- 2級土木施工管理技士の経験記述ってそもそも何を書くの?
- テーマは品質管理・工程管理・安全管理のどれが出る?
- 工事概要って何を書けばいいの?
- 書き方の型が分からなくて手が止まる
- ネットの例文って丸写ししてもバレない?
- バレたら減点?それとも失格?
- 参考書の例文は⑴⑵⑶の3つなのに、最近の問題は2つしかない
- 自分の現場が小規模で書くネタが無い
- 語尾とか誤字で減点されるって本当?
- どれくらい前から準備しておけばいい?
上記の様な悩みを解決します。
経験記述は、ネットの例文を写してよいのか、写したらバレるのか、と手が止まりやすい項目です。令和7年度の問題冊子には「あなたが経験した工事でないことが判明した場合は,失格となります」と書かれています。教材の例文は⑴⑵⑶の3項目なのに、最近の過去問は⑴⑵の2項目で、どちらに合わせるか迷う方もいるでしょう。この記事では、失格・不合格になる条件、令和5〜7年度の設問の変化、例文を読むときの注意点を整理しました。
先に結論だけ書いておくと、採点者が丸写しをどう見分けるかは問題冊子に書かれていません。冊子から読み取れて、気にすべきなのは「経験した工事でないと判明すれば失格」と「設問で求められている内容から外れた記述」の2つです。
今回は経験記述の位置づけ・出題テーマ・工事概要の埋め方・テーマ別の書き方と例文といった基本を押さえた上で、ほかの解説記事では「配点が一番大きい」「丸写しはバレる」と根拠を示さずに語られがちな部分を、実施機関の問題冊子の文言だけで組み立て直しました。特に、旧形式の3項目型の例文をそのまま今の設問に当てはめるとどこがズレるのか、二次下請の立場だと発注者名に何を書くのか、管理項目を自分で選べなくなった今どんな工事を題材にすればいいのかまで、施工管理の目線で踏み込んでいます。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、第一次検定を抜けて、これから経験記述を仕上げる方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
経験記述とは?2級土木の第二次検定で何を書く問題か
2級土木施工管理技士の第二次検定でいう経験記述とは、結論「第二次検定の問題1で、自分が経験した土木工事を1つ選び、工事概要を書いたうえで、その工事の施工管理について設問に答える記述問題」のことです。
令和7年度の問題冊子では、問題1の冒頭が「あなたが経験した土木工事を1つ選び,工事概要を具体的に記述したうえで,次の〔設問1〕,〔設問2〕に答えなさい。」となっています(一般財団法人 全国建設研修センター 令和7年度 2級土木施工管理技術検定 第二次検定試験問題(種別:土木) 本文p.1)。第二次検定は、問題1〜5が必須、問題6〜9が選択問題という構成で、経験記述にあたるのは問題1だけです(同 令和6年度・令和7年度 表紙・本文)。ちなみに選択問題は「2問解答すると減点」と表紙に書かれているので、本番で慌てて両方に手を付けないよう注意してください(令和7年度 同 表紙【注意】2.)。
経験記述の重さは「不合格の条件」から読む
よく「経験記述は配点が一番大きい」と言われますが、令和5〜7年度の問題冊子には配点や採点基準は書かれていません。僕が確認できたのは、配点ではなく「ここを外すとどうなるか」という条件の方です。
令和7年度の表紙には「問題1の工事概要及び設問1のいずれかが無記載等の場合,不合格となります。」とあります(令和7年度 同 表紙【注意】2.)。本文p.1にも「問題1で① 工事概要の解答が無記載又は記述漏れがある場合,② 設問1の解答が無記載又は設問で求められている内容以外の記述の場合,どちらの場合も不合格となります。」と重ねて書かれています(同 本文p.1)。
