- 水圧試験ってなに?
- 試験圧力ってどう決まるの?
- 保持時間って何分くらい?
- 満水試験や気密試験とどう違う?
- 合格/不合格の判定は?
- 温度が下がると圧力も下がるけど、それも漏れ扱い?
上記の様な悩みを解決します。
「水圧試験」は給水管・消火管・空調冷温水管の施工で必ずやる試験ですが、仕様書を読んでも「設計圧力の1.5倍で60分保持」とサラッと書かれているだけで、現場ではいつも「で、それいくつ?」と詰まりがちな試験でもあります。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
水圧試験とは?
水圧試験とは、結論「配管に水を満たして規定圧力をかけ、漏れがないことと耐圧性能を確認する試験」のことです。英語では hydrostatic pressure test または hydraulic test。
設備配管を施工したあと、断熱被覆や仕上げで隠蔽してしまう前に、配管の継手・溶接部・フランジ部から水が漏れていないか、規定圧力に耐えられるかをチェックします。
水圧試験の2つの目的
- 漏れの確認:継手不良・溶接不良・パッキン噛み込みなどの欠陥を発見する
- 耐圧性能の確認:設計圧力以上の圧力に耐えられる強度を持っているかを確認する
「漏れチェックなら水じゃなくても空気でいいのでは?」と思われがちですが、空気で漏れチェックしても 耐圧性能の確認はできません(圧縮性が違うため)。耐圧確認まで含めるなら水圧試験、漏れだけなら気密試験という使い分けです。
気密試験との違いはこちらでも整理しています。

似た試験との違い
水圧試験とよく混同される試験を整理します。
| 試験名 | 媒体 | 主な対象 | 圧力レンジ | 目的 |
|---|---|---|---|---|
| 水圧試験 | 水 | 給水・消火・冷温水管 | 0.5〜2.5 MPa | 漏れ+耐圧 |
| 満水試験 | 水 | 排水・通気管 | 静水頭のみ(数mAq) | 漏れ+通水 |
| 気密試験 | 窒素・空気 | ガス・冷媒管 | 0.5〜4.15 MPa | 漏れのみ |
| 絶縁耐力試験 | 電圧 | 電気機器 | 試験電圧 | 絶縁性能 |
排水管の満水試験は「水を入れて静水頭で漏れを見る」もので、加圧はしません。水圧試験=加圧試験 という違いがあります。
満水試験についてはこちらに詳しくあります。

配管の種類別 試験圧力
水圧試験で一番ハマりやすいのが「結局いくつで試験すればいいの?」というところ。代表的な配管別に整理します。
給水管(一般建物)
水道法と給水装置の規定では、給水管の水圧試験は 1.75 MPa以上で1分間以上保持 が目安です(公共建築工事標準仕様書 機械設備工事編、給水装置の構造及び材質の基準を定める省令)。
| 系統 | 試験圧力 | 保持時間 | 合格基準 |
|---|---|---|---|
| 給水管(高架水槽方式・直結増圧) | 1.75 MPa以上 | 1分以上 | 圧力降下なし |
| 給水管(直結直圧方式) | 設計水圧×1.5(最低1.75 MPa) | 1分以上 | 圧力降下なし |
ポンプ加圧系統(直結増圧・受水槽以降)は配管にかかる最大圧力が高いので、最高使用圧力 × 1.5倍 がベース。最高使用圧力を見落として「1.0 MPaでいいでしょ」と判断すると、稼働後にポンプ吐出口で1.4 MPaかかって漏れる、という事故になります。
消火配管(屋内消火栓・スプリンクラー)
消防法施行規則と「屋内消火栓設備の技術上の基準を定める告示」に基づき、配管の水圧試験は 最大常用圧力の1.5倍以上で2時間以上保持。
