- 雑排水と汚水ってどう違うの?
- なぜ別の配管にするの?
- 合流式と分流式って何?
- 雨水排水とはまた別の系統?
- トラップ・通気管はどう絡む?
- 図面で系統を見間違えないコツは?
上記の様な悩みを解決します。
「雑排水」と「汚水」は給排水設備の図面で一番最初に出てくる用語ですが、似たような響きで混同しやすく、現場で「あれっ、これってどっちの管だっけ?」と一瞬迷うことがある区別です。配管色分け・継手・通気管の有無にまで影響する基本概念なので、ここで腹落ちさせておきましょう。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
雑排水と汚水の違いとは?
雑排水と汚水の違いとは、結論「汚水は便器(大小便)からの排水、雑排水は便器以外の生活排水」のことです。
まず単語の整理から。
| 排水の分類 | 含まれるもの | 主な発生源 |
|---|---|---|
| 汚水 | 大小便、トイレットペーパー、屎尿 | 大便器、小便器 |
| 雑排水 | 食器・洗濯・入浴・手洗いの水、油脂、洗剤 | 流し、洗面、浴槽、洗濯機、厨房 |
| 雨水 | 雨水、雪解け水 | 屋根、ベランダ、外構 |
| 特殊排水 | 工場排水、医療廃液、酸・アルカリ、放射性物質含有水 | 工場、病院、研究施設 |
つまり同じ「排水」でも4種類に区別するのが建築設備の基本。汚水と雑排水だけ見ても「水質・水量・処理方法が大きく違う」ので、別系統に分けて配管するのが原則です。
なぜ別系統にするのか
「全部まとめて流せばよくない?」と思うかもしれませんが、別にする理由がちゃんとあります。
汚水と雑排水を分ける理由
- 汚水は屎尿を含むので封水深の確保(トラップ)が厳しめに必要
- 雑排水は油脂・洗剤・髪の毛など詰まり原因物が多く、別系統にしないと汚水管も巻き込んで詰まる
- 浄化槽(下水道未接続地域)では汚水と雑排水を別槽で処理するパターンがある
- 詰まり時のメンテ範囲を限定できる
- 雨水と混ぜると下水処理場の負荷が増える
特に浄化槽の合併処理/単独処理の区分は、汚水・雑排水の分け方に直結する話です。
浄化槽の話はこちらにまとめています。

配管系統の分け方
実際の配管系統では、各排水を以下のように分けて配管するのが標準的です。
標準的な4系統の配管
- 汚水管:便器→公共下水(または浄化槽)
- 雑排水管:流し・洗面・浴室→公共下水(または浄化槽)
- 雨水管:屋根・外構→雨水ます→公共下水または雨水浸透
- 通気管:上記の管に並走して設置。空気を通して排水を促す
各排水の合流・分岐は桝(ます)と呼ばれる小さな点検口で行います。建物外周にコンクリート製の汚水ます・雑排水ます・雨水ますを並べて、最終的に公共桝で本管に接続、というのが戸建て住宅の典型構成です。
合流式と分流式
公共下水道の本管系統には「合流式」と「分流式」 の2タイプがあり、これによって建物側の配管にも影響が出ます。
| 方式 | 汚水・雑排水 | 雨水 |
|---|---|---|
| 合流式 | 1本の下水管にまとめて流す | 同じ管に流す |
| 分流式 | 1本の下水管にまとめる | 別管(雨水管)に流す |
合流式は古い市街地で多く採用されてきた方式で、施工コストが安い反面、大雨時に処理能力を超えて未処理水が河川に放流される問題(合流式下水道越流水問題)があります。
分流式は現代の新規開発エリアで標準。汚水・雑排水と雨水を完全に分けて、汚水だけを下水処理場で処理し、雨水は河川に直接放流します。
施工管理として大事なのは、「現場が合流式か分流式か」を最初に確認して、屋外排水経路を間違えないこと。分流式エリアで雨水を汚水ますに繋いでしまうと、後で公共桝接続時に役所からダメ出しを食らいます。
トラップと通気管の役割
雑排水・汚水管に必須のセットがトラップと通気管です。
トラップ(封水)
トラップとは、排水管の途中に水を溜めて下水からの臭気・害虫・ガスが室内に上がってこないようにする機構です。
主なトラップの種類
- Pトラップ:洗面、流し(最一般)
- Sトラップ:和便器、立て管直結部
- 椀トラップ:浴室、床排水
- ドラムトラップ:厨房、業務用
- わんトラップ:床排水(わんを被せた構造)
封水深(トラップに溜まる水の深さ)は50〜100mmが原則。これより浅いと負圧で抜ける(封水切れ)、深すぎると流れにくくなる、という塩梅です。
通気管
通気管はトラップの封水切れを防ぐための空気抜き管。排水管の流量変動でトラップ内の封水がサイホン作用で吸い出されたり、吹き上げられたりするのを防ぎます。
通気の方式
- 各個通気:各器具ごとに通気管を出す(最高品質・最高コスト)
- ループ通気:複数器具をまとめて通気
- 伸頂通気:立て管の頂部を屋上で大気開放(最一般)
- 特殊継手システム:旋回流で通気を兼用(マンションで普及)
通気管を省略すると封水切れが起きて下水臭が室内に上がってきます。リフォーム工事で「臭くなった」というクレームの大半は通気不足が原因です。
水圧試験や満水試験との関係はこちらに書きました。

