- 3類って、結局どの消火設備を扱う免状なの?
- 不活性ガス・ハロゲン化物・粉末の3つだけ?パッケージ型は入る?
- 3類の設備って、建物のどの部屋に付いてるもの?
- 甲種と乙種で何が違う?工事できるのは甲種だけ?
- 工事のとき、電源や配管の部分はどう扱われる?
- 二酸化炭素の消火設備の基準が変わったって聞いたけど、何が変わった?
- 前からある二酸化炭素の設備も、新しい基準に合わせないといけない?
- 甲種3類は、電気工事士や管工事施工管理技士で受けられる?
- 電工を持っていたら、試験はどこまで免除される?
- 合格率はどのくらい?合格した後に講習はある?
上記の様な悩みを解決します。
第3類は、消防法施行規則第33条の3の表で「不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備又は粉末消火設備」とされている消防設備士の区分です(消防試験研究センターの区分表にはパッケージ型消火設備・パッケージ型自動消火設備も並びます)。工事・整備・点検までできるのが甲種、整備・点検までが乙種で、甲種の受験には資格か学歴の要件があります。令和7年度の合格率は甲種31.6%、乙種26.8%です。
3類は、電気設備や通信機器室、駐車の部分などで選べる不活性ガス・ハロゲン化物・粉末の消火設備を受け持つ区分です。ところが3類を紹介する記事の多くは、試験の難しさや教材選びの話が中心で、3類の設備が建物のどの部分に置かれるのか、免状が要る工事の範囲がどこまでなのか、二酸化炭素消火設備で死亡事故が続いたあとに基準がどう変わったのかは、ほとんど触れられていないんですよね。今回は扱う設備・甲種と乙種の違い・受験資格・試験と免除・合格率といった基本を押さえた上で、施行令第13条の表で読む3類の出番、工事の範囲を決める括弧書き、全域放出方式の二酸化炭素消火設備の基準改正と既存設備への当てはまり方まで、条文と試験機関の公表資料だけで施工管理の目線から整理しました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、会社から3類を取るように言われて、まず全体像だけ短時間でつかみたい方にも読みやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
第3類とは?消防設備士が不活性ガス・ハロゲン化物・粉末の3設備を受け持つ区分
結論から言うと、消防設備士3類は「不活性ガス消火設備」「ハロゲン化物消火設備」「粉末消火設備」の工事や整備に必要な免状の区分です。消防法施行規則第33条の3は、甲種消防設備士が行える工事又は整備の種類を第1項の表で、乙種消防設備士が行える整備の種類を第3項の表で決めていて、どちらの表でも第三類の行は「不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備又は粉末消火設備」です(消防法施行規則 第33条の3第1項・第3項、2026年10月15日取得の条文)。
免状の種類が甲種と乙種の2つであること、甲種が行える工事又は整備と乙種が行える整備の種類を総務省令で定めることは、消防法第17条の6に書かれています(消防法 第17条の6)。上の規則第33条の3が、その「総務省令で定める」部分にあたります。
試験を実施している消防試験研究センターの説明では、甲種と乙種の違いは次のとおりです。
「甲種消防設備士は、消防用設備等又は特殊消防用設備等(特類の資格者のみ)の工事、整備、点検ができ、乙種消防設備士は消防用設備等の整備、点検を行うことができます。工事、整備、点検のできる消防用設備等は、免状に記載されている種類になります。」(消防試験研究センター「消防設備士について」・2026年10月22日確認)
規則の表に書かれているのは「工事又は整備」で、点検の語は出てきません。点検ができることはセンターの説明が出典になります。つまり3類の甲種を持っていれば3設備の工事・整備・点検、乙種なら整備・点検ができる、という整理です。
センターの区分表にはパッケージ型も並ぶ
