一号が「前項各号に掲げる消防用設備等(同項第一号から第三号まで及び第八号に掲げる消防用設備等については電源、水源及び配管の部分を除き、同項第四号から第七号まで及び第九号から第十号までに掲げる消防用設備等については電源の部分を除く。)」です(消防法施行令 第36条の2第2項)。整備の側は前項各号を引く書き方なので、第十一号の「固定式のものに限る。」が整備にどう掛かるかを、この記事では断定しません。
もう1つ、工事の側の言葉は、法第17条の5が「工事(設置に係るものに限る。)」、令第36条の2第1項が「設置に係る工事」です。令第36条の2と法第17条の5の文言には、取替えや移設についての記述はありません。改修で既設の救助袋や緩降機を入れ替える工事が「設置に係る工事」に当たるかは、条文の字面だけでは決まらない部分です。
現場目線で言えば、ここは協力会社任せにせず、工事の発注前に免状の要否を確かめておきたいところです。条文の範囲で言い切れない工事は、着工前に所轄の消防に相談して決めるのが筋だと思います。
避難器具を置く階と収容人員の線、階ごとに使える器具(施行令第25条)
5類の器具が建物のどこで出番になるかは、消防法施行令第25条が決めています。第1項の書き出しは「避難器具は、次に掲げる防火対象物の階(避難階及び十一階以上の階を除く。)に設置するものとする。」で、避難階と十一階以上の階は最初から対象外です(消防法施行令 第25条第1項)。そのうえで、第一号から第五号まで、別表第一の項・階・収容人員の組み合わせで設置が要る階が並びます。
第1項:5つの号で階と人数の線が引かれている
第1項の各号を表にすると次のとおりです。別表第一の用途名はここでは足さず、条文どおり項番号で示します(消防法施行令 第25条第1項)。
| 号 | 防火対象物(別表第一) | 対象の階 | 収容人員 |
|---|---|---|---|
| 第一号 | (六)項 | 二階以上の階又は地階 | 20人以上(下階に(一)項から(四)項まで/(九)項/(十二)項イ/(十三)項イ/(十四)項/(十五)項の防火対象物が存するものは10人以上) |
| 第二号 | (五)項 | 二階以上の階又は地階 | 30人以上(下階に第一号と同じ項の防火対象物が存するものは10人以上) |
| 第三号 | (一)項から(四)項まで/(七)項から(十一)項まで | 二階以上の階(特定主要構造部を耐火構造とした建築物の二階を除く)又は地階 | 50人以上 |
| 第四号 | (十二)項/(十五)項 | 三階以上の階又は地階 | 三階以上の無窓階又は地階は100人以上、その他の階は150人以上 |
| 第五号 | 前各号のほか別表第一の防火対象物 | 三階((二)項・(三)項、及び二階に(二)項又は(三)項の用途の部分がある(十六)項イは二階)以上の階のうち、避難階又は地上に直通する階段が二以上設けられていない階 | 10人以上 |
表の人数はどれも「以上」で書かれています。第一号と第二号は、下階に特定の項の防火対象物がある場合に人数の線が10人まで下がるつくりです。第三号は二階以上の階でも、特定主要構造部を耐火構造とした建築物の二階を括弧書きで除いています。第四号は三階以上の階又は地階が対象で、無窓階・地階とその他の階とで100人と150人に分かれます。
第五号は他の号と考え方が違い、項を限らず別表第一の防火対象物の三階以上(一部の項は二階以上)で、避難階又は地上に直通する階段が二以上設けられていない階が対象になります。条文には、総務省令で定める避難上有効な開口部を有しない壁で区画されている部分がある場合は「その区画された部分」から直通階段を見る旨の括弧書きもあり、収容人員の線は10人以上です(消防法施行令 第25条第1項第五号)。
