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スタンションとは?種類、親綱との関係、設置方法、安全基準など

  • スタンションってなに?親綱と一緒に使うやつ?
  • マグネット式とクランプ式って何が違う?
  • 設置間隔はどれくらい?
  • フルハーネス義務化と関係ある?
  • 鉄骨建方のときの段取りは?

上記の様な悩みを解決します。

スタンション(stanchion)は、鉄骨建方や折版屋根の上で、親綱を張るために立てる支柱のこと。建方時の高所作業の墜落制止には必須の仮設機材で、選び方や設置間隔を間違えると親綱が機能せず、フルハーネスを使っていても落下を止められない、という事態が起こります。本記事では、スタンションの種類、親綱との関係、安衛則の規定、現場での設置のコツまでを整理します。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

スタンションとは?

スタンションとは、結論「親綱(おやづな)を高所に張るために、構造物に取り付ける支柱」のことです。

英語のstanchionは「支柱」「縦柱」の意味で、船舶や畜産でも使われる用語ですが、建設業界では主に鉄骨工事の墜落防止用支柱を指します。

鉄骨建方では、作業員が梁の上を歩いて移動したり、ボルトを締めたりする必要があります。このとき、フルハーネス型墜落制止用器具(旧:安全帯)のフックを掛ける親綱を、梁の真上に張る必要がある。親綱を張るには、その親綱を支える支柱が要ります。これがスタンション。

部材 役割
スタンション 親綱を張るための支柱
親綱 スタンション間に張る、墜落制止のためのワイヤーロープ/繊維ロープ
フルハーネス/フック 作業員が身につけて、フックを親綱に掛ける

この3点セットが揃って初めて、墜落制止システムとして機能します。スタンションだけ立てても、親綱だけ張っても、フックを掛けるだけでも、安全は確保できません。

混同されやすい用語に「手すり柱」「親綱支柱」がありますが、現場では概ね同義で使われます。仮設機材リース会社のカタログでも「スタンション(親綱支柱)」と併記されていることが多いですね。

スタンションの種類(マグネット式・クランプ式・ボルト固定式)

代表的な3種類を整理します。

種類 取付け方法 主な用途
マグネット式 強力磁石で鉄骨梁に吸着 鉄骨建方の梁上
クランプ式 C型クランプで鉄骨に挟み込み 鉄骨建方、改修工事
ボルト固定式 鉄骨にボルト穴をあけてボルトで固定 長期使用、屋根上

①マグネット式スタンション

円柱形のマグネット部を鉄骨梁の上面に置き、強力磁石の吸着力で支柱を立てるタイプ。最大の利点は

  • 取付けが早い(マグネットを置くだけ)
  • 鉄骨に傷をつけない
  • 建方の進行に合わせて移動が楽

吸着力は、メーカーや製品により200〜600kgf程度。クランプ式に比べて安定性はやや劣りますが、建方サイクルが速い現場では「取付けの速さ」が安全につながるため、多用されます。

注意点として、

  • 鉄骨表面に塗膜・錆・油があると吸着力が落ちる
  • 梁の上面が水平でないと安定しない
  • 強風時は支柱に風圧がかかり、限界吸着力を超える可能性

があります。マグネット部の清掃と、梁上面の油分除去が施工前のルーティンです。

②クランプ式スタンション

C型のクランプを鉄骨フランジ(H鋼の上下フランジ部)に挟み込み、ねじで締め付けて固定するタイプ。

  • 安定性が高い
  • 強風下でも安心
  • 重量物(複数本の親綱、シート類)の支持にも対応

その代わり、取付けに時間がかかり、移動も億劫です。建方初期や、長期間置きっぱなしになる足場周辺で多く採用されます。クランプ部の締付けトルクは、商品仕様書で指定された値を守ること。締めすぎるとクランプが破損し、緩いと外れます。

③ボルト固定式スタンション

鉄骨にボルト穴をあけて、ボルトで支柱を固定するタイプ。屋根上の長期使用や、塔屋・煙突といった構造物で使われます。

  • 最も安定性が高い
  • 取り外し時にボルト穴が残る(補修が必要)
  • 取付けに穴あけ工事が必要

新築工事ではあまり使わず、改修工事や保守作業の常設足場として残す場合に採用するケースが中心です。

選定の判断軸は、おおむね「建方初期=マグネット式、足場まわりの長期支柱=クランプ式、屋根の常設=ボルト固定式」と覚えておけばよいですね。

スタンションの設置基準(労働安全衛生規則・墜落制止用器具)

スタンションの直接の規定は安衛則にはありませんが、関連する規定が複数あるので整理します。

①労働安全衛生規則第518条(高さ2m以上での墜落防止)

事業者は、高さ2m以上の箇所で作業を行う場合、作業床を設けるか、それが困難なときは墜落制止用器具を使用させる、と定められています。

鉄骨建方は梁の上を歩く作業なので、作業床(足場)を設けるのが困難。よって墜落制止用器具(フルハーネス型)を使用させる必要があり、そのフックを掛ける親綱と、親綱を支えるスタンションが必須になる、というロジックです。

②労働安全衛生規則第518条の2(フルハーネス義務化)

2022年1月以降、原則として高さ2m以上で作業床を設けない作業ではフルハーネス型墜落制止用器具を使用することが義務化されました。胴ベルト型(旧来の安全帯)は、6.75m以下の制限的な使用に限られます。

これにより、フルハーネスのフックを掛ける親綱の重要性も上がっており、スタンションの選定・設置もより慎重になっています。

③親綱の使用基準(厚生労働省告示)

