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浄化槽の種類とは?合併と単独の違い、人槽、構造、設置基準など

  • 浄化槽って合併と単独があるけど何が違うの?
  • 「人槽」ってどう計算するの?住宅と店舗で違う?
  • BOD除去率ってよく聞くけど何の数字?
  • どんな構造(処理方式)があるの?
  • 設置のときに役所に届出が必要なの?
  • 設置後の点検・清掃はどれくらいの頻度でやるの?

上記の様な悩みを解決します。

浄化槽とは、結論「汚水(し尿+雑排水)を微生物の働きで分解・処理してから放流する設備のこと」です。下水道が来ていない地域では、各建物の敷地内に浄化槽を埋設して使います。種類は大きく合併処理浄化槽(し尿と生活排水を一括処理)と単独処理浄化槽(みなし浄化槽)(し尿のみ処理)の2系統。現在の新設は浄化槽法第3条の2で「合併処理浄化槽のみ」に限られていて、単独処理は既設のものを使い続けているケースだけです。施工管理として図面に「合併5人槽 接触ばっ気方式」と書かれていたら、JIS A 3302の処理対象人員5人、嫌気ろ床→ばっ気→沈殿の流れで処理する設備という意味になります。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

浄化槽とは?

浄化槽とは、結論「汚水を微生物の働きと物理的なろ過で浄化し、河川や側溝に放流できる水質まで処理する個別処理設備」のことです。下水道未整備地域、別荘地、農村部、工場団地などで採用されています。

根拠となる法律は浄化槽法(昭和58年法律第43号)。この法律で「浄化槽」が定義され、設置・保守点検・清掃・水質検査の義務が決まっています。

浄化槽が必要な場所

下水道が整備されていない地域、つまり公共下水道の供用区域外で、かつ浸透式の汲み取り便所では衛生上問題があるケースで浄化槽が必要になります。

立地 一般的な処理方式
下水道供用区域内 公共下水道に直結(浄化槽不要)
農業集落排水区域 集落排水施設に接続
コミプラ区域 コミュニティプラント
上記以外(個別処理) 浄化槽を設置

下水道がそのうち来そうなエリアでも、着工時点で未供用なら浄化槽が必須。後から下水道に切り替えるときは、浄化槽を撤去して直結配管に切替えます。

浄化槽と公共下水道との関係

公共下水道は集中処理(自治体の終末処理場)、浄化槽は個別処理。役割は同じ「汚水処理」でも、責任の所在が違うのが施工管理目線で重要なポイント。

  • 下水道:処理は自治体、利用者は使用料を払うだけ
  • 浄化槽:処理設備の所有・維持管理は建物所有者、保守点検と清掃を業者と契約

引き渡し後の維持管理を施主が忘れがちなので、保守点検業者と契約してから引き渡すのが鉄則です。

浄化槽の種類(処理方式・構造)

浄化槽は「何を処理するか」と「どう処理するか」の2軸で分類します。

①合併処理 vs 単独処理

種類 処理対象 現在の扱い
合併処理浄化槽 し尿+雑排水(台所・風呂・洗濯) 新設はこちらのみ
単独処理浄化槽(みなし浄化槽) し尿のみ 2001年以降、新設禁止。既設のみ

単独処理は雑排水(生活排水)を未処理のまま放流していたので、河川の水質悪化の原因に。2001年4月の浄化槽法改正で新設禁止になり、既設も合併処理への転換が推奨されています。

②構造による分類(合併処理)

合併処理浄化槽の中で、処理方式(微生物との接触のさせ方)によってさらに分類されます。

処理方式 規模 特徴
嫌気ろ床接触ばっ気方式 5〜10人槽(小型) 戸建住宅で最も普及
回転板接触方式 中規模 円盤を回転させて空気接触
接触ばっ気方式 中規模 ばっ気槽で空気を送り込む
長時間ばっ気方式 大規模 工場・大型施設で使用
標準活性汚泥方式 大規模 集合処理レベル