配管材料と勾配
雑排水・汚水管に使う材料は、屋内・屋外・住宅・ビルで使い分けます。
| 配管材 | 規格 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 塩ビ管(VP・VU) | JIS K 6741 | 戸建て住宅・小規模ビル |
| 耐火VP(耐火二層管) | JIS A 5701 | 防火区画貫通部 |
| 鋳鉄管(CIP) | JIS G 5526 | 業務用・耐火要求の高い建物 |
| ステンレス鋼管 | JIS G 3448 | 厨房・厳しい衛生要求 |
勾配は配管径によって決まり、JASS(日本建築学会建築工事標準仕様書)の「給排水衛生設備工事」で規定されています。
| 配管径 | 最小勾配 |
|---|---|
| 75mm以下 | 1/50 |
| 100mm | 1/100 |
| 125mm | 1/150 |
| 150mm以上 | 1/200 |
つまり「管が太くなると勾配を緩くしてOK」というルール。これは管断面が大きいと自浄作用が効きやすいから、という流体力学的な根拠があります。
防火区画貫通部の処理はこちら。

雑排水と汚水で起きがちなトラブル
施工管理として現場で出くわす失敗パターン。
雑排水・汚水のあるある失敗
- 桝の系統取り違え:汚水ますに雑排水を繋ぐ/雨水ますに汚水を繋ぐ
- 勾配不足での詰まり:1/100が必要なところを1/200で施工して固形物が滞留
- 通気管の繋ぎ忘れ:排水音が大きい・トラップ封水切れで臭気上がり
- トラップの二重設置:途中で2つトラップを通って排水流れが極端に悪化
- 排水ヘッダー配管での高さ不足:勾配を取るスペースが足りずに逆流
特に4の「二重トラップ」は知らないと普通にやってしまう罠です。たとえば洗面台のSトラップの先に床排水のわんトラップがある、という構成だと2つのトラップで排水が分断されて流れが悪化します。「1器具1トラップ」の原則を頭に入れておくと事故防止になります。
雑排水と汚水の違いに関する情報まとめ
- 汚水とは:便器(大小便)からの排水
- 雑排水とは:便器以外の生活排水(流し・洗面・浴室・洗濯)
- 分ける理由:水質・詰まり物質・処理方法が違うため別系統
- 配管系統:汚水/雑排水/雨水/通気管の4系統
- 合流式と分流式:雨水と一緒に流すか、分けるか。新規開発は分流式
- トラップ:封水で下水臭を遮断。封水深50〜100mm
- 通気管:トラップの封水切れ防止。伸頂通気が標準
- 頻発トラブル:桝の系統取り違え、勾配不足、通気忘れ、二重トラップ
以上が雑排水と汚水の違いに関する情報のまとめです。
一通り雑排水と汚水の違いの基礎知識は理解できたと思います。「汚水=便器、雑排水=それ以外、雨水は別系統」をまず覚えて、合流式・分流式とトラップ&通気管の役割を押さえれば、給排水図の系統チェックが自分でできるようになります。
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