親綱の素材・強度・1スパンの長さは、厚生労働省告示や業界ガイドラインで定められています。

  • 親綱:金属ロープ(直径9mm以上)または合成繊維ロープ(直径16mm以上)
  • 1スパンの長さ:原則10m以下(過長になると、墜落時に親綱がたわんで地面に到達するリスク)
  • 親綱の張力:たわみが少なく、かつ衝撃を吸収できる程度

スタンションの設置間隔は、親綱の1スパン10m以下に合わせて設定します。

④スタンションの強度基準

スタンション本体は、墜落時の衝撃荷重に耐える強度が必要です。仮設機材リース会社の製品は、

  • 静的強度:200〜400kgf(型式による)
  • 動的強度(墜落時の瞬間荷重):500kgf程度

をクリアした認定品を使うのが基本。安衛則ではスタンション固有の強度基準は定めていないものの、各メーカーの技術資料で検証されています。

スタンションの設置方法と段取り

鉄骨建方時のスタンション設置手順を、現場での段取り順に追います。

①事前計画(建方前)

  • 鉄骨建方計画図にスタンション位置と本数を記載
  • 親綱配置計画(柱頭から柱頭、柱から梁、梁から梁)
  • 必要なスタンション数の発注(リース)
  • マグネット式・クランプ式の使い分け決定

②建方当日(朝礼で共有)

  • スタンション・親綱の取付け担当者の指名
  • 取付け順序(鉄骨建方サイクルに合わせる)
  • KY活動でリスクを洗い出し

③建方の進行に合わせた取付け

鉄骨建方の進行は概ね「柱→大梁→小梁→デッキプレート」の順。スタンションは大梁建方完了直後、小梁建方が始まる前に取付けるのが標準。これにより、小梁取付け作業員は親綱にフックを掛けて作業できる。

④親綱の張り方

  • スタンション間に親綱を張り、両端をシャックル等で確実に固定
  • たるみがないように、ターンバックルや張力計測具で適切な張力を出す
  • 1人につき1本のフックを掛ける運用(共用は禁止)

⑤デッキ敷込み・スラブ打設後の撤去

デッキプレートが敷き詰められて、作業床が確保された段階で、スタンションと親綱は撤去します。撤去のタイミングを誤ると、

  • 早すぎ:他工種が安全帯を掛ける場所がなくなる
  • 遅すぎ:スラブ打設や仕上げ工事の邪魔になる

ので、施工管理は工程会議で撤去タイミングを明確にしておくのが大事。鉄骨工事業者の判断で勝手に撤去されないよう、書面で撤去指示の権限関係を整理することもあります。

⑥撤去時の落下物対策

スタンション撤去時に、上層階から下層階に落とすパターンの事故が散発的に発生しています。撤去物は人力でロープに掛けて降ろすか、専用の搬出設備で運ぶことを徹底します。

スタンション使用上の注意点

最後に、施工管理として現場で確認すべき注意点を5つ整理します。

①マグネット部の清掃と鉄骨表面の状態

マグネット式スタンションは、磁力が物を言います。鉄骨表面に油・錆・水滴があると吸着力が大きく低下し、強風で支柱が倒れます。建方当日は、マグネット部を清掃布で拭き、鉄骨上面の油分も除去するのが基本動作。

②取付け方向と荷重方向の整合

スタンションは、墜落時の引き抜き方向に対して強度が出るよう設計されています。横方向(親綱と直交方向)の荷重には弱い場合があるので、設置方向はメーカー指定通りに。

③親綱のフック共用禁止

1本の親綱に複数のフックを掛けて、複数人で共用するのは事故の元。1人が墜落すると、共用している全員に衝撃が及びます。原則として「1人1本(独立した親綱)」、または「親綱1本に2人まで(互いの距離を取る運用)」のルールを徹底します。

④強風時の使用中止判断

10分間平均風速10m/s(瞬間最大15m/s)を超える場合、鉄骨建方は中止が原則。スタンション・親綱が機能していても、作業員自体がバランスを崩す危険があります。気象予報と現場の風速計を組合せて判断。

⑤撤去時期の管理

スタンションは「建方完了=即撤去」ではありません。デッキ敷込みやスラブ打設まで、後続作業員が親綱にフックを掛けて作業するシーンが続きます。施工管理は工程会議で撤去時期を明確にし、書面化(または施工要領書記載)しておくのが安全側。

施工管理がスタンションを「鉄骨業者の道具」として丸投げしてしまうと、後続業者が親綱を使えずに墜落リスクが上がる、というケースが起こります。元請けが工程全体の中で「いつ取付け、いつ撤去するか」を決める責任を持つ、というのが基本構造ですね。

スタンションに関する情報まとめ

  • スタンションとは:親綱を高所に張るための支柱。鉄骨建方の墜落制止に必須
  • 種類:マグネット式(取付け早い)/クランプ式(安定性高い)/ボルト固定式(長期常設)
  • 設置基準:安衛則第518条で高さ2m以上の墜落防止が必要、2022年からフルハーネス義務化
  • 親綱の規定:金属ロープ9mm以上または繊維ロープ16mm以上、1スパン10m以下
  • 設置方法:建方計画図への記載→建方当日に大梁完了直後に取付け→デッキ敷込み後に撤去
  • 注意点:マグネット部の清掃、取付け方向、フック共用禁止、強風時中止、撤去時期の管理

以上がスタンションに関する情報のまとめです。

スタンションは「とりあえず鉄骨工事業者がやってくれるもの」と思いがちですが、実際は元請けの安全管理体制で位置・本数・撤去時期を統括するべき仮設機材です。フルハーネス義務化で墜落制止用器具の重要性が再認識された今、その「掛け先」となる親綱とスタンションの管理品質が、現場の安全性能を決めると言っても過言ではありません。建方計画書の段階でスタンション計画を詰め、当日の朝礼でも全員で共有する、というルーチンを徹底することが安全の出発点です。

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