消防試験研究センターの試験案内にある区分表では、第3類の欄に、規則と同じ3設備の名前に続けて、改行して「パッケージ型消火設備、パッケージ型自動消火設備」が並んでいます(消防試験研究センター 消防設備士試験 試験案内・2026年10月22日確認)。同じ名前は第1類・第2類の欄にも並んでいます。
一方で、規則第33条の3の表の第三類の行にはパッケージ型の名前は無く、2026年10月15日に取得した消防法・施行令・施行規則の本文の範囲でも見当たりませんでした。この記事では、パッケージ型については「センターの区分表で第3類に並ぶ」というところまでにとどめます。
設備の仕組みは別記事で
3設備がそれぞれどうやって火を消すのか、消火剤にどんな種類があるのかは、この記事では扱いません。不活性ガスとハロゲン化物の違いはガス消火設備の種類と消火原理の解説に、粉末の仕組みは粉末消火設備の記事にまとめています。消防設備士の全類をまとめて見比べたい場合は、消防設備士の全体像から入ると位置づけがつかみやすいです。
3類の設備が出番になる部分を、施行令第13条の表から拾う
3類の設備がどんな建物のどこに付くのかは、消防法施行令第13条の表を見ると分かります。この条文は柱書で「次の表の上欄に掲げる防火対象物又はその部分には、水噴霧消火設備、泡消火設備、不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備又は粉末消火設備のうち、それぞれ当該下欄に掲げるもののいずれかを設置するものとする。」と定めています(消防法施行令 第13条第1項、2026年10月15日取得の条文)。
ここで押さえておきたいのは「いずれかを設置する」という書き方です。表の下欄に並ぶ設備は選択肢で、3類の設備は必ず付くものではなく、その部分に選べる設備の1つとして出てきます。
表のうち、不活性ガス・ハロゲン化物・粉末の3つがそろって選べる行は6行あります。上欄の条件と下欄の選択肢を、条文の文言どおりに並べると次のとおりです。
| 防火対象物の部分 | 条件(床面積など) | 下欄で選べる消火設備 |
|---|---|---|
| 自動車の修理又は整備の用に供される部分 | 地階又は二階以上の階で200㎡以上、一階で500㎡以上 | 泡、不活性ガス、ハロゲン化物、粉末 |
| 駐車の用に供される部分 | その階の駐車部分の床面積が、地階又は二階以上の階で200㎡以上、一階で500㎡以上、屋上部分で300㎡以上(駐車するすべての車両が同時に屋外に出ることができる構造の階を除く)。又は、昇降機等の機械装置により車両を駐車させる構造で収容台数が10以上 | 水噴霧、泡、不活性ガス、ハロゲン化物、粉末 |
| 発電機、変圧器その他これらに類する電気設備が設置されている部分 | 200㎡以上 | 不活性ガス、ハロゲン化物、粉末 |
| 鍛造場、ボイラー室、乾燥室その他多量の火気を使用する部分 | 200㎡以上 | 不活性ガス、ハロゲン化物、粉末 |
| 通信機器室 | 500㎡以上 | 不活性ガス、ハロゲン化物、粉末 |
| 危険物政令別表第四で定める数量の千倍以上の指定可燃物を貯蔵し、又は取り扱う建築物その他の工作物のうち、可燃性固体類、可燃性液体類又は合成樹脂類(不燃性又は難燃性でないゴム製品、ゴム半製品、原料ゴム及びゴムくずを除く)に係るもの | 千倍以上 | 水噴霧、泡、不活性ガス、ハロゲン化物、粉末 |
出典は消防法施行令第13条第1項の表です(2026年10月15日取得の条文。表の「消火設備」の語は省略して並べています)。
電気設備・多量の火気・通信機器室の3行は、下欄が3類の設備だけ
表を並べてみると、発電機や変圧器などの電気設備の部分、ボイラー室などの多量の火気を使用する部分、通信機器室の3行は、下欄に不活性ガス・ハロゲン化物・粉末の3つしか書かれていません。水噴霧や泡は選択肢に入っていないので、これらの部分が上欄の面積に当たれば、選べるのは3類の設備のどれかになります。
一方、駐車の部分や自動車の修理・整備の部分は、泡や水噴霧も同じ行に並んでいます。駐車場だから必ずガスや粉末になる、という読み方はできません。駐車の部分の条件も「200㎡以上」の1つだけではなく、階ごとの面積の3つの条件と、機械式で収容台数10以上という条件が「又は」でつながっている点に注意が要ります。