年度によって扱いの書き方は違っていて、令和6年度は「問題1の設問2以降は採点の対象となりません」(令和6年度 同 本文p.1)、令和5年度は「問題2以降は採点の対象となりません」(令和5年度 同 本文p.1)という書き方でした。年度で扱いは違いますが(令和7年度は不合格、令和5・6年度はそれ以降が採点の対象外)、問題1の書き方が合否の手前にある重い関門になっている点は共通しています。点数の大小より、まずこの関門を確実に越えることが経験記述の役割だと捉えた方が、対策の方向を間違えずに済みます。
もう一つ大事なのが、経験記述は「試験会場でゼロから考える問題ではない」ということです。題材は自分が経験した工事なので、どの工事で何を書くかは事前に決めておけます。僕の感覚だと、経験記述は「本番で書く」というより「事前に完成させて、本番で再現する」問題だと捉えるのがいちばん現実的です。
そもそも2級土木施工管理技士がどんな資格で、現場のどんな仕事に活きるのかは土木施工管理の仕事内容の解説で整理しています。
経験記述の出題テーマ(品質・工程・安全)と令和6年度からの変化
経験記述のテーマは品質管理・工程管理・安全管理の3つが柱ですが、結論として押さえておきたいのは「令和6年度から、どの管理を書くかを問題側が指定する形に変わった」という点です。「テーマは選べるんだっけ?」「全部準備するのは無理だから絞りたい」と考えている方ほど、ここは先に確認しておいてください。
令和5〜7年度の問題1で書く管理項目
直近3年度の問題冊子で、問題1の柱書きと設問を並べると次のとおりです。
| 年度 | 問題1で書く管理項目 | 誰が選ぶか | 出典 |
|---|---|---|---|
| 令和5年度 | 「工夫した安全管理又は工夫した工程管理のうちから1つ選び」 | 受検者が選ぶ | 令和5年度 本文p.1 |
| 令和6年度 | 設問1が品質管理、設問2が工程管理 | 問題側が指定 | 令和6年度 本文p.2 |
| 令和7年度 | 設問1が安全管理、設問2が工程管理 | 問題側が指定 | 令和7年度 本文p.2 |
出典はいずれも一般財団法人 全国建設研修センターの2級土木施工管理技術検定 第二次検定試験問題(種別:土木)です。令和5年度は安全か工程のどちらかを自分で選べましたが、令和6年度と令和7年度は、設問1と設問2で管理項目を名指ししています。受検者が選べるのは「どの工事を題材にするか」の方で、「どの管理を書くか」ではなくなりました。
もう一つの変化が、設問の小問の数です。令和5年度は管理項目を選んだあとの設問2が⑴⑵⑶の3つでしたが、令和6年度・令和7年度は設問1・設問2とも⑴⑵の2つになっています。手元の教材の例文が3項目で組まれているなら、令和5年度の設問2(⑴⑵⑶)の形に合わせたものと考えられます。この違いが例文の使い方に直結するので、後半の「丸写し」の章で詳しく扱います。
3つの管理で書く中身のイメージ
管理項目ごとに、どんな話を書くのかのイメージを整理しておきます。
- 品質管理:例えば材料・締固め・養生など、決められた品質を守るために現場で何を課題と捉え、どう処置したか
- 工程管理:冊子の言葉でいう「施工条件や現場周辺の状況の観点から」、工程上どこに留意し、どんな対策をなぜ講じたか
- 安全管理:例えば掘削・重機・第三者など、その現場ならではの危険を課題として挙げ、どう処置したか
令和6年度と令和7年度は、2年続けて設問2が工程管理でした。ただ、2年分の冊子だけで「来年はこれが出る」と言える規則性は読み取れないので、この記事では次の年度の予想はしません。僕の整理では、品質・安全・工程の3つを、同じ1つの工事で書ける状態にしておくのがいちばん手堅い準備です。
年度ごとの設問文の言い回しの違いは品質管理の設問文を年度別に比べた記事にまとめています。
経験記述の書き方【工事概要と本文の型】
経験記述の書き方は、結論「工事概要を冊子の欄どおりに正確に埋める」→「設問1・設問2の⑴⑵に1対1で答える」の2段構えで考えると迷いません。「自分の言葉で書けと言われても、何から手を付ければいいのか」と止まってしまう方は、本文ではなく工事概要から固めてください。いきなり本文から書くと、工事概要と本文がちぐはぐになりやすいからです。