スプリンクラー設備の話はこちらでも触れています。

| 系統 | 試験圧力 | 保持時間 |
|---|---|---|
| 屋内消火栓配管 | 最大常用圧力 × 1.5倍以上 | 2時間以上 |
| スプリンクラー配管 | 最大常用圧力 × 1.5倍以上 | 2時間以上 |
| 連結送水管(湿式) | 1.4 MPa以上 | 30分以上 |
消火系は 2時間保持 がポイント。給水管の1分とは桁が違います。これは「実火災で停止水できない設備だから、はじめから余裕を持って耐圧確認しておく」という発想ですね。
空調冷温水管(密閉式)
ビル空調の冷温水管は、密閉式で循環するので最高使用圧力が比較的低めになります。
| 系統 | 試験圧力 | 保持時間 |
|---|---|---|
| 冷温水管(密閉式) | 最高使用圧力 × 1.5倍(最低 0.75 MPa) | 60分以上 |
| 冷却水管(開放式) | 最高使用圧力 × 1.5倍(最低 0.75 MPa) | 60分以上 |
「最低 0.75 MPa」というラインがあるのは、低層階で最高使用圧力が低くても、配管の品質確認のためにある程度の圧をかけたい、という考え方です。
試験圧力の3つの概念を整理
ここが現場で一番ハマる地雷ポイント。仕様書を読んでも「設計圧力」「最高使用圧力」「試験圧力」と似たような言葉が並んでいて、関係を整理しないと選定ミスをします。
3つの圧力の関係
- 設計圧力:設計図書に書かれた、その系統の設計上の最高圧力。ポンプ揚程・水頭から算出
- 最高使用圧力:実際の運転で配管にかかる最高圧力。設計圧力に等しいことが多い
- 試験圧力:水圧試験で実際にかける圧力。最高使用圧力 × 1.5倍 が基本
たとえば設計図書に「配管最高使用圧力 1.0 MPa」と書かれていれば、試験圧力は 1.0 × 1.5 = 1.5 MPa。これを「設計圧力1.0 MPaだから1.0 MPaで試験」と勘違いすると、現場で耐圧不足のまま隠蔽されてしまうことがあります。
水圧そのものの単位や換算はこちらに整理しています。

水圧試験の手順
ここからは実際の試験手順。給水管の試験を例に書きます。
水圧試験の標準手順
- 試験区画を決める:階層・系統ごとに区切り、隔離弁を全閉
- エア抜きしながら水を充填:高所のエア抜き弁を開けて、配管内の空気を完全に追い出す
- 試験ポンプ(手動/電動)を接続:試験圧の1.2倍程度まで出せる試験ポンプを使う
- 規定圧力まで昇圧:徐々に上げて、規定値に到達
- 保持時間カウント開始:規定時間(1〜120分)保持して、圧力降下を測定
- 目視で全継手を点検:保持中に継手・フランジ・バルブ周りを目で確認
- 合否判定:圧力降下と漏れの有無で判定
- 減圧してエア抜き:試験後はゆっくり減圧。急激減圧は配管にショックを与える
- 試験記録の作成:圧力グラフ・気温・実施者・日時を記録
工程として外せないのが 「エア抜きを徹底する」 こと。配管内に空気が残ったまま昇圧すると、空気の圧縮性で圧力降下のグラフが暴れて、漏れか温度変化か空気のせいか判別できなくなります。
試験ポンプ
試験ポンプは大きく分けて2種類。
| 種類 | 圧力レンジ | 用途 |
|---|---|---|
| 手動式試験ポンプ(手押し) | 0〜5 MPa程度 | 給水・消火配管 |
| 電動式試験ポンプ | 0〜10 MPa以上 | 高圧用、長時間試験 |
3〜5万円のレンタルで揃うので、試験のたびに買うものではなく、設備工事店が常備しているケースが多いですね。
合格・不合格の判定
「圧力が下がったら不合格」という単純な話ではないのが水圧試験のクセです。
合格基準の基本