3つのうち一部だけが選べる行もある
表には、3類の設備のうち一部だけが選べる行もあります。道路の用に供される部分(屋上部分で600㎡以上、それ以外の部分で400㎡以上)は水噴霧・泡・不活性ガス・粉末で、ハロゲン化物は入っていません。屋上で回転翼航空機又は垂直離着陸航空機の発着の用に供される部分と、別表第一(十三)項ロに掲げる防火対象物は、泡又は粉末です。指定可燃物のうち綿花類などに係るものは水噴霧・泡・全域放出方式の不活性ガス、木材加工品及び木くずに係るものは水噴霧・泡・全域放出方式の不活性ガス・全域放出方式のハロゲン化物です(消防法施行令 第13条第1項)。
なお同条第2項には、指定可燃物(可燃性液体類に係るものを除く)を貯蔵し又は取り扱う建築物等にスプリンクラー設備を基準に従って設置したときは、その有効範囲内の部分について下欄の消火設備を設置しないことができる、という定めもあります(消防法施行令 第13条第2項)。消火設備の種類ごとの位置づけをまとめて見たい場合は、消火設備の種類を一覧で整理した記事が役に立ちます。
甲種は工事まで。免状が要る工事の範囲から外れるのは3類では電源の部分
甲種の免状が効いてくるのは工事の場面です。消防法第17条の5は、消防設備士免状の交付を受けていない者は、消防用設備等の「工事(設置に係るものに限る。)又は整備のうち、政令で定めるものを行つてはならない」と定めています(消防法 第17条の5)。この「政令で定めるもの」を具体的に並べているのが、消防法施行令第36条の2です。
施行令第36条の2第1項は、設置に係る工事の対象として第一号から第十三号まで(第九号の二を含む)の消防用設備等を並べています。3類の設備は、第五号が不活性ガス消火設備、第六号がハロゲン化物消火設備、第七号が粉末消火設備です(消防法施行令 第36条の2第1項、2026年10月15日取得の条文)。
柱書の括弧書きで、号ごとに除かれる部分が違う
第1項の柱書には、号によって工事の対象から除く部分を分ける括弧書きがあります。文言は「第一号から第三号まで及び第八号に掲げる消防用設備等については電源、水源及び配管の部分を除き、第四号から第七号まで及び第九号から第十号までに掲げる消防用設備等については電源の部分を除く。」です(消防法施行令 第36条の2第1項)。
第五号から第七号は「第四号から第七号まで」に含まれるので、3類の設備は「電源の部分を除く」側に入ります。言い換えると、消防設備士でなければ行えない工事の対象から、第3類の設備では電源の部分が除かれている、ということです。これに対して第一号から第三号まで及び第八号、つまり第一号の屋内消火栓設備から第三号の水噴霧消火設備までと第八号の屋外消火栓設備(規則第33条の3では第一類にあたる設備)は、電源に加えて水源と配管の部分も除かれる側です。3類の号には「水源及び配管の部分を除き」の文言が付いていない、という違いがあります。
1類で括弧書きがどう効いているかは消防設備士1類の記事に、同じ「電源の部分を除く」側にある泡消火設備は消防設備士2類の記事にまとめています。この記事では、3類の号に付いている括弧書きの文言を示すところまでにとどめます。
整備は第2項。軽微な整備は除かれる
整備のほうは同条第2項で、第1項の各号の消防用設備等(括弧書きの除外は第1項と同じ並び)と、消火器、漏電火災警報器の整備が対象です。ただし「屋内消火栓設備の表示灯の交換その他総務省令で定める軽微な整備を除く。」とされています(消防法施行令 第36条の2第2項)。免状が要る範囲のうち、乙種の3類が行えるのはこの整備の部分です。
個人的には、3類の設備の改修で持ち場を割り振るときは、甲種・乙種の別と、括弧書きで外れているのが電源の部分だという点の2つを、条文の文言で確かめておくのが先だと思います。
全域放出方式の二酸化炭素消火設備は令和5年4月1日から基準が変わった