工事概要は7つの欄を埋める
令和7年度の冊子では、工事概要の欄は「⑴ 工事名」「⑵ 工事現場における施工管理上のあなたの立場」「⑶ 工事の内容 ① 発注者名 ② 工事場所 ③ 工期 ④ 主な工種 ⑤ 施工量」となっています(令和7年度 同 本文p.1)。数えると7つの欄です。
| 欄(令和7年度の冊子の順) | 書く内容の例 |
|---|---|
| ⑴ 工事名 | ○○地区道路改良工事 など実際の工事名 |
| ⑵ 施工管理上のあなたの立場 | その工事で実際に就いていた立場 |
| ⑶① 発注者名 | 所属会社に工事を発注した相手(下請の場合は下の注意書きを参照) |
| ⑶② 工事場所 | 都道府県・市町村まで |
| ⑶③ 工期 | 着工〜完成の年月(実際の工期) |
| ⑶④ 主な工種 | 掘削工、擁壁工、舗装工 など |
| ⑶⑤ 施工量 | 掘削○○m³、擁壁延長○○m など数量 |
なお令和5年度は、⑴工事名、⑵工事の内容、⑶立場という順番でした(令和5年度 同 本文p.1)。古い教材の記入例と並び順が違っていても、欄そのものは同じなので慌てなくて大丈夫です。
令和7年度の冒頭には「工事概要の解答が無記載又は記述漏れがある場合」は不合格とあるので(同 本文p.1)、7つの欄は1つも空けないのが前提です。立場の欄も、その工事で実際に就いていた立場を書きます。問題1には「あなたが経験した工事でないことが判明した場合は,失格となります」という一文もあるので(同 本文p.1)、立場を盛るのは工事を盛るのと同じくらい危ういと僕は考えています。
二次下請なら、発注者名は一次下請業者名
下請の会社に所属している方が迷いやすいのが発注者名です。令和7年度の冊子には次の注意書きがあります。
「〔注意〕経験した土木工事は,あなたが工事請負者の技術者の場合,あなたの所属会社が受注した工事内容について記述してください。例えば,あなたの所属会社が二次下請業者の場合,発注者名は一次下請業者名となります。なお,あなたの所属が発注機関の場合の発注者名は,所属機関名となります。」(令和7年度 同 本文p.1〔工事概要〕)
つまり、元請が受けた工事全体の発注者(市町村など)を書くのではなく、自分の会社に仕事を出した相手を書く、ということです。工事内容も「所属会社が受注した工事内容」なので、二次下請なら自社が請けた範囲の工種と施工量を書くことになります。ここを元請目線の数量で書いてしまうと、本文で語る自分の仕事との整合が取れなくなるので注意してください。
本文は設問の⑴⑵に1対1で答える
令和6年度・令和7年度の本文の設問を、書く欄ごとに並べると次のようになります。
| 設問 | 小問 | 冊子の文言 |
|---|---|---|
| 設問1(R6品質/R7安全) | ⑴ | 「具体的な現場状況と特に留意した○○管理上の技術的課題」 |
| 設問1(R6品質/R7安全) | ⑵ | 「⑴で記述した技術的課題を解決するために検討した項目とその対応処置」 |
| 設問2(工程管理) | ⑴ | 「施工条件や現場周辺の状況の観点から,工程管理上,留意した事項(工事着手前,工事中のいずれでも可)」 |
| 設問2(工程管理) | ⑵ | 「⑴で記述した留意事項に対して講じた対策とその理由」 |
出典は令和6年度・令和7年度の同試験問題 本文p.2です。表の「○○」には、令和6年度は品質、令和7年度は安全が入ります。見比べると、「理由」を書けと言っているのは設問2の⑵だけです。設問1の⑵は「検討した項目」と「対応処置」で、設問2の⑵は「講じた対策」と「その理由」。似ているようで、求めている中身が違います。
また、設問2の柱書きは、令和6年度が「工事概要に記述した工事の工程管理に関し」、令和7年度が「工事概要に記述した工事の現場状況から特に留意した工程管理に関し」でした(令和6年度・令和7年度 同 本文p.2)。僕の読みでは、令和7年度は「現場状況から」と付いた分、その現場ならではの条件から書き起こすことがより強く求められている形です。