読むときは、柱書の除外を先に当てるのが順番です。たとえば第三号の項の防火対象物でも、避難階と十一階以上の階はそもそも第1項の対象に入りません。そのうえで二階なら、特定主要構造部を耐火構造とした建築物かどうかで第三号の括弧書きに当たるかが分かれ、残った階について収容人員が50人以上かを見ます。号ごとに階と人数の条件が組み合わさっているので、どれか1つだけを見て判断しないことが大事です。
設置が要る階になったときに何個付けるかは、第2項第一号の続きで収容人員に応じて決まりますが、この記事では個数の算定は扱いません。ここで押さえたいのは、どの階が対象になるかという入口の線です。
第2項の表:救助袋・緩降機・避難はしごが出てくる欄
第2項第一号は、第1項各号の階に「次の表において同項各号の防火対象物の区分に従いそれぞれの階に適応するものとされる避難器具のいずれか」を設置すると定め、その表が行=防火対象物の区分、列=階の形で並んでいます(消防法施行令 第25条第2項第一号)。セルの中身を原文どおりに並べると次のとおりです。
| 区分 | 地階 | 二階 | 三階 | 四階又は五階 | 六階以上の階 |
|---|---|---|---|---|---|
| 前項第一号の防火対象物 | 避難はしご/避難用タラップ | 滑り台/避難はしご/救助袋/緩降機/避難橋/避難用タラップ | 滑り台/救助袋/緩降機/避難橋 | 滑り台/救助袋/緩降機/避難橋 | 滑り台/救助袋/避難橋 |
| 前項第二号及び第三号の防火対象物 | 避難はしご/避難用タラップ | 滑り台/避難はしご/救助袋/緩降機/避難橋/滑り棒/避難ロープ/避難用タラップ | 滑り台/避難はしご/救助袋/緩降機/避難橋/避難用タラップ | 滑り台/避難はしご/救助袋/緩降機/避難橋 | 滑り台/避難はしご/救助袋/緩降機/避難橋 |
| 前項第四号の防火対象物 | 避難はしご/避難用タラップ | (空欄) | 滑り台/避難はしご/救助袋/緩降機/避難橋/避難用タラップ | 滑り台/避難はしご/救助袋/緩降機/避難橋 | 滑り台/避難はしご/救助袋/緩降機/避難橋 |
| 前項第五号の防火対象物 | (空欄) | 滑り台/避難はしご/救助袋/緩降機/避難橋/滑り棒/避難ロープ/避難用タラップ | 滑り台/避難はしご/救助袋/緩降機/避難橋/避難用タラップ | 滑り台/避難はしご/救助袋/緩降機/避難橋 | 滑り台/避難はしご/救助袋/緩降機/避難橋 |
空欄は、前項第四号の二階と前項第五号の地階の2セルだけです。第四号はもともと三階以上の階又は地階が対象で、第五号は三階(一部は二階)以上が対象なので、該当する階が無いセルにあたります。
5類の器具の出方を拾うと、救助袋と緩降機は地階の欄にはどの区分でも出てきません。前項第一号から第四号までの区分の地階は「避難はしご/避難用タラップ」の2つです。また前項第一号の防火対象物の六階以上の階は「滑り台/救助袋/避難橋」で、緩降機と避難はしごはこの欄に入っていません。二階から五階までの欄には、前項第四号の二階(空欄)を除き、どの区分でも救助袋と緩降機が並んでいます。
表の読み方は2段です。まず第1項の表で、自分の建物のその階が第一号から第五号のどれに当たるかを決めます。次に第2項の表で、その号の行と階の列が交わるセルを見ると、その階に置ける避難器具の候補が並んでいます。前項第二号及び第三号の防火対象物の行では、救助袋と緩降機が二階から六階以上の階まで続けて出てきます。前項第四号の行は三階から、前項第五号の行は二階から、同じように救助袋と緩降機が並びます。
前項第一号の行だけは、三階から五階までの欄に避難はしごが無く、「滑り台/救助袋/緩降機/避難橋」の4つになっています。六階以上の階ではさらに緩降機も外れ、「滑り台/救助袋/避難橋」の3つです。同じ救助袋・緩降機でも、どの号の防火対象物のどの階かで候補に入るかどうかが変わるので、器具の取替えを検討するときは、既設の器具の種類を見るだけでなく、その階がこの表のどのセルに当たるかを先に確かめておくと話が早くなります。