3類の免状で扱う不活性ガス消火設備のうち、全域放出方式で二酸化炭素を放射するものについては、技術上の基準が大きく見直されています。消防庁の通知(消防予第416号)は、改正の理由を次のように書いています。
「今回の改正は、令和2年12月から令和3年4月にかけて全域放出方式の二酸化炭素を消火剤とする不活性ガス消火設備(以下「二酸化炭素消火設備」という。)に係る死亡事故が相次いで発生したことを踏まえ、事故の再発防止のため、二酸化炭素消火設備に係る技術上の基準等について見直す」(消防庁 消防予第416号・令和4年9月14日)
改正政令(令和4年政令第305号)、改正省令(令和4年総務省令第62号)、閉止弁の基準(令和4年消防庁告示第8号)などは令和4年9月14日に公布され、施行は令和5年4月1日です(消防予第416号、消防法施行規則 附則(令和4年総務省令第62号)第1条)。公布に先立って、消防庁は令和4年7月15日から8月18日まで意見を公募し、17件の意見が寄せられています(消防庁 報道発表・令和4年9月14日)。通知では、設置届出書などの添付書類の合理化もあわせて行うとされています。
見直しの9項目と、既存の防火対象物での扱い
通知が挙げる見直しは9項目で、いずれも全域放出方式の二酸化炭素消火設備に係るものです。ここで混同しやすいのが、改正の施行の際に現に存する防火対象物(工事中のものを含む)にどこまで当てはまるかです。施行規則の附則と施行令第34条を突き合わせると、項目ごとに扱いが分かれます。
| 見直しの項目(消防予第416号) | 規則の条項 | 施行の際に現に存する防火対象物等での扱い |
|---|---|---|
| 起動用ガス容器を設ける | 第19条第5項第13号イ | なお従前の例(附則第2条第1項) |
| 消火剤の放射を停止する旨の信号を制御盤へ発信する緊急停止装置を設ける | 第19条第5項第14号イ(ロ) | なお従前の例(附則第2条第1項) |
| 自動式の起動装置は二以上の火災信号により起動するものとする | 第19条第5項第16号イ(ロ) | なお従前の例(附則第2条第1項) |
| 常時人のいない防火対象物でも、自動式の起動装置を設けたものには音声による音響警報装置を設ける | 第19条第5項第17号ハ | なお従前の例(附則第2条第1項) |
| 集合管(選択弁を設ける場合は貯蔵容器と選択弁の間に限る)又は操作管(起動用ガス容器と貯蔵容器の間に限る)に、消防庁長官が定める基準に適合する閉止弁を設ける | 第19条第5項第19号イ(ハ) | 遡及して適用。ただし令和6年3月31日までは従前の例(附則第2条第3項) |
| 貯蔵容器を設ける場所と防護区画の出入口等に標識を設ける | 第19条第5項第19号イ(ホ) | 遡及して適用 |
| 閉止弁は人が立ち入る場合は閉止、それ以外は開放で維持する | 第19条の2第1号 | 遡及して適用 |
| 人が立ち入る場合は自動手動切替え装置を手動状態に維持する/放射後は消火剤が排出されるまで立ち入らないように維持する | 第19条の2第2号・第3号 | 遡及して適用 |
| 制御盤の付近に設備の構造と工事・整備・点検時の措置の手順を定めた図書を備える | 第19条の2第4号 | 遡及して適用 |
出典は消防予第416号(令和4年9月14日)の第二の1、消防法施行規則 第19条の2・第33条の2、同附則(令和4年総務省令第62号)第2条です。通知の(5)の閉止弁は設置(第19条第5項第19号イ(ハ))と維持(第19条の2第1号)の2行に分け、(7)と(8)は同じ第19条の2の号なので1行にまとめています。
「遡及して適用」の根拠は施行令第34条です。消防法第17条の2の5の不遡及の原則が適用されない消防用設備等に、「不活性ガス消火設備(全域放出方式のもので総務省令で定める不活性ガス消火剤を放射するものに限る。)(不活性ガス消火設備の設置及び維持に関する技術上の基準であつて総務省令で定めるものの適用を受ける部分に限る。)」が加えられました(消防予第416号 第一の1、消防法施行令 第34条第二号)。その総務省令で定める不活性ガス消火剤は二酸化炭素、技術上の基準は「第十九条第五項第十九号イ(ハ)及び(ホ)並びに第十九条の二の規定」です(消防法施行規則 第33条の2)。
