監理技術者になれるのは、建設業法第15条第2号のイ・ロ・ハのいずれかに当たる人です。イは1級施工管理技士などの国家資格、ロは主任技術者の要件に加えて元請の大きな工事での2年以上の指導監督的な実務経験、ハは国土交通大臣の認定です。ただし指定建設業の7業種は、実務経験のルートが使えません。自分が実務経験でなれるのかを、ここで確かめます。
- 監理技術者って、結局どの資格を持っていればなれるの?
- 資格が無くても、実務経験が長ければなれるって聞いたけど本当?
- 2級建築施工管理技士で12年やってる。俺は監理技術者になれないの?
- 一級建築士や技術士でも監理技術者になれるの?
- 1級を持っていれば、どの業種の現場でも監理技術者になれる?
- 実務経験ではなれない業種があるらしい。どれのこと?
- 1級の一次に受かって技士補になった。これで監理技術者になれる?
- 監理技術者資格者証は、監理技術者なら全員持ってないとダメ?
- 資格者証の有効期間と更新、手数料はどうなってる?
- 監理技術者講習は何年ごとに、何時間受けるの?
上記の様な悩みを解決します。
監理技術者の資格は「1級を取ればなれる」と一言でまとめたくなりますが、条文を開くと入口は3つあり、そのうち実務経験の入口は業種によって閉じています。さらに、同じ1級でも監理技術者になれる業種は資格ごとに違い、資格者証と講習が条文上求められるのは「専任の監理技術者」だと書き分けられています。今回は監理技術者の役割・資格要件・主任技術者との違い・資格者証・講習といった基本を押さえた上で、見落としやすい「実務経験ルートの金額と年数の条件」「指定建設業7業種の例外」「資格者証が要る範囲」まで、条文と国土交通省の資料に戻って施工管理の目線で整理しました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、上司から「監理技術者を置けるのは誰だ」と聞かれて調べ始めた方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
監理技術者は、元請の特定建設業者が下請に大きく出す現場に置く技術者
監理技術者は、発注者から直接工事を受けた特定建設業者が、下請に一定額以上を出すときに、主任技術者の代わりに置く技術者です。下請として入る会社が置くのは、主任技術者のほうです。
根拠は建設業法第26条です。第1項で「建設業者は、その請け負つた建設工事を施工するときは、」主任技術者を置くとしたうえで、第2項は主語を絞っています。「発注者から直接建設工事を請け負つた特定建設業者は、当該建設工事を施工するために締結した下請契約の請負代金の額(当該下請契約が二以上あるときは、それらの請負代金の額の総額)が第三条第一項第二号の政令で定める金額以上になる場合においては、前項の規定にかかわらず、」監理技術者を置かなければならない、という書き方です(建設業法 第26条第2項)。
この政令の金額は、施行令第2条で5,000万円(建築工事業である場合は8,000万円)とされています(建設業法施行令 第2条)。金額の線の詳しい読み方と、専任が要る線との違いは1級土木施工管理技士の解説の「監理技術者が要る線」の章で扱っているので、ここでは1文にとどめます。特定建設業の許可の側から追うなら特定建設業の許可の仕組みが入口になります。
途中で下請額が膨らんだら、主任技術者から差し替える
監理技術者を置くかどうかは、契約時点だけで決まるものではありません。国土交通省の運用マニュアルは「当初は主任技術者を設置した工事で、大幅な工事内容の変更等により、工事途中で下請契約の請負代金の額が五千万円(建築一式工事の場合は八千万円)以上となったような場合には、発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者は、主任技術者に代えて、所定の資格を有する監理技術者を設置しなければならない。」としています(国土交通省 監理技術者制度運用マニュアル・最終改正 令和7年1月28日)。変更契約で下請額が増えそうな現場では、置ける人が社内にいるかを先に確かめておく必要があります。
職務は条文上は主任技術者と同じ。違いは「どこまでを見るか」
監理技術者の職務は、主任技術者と同じ条文に並んでいます。「主任技術者及び監理技術者は、工事現場における建設工事を適正に実施するため、当該建設工事の施工計画の作成、工程管理、品質管理その他の技術上の管理及び当該建設工事の施工に従事する者の技術上の指導監督の職務を誠実に行わなければならない。」(建設業法 第26条の4第1項)