ここでも用語に注意が要ります。この表には「避難はしご」とあり、金属製とも金属製以外とも書かれていません。5類が受け持つのは規則第33条の3の「金属製避難はしご」なので、表の「避難はしご」を5類の器具とそのまま同じものとして読まないほうが安全です。表に並ぶ器具のうち、滑り台・避難用タラップ・避難橋・滑り棒・避難ロープの5つは、規則第33条の3の第五類の欄にはありません。
開口部と取付けの状態(第2項第二号・第三号)
第2項第二号は、避難器具を「避難に際して容易に接近することができ、階段、避難口その他の避難施設から適当な距離にあり、かつ、当該器具を使用するについて安全な構造を有する開口部に設置すること」と定めています。第三号は、避難器具を「前号の開口部に常時取り付けておくか、又は必要に応じて速やかに当該開口部に取り付けることができるような状態にしておくこと」としています(消防法施行令 第25条第2項第二号・第三号)。
改修で避難器具に手を入れるときは、器具そのものだけでなく、この2つの号が求める開口部と取付けの状態も一緒に見ることになります。器具の型番だけを書き換えた施工図で済ませず、開口部まわりの納まりを含めて協力会社と打ち合わせておく。僕は、5類の知識が現場で一番効くのはこの場面だと考えています。
施工管理技士で甲種5類の受験資格の表に載るのは管工事だけ。建築士・電工の行もある
受験資格は、乙種と甲種で大きく違います。消防試験研究センターの受験資格のページでは、乙種は「誰でも受験できます。」とされています(消防試験研究センター 受験資格)。甲種(特類を除く)の要件は、資格で満たす道と学歴で満たす道に分かれています。
資格の表から、建設系の施工管理の方が当てはまりそうな行を拾い、言い回しを整えて並べました(消防試験研究センター 受験資格(甲種))。
- 管工事施工管理技士:管工事施工管理の種目で1級か2級の技術検定(建設業法第27条)に受かっている方
- 建築士:1級建築士か2級建築士(建築士法第2条)の方
- 電気工事士・電気主任技術者:電気工事士の免状、又は第1種から第3種までの電気主任技術者の免状を持っている方
- 乙種消防設備士:乙種の免状をもらってから2年以上、消防法第17条の5に基づく政令の範囲の整備に携わった方
- 工事の補助5年:受ける類の消防用設備等に限り、その工事の補助者として5年以上の実務経験がある方
- 甲種消防設備士:受ける類とは別の類の甲種免状を持っている方
施工管理技士の行は管工事施工管理技士だけで、センターの国家資格等の表に建築施工管理技士や土木施工管理技士の行はありません。表にはこのほか、技術士(第2次試験合格)、配管技能士(1級又は2級)、給水装置工事主任技術者などの行も並んでいます。学歴の側は、大学・短期大学・高等専門学校(5年制)・高等学校などを、指定の分野(機械・電気・工業化学・土木・建築)の学科や課程で卒業した方が対象になります。
甲種5類は、甲種特類の受験にも関わります。センターは「甲種特類を受験するには、甲種第1類から第3類までのいずれか一つ、甲種第4類及び甲種第5類の3種類以上の免状の交付を受けていることが必要です。」としています(消防試験研究センター 受験資格)。
試験に電気の問題は無く、電工・電主の免除も無い
5類の試験科目には、電気の問題がありません。消防試験研究センターの一覧表では、甲種第5類・乙種第5類とも、基礎的知識と構造・機能の科目の「電気」の欄が「–」で、備考に「「–」印は、試験問題がないものを示しています。」とあります(消防試験研究センター 一部免除の一覧表 甲種・乙種)。
科目と問題数・時間・手数料・合格基準
| 科目 | 甲種第5類 | 乙種第5類 |
|---|---|---|
| 消防関係法令(共通/類別) | 8問/7問 | 6問/4問 |