工事概要と本文を矛盾させない
本文を書くときに気をつけたいのが、工事概要の工種・施工量と、本文の課題・対策が食い違わないことです。例えば主な工種に擁壁工しか書いていないのに、本文で舗装の品質管理を語ると、読み手は「本当にこの工事の話なのか」と引っかかります。工事概要は本文の土台なので、書く順番は次のように組むのがおすすめです。
- 題材にする工事を1つ決め、工事概要の7欄を埋める
- 主な工種の中から、設問1の管理項目で語れる工種を選ぶ
- 同じ工事の中から、設問2の工程管理で語れる場面を選ぶ
- 本文に出てくる工種・数量が工事概要に書いてあるかを照らし合わせる
テーマ別の書き方と例文
ここでは、令和6年度・令和7年度の⑴⑵の形に合わせて、テーマ別に骨格レベルの例文を挙げます。「例文をもっとちゃんと見たい」という方向けですが、あくまで型をつかむための見本なので、数値は「○」で伏せています。実際の答案では、ここに自分の現場の実数が入ります。
品質管理(令和6年度の設問1の形)
⑴具体的な現場状況と特に留意した品質管理上の技術的課題の骨格は、次のような流れです。
「本工事は山間部の道路改良工事で、擁壁のコンクリート打設が冬期にかかった。外気温が低く、打設直後のコンクリートが初期凍害を受けるおそれがあったため、所定の強度を確保するための養生方法が技術的課題となった。」
⑵技術的課題を解決するために検討した項目とその対応処置は、こう続けます。
「養生中の温度を保つ方法、打設の時間帯、強度の確認方法の3点を検討した。その結果、①打設前に型枠内の状態を確認し、②養生マットとジェットヒーターで養生中の温度を保ち、③現場で供試体を採取して強度を確認する処置をとった。」
令和6年度の設問1は「評価」を求めていないので、旧形式の例文によくある「その結果、規格値を満たした」という締めの段落は、⑴⑵のどちらにも対応する欄がありません。品質管理の例文を工種別にもっと見たい方は品質管理の例文集で確認できます。
安全管理(令和7年度の設問1の形)
安全管理で「何を書けば技術的課題になるのか」と迷う方は、その現場ならではの危険を1つに絞るところから始めると書きやすくなります。
「本工事は住宅地に面した下水道管渠の布設工事で、深さ○mの掘削を道路内で行った。掘削面の土砂崩壊と、隣接する通行者への災害の防止が安全管理上の技術的課題となった。」(⑴)
「土留めの方法、掘削中の変位の確認方法、作業帯と通行者の動線の分け方を検討した。対応処置として、土留め支保工を設置し、毎日の作業前点検で変位を確認するとともに、作業帯の外周を区画して通行者の動線を分離した。」(⑵)
なお、令和5年度の冊子には「安全管理については,交通誘導員の配置のみに関する記述は除く。」という但し書きがありました(令和5年度 同 本文p.1〔設問2〕)。誘導員を置いたという話だけで安全管理を組み立てるのは避けて、現場の条件に合わせた処置まで書く方が無難だと思います。安全管理の例文は安全管理の例文をまとめた記事に工種別で載せています。
工程管理(設問2の形)
工程管理は、⑴で「どんな条件に留意したか」、⑵で「どんな対策を、なぜ講じたか」を書きます。「理由って何を書くの?」という疑問には、「その対策を選んだのは、⑴の条件に対してそれが効くから」という筋道を一文で書く、と考えると整理しやすいです。
「本工事は河川沿いの道路改良工事で、掘削工の時期が降雨の多い時期と重なった。施工条件の観点から、降雨による作業中止で掘削工程が遅れることに留意した。」(⑴)
「対策として、工区を分けて並行して施工できる段取りに組み替え、重機を○台増やした。理由は、1工区ずつ進める計画のままでは雨天の中止日がそのまま全体の遅れになるため、晴天日にできる作業量を増やして遅れを吸収する必要があったからである。」(⑵)