ですから、既存の二酸化炭素消火設備に新しい基準がさかのぼって当てはまるのは、閉止弁・標識・維持の基準の部分です。起動用ガス容器、緊急停止装置、二以上の火災信号、音声による音響警報装置の4つは、施行の際に現に存する防火対象物では従前の例によるとされています。ただし、施行後に工事に着手する増築・改築・大規模の修繕・模様替え(施行令第34条の2・第34条の3で定めるもの)に係る防火対象物の設備と、新しい規定に適合するに至った防火対象物の設備は、この従前の例の対象から外れます(同附則第2条第2項)。令和6年3月31日までの経過措置が付いていたのは閉止弁(第19号イ(ハ))だけで、他の項目にこの期限が付いているわけではありません。
標識の中身と、点検できる人の範囲
標識については、二酸化炭素が人体に危害を及ぼすおそれがあること、消火剤が放射された場合は排出が確認されない限り立ち入ってはならないことに加え、日本産業規格A8312(2021)の図A.1(一辺の長さが0.3メートル以上のものに限る)を表示した標識を設けることとされています(消防予第416号 第二の1(6))。
点検の側も変わりました。施行令第36条第2項第4号に、消防設備士又は消防設備点検資格者(消防設備士等)に点検させなければならない防火対象物として、総務省令で定める防火対象物が加えられ、施行規則第31条の6の2で「全域放出方式の不活性ガス消火設備(二酸化炭素を放射するものに限る。)が設置されているもの」と定められています(消防予第416号 第二の2、消防法施行規則 第31条の6の2)。
正直なところ、3類の免状を取るなら、この改正は条文の番号まで含めて押さえておきたい部分です。死亡事故を踏まえた見直しである以上、どの項目が既存の設備に当てはまり、どの項目が新設や増改築のときに効いてくるのかを分けて覚えておく価値は大きいと思います。設備側から見た基準の詳しい話はガス消火設備の記事でも扱っています。
甲種3類を受けるための資格と学歴。乙種は誰でも受けられる
乙種は受験資格がなく、消防試験研究センターの案内でも「誰でも受験できます。」とされています。甲種(特類を除く)の受験資格は、国家資格等によるものと学歴によるものの2種類に大別されます(消防試験研究センター 消防設備士試験 受験資格・受験資格(甲種)・2026年10月22日確認)。
国家資格等の表のうち、建設・設備の施工管理に関わる人が当てはまりそうな行を、センターの記載どおりに抜き出すと次のとおりです。
- 電気工事士(試験の一部免除有):電気工事士法第2条第4項に規定する電気工事士免状の交付を受けている者
- 管工事施工管理技士:建設業法第27条の規定による管工事施工管理の種目に係わる1級又は2級の技術検定に合格された者
- 建築士:建築士法第2条に規定する1級建築士又は2級建築士
- 配管技能士・給水装置工事主任技術者:配管の職種に係わる1級又は2級の試験に合格された者/給水装置工事主任技術者免状の交付を受けている者
- 乙種消防設備士:乙種消防設備士免状の交付を受けた後2年以上、工事整備対象設備等の整備(消防法17条の5の規定に基づく政令で定められたもの)の経験を有する者
- 工事の補助5年:消防用設備等(受験しようとする類の試験に係る消防用設備等に限る。)の工事の補助者として、5年以上の実務経験を有する者
このほか、表には電気主任技術者(試験の一部免除有)、受験する類以外の甲種消防設備士(同)、技術士(同)、専門学校卒業程度検定試験の合格者、工業高校の教員等、無線従事者なども並んでいます(消防試験研究センター 受験資格(甲種))。
施工管理技士の行は「管工事施工管理技士」だけです。建築・土木・電気工事など他の種目の施工管理技士の行は、センターの受験資格のページ(受験資格・受験資格(甲種)の2ページ)には記載がありません。施工管理技士なら種目を問わず受けられる、という読み方はできません。