| 基礎的知識(機械/電気) | 10問/– | 5問/– |
| 構造・機能(甲種は工事・整備、乙種は整備)(機械/電気/規格) | 12問/–/8問 | 9問/–/6問 |
| 筆記の計 | 45問 | 30問 |
| 実技 | 鑑別等5問/製図2問 | 鑑別等5問 |
| 試験時間 | 3時間15分 | 1時間45分 |
| 試験手数料(非課税) | 6,600円 | 4,400円 |
筆記はマーク・カードを使う四肢択一式です。実技は記述式で、写真・イラスト・図面等を使って出題されます。合格基準は特類以外で「筆記試験において、各科目毎に40%以上で全体の出題数の60%以上、かつ、実技試験において60%以上の成績を修めた者を合格とします。」とされています(消防試験研究センター 試験の方法)。製図があるのは甲種だけで、乙種の実技は鑑別等の5問です。
免除が効く資格と、短くなる試験時間
試験の一部免除は、一覧表の5類のブロックで決まっています。施工管理の方に関係しそうな行を、甲種と乙種で並べると次のとおりです(消防試験研究センター 一部免除の一覧表 甲種・乙種)。
| 持っている資格 | 甲種5類の免除 | 甲種の時間 | 乙種5類の免除 | 乙種の時間 |
|---|---|---|---|---|
| なし(一般受験者) | 免除なし | 3時間15分 | 免除なし | 1時間45分 |
| 他類の消防設備士免状(甲種は甲種1〜4類のいずれか、乙種は甲種1〜5類又は乙種1〜4・7類のいずれか) | 法令の共通 | 3時間00分 | 法令の共通 | 1時間30分 |
| 電工・電主の免状だけ | 免除なし | 3時間15分 | 免除なし | 1時間45分 |
| 技術士(機械部門)又は検定協会等職員 | 基礎的知識の機械/構造・機能の機械/規格 | 1時間45分 | 基礎的知識の機械/構造・機能の機械/規格 | 0時間45分 |
一覧表の備考では、「電工」は第一種電気工事士免状又は第二種電気工事士免状、「電主」は電気主任技術者(第一種から第三種まで)の免状を持つ方のことです。5類のブロックでは、電工・電主だけを持つ行がいずれも免除なしです。甲種1〜4類のいずれかと電工・電主を併せ持つ行は法令の共通が免除されて3時間00分ですが、これは消防設備士免状の行と同じ免除の中身です。
電気工事士や電気主任技術者は、甲種5類の受験資格にはなりますが、5類の免除の欄には効いてきません。正直なところ、受験資格に使える資格と免除に効く資格は別の表で決まっているので、申込みの前に一覧表の自分の行を確かめておくのが確実です。技術士は機械部門の行が5類にあり、乙種5類では0時間45分まで短くなります。
ほかの類の免除の行と見比べたい方は、消防設備士の乙種7類の記事も参考にしてください。
甲種5類・乙種5類の合格者数と合格率(令和6・7年度の年度表)
合格率は、消防試験研究センターの試験実施状況の年度表に、類ごとの受験者数・合格者数と並んで載っています。5類の行だけを抜き出すと次のとおりです(消防試験研究センター 試験実施状況 令和7年度・令和6年度)。
| 年度 | 区分 | 受験者 | 合格者 | 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 令和7年度 | 甲種5類 | 4,226人 | 1,712人 | 40.5% |
| 令和7年度 | 乙種5類 | 1,168人 | 481人 | 41.2% |
| 令和6年度 | 甲種5類 | 3,681人 | 1,288人 | 35.0% |
| 令和6年度 | 乙種5類 | 1,166人 | 374人 | 32.1% |
令和7年度は甲種5類が40.5%、乙種5類が41.2%で、令和6年度は甲種5類が35.0%、乙種5類が32.1%でした。