工程の話は、工程表の読み書きができると説明に厚みが出ます。工程表の基本はバーチャート工程表の解説で確認しておくと安心です。工程管理の例文をもう少し見たい方は工程管理の例文集へどうぞ。
数字が思い出せないときの拾い先
「数字を入れろと言われても覚えていない」という声はよく聞きます。抽象的な「十分に注意した」「しっかり管理した」だけの文章は、どの現場の話なのかが伝わりません。数字は記憶に頼らず、手元の書類から拾うのが確実です。
- 工事名・工期・発注者名:契約書や注文書
- 主な工種・施工量:施工計画書、出来形の資料
- 掘削の深さや打設の時期:施工計画書、工事日報
- 雨天中止の日数や工程の変更:工事日報、打合せの記録
例文の丸写しはバレる?冊子に書かれた「失格」と「不合格」の条件
「ネットの例文、そのまま写したらバレるの?」「何人も同じ例文を使っていたら採点者は気づくよね」という不安に対して、結論から書きます。採点者がどうやって丸写しを見つけるのかは、実施機関の問題冊子には書かれていません。書かれているのは、経験していない工事なら失格と設問で求められている内容以外の記述なら不合格という2つの条件です。つまり気にすべきは「バレるかどうか」より、この2つに引っかからないかどうかです。
冊子に書かれた「失格」の一文
令和7年度の問題1には、こう書かれています。
「なお,あなたが経験した工事でないことが判明した場合は,失格となります。」(令和7年度 同 本文p.1)
令和5年度にも「〔注意〕あなたが経験した工事でないことが判明した場合は失格となります。」という一文がありました(令和5年度 同 本文p.1)。
ここで大事なのは、ネットや教材の例文に出てくる工事は、当然ながらあなたが経験した工事ではない、という点です。例文の工事名・工種・数量をそのまま答案に写せば、それは「自分が経験していない工事」を書いたことになります。「似た工事をやったことがあるから大丈夫」と考えて、工事の中身だけ例文から借りるのも同じことです。どうやって判明するのかは冊子に書かれていませんが、判明したときの扱いだけははっきり書かれている、というのがこの一文の読み方だと思います。
「設問で求められている内容以外の記述」は不合格
もう一つの条件が、設問1の書き方です。令和7年度の冊子には「問題1で① 工事概要の解答が無記載又は記述漏れがある場合,② 設問1の解答が無記載又は設問で求められている内容以外の記述の場合,どちらの場合も不合格となります。」とあります(令和7年度 同 本文p.1)。
令和6年度は同じ条件に当てはまる場合、「問題1の設問2以降は採点の対象となりません」という扱いでした(令和6年度 同 本文p.1)。令和5年度は「① 設問1の解答が無記載又は記述漏れがある場合,② 設問2の解答が無記載又は設問で求められている内容以外の記述の場合,どちらの場合にも問題2以降は採点の対象となりません。」という書き方です(令和5年度 同 本文p.1)。年度ごとに「不合格」なのか「採点の対象外」なのかの書き方は違いますが、「設問で求められている内容以外の記述」が問題になる、という点はどの年度にも出てきます。
令和5年度型(3項目)の例文を今の設問1に持ち込むとズレる
ここが、ほかの記事ではあまり触れられていない点です。手元の例文が⑴⑵⑶の3項目なら、それは令和5年度の設問2と同じ形です。令和5年度の設問2の小問は「⑴ 特に留意した技術的課題」「⑵ 技術的課題を解決するために検討した項目と検討理由及び検討内容」「⑶ 上記検討の結果,現場で実施した対応処置とその評価」でした(令和5年度 同 本文p.1)。
一方、令和7年度の設問1は「⑴ 具体的な現場状況と特に留意した安全管理上の技術的課題」「⑵ ⑴で記述した技術的課題を解決するために検討した項目とその対応処置」です(令和7年度 同 本文p.2)。令和6年度の設問1も、管理項目が品質になっているだけで同じ形でした(令和6年度 同 本文p.2)。
| 令和5年度型(設問2の3項目) | 令和6・7年度の設問1 | 写すとズレるところ |
|---|---|---|