学歴による受験資格は、大学・短期大学・高等専門学校(5年制)、又は高等学校・中等教育学校などで、機械、電気、工業化学、土木又は建築に関する学科又は課程を修めて卒業した人が対象です。指定の学科名に当てはまらない場合は、これらに関する授業科目を8単位以上修めて卒業したことを単位修得証明書で確認を受ける必要があります(消防試験研究センター 受験資格(甲種))。
証明書類は、電気工事士や建築士などは免許・免許証等の写し、管工事施工管理技士や配管技能士などは修了・合格証書等の写しです。過去にいずれかの支部で甲種の受験願書を受理された人は、そのときの受験票又は試験結果通知書で受験資格の証明に代えられます(消防試験研究センター 受験資格)。資格も学歴も当てはまらない場合は、まず乙種の免状を取り、免状の交付後2年以上の整備経験を積んでから甲種に進む道があります。
試験の中身と免除:甲種は筆記45問と実技7問、乙種は筆記30問と実技5問
試験は、筆記がマーク・カードを使う四肢択一式、実技が写真・イラスト・図面等による記述式です。所要時間は、甲種(特類以外)の3時間15分に対して乙種は1時間45分で、試験科目の一部が免除される人は免除される問題の数に応じて短縮されます(消防試験研究センター 消防設備士試験 試験の方法)。
| 科目 | 甲種第3類 | 乙種第3類 |
|---|---|---|
| 消防関係法令(共通) | 8問 | 6問 |
| 消防関係法令(類別) | 7問 | 4問 |
| 基礎的知識(機械) | 6問 | 3問 |
| 基礎的知識(電気) | 4問 | 2問 |
| 構造・機能(機械) | 10問 | 8問 |
| 構造・機能(電気) | 6問 | 4問 |
| 構造・機能(規格) | 4問 | 3問 |
| 筆記の合計 | 45問 | 30問 |
| 実技(鑑別等) | 5問 | 5問 |
| 実技(製図) | 2問 | なし |
| 試験時間(免除なし) | 3時間15分 | 1時間45分 |
出典は消防試験研究センター「試験の一部免除・試験時間・試験問題数一覧表」の甲種・乙種のPDFと、試験科目及び問題数のページです(2026年10月22日確認)。構造・機能の科目は、甲種が「工事・整備」、乙種が「整備」の範囲です。製図があるのは甲種だけです。工事まで受け持つ甲種と整備までの乙種の違いが、試験ではここに出ていると見ることもできます。
合格基準は「筆記試験において、各科目毎に40%以上で全体の出題数の60%以上、かつ、実技試験において60%以上の成績を修めた者を合格とします。」です。試験の一部免除がある場合は、免除を受けた以外の問題でこの成績を修めた人が合格になります(消防試験研究センター 試験の方法)。受験にかかる試験手数料は、甲種が6,600円、乙種が4,400円で、どちらも非課税、一度納めた手数料は返されません(同)。
免除の組み合わせと短縮後の試験時間
消防設備士、電気工事士、電気主任技術者、技術士等の資格を持っている人は、申請により試験科目の一部が免除され、試験時間も短くなります(消防試験研究センター 試験科目及び問題数)。第3類の免除の組み合わせは次のとおりで、実技はどの組み合わせでも免除されません。
| 受ける試験 | 持っている資格 | 試験時間 | 免除される科目 |
|---|---|---|---|
| 甲種第3類 | 甲種4類又は5類 | 3時間00分 | 法令(共通) |
| 甲種第3類 | 甲種1類又は2類 | 2時間30分 | 法令(共通)、基礎的知識(機械・電気) |
| 甲種第3類 | 電工又は電主 | 3時間00分 | 基礎的知識(電気)、構造・機能(電気) |
| 甲種第3類 | 甲種4類又は5類+電工又は電主 | 2時間30分 | 法令(共通)、基礎的知識(電気)、構造・機能(電気) |
| 甲種第3類 | 甲種1類又は2類+電工又は電主 | 2時間30分 | 法令(共通)、基礎的知識(機械・電気)、構造・機能(電気) |
| 甲種第3類 | 技術士(機械部門又は化学部門)又は検定協会等職員 | 1時間45分 | 基礎的知識(機械・電気)、構造・機能(機械・電気・規格) |
| 甲種第3類 | 上の技術士等+甲種1・2・4・5類のいずれか | 1時間30分 | 法令(共通)、基礎的知識(機械・電気)、構造・機能(機械・電気・規格) |