条文で区別が無いぶん、運用マニュアルは立場で分けて整理しています。元請の主任技術者及び監理技術者の役割は「請け負った建設工事全体の統括的施工管理」、下請の主任技術者の役割は「請け負った範囲の建設工事の施工管理」です(国土交通省 監理技術者制度運用マニュアル 二-三②の表)。監理技術者は下請の主任技術者たちの上に立ち、工事全体を束ねる側だと読めます。
主任技術者そのものの要件や、主任技術者と監理技術者の違いを広く知りたい方は主任技術者の解説に整理してあります。職務の筆頭に挙がる施工計画の作成については、施工計画書の書き方で中身を確かめられます。
監理技術者になれるのは3つのルート(国家資格・実務経験・大臣認定)
監理技術者になれる人は、建設業法第15条第2号のイ・ロ・ハで決まっています。イは国家資格、ロは主任技術者の要件に元請の大きな工事での2年以上の指導監督的な実務経験を足したもの、ハは国土交通大臣の認定です。
第26条第2項は監理技術者の要件を「第十五条第二号イ、ロ又はハに該当する者」としています(建設業法 第26条第2項)。第15条第2号は、特定建設業の営業所に置く特定営業所技術者の要件を定めた号で、現場の監理技術者も同じ物差しで測られるという作りです。
イ:国土交通大臣が定める試験・免許
イの条文は「第二十七条第一項の規定による技術検定その他の法令の規定による試験で許可を受けようとする建設業の種類に応じ国土交通大臣が定めるものに合格した者又は他の法令の規定による免許で許可を受けようとする建設業の種類に応じ国土交通大臣が定めるものを受けた者」です(建設業法 第15条第2号イ)。
ポイントは「建設業の種類に応じ」の部分です。どの資格でどの業種の監理技術者になれるかは、資格ごとに決まっています。国土交通省の一覧でどう割り振られているかは、後の章の表で示します。
ロ:主任技術者の要件+元請工事での2年以上の指導監督的な実務経験
ロの条文は「第七条第二号イ、ロ又はハに該当する者のうち、許可を受けようとする建設業に係る建設工事で、発注者から直接請け負い、その請負代金の額が政令で定める金額以上であるものに関し二年以上指導監督的な実務の経験を有する者」です(建設業法 第15条第2号ロ)。政令の金額は「法第十五条第二号ロの政令で定める金額は、四千五百万円とする。」とされています(建設業法施行令 第5条の3)。
前半の「第七条第二号イ、ロ又はハ」は、一般建設業の営業所技術者と主任技術者の要件です。中身を短く書くと、イが在学中に国土交通省令で定める学科を修めたうえで、高校・中等教育学校の卒業後5年以上、または大学・高等専門学校の卒業後3年以上の実務経験、ロが「許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し十年以上実務の経験を有する者」、ハが国土交通大臣の認定です(建設業法 第7条第2号)。つまりロのルートは、主任技術者になれる人のうち、元請の4,500万円以上の工事に関し2年以上指導監督的な実務の経験を持つ人が乗れる道です。
条件を分けると、次の4つを全部満たす必要があります。
- その業種で主任技術者の要件(第7条第2号イ・ロ・ハのどれか)を満たしている
- 経験した工事が、発注者から直接請け負ったもの
- その工事の請負代金の額が4,500万円以上
- その工事に関して、2年以上の指導監督的な実務の経験がある
「指導監督的な実務の経験」がどんな立場の経験を指すかについて、この記事では条文の言葉以上の言い換えをしません。許可申請の場面では、施行規則が「指導監督的な実務の経験を証する別記様式第十号による使用者の証明書」を求めているので(建設業法施行規則 第13条第2項第2号)、会社としてはその証明書に何を書けるかが実際の判断材料になります。
なお、この4,500万円は、後で出てくる「専任を要する工事」の4,500万円(施行令第27条第1項)とは別の条文の別の線です。数字が同じなので、混ぜて読まないように注意してください。
2級施工管理技士は、イには入らない。ロに乗れる業種はある
2級を持っている人が一番気になるのはここだと思います。国土交通省の「建設業法における配置技術者となり得る国家資格等一覧」(2025年12月18日施行)では、2級施工管理技士の行に、監理技術者となり得ることを示す赤のセルがありません。一覧の上では、2級はイの国家資格に載っていないということです。