戸建住宅で実際に納品されるのはほぼ嫌気ろ床接触ばっ気方式の5〜7人槽。FRP製の埋設タンクを地中に埋め、ブロワで空気を送り込んで微生物を活性化させる方式です。

③用途別の選定

建物用途 一般的な選定
戸建住宅 合併処理5〜7人槽(嫌気ろ床接触ばっ気)
共同住宅・小規模事務所 合併処理10〜30人槽
学校・店舗・工場 中・大規模浄化槽(処理方式は規模で選定)
温泉旅館・厨房付き施設 油分・有機物が多いので別途流入対策

人槽(処理対象人員)の計算

浄化槽の容量は人槽で表します。「5人槽」「7人槽」というのは、1日にし尿と雑排水を出す人数の想定で、設備の処理能力に直結します。

JIS A 3302による算定

人槽の算定はJIS A 3302「建築物の用途別による屎尿浄化槽の処理対象人員算定基準」で決まっています。建物用途ごとに延床面積から人槽を計算する仕組み。JIS規格の体系については別記事(https://seko-kanri.com/jis/)にも触れていますが、浄化槽はJIS A 3302が決定版です。

主な用途別算定式(抜粋)

用途 算定式
戸建住宅(A=130㎡未満) n = 5人
戸建住宅(A=130㎡以上) n = 7人
共同住宅 n = 0.05A(最低5人)
事務所 n = 0.06A
学校(幼稚園・小中高) n = 0.30A(小中)など段階別
店舗(百貨店) n = 0.075A
飲食店(一般) n = 0.72A

A は延床面積(㎡)。n は人槽(人)。飲食店の係数が0.72と異常に大きいのは、客の利用と厨房排水が想定値より多いから。店舗系は人槽が想定外に大きくなるので、計画初期にしっかり計算しておかないと、設備容量が足りなくなります。

計算例

たとえば延床150㎡の戸建住宅なら、JIS A 3302で7人槽延床300㎡の事務所なら、0.06×300=18人槽。延床200㎡の飲食店なら、0.72×200=144人槽(端数切上)。同じ200㎡でも用途で人槽は20倍以上違うので、用途変更や増改築では再計算が必須です。

浄化槽の処理性能(BOD・SS)

浄化槽の性能は、放流水の水質基準で評価されます。

BOD と SS

指標 意味
BOD(生物化学的酸素要求量) 水中の有機物が分解されるときに消費される酸素量。多いほど水が汚い
SS(浮遊物質量) 水中の浮遊物(mg/L)。多いほど濁っている
BOD除去率 流入BODと放流BODの差を流入BODで割った百分率

構造別の処理性能

処理方式 BOD除去率 放流水BOD
嫌気ろ床接触ばっ気方式(小型) 90%以上 20mg/L以下
接触ばっ気方式(中規模) 85%以上 30mg/L以下
長時間ばっ気方式(大規模) 90%以上 20mg/L以下
窒素・リン除去型 90%以上+窒素20mg/L以下 高度処理

近年は閉鎖性水域(湖沼・内湾)での窒素・リン規制強化を受けて、高度処理型浄化槽の採用が増えています。設計図書に「高度処理型」と書いてあれば、通常の合併処理よりも一段上の性能が要求されているということ。

設置の流れと維持管理

施工管理として浄化槽の設置工事に関わるとき、押さえておきたい流れ。

①設計・選定

  • 人槽計算(JIS A 3302)
  • 処理方式選定(規模・用途・地域条例)
  • メーカー機種選定(FRP製/コンクリート製、設置スペース)
  • 放流先(側溝・河川・浸透)と放流水質の整合性

②設置届の提出

浄化槽法第5条に基づき、設置工事着手の30日前までに都道府県知事(または市町村長)に設置届を提出。設置届には浄化槽の構造・処理対象人員・設置場所等を記載します。

地域によっては確認申請(建築確認)と並行で提出するケースもあります。施工管理として工事スケジュールを組むときに、設置届の30日待機を忘れがちなので注意。

③設置工事

設置工事の主な流れは、

  1. 掘削:地盤を浄化槽サイズで掘り下げる
  2. 基礎打設:底面に均しコンクリート(捨てコン)
  3. 本体設置:FRPタンク等を吊り込んで設置
  4. 配管接続:建物からの汚水管、放流側の排水管接続。配管工事の基礎は別記事
  5. ブロワ電源:地上のブロワにAC100Vを供給。電源配線を電気設備と協議
  6. 埋戻し:必要な土被りを確保しながら埋戻し
  7. 試運転・水張り試験:満水試験で漏水確認
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④使用開始後の維持管理(浄化槽法)