合格判定は 「規定の保持時間中、圧力降下がないこと(または規定範囲内)、目視確認で漏れがないこと」。
- 給水管:1分以上で 圧力降下なし
- 消火管:2時間以上で 圧力降下なし(ただし温度補正あり)
- 空調冷温水管:60分で 圧力降下なし
実際は「完全にゼロ」ではなく、許容降下を仕様書で定めているケースもあります(例:30分で初圧の3%以内)。
温度補正の話
ここが現場で揉める一番の原因。
水は温度が変わると密度・体積が変わるため、気温が下がると配管内の水も収縮して圧力が下がる。これを「漏れた」と判断すると、ありもしない漏れを必死に探すハメになります。
温度と圧力の関係(参考値)
- 水温が1℃下がる → 圧力は約0.05〜0.1 MPa低下(配管系・容積で変動)
- 屋外配管で日中→夜間の温度差10℃ → 0.5〜1.0 MPa低下することも
冬場の水圧試験は、この温度補正を入れないと「0.1 MPaも下がってる、漏れてる!」となりがちで、試験中に 試験区画の気温と水温を10〜30分ごとに記録 し、合否判定に補正を入れるのが正攻法です。
補正の実務
実務では、試験開始時と終了時の 気温差を測って、降下圧の何割が温度由来か判別 します。
具体例として、試験開始時20℃で1.5 MPa→2時間後15℃で1.45 MPa(5℃低下、0.05 MPa降下)の場合、温度補正で「降下分はほぼ温度起因、漏れなし」と判定するイメージ。温度のせいか漏れのせいか分からないなら、気温が安定する時間帯(早朝〜午前中)に再試験するのがベストです。
試験で起きがちなトラブル
最後に、現場で頻発する水圧試験のトラブルを。
水圧試験のあるある失敗
- エア抜き不足で圧力グラフが暴れる:高所のエア抜き弁を開けないまま昇圧して、保持中に空気が抜けて圧力降下と勘違い
- 隔離弁の閉め忘れ:試験区画外の配管とつながったまま試験して、本来関係ない区画の漏れまで拾う
- 温度補正なしで漏れと誤判定:屋外配管で気温5℃時に試験して、降下分を全部漏れと判定
- 減圧時に逆流して機器を壊す:急激減圧でチェッキ弁・ポンプを壊す
- 目視点検を保持中だけしてしまう:減圧後に滴下する継手を見逃す。減圧後30分も観察するのが理想
- 試験記録の不備で再試験:圧力グラフだけで気温・気圧・実施者の記録が抜けて、検査で突き返される
特に試験記録は 「水圧試験をやった証拠」 なので、グラフの紙だけでなく 写真(圧力計の数値・時計・気温計が同時に写ったもの)を最初・中盤・最後の3点 で残しておくと、後の竣工書類でも安心です。
水圧試験に関する情報まとめ
- 水圧試験とは:配管に水を入れて加圧し、漏れと耐圧性能を確認する試験
- 試験圧力の基本:最高使用圧力 × 1.5倍。設計圧力と混同しない
- 代表的な保持時間:給水管 1分、消火管 2時間、空調冷温水管 60分
- 3つの圧力概念:設計圧力/最高使用圧力/試験圧力。現場では試験圧力=最高使用圧力×1.5
- 手順の要点:エア抜き徹底→昇圧→保持→目視点検→減圧→記録
- 合格基準:規定時間中の圧力降下なし+目視で漏れなし。温度補正は必須
- 温度補正:気温5℃低下で0.5 MPa前後降下することも。漏れと混同しない
- 頻発トラブル:エア抜き不足/隔離弁の閉め忘れ/温度補正なしの誤判定
以上が水圧試験に関する情報のまとめです。
一通り水圧試験の基礎知識は理解できたと思います。「最高使用圧力の1.5倍」と「温度補正」の2点だけ押さえておけば、現場で水圧試験を初めて任されても致命的なミスは避けられるはずです。
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