一方で、2級の第二次検定の合格者は、施行規則第7条の3で第7条第2号ハの者に位置づけられています。たとえば建築工事業の項は「技術検定のうち建築施工管理に係る一級又は二級の第二次検定(二級の第二次検定にあつては検定種別を「建築」とするものに限る。)に合格した者」です(建設業法施行規則 第7条の3)。ロは「第七条第二号イ、ロ又はハに該当する者のうち」から始まるので、2級の合格者もロの入口には立てます。一覧の補足もこう書いています。「表中の主任技術者になれるものに関し、建設業法第十五条第二号ロの規定を満たす場合には、特定建設業の営業所専任技術者(又は監理技術者)となり得ます。(ただし、指定建設業は除かれています)」(国土交通省「建設業法における配置技術者となり得る国家資格等一覧」)
ただし最後の括弧書きが効いてきます。建築工事業と土木工事業は、次の章で見る指定建設業です。第26条第2項と一覧の補足を合わせて読むと、2級建築施工管理技士が実務経験を積んでも、建築工事業の監理技術者にはロのルートではなれない、ということになります。冒頭の「2級で12年」の方が建築工事業の監理技術者を目指すなら、イ(1級建築施工管理技士や一級建築士などの国家資格を取る)か、ハの認定を受けるかのどちらかです。
ハ:国土交通大臣の認定
ハの条文は「国土交通大臣がイ又はロに掲げる者と同等以上の能力を有するものと認定した者」です(建設業法 第15条第2号ハ)。イやロと同等以上の能力があると大臣が個別に認めた人で、ロと違い、指定建設業でも監理技術者になれる道として残されています(認定の範囲は次の章のただし書を参照)。
指定建設業7業種は、実務経験ではなれない
土木、建築、電気、管、鋼構造物、舗装、造園の7業種は「指定建設業」で、監理技術者になれるのはイの国家資格者かハの大臣認定者に限られます。ロの実務経験ルートは使えません。
7業種は施行令で列挙されています。「法第十五条第二号ただし書の政令で定める建設業は、次に掲げるものとする。/一 土木工事業/二 建築工事業/三 電気工事業/四 管工事業/五 鋼構造物工事業/六 舗装工事業/七 造園工事業」(建設業法施行令 第5条の2)
そのただし書が、ロを外しています。「指定建設業…の許可を受けようとする者にあつては、その営業所ごとに置くべき専任の者は、イに該当する者又はハの規定により国土交通大臣がイに掲げる者と同等以上の能力を有するものと認定した者でなければならない。」(建設業法 第15条第2号ただし書)。現場の監理技術者も、第26条第2項の括弧書きで「当該建設工事に係る建設業が指定建設業である場合にあつては、同号イに該当する者又は同号ハの規定により国土交通大臣が同号イに掲げる者と同等以上の能力を有するものと認定した者」と同じ絞り方をされています(建設業法 第26条第2項)。ここでのハは、「イに掲げる者と同等以上の能力を有するもの」と認定された人に限られている点も読み落とせません。
運用マニュアルは、全体をこう要約しています。「監理技術者になり得る者は、指定建設業七業種については、一定の国家資格者又は国土交通大臣認定者に限られるが、指定建設業以外の二十二業種については、一定の国家資格者、国土交通大臣認定者のほか、一定の指導監督的な実務経験を有する者も監理技術者になり得る。」(国土交通省 監理技術者制度運用マニュアル 四(2)③)
許可申請の書類でも、実務経験の証明が外されている
この違いは、特定建設業の許可を申請するときの書類にも出ています。施行規則は、第15条第2号の基準を満たすことを証する書面を4つ挙げたうえで、括弧書きで「指定建設業の許可を受けようとする者にあつては、第一号、第三号又は第四号に掲げる書面」としています(建設業法施行規則 第13条第2項)。外されている第二号が、指導監督的な実務の経験を証する使用者の証明書です。第四号には「監理技術者資格者証の写し」が挙がっています。
営業所の技術者も同じ物差し
会社の側から見ると、監理技術者の要件は営業所の技術者とつながっています。現行の建設業法では、一般建設業の営業所に置く人を「営業所技術者」(第7条第2号)、特定建設業の営業所に置く人を「特定営業所技術者」(第15条第2号)と呼んでいて、国土交通省の一覧の凡例は「特定建設業の営業所専任技術者(又は監理技術者)となり得る国家資格」という旧来の呼び方のまま並べています。一覧の凡例にある「特定建設業の営業所専任技術者」は、現行法の特定営業所技術者(第15条第2号)にあたり、監理技術者と同じ要件です。一般建設業の営業所技術者(第7条第2号)は主任技術者の要件の側です。許可の区分そのものは一般建設業の許可や建設業許可の基本で確かめられます。