項目 頻度 担当
保守点検 4ヶ月に1回(小型)/3〜6ヶ月(中大型) 浄化槽管理士
清掃 1年に1回以上 浄化槽清掃業者
法定検査(11条) 年1回 都道府県指定検査機関
使用開始時検査(7条) 設置後3〜8ヶ月以内 都道府県指定検査機関

これらは浄化槽管理者(建物所有者)の法定義務。違反すると30万円以下の罰金(浄化槽法第65条)。施工管理として引き渡し時に保守点検契約書のひな形を施主に渡しておくと、トラブルが減ります。

施工管理として注意すべきポイント

浄化槽工事で施工管理として見落としがちなポイントを整理します。

①ブロワ電源の確保

合併処理の小型浄化槽は地上設置のブロワ(送風機)でばっ気しています。このブロワにAC100Vを24時間365日通電しないと、微生物が死んで処理性能ゼロ。屋外コンセントを浄化槽近くに配置しておくのが鉄則。電気設備設計の段階で抜けると、後から専用回線を増設するハメになります。

②放流先との取り合い

放流先(側溝・河川・道路側溝)の管底高さと、浄化槽の放流口高さの関係を必ず確認。放流口が側溝管底より低いと自然流下できず、圧送ポンプの追加が必要になります。これは敷地高低差を測量する段階で気付かないと、後から対応するのは大変。

③土被りの確保

浄化槽のFRPタンクは車両通行部に設置するなら必要な土被りを取らないと割れます。メーカー指定の土被り(一般部0.3m以上、車両通行部0.6m以上)を必ず確保。駐車場下に埋設するときは、強化型タンクの選定が必要です。

④設置届と検査の対応

  • 設置届:着工30日前提出
  • 使用開始届:使用開始後10日以内
  • 7条検査:使用開始3〜8ヶ月以内(指定検査機関に依頼)

これらの届出窓口は自治体ごとに違う(土木事務所/環境課/保健所)ので、早めに確認しておく。

⑤施主への保守契約引継ぎ

浄化槽は設置して終わりではなく、維持管理が始まる設備。施主が「浄化槽あること自体を忘れている」というのが最悪のパターンで、ブロワ停止→処理性能低下→悪臭→近隣クレーム、というトラブルが起きます。引き渡し時に保守点検業者を紹介して契約してもらうのが、施工管理側の最後の仕事です。

浄化槽の種類に関する情報まとめ

  • 浄化槽とは:し尿と雑排水を微生物で処理する個別処理設備(浄化槽法)
  • 大分類:合併処理(し尿+雑排水)と単独処理(し尿のみ、新設禁止)
  • 構造別:嫌気ろ床接触ばっ気/接触ばっ気/回転板接触/長時間ばっ気/標準活性汚泥
  • 戸建住宅の主流:合併処理5〜7人槽の嫌気ろ床接触ばっ気方式
  • 人槽算定:JIS A 3302。住宅は5〜7人、事務所は0.06A、飲食店は0.72A
  • 処理性能:BOD除去率90%以上が標準、放流水BOD 20mg/L以下
  • 設置届:着工30日前提出(浄化槽法第5条)
  • 維持管理:保守点検4ヶ月に1回/清掃年1回/法定検査年1回

以上が浄化槽の種類に関する情報のまとめです。

浄化槽は、「設置して放置すると性能ゼロ」という、設備の中でも特に維持管理依存度が高い装置です。施工管理として図面に「合併7人槽」と書かれていたら、JIS人槽算定が用途と一致しているか・ブロワ電源が確保されているか・放流先の管底高さが取れているか・設置届の30日待機が工程に組み込まれているか、この4点を計画初期に押さえると、引き渡し後の保守点検契約までスムーズに繋がります。一通り浄化槽の基礎知識は理解できたかと思います。

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