- 高強度コンクリートってどこからが「高強度」?
- 普通コンクリートと何が違うの?
- Fc60やFc80って具体的にどんな配合?
- 超高層ビル以外でも使うの?
- 製造・打設で普通コンと違う注意点は?
- 認定(指定建築材料)とは?
上記の様な悩みを解決します。
高強度コンクリートは、超高層ビル・耐震壁・PC(プレキャスト)部材などで採用される特殊なコンクリートで、Fc60・Fc80・Fc100といった文字を構造計算書で見つけた瞬間、施工管理側に特別な品質管理体制が要求される、というシグナル。普通コンクリートと同じ感覚で扱うと、ひび割れ・コールドジョイント・自己収縮による亀裂などのトラブルにつながるので、配合・運搬・打設のどこに気をつけるべきかを整理しておくことが重要です。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
高強度コンクリートとは?
高強度コンクリートとは、結論「設計基準強度Fcが36N/mm²を超えるコンクリート」のことです。
JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)では、コンクリートの呼び強度は18〜45まで規定されていますが、それを超える強度(呼び強度50以上)は「高強度コンクリート」「超高強度コンクリート」と呼び分けられ、品質保証の体系も別になります。
→ ざっくり、「Fc36超の特別認定が必要なコンクリート」が高強度コンクリート、というイメージです。
強度区分の分類
| 区分 | 設計基準強度Fc(N/mm²) | 規格・基準 |
|---|---|---|
| 普通コンクリート | 18〜36 | JIS A 5308 |
| 高強度コンクリート | 36〜60 | 国土交通大臣認定(指定建築材料) |
| 超高強度コンクリート | 60超〜100 | 同上 |
| 最高強度クラス | 100超〜200 | 個別案件ごとの認定 |
「高強度コンクリート=普通レベルを超えた性能領域」という捉え方をすると整理しやすいです。
指定建築材料という位置付け
Fc36を超えるコンクリートは建築基準法第37条の「指定建築材料」に該当し、国土交通大臣の認定またはJIS規格適合品であることが求められます。つまり「現場で勝手に配合を決めて打つ」ことができず、事前に認定を取った配合のみ使用可能という法的縛りが入ります。
レミコン(生コン)の基本については別記事を参照してください。

普通コンクリートとの違い
高強度と普通コンクリートの違いを構造的・施工的に整理します。
配合の違い
| 項目 | 普通コンクリート(Fc24) | 高強度コンクリート(Fc60) |
|---|---|---|
| セメント量 | 約280〜320 kg/m³ | 約450〜500 kg/m³ |
| 水セメント比 | 60%前後 | 30〜35% |
| 単位水量 | 約170 kg/m³ | 約160 kg/m³ |
| 混和材 | フライアッシュ等(任意) | シリカフューム必須級 |
| スランプ | 18〜21 cm | スランプフローで管理(55〜65 cm) |
| 粗骨材最大寸法 | 25 mm | 20 mm以下が一般的 |
水セメント比が30〜35%というのが高強度コンクリートの肝で、ここが普通コンクリートの倍近い「水を絞った」状態になります。水を絞る→流動性が悪化→施工性低下を打ち破るため、高性能AE減水剤(流動化剤)を大量に使うのが特徴です。
性能の違い
性能面での違いは、圧縮強度(普通の2倍前後)、引張強度(圧縮の1/10程度の関係は同じ。ただし絶対値は上がる)、ヤング係数(高強度ほど大きいが強度比ほどは伸びない)、自己収縮(高強度ほど大きい=水セメント比が小さく水分が少ないため)、クリープ(高強度ほど小さい)、流動性(スランプフローで管理=自己充填性の高さが特徴)、というあたり。
単位水量を絞り、セメント量を増やすという配合は、強度は上がるが水和熱・自己収縮・流動性管理という別の課題を抱え込むことになる、というトレードオフがあるんですね。水セメント比の話は別記事でも整理しています。