経営事項審査で資格がどう評価されるかは点数の話になるため、この記事では触れません。資格の組み合わせで考えるなら1級建築とほかの資格の組み合わせ方が判断材料になります。
資格ごとに、監理技術者になれる業種が違う
1級を持っていても、どの業種でも監理技術者になれるわけではありません。国交省がまとめた一覧を見ると、資格ごとに監理技術者となり得る業種が決められていて、1級電気工事施工管理技士なら電気だけ、1級建築施工管理技士なら建築を含む17業種(下の表で数えた数。解体は注1付き)、といった具合に幅がかなり違います。
一覧(2025年12月18日施行)の凡例は、赤で「特定建設業の営業所専任技術者(又は監理技術者)となり得る国家資格」、橙で「一般建設業の営業所専任技術者(又は主任技術者)となり得る国家資格」を示しています。そのうち赤のセル、つまり監理技術者となり得る業種を、資格の行ごとに書き起こしたのが次の表です。
| 資格(一覧の行) | 監理技術者となり得る業種(赤のセル) |
|---|---|
| 1級土木施工管理技士 | 土木、とび・土工、石、鋼構造物、舗装、しゅんせつ、塗装、水道施設、解体(注1) |
| 1級建築施工管理技士 | 建築、大工、左官、とび・土工、石、屋根、タイル・れんが・ブロック、鋼構造物、鉄筋、板金、ガラス、塗装、防水、内装仕上、熱絶縁、建具、解体(注1) |
| 1級電気工事施工管理技士 | 電気 |
| 1級管工事施工管理技士 | 管 |
| 1級電気通信工事施工管理技士 | 電気通信 |
| 1級造園施工管理技士 | 造園 |
| 1級建設機械施工管理技士 | 土木、とび・土工、舗装 |
| 一級建築士(一覧の行名は「1級建築士」) | 建築、大工、屋根、タイル・れんが・ブロック、鋼構造物、内装仕上 |
出典:国土交通省「建設業法における配置技術者となり得る国家資格等一覧」(2025年12月18日施行)。セルの色の読み取りです。
解体の注は次のとおりです。「(注1)解体工事業について、技術検定に係る資格は平成27年度までの合格者について、技術士試験資格に係る資格は当面の間、資格とは別に、解体工事に関する1年以上の実務経験を有している又は登録解体工事講習を受講していることが必要です。」(同一覧)
表と一覧から読み取れることを並べると、次の4点です。
- 1級電気工事・1級管工事・1級電気通信工事・1級造園は、それぞれ自分の業種1つだけが赤
- 1級建築施工管理技士と一級建築士は、どちらも建築を含むが、業種の幅は1級建築施工管理技士のほうが広い(一級建築士の赤に鉄筋は入っていない)
- 1級建設機械施工管理技士は、土木/とび・土工/舗装の3つ
- 技術士も一覧に赤のセルがあり、建設部門などの部門ごとに監理技術者となり得る業種が割り振られている
技術士は部門の区分が細かいので、自分の部門がどの業種に当たるかは一覧の原本で確かめるのが確実です。電気工事士や消防設備士など、この表に載せていない資格の扱いは、この記事では確認できた範囲の外なので書いていません。
1級技士補と2級には、赤のセルが無い
1級の第一次検定に受かった技士補の行を見ると、土木・建築・電気・管・造園のどれにも赤のセルがありません。2級施工管理技士と2級技士補の行も同じで、橙のセルだけです。一覧の上では、技士補は監理技術者ではなく主任技術者の側に並んでいます。
技士補には、監理技術者を補佐する「監理技術者補佐」の要件とのつながりがあります。補佐の要件や技士補の使い道は、施工管理技士の1級と2級の違いの技士補の章にまとめてあります。
専任で置くなら、資格者証と講習が要る
監理技術者資格者証の交付と監理技術者講習の受講が条文上求められるのは、工事現場に専任で置く監理技術者です。資格者証の有効期間は5年で、講習も5年を過ぎないように受け直す必要があります。
専任が要る工事と、資格者証・講習の条文