| 乙種第3類 | 甲種3〜5類又は乙種4〜7類のいずれか | 1時間30分 | 法令(共通) |
| 乙種第3類 | 甲種1・2類又は乙種1・2類のいずれか | 1時間15分 | 法令(共通)、基礎的知識(機械・電気) |
| 乙種第3類 | 電工又は電主 | 1時間30分 | 基礎的知識(電気)、構造・機能(電気) |
| 乙種第3類 | 甲種3〜5類又は乙種4〜7類のいずれか+電工又は電主 | 1時間15分 | 法令(共通)、基礎的知識(電気)、構造・機能(電気) |
| 乙種第3類 | 甲種1・2類又は乙種1・2類のいずれか+電工又は電主 | 1時間00分 | 法令(共通)、基礎的知識(機械・電気)、構造・機能(電気) |
| 乙種第3類 | 技術士(機械部門又は化学部門)又は検定協会等職員 | 0時間45分 | 基礎的知識(機械・電気)、構造・機能(機械・電気・規格) |
| 乙種第3類 | 上の技術士等+甲種又は乙種のいずれか | 0時間35分 | 法令(共通)、基礎的知識(機械・電気)、構造・機能(機械・電気・規格) |
出典は消防試験研究センター「試験の一部免除・試験時間・試験問題数一覧表」(甲種・乙種)です。一覧表(甲種)の備考によると、表中の「電工」は第一種か第二種の電気工事士免状を、「電主」は第一種から第三種までのいずれかの電気主任技術者免状を、それぞれ交付されている人のことです。
たとえば第二種電気工事士を持って甲種3類を受ける場合、免除されるのは基礎的知識(電気)4問と構造・機能(電気)6問で、試験時間は3時間00分です。一覧表の問題数から差し引くと、筆記で解く問題は35問になります。
管工事施工管理技士は、甲種の受験資格の表には載っていますが「試験の一部免除有」の記載が無く、甲種・乙種の一覧表の免除資格の欄にもありません(確認範囲:センターの受験資格のページと一覧表PDF(甲種・乙種))。管工事の資格は甲種を受けるための入口にはなりますが、問題の数は減らないという整理になります。建築士なども同じで、免除の欄にはありません。
令和7年度の3類は甲種31.6%・乙種26.8%が合格。前年度と全体の値も並べる
消防試験研究センターが公表している年度の試験実施状況から、第3類と、甲種・乙種それぞれの全類の合計を並べると次のとおりです。
| 区分 | 令和7年度 受験者 | 令和7年度 合格者 | 令和7年度 合格率 | 令和6年度 受験者 | 令和6年度 合格者 | 令和6年度 合格率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 甲種第3類 | 4,353人 | 1,375人 | 31.6% | 4,080人 | 1,045人 | 25.6% |
| 乙種第3類 | 965人 | 259人 | 26.8% | 1,193人 | 282人 | 23.6% |
| 甲種計 | 48,958人 | 15,912人 | 32.5% | 44,583人 | 13,400人 | 30.1% |
| 乙種計 | 51,240人 | 19,602人 | 38.3% | 43,702人 | 16,478人 | 37.7% |
出典は消防試験研究センター「試験実施状況」令和7年度(令和7年4月〜令和8年3月)の年度表です(2026年10月22日確認)。申請者数は、甲種第3類が令和7年度5,587人・令和6年度5,185人、乙種第3類が令和7年度1,156人・令和6年度1,414人でした(同)。合格者数は、同センターの「令和7年度 消防設備士試験合格者数」の合計行とも一致しています。
第3類はどちらの年度も、甲種・乙種とも全類の合計より低い合格率でした。乙種第3類の受験者は千人前後で、甲種第3類の2〜3割ほどです。
令和8年度は年度の途中で、令和8年4月〜8月の累計では、甲種第3類が受験者1,821人・合格者527人・合格率28.9%(前年度同時期31.2%)、乙種第3類が受験者305人・合格者87人・合格率28.5%(同25.4%)です(消防試験研究センター「試験実施状況」令和8年4月〜令和8年8月)。年度が終わるまでは数字が動く点に注意してください。1類・2類の合格率は、それぞれの区分の記事で同じ年度の数字を載せています。