| ⑴ 特に留意した技術的課題 | ⑴ 具体的な現場状況と特に留意した○○管理上の技術的課題 | 「具体的な現場状況」が新しく求められている |
| ⑵ 検討した項目と検討理由及び検討内容 | ⑵ 検討した項目とその対応処置 | 「検討理由」「検討内容」の語が無く、対応処置が⑵に入った |
| ⑶ 実施した対応処置とその評価 | 対応する小問は無い | 「評価」を書く欄が無い |
右端の列は、両方の設問文を並べて僕が整理したもので、実施機関が示したものではありません。そのうえで言えるのは、令和5年度型の例文をそのまま写すと、今の設問1には無い「検討理由」や「評価」の段落を書き、逆に今の設問1が求める「具体的な現場状況」が抜けやすい、ということです。
それが冊子の言う「設問で求められている内容以外の記述」にどこまで当たるのかは、冊子には書かれていないので、この記事では断定しません。ただ、限られた解答欄に問われていない段落を足せば、その分だけ問われている⑴⑵が薄くなるのは確かです。正直なところ、ここは「バレるかどうか」以前に、写した瞬間に設問とのズレが生まれている、と捉えた方が安全です。
「何でバレるのか」はこの記事では推測しない
「採点者は同じ文章を見比べている」「AIで照合している」といった話を見かけることがありますが、採点方法は問題冊子に書かれておらず、この記事では確かめられないので書きません。確かめられないことを根拠に「バレない書き方」を考えるのは、どちらに転んでも当てになりません。
冊子の文言から整理すると、丸写しのリスクは次のようになります。
- 例文の工事をそのまま写す:自分が経験していない工事を書くことになり、冊子には「判明した場合は」失格と書かれている
- 令和5年度型(3項目)の例文を今の設問1に当てはめる:問われていない「評価」などを書き、「具体的な現場状況」が抜けやすい
- 設問1が「設問で求められている内容以外の記述」と扱われた場合:令和7年度の冊子では不合格
- 採点者がどう見抜くか:冊子に記載が無く、ここに賭ける意味は薄い
個人的には、「バレるかバレないか」という問いの立て方そのものが、対策の方向を少しズラしていると感じます。冊子が求めているのは「あなたが経験した工事」を「設問の⑴⑵どおりに」書くことなので、例文はそのための読み物として使うのが筋です。
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経験記述は採点方法や配点が問題冊子に記載されておらず、自分で読み返すだけでは、設問の求めに合っているか判断しにくい面があります。書いたものを第三者に見てもらう方法を探している方は、施工管理技士の受験対策を扱う独学サポート事務局の案内を一度確認してみてください。文章を代わりに作ってもらうことは考えず、経験した工事は自分の言葉で書くのが前提です。サービス内容や費用は公式ページでご確認ください。
例文を自分の言葉に落とし込む手順
「例文の使い方として、どこまでならOKなのか」という疑問への僕の答えは、結論「例文から借りてよいのは、答えの組み立て方と、どんな観点で書くかまで。工事・数値・課題は自分の現場から持ってくる」です。前の章のとおり、工事を借りれば失格の条件に触れますし、古い型を借りれば設問とズレます。逆に言えば、組み立て方と観点を参考にするぶんには、例文はかなり役に立ちます。
借りてよいもの、自分の現場から持ってくるもの
| 要素 | 例文から借りてよいか | どこから持ってくるか |
|---|---|---|
| ⑴⑵の組み立て方 | 借りてよい(ただし今の設問の形に合わせる) | 令和6・7年度の設問文 |
| 課題の観点(凍害・崩壊・降雨など) | ヒントとして読む | 自分の現場で実際に問題になったこと |
| 工事名・工種・施工量 | 借りない | 契約書・施工計画書 |
| 対策に使った工法・材料・機械 | 借りない | 施工計画書・工事日報 |