専任の義務は第26条第3項にあります。「公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する重要な建設工事で政令で定めるものについては、前二項の規定により置かなければならない主任技術者又は監理技術者は、工事現場ごとに、専任の者でなければならない。」(建設業法 第26条第3項本文)。同項のただし書には、専任を要しない場合として専任特例(第1号・第2号)が定められています。政令の工事は、各号に当たる工事で「工事一件の請負代金の額が四千五百万円(当該建設工事が建築一式工事である場合にあつては、九千万円)以上のもの」です(建設業法施行令 第27条第1項)。専任の意味は、運用マニュアルが「専任とは、他の工事現場に係る職務を兼務せず、勤務中は常時継続的に当該工事現場に係る職務にのみ従事していることをいう。」と説明しています(国土交通省 監理技術者制度運用マニュアル 三)。
そのうえで、資格者証と講習の条文はこうです。「第三項の規定により専任の者でなければならない監理技術者(同項各号に規定する監理技術者を含む。次項において同じ。)は、第二十七条の十八第一項の規定による監理技術者資格者証の交付を受けている者であつて、第二十六条の六から第二十六条の八までの規定により国土交通大臣の登録を受けた講習を受講したもののうちから、これを選任しなければならない。」(建設業法 第26条第5項)。続く第6項は「前項の規定により選任された監理技術者は、発注者から請求があつたときは、監理技術者資格者証を提示しなければならない。」です(建設業法 第26条第6項)。
主語は「専任の者でなければならない監理技術者」です。監理技術者になる要件そのもの(前の章までのイ・ロ・ハ)と、専任で選任されるときの条件(資格者証と講習)は、別の段に書かれています。また、営業所の特定営業所技術者が監理技術者の職務を兼ねる場合にも、資格者証の交付と講習の受講が求められています(建設業法 第26条の5第3項)。
資格者証の有効期間・更新・手数料
資格者証は、監理技術者資格を持つ人の申請により国土交通大臣が交付するもので(建設業法 第27条の18第1項)、交付と更新の事務は指定資格者証交付機関の一般財団法人建設業技術者センターが行っています(建設業法施行規則 第17条の41)。2つ以上の監理技術者資格を持つ人には「これらの監理技術者資格を合わせて記載した資格者証を交付するものとする。」とされていて、1枚にまとまります(建設業法 第27条の18第3項)。
期間と手続きの要点を並べると、次のとおりです。
- 有効期間:「資格者証の有効期間は、五年とする。」(建設業法 第27条の18第4項)。センターは「監理技術者資格者証の交付日から5年間です。」と案内しています
- 更新の申請:センターの更新申請のページは「※有効期限の6ヶ月前から申請可能となります。」としています。施行規則は、有効期間の満了の日の三十日前までに新たな資格者証の交付を申請することで更新する、と定めています(建設業法施行規則 第17条の40第1項)
- 期限切れ:「監理技術者資格者証の有効期限を過ぎてからの申請は「新規申請」となりますのでご注意ください。」(建設業技術者センター「更新申請」)
- 資格者証の交付申請の手数料:「申請には7,600円(非課税)の手数料が必要です。」(建設業技術者センター「監理技術者について」)
- 住所などの変更:氏名又は住所を変更したときなどは、三十日以内に届け出て記載の変更を受けるか、新たな資格者証の交付を申請する(建設業法施行規則 第17条の38第1項)
センターは、有効期限のおおよそ6か月前に更新対象者へ申請書類を郵送していると案内しています(建設業技術者センター「監理技術者について」)。ただし同じページには「ただし、有効期限がある大臣認定資格の方は、交付日から5年間にならない場合があります。」ともあるので、大臣認定で資格者証を持っている人は自分の券面の期限を見てください。
講習は「受講した年の翌年から5年」を切らさない
講習の期限は施行規則で決まっています。「法第二十六条第五項の規定により選任されている監理技術者は、当該選任の期間中のいずれの日においても同項の登録を受けた講習を受講した日の属する年の翌年から起算して五年を経過しない者でなければならない。」(建設業法施行規則 第17条の21)。運用マニュアルは、令和3年1月1日以降は有効期限の起算日が受講した日の属する年の翌年の1月1日になり、「同日から五年後の十二月三十一日が監理技術者講習の有効期限となる」と説明しています(国土交通省 監理技術者制度運用マニュアル 四(3)①)。年の途中で受けても、期限は5年後の年末で数えるということです。