令和8年度は年度の途中で、4月から8月までの5か月分の累計(通年の値ではありません)では甲種5類43.6%(受験者1,770人・合格者772人)、乙種5類46.3%(受験者432人・合格者200人)です(消防試験研究センター 試験実施状況)。
免状の交付後に受ける講習の期限(消防法施行規則第33条の17)
合格して免状を受け取ったあとも、消防設備士には講習の受講が義務づけられています。消防法第17条の10は「消防設備士は、総務省令で定めるところにより、都道府県知事(総務大臣が指定する市町村長その他の機関を含む。)が行う工事整備対象設備等の工事又は整備に関する講習を受けなければならない。」と定めています(消防法 第17条の10)。
期限は消防法施行規則第33条の17にあり、1回目は「免状の交付を受けた日以後における最初の四月一日から二年以内」、2回目以降は「講習を受けた日以後における最初の四月一日から五年以内」です(消防法施行規則 第33条の17)。数え始めは交付日・受講日そのものではなく、その日以後で最初に来る4月1日です(4月1日に交付を受けたならその日)。改修工事の担当で甲種5類を取った方は、免状の交付日と次の4月1日を手帳に控えておくと期限を落としません。
5類と同じく甲種で工事まで受け持つ類として、ガス系と粉末の消火設備(不活性ガス/ハロゲン化物/粉末)を扱う消防設備士3類の記事もあります。消火設備そのものの全体像は消火設備の種類と区分をまとめた記事で整理しています。
消防設備士5類に関する情報まとめ
- 5類とは:規則第33条の3の表で「金属製避難はしご、救助袋又は緩降機」の区分。告示の「避難はしご」は金属製以外のもので、金属製は別の規格省令
- 免状が要る工事:令第36条の2第1項の「設置に係る工事」。第十一号は「金属製避難はしご(固定式のものに限る。)」、救助袋と緩降機に限定の括弧書きは無い
- 避難器具が要る階:令第25条で避難階と十一階以上を除き、5つの号で階と収容人員(20・30・50・100・150・10人以上)の線が引かれる。第2項の表で地階に救助袋・緩降機は出てこない
- 受験資格:乙種に要件は無く、甲種は資格の表か学歴のどちらかで満たす。施工管理技士の行は管工事だけ
- 試験と免除:電気の問題は無く、電工・電主だけでは免除なし。甲種3時間15分・乙種1時間45分
- 合格率と講習:令和7年度は甲種40.5%・乙種41.2%。講習は交付後の最初の4月1日から2年以内、その後は5年以内ごと
以上が消防設備士5類に関する情報のまとめです。
5類は、扱う器具が3つと少ないぶん、条文の言葉の違いがそのまま仕事の範囲に響く類です。受験を決めたら、まず受験資格の表と免除の表で自分の行を確かめ、そのうえで担当する建物の各階を令第25条の号に当てはめてみる。その順で進めると、免状を取った後の改修の段取りにそのまま使えます。
立てかけはしごの取付けにも甲種の免状は要りますか?
施行令第36条の2第1項の第十一号は「金属製避難はしご(固定式のものに限る。)」と書いています。金属製避難はしごの規格省令は避難はしごを固定はしご・立てかけはしご・つり下げはしごの3つと定義していますが、立てかけはしごの工事がどう扱われるかを令第36条の2はこれ以上の文言で書いていません。この記事では、要る・要らないのどちらにも断定しません。
電気工事士を持っていると、5類の試験は免除されますか?
消防試験研究センターの一覧表では、甲種5類・乙種5類とも、電工・電主の免状だけを持つ行は免除なしです。5類の試験には電気の問題がもともとありません。電気工事士・電気主任技術者は、甲種5類の受験資格としては使えます。
乙種5類の免状で、避難器具の工事はできますか?
消防法施行規則第33条の3では、甲種の表が「工事又は整備」、乙種の表が「整備」の種類を決めています。消防試験研究センターの説明でも、工事ができるのは甲種で、乙種は整備と点検です。