| 数値(深さ・日数・台数など) | 借りない | 工事日報・出来形の資料 |
例文を自分の答案に置き換える順番
例文を読んだあと、自分の答案に置き換えていくときは、次の順で進めると手戻りが少なくなります。
- 例文が⑴⑵⑶の旧形式なら、まず今の⑴⑵の形に組み直してから読む
- 工事概要を自分の実際の担当工事に完全に置き換える(工事名・立場・発注者名・場所・工期・工種・施工量)
- ⑴の「具体的な現場状況」と課題を、その現場の固有条件(地質・気候・周辺状況・工期)に紐づけて書き直す
- ⑵の検討した項目と処置を、自分が本当に使った工法・材料・機械の名前に直す
- 数値を、自分の現場の書類から拾った実数に入れ替える
- 設問2は、対策ごとに「なぜその対策なのか」の理由を一文で添える
こうして見ると、最後に例文の文章はほとんど残りません。それで正解です。残るのは「⑴でこう書いたら、⑵ではこう受ける」という流れだけで、そこが例文から本当に借りるべき部分です。
材料は日報と施工計画書の中にある
「自分の言葉で書けと言われても、何から手を付ければ」という方は、経験記述を日報や施工計画書・品質管理計画書の延長線上にあるものと捉えてみてください。現場で毎日書いている「何を管理して、どう対処したか」を、試験の⑴⑵の様式に並べ替えるだけ、と考えると、例文に頼らなくても文章の材料は揃っています。
現場目線で言えば、土台になる現場が一つでもあれば、そこを深掘りする方が丸写しよりずっと安全です。日報をめくりながら「この日、なぜ段取りを変えたんだっけ」と思い出していくと、⑴の現場状況と⑵の処置が自然とつながってきます。
経験記述でやりがちな失敗と注意点
「語尾や誤字で落ちるってほんと?」という疑問から先に答えると、採点方法は問題冊子に書かれていないので、何をすると何点引かれるのかは分かりません。ただ、読み手に伝わらない答案や、設問とズレた答案が不利になることは想像がつきます。内容以前の「基本の崩れ」で損をしないよう、ここは確実に潰しておきましょう。
よくある失敗をまとめると、次のとおりです。
- 設問と本文がずれている(設問1で安全管理を問われているのに工程の話を書く、設問1に「評価」の段落を足す)
- 工事概要と本文の工種・数量が矛盾している、または工事概要の欄に記入漏れがある
- 「頑張った」「注意した」ばかりで、具体的な現場状況・処置・数値が無い
- 語尾が「です・ます」と「である」で混在している
- 誤字脱字、専門用語の漢字ミス(掘削・締固め・養生など)
- 解答欄に対して極端に少ない、または枠をはみ出す
特に工事概要の記入漏れは、令和7年度の冊子では不合格の条件として書かれている部分なので(令和7年度 同 本文p.1)、書き上げたら7欄を指でなぞって確認するくらいでちょうどいいです。語尾の統一と誤字脱字も、内容が良くても読み手の印象を下げるので、必ず読み返します。
「本番で書く時間が足りるか不安」という方への最大の注意点は、これらを本番でいきなりやろうとしないことです。経験記述は試験前に文章を完成させ、手で書いて練習しておくのが鉄則です。実際に手書きすると「思ったより時間がかかる」「漢字が出てこない」といった本番の壁が見えてきます。暗記できるレベルまで作り込んでおくと、当日かなり楽になるはずです。
失敗例を答案の形で確認したい方は、品質管理のNG例と直し方と安全管理のNG例と直し方を見比べてみてください。
土木施工管理は資格取得が年収にも関わってくる仕事なので、経験記述を乗り越える価値は十分にあります。年収の目安は土木施工管理の年収の解説でまとめています。
題材にする工事の選び方と、試験までの準備の順番
「自分の現場は小さい工事ばかりで書くネタが無い」「全部のテーマを準備するのは無理」という悩みには、結論「1つの工事で品質・安全・工程の3つを語れるかどうかで題材を選び、その1工事を深掘りする」が答えになります。
管理項目が選べないから、工事で選ぶ