合格したあとの講習は「最初の4月1日」から数える
免状を取ったあとにも決まりがあります。消防法第17条の10により、消防設備士には、都道府県知事(総務大臣が指定する市町村長その他の機関を含む)の講習を受けることが義務づけられています。講習の中身は、工事整備対象設備等の工事・整備についてのものです(消防法 第17条の10)。期限は施行規則第33条の17で、「免状の交付を受けた日以後における最初の四月一日から二年以内」に最初の講習を受け、その後は「講習を受けた日以後における最初の四月一日から五年以内」ごとに受けることになっています(消防法施行規則 第33条の17第1項・第2項)。
起点が交付日そのものではなく、交付日以後の最初の4月1日になっている点が数え間違えやすいところです。なお、二酸化炭素消火設備の基準改正と同じ令和4年9月14日には、講習の実施に関する細目を改正する告示(令和4年消防庁告示第7号)も公布されています(消防予第416号)。
消防設備士3類に関する情報まとめ
- 3類とは:規則第33条の3の表で不活性ガス・ハロゲン化物・粉末の3設備の区分。センターの区分表にはパッケージ型も並ぶ。工事までできるのは甲種で、乙種は整備と点検
- 出番の場所と工事の範囲:施行令第13条で3設備がそろって選べるのは6行で、電気設備・多量の火気・通信機器室は下欄が3類の設備だけ。免状が要る工事の対象から外れるのは、3類では電源の部分
- 二酸化炭素の基準改正:全域放出方式の二酸化炭素消火設備が対象で、令和5年4月1日施行。既存設備に遡及するのは閉止弁・標識・維持の基準で、点検は消防設備士等の対象に
- 受験資格と試験:乙種は誰でも、甲種は資格か学歴の要件。甲種は筆記45問+実技7問・3時間15分、乙種は筆記30問+実技5問・1時間45分。免除は電工・電主・他類の免状などで、管工事施工管理技士は免除の欄に無い
- 合格率と講習:令和7年度は甲種31.6%・乙種26.8%。講習は交付後に来る最初の4月1日を起点に2年以内が初回、その後は受講後の最初の4月1日から5年以内ごと
以上が消防設備士3類に関する情報のまとめです。
3類は試験の科目表だけを見ると他の類と似た作りですが、実際に効いてくるのは、どの部屋で3類の設備が選ばれるのか、甲種の工事の範囲がどこまでか、そして全域放出方式の二酸化炭素消火設備で何が変わったのか、の3点です。受験を決めたら、まず自分の電工や管工事の資格が受験資格と免除のどちらに効くのかを表で確かめ、申込の前に試験時間まで把握しておく。そこから先は、担当する建物の電気室や駐車場が施行令第13条のどの行に当たるかを照らし合わせておくと、免状を取ったあとの仕事に直結すると僕は考えています。
消防設備士の各類を横に並べて比べたいときは、消防設備士の資格全体をまとめた記事も合わせて読んでみてください。
パッケージ型消火設備は3類に入りますか?
消防試験研究センターの区分表では、第3類の欄に、パッケージ型自動消火設備とパッケージ型消火設備の2つも載っています。一方、消防法施行規則第33条の3の表の第三類の行に書かれているのは不活性ガス消火設備・ハロゲン化物消火設備・粉末消火設備の3つで、パッケージ型の名前は条文の本文には出てきません。同じ名前は第1類・第2類の欄にも並んでいます。
管工事施工管理技士を持っていると、試験は免除されますか?
管工事施工管理技士(1級又は2級の技術検定合格)は甲種の受験資格にはなりますが、センターの受験資格の表に「試験の一部免除有」の記載が無く、一覧表の免除資格の欄にもありません。免除が受けられるのは、電気工事士・電気主任技術者・他類の消防設備士免状・技術士(機械部門又は化学部門)などです。
二酸化炭素消火設備の基準改正はいつからですか?
令和4年9月14日に公布され、令和5年4月1日から施行されています。対象は全域放出方式の二酸化炭素消火設備で、閉止弁の基準だけは施行の際に現に存する防火対象物等について令和6年3月31日まで従前の例とする経過措置がありました。