講習の科目は「イ 建設工事に関する法律制度/ロ 建設工事の施工計画の作成、工程管理、品質管理その他の技術上の管理/ハ 建設工事に関する最新の材料、資機材及び施工方法」の3つです(建設業法 第26条の8第1項第1号)。時間は科目ごとに「一・五時間」「二・五時間」「二時間」以上で、「講習は、講義及び試験により行うものであること。」とされています(建設業法施行規則 第17条の13)。科目ごとに定められた時間の合計で、6時間以上という計算になります。
受ける場所は、国土交通大臣の登録を受けた講習実施機関です。資格者証を交付するセンター自体は「監理技術者講習は、登録講習実施機関が行っており、当センターでは行っておりません。」と案内しているので、申込先を取り違えないようにしてください(建設業技術者センター「監理技術者について」)。運用マニュアルは、監理技術者補佐についても「監理技術者講習を受講することが望ましい。」としています(国土交通省 監理技術者制度運用マニュアル 四(3)②)。
施工管理技士の種目ごとの講習と更新の段取りは、1級建築施工管理技士の講習と更新、1級電気工事施工管理技士の講習と更新、1級管工事施工管理技士の講習と更新で個別に追えます。
これから監理技術者を目指す人の順番
これから監理技術者を目指すなら、まず自分の業種が指定建設業かどうかを確かめ、指定建設業なら1級の技術検定(イ)、それ以外ならイとロの両方を比べる、という順番が筋だと僕は考えています。
イのルートの中心になる1級の技術検定は、第一次検定と第二次検定の2段になっていて、第一次検定に受かると技士補、第二次検定に受かると技士です。級ごとの違いと受検資格の考え方は施工管理技士の1級と2級の違い、土木で受けるなら1級土木の受検資格と1級土木の免除の考え方で、自分がいつ受けられるかを先に確認しておくと計画が立てやすくなります。
ロのルートは、主任技術者の要件を満たしたうえで、発注者から直接請け負った4,500万円以上の工事で2年以上の指導監督的な実務経験を積む道です。ただし、指定建設業の7業種では使えません。会社が元請で回している業種がどちらに当たるかで、取るべき道はほぼ決まります。
個人的には、建築・土木・電気・管のように指定建設業の現場にいる人ほど、実務経験の年数を待つより1級の第一次検定から手を付けるほうが近道になると見ています。技士補になった時点で監理技術者補佐の要件の入口にも立てるので、二次までの間も現場で使える立場が1つ増えます。
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自分の業種でロのルートが使えないと分かったときは、1級施工管理技士などイの国家資格の取得か、ハの認定を考えることになります。その勉強に、独学サポート事務局の講座を併走役にする道もあります。
- 実務経験でなれると思っていたが、指定建設業で外れそうな人
- 2級の施工管理技士は持っていて、1級への切り替えを考え始めた人
- 仕事を続けながら、遠回りせずに要件を満たしたい人
監理技術者の資格に関する情報まとめ
- 監理技術者とは:発注者から直接請け負った特定建設業者が、下請代金の総額が政令の金額以上になるときに置く技術者。下請は主任技術者を置く
- 3つのルート:イ=国土交通大臣が定める試験・免許、ロ=主任技術者の要件+元請・4,500万円以上の工事で2年以上の指導監督的実務、ハ=大臣認定
- 指定建設業:土木、建築、電気、管、鋼構造物、舗装、造園の7業種は、イかハだけ。実務経験のロでは監理技術者になれない
- 資格ごとの業種:同じ1級でも赤のセルは資格ごとに違う。1級技士補と2級には赤が無い
- 資格者証と講習:条文上求められるのは専任の監理技術者。資格者証は5年、講習は受講した年の翌年から5年を切らさない
以上が監理技術者の資格に関する情報のまとめです。
監理技術者の資格は「1級かどうか」だけで決まるものではなく、業種が指定建設業か、元請の大きな工事での指導監督の経験があるか、専任で置かれるかの3つで、要るものが変わります。自分の業種と手持ちの資格を国土交通省の一覧の行で突き合わせ、足りないのが資格なのか経験なのかを切り分けるところから始めれば、上司に聞かれても条文の根拠つきで答えられるはずです。
主任技術者との違いをもう一度整理したい方は主任技術者の要件と役割へ、1級の受け方から考えたい方は1級と2級の違いへ進んでみてください。