令和6年度・令和7年度は、設問1と設問2の管理項目を問題側が指定していました(令和6年度・令和7年度 同 本文p.2)。設問1と設問2は、どちらも「工事概要に記述した工事」について答える形なので、1つの工事で両方を書くことになります。品質だけ書ける工事、安全だけ書ける工事、と別々に用意していると、本番で指定された組み合わせに合わない可能性があります。
そこで題材選びは、「この工事で品質の課題と処置を語れるか」「安全の課題と処置を語れるか」「工程で留意したことと対策の理由を語れるか」の3つを紙に書き出して、3つとも埋まる工事を選ぶのがおすすめです。どれか1つが薄いなら、その管理について日報を見返して材料を足すか、別の工事に切り替えます。
小さい工事・下請の工事でも考え方は同じ
冊子が条件として書いているのは「あなたが経験した工事」であることです(令和7年度 同 本文p.1)。工事の規模でどこまで認められるかは、この記事では判断しません。そのうえで言えるのは、規模が小さくても、自分が施工管理に関わって課題と処置を語れる工事の方が、規模の大きい工事を伝聞で書くより⑴⑵を具体的に書ける、ということです。
下請の立場の方も、冊子には「所属会社が受注した工事内容について記述してください」とあるので(同 本文p.1〔工事概要〕)、自社が請けた範囲の中で3つの管理を語れるかを見れば足ります。「工程を決める側じゃないから書けない」と感じる方も、自社の作業範囲の段取りで工程に留意した場面がないか、日報を見返してみてください。
試験までの準備の順番
準備は、次の順番で進めると手戻りが少なくなります。
- 題材にする工事を1つ決め、工事概要の7欄を書類から正確に埋める
- 設問1の形(⑴具体的な現場状況と技術的課題/⑵検討した項目と対応処置)で、品質と安全の2本を書く
- 設問2の形(⑴工程管理上留意した事項/⑵講じた対策とその理由)で、工程の1本を書く
- 工事概要と3本の本文の工種・数量が食い違っていないかを照らし合わせる
- 解答用紙と同じくらいの枠に、時間を計って手書きで書く練習をする
自分としては、工事概要と3本の下書きまでは早めに終わらせて、残りの時間を手書きの練習と推敲に回すのが理想だと思っています。経験記述以外の問題も含めた第二次検定全体の進め方は2級土木の第二次検定対策のまとめで確認できます。
2級土木施工管理技士の経験記述に関する情報まとめ
- 経験記述とは:問題1で、自分が経験した土木工事の工事概要を書き、その施工管理について設問に答える問題。配点は冊子に記載が無く、工事概要・設問1の記入漏れなどは令和7年度の冊子で不合格の条件
- 出題テーマ:品質・工程・安全が柱。令和6年度から管理項目は問題側が指定し、選べるのは工事の方
- 書き方:工事概要は7欄を埋める(二次下請の発注者名は一次下請業者名)。本文は設問の⑴⑵に1対1で答え、「理由」は設問2の⑵だけ
- テーマ別の例文:今の⑴⑵の形で読む。数値は自分の現場の書類から拾う
- 丸写し:経験していない工事は「失格」、設問で求められている内容以外の記述は令和7年度で「不合格」。令和5年度型(3項目)の例文は今の設問1とズレる
- 自分の言葉への落とし込み:例文から借りるのは組み立て方と観点まで。工事・数値・課題は日報や施工計画書から持ってくる
- 失敗と注意点:設問ズレ・記入漏れ・数値不足・語尾混在・誤字脱字を潰し、手書きで練習しておく
- 題材と準備:1つの工事で品質・安全・工程の3つを語れるかで選び、工事概要→設問1→設問2→手書き練習の順で進める
以上が2級土木施工管理技士の経験記述に関する情報のまとめです。
経験記述は「才能」ではなく「準備」で決まる問題です。例文を写してバレるかどうかを心配するより、題材にする工事を一つ決めて、工事概要の7欄を書類から埋めるところから始めてみてください。そこが埋まれば、設問1の⑴⑵も設問2の⑴⑵も、自分の現場の言葉で書けるようになっていくはずです。
テーマ別にもう一段詳しく知りたい方は、品質管理の書き方、安全管理の書き方、工程管理の書き方の各記事もあわせて読んでみてください。