高強度コンクリートの種類と規格
実務では「Fc60」「Fc80」のような呼び方をしますが、これは設計基準強度です。納入時の呼び強度はFcに割増した値で発注され、構造体強度補正値(mSn、mSr)が加算されます。
代表的なグレード
| グレード | 設計基準強度Fc | 主な用途 |
|---|---|---|
| Fc36〜45 | 中強度〜高強度入口 | 一般RC造の柱(高層階)、耐震壁 |
| Fc48〜60 | 高強度の主流 | 超高層ビルの低層階柱、PC部材 |
| Fc70〜80 | 超高強度入口 | 超高層ビルの基礎・低層階柱 |
| Fc100以上 | 超高強度 | 特殊用途、大スパン・極厚柱 |
メーカー独自配合と認定
各レミコン工場・大手ゼネコンの研究所では、国交大臣認定を取得した独自配合を持っており、それぞれ商品名で展開されています。Fc60〜100クラスはシリカフュームやガラス質微粉末などの混和材を組み合わせ、緻密性と流動性を両立させた設計になっているのが一般的。
施工管理として現場で確認すべきは、「国交大臣認定書」または「JIS適合証明書」を、レミコン工場・ゼネコン研究所から事前に提示してもらうこと。これがないと、構造設計者の意図する強度を保証できないため、確認申請通りの配合にならず、最悪の場合、確認申請をやり直す事態にもなりかねません。
ミルシート的な書類管理の話は別記事もどうぞ。

高強度コンクリートの主な用途
なぜわざわざコストの高い高強度コンクリートを使うのか、用途別に整理します。
超高層・耐震壁・PC部材
超高層ビルでは、低層階の柱断面をスリム化できる(強度が高い分、断面が小さくて済む)、室内の有効面積が広がり賃料収入や住戸面積の効率が上がる、外周柱でFc100クラスを採用し住戸内の柱型を圧迫しない設計が可能、というメリットがあります。
耐震壁・耐震要素では、高い圧縮強度でせん断耐力が増す、耐震壁の壁厚を抑えながら必要な耐力を確保できる、制震ダンパーの取付け部や免震構造のRC支持部材、というあたりで活用されます。
PC(プレキャスト)部材では、工場製造のPC部材で型枠脱型を早めたいため初期強度が出る高強度配合を採用、PCを使った現場打ちとの一体化部材、というケースが代表的。
極厚部材・特殊用途
極厚部材・基礎としては、超高層ビルの基礎マットスラブ、大型橋梁の橋脚、ダム・原子力施設など極端な耐久性・安全性を要求される構造物、というあたり。
特殊用途では、高層複合ビルのコア壁(エレベーター・階段室周辺)、アンボンドプレストレストコンクリート部材、ハーフPC(ハーフプレキャスト)梁・スラブ、というあたりで使われます。
→ 要するに「材料単価は高くても、断面を小さくできる→空間が広がる→経済性が出る」というロジックが効く場面で採用されるわけです。普通の戸建て住宅で高強度コンクリートを使うことはまずないですね。
施工管理での注意点
ここからが現場の本題。高強度コンクリートを施工するときの特別な配慮点を整理します。
製造・運搬・受入検査
製造・運搬時の注意としては、製造工場の選定(認定配合を持つ工場のみ・距離・運搬時間も含めて事前計画必須)、運搬時間(JIS A 5308では製造から打設完了まで90分以内が原則・高強度では60分以内を目標にすることが多い)、工場でのチェック(配合計画書・計量記録・スランプフロー試験・空気量試験)、アジテータ車のドラム回転速度(製造後の追練りを抑えるため現場到着まで適切なrpmで管理)、というあたり。
現場到着後の受入検査は、スランプフローの実測(55〜65cm目標・許容±5cm)、空気量・コンクリート温度、塩化物含有量(0.30 kg/m³以下=一般工事の基準)、テストピース採取(標準養生体・現場水中養生体・現場封かん養生体それぞれの採取)、というところ。通常コンと違い、スランプ試験ではなくスランプフロー試験で流動性を管理するので、試験器具・試験要領を事前に共有しておく必要があります。
打設・養生
打設時の注意は、打設順序(低い位置から順番に・高強度は流動性が高いため自己充填性に頼って自由打設になりがちだがコールドジョイントには要注意)、自由落下高さ(配筋が密集する部位で材料分離を起こしやすい・1.5m以下を目安に)、バイブレータ(高強度は粘性が高いのでバイブレータ使用は最小限にしてもOK=自己充填性に任せる・過度な振動は材料分離を招く)、打継ぎ時間(上下打継ぎは初期凝結前=夏で60〜90分以内に・長引かせない)、温度管理(水和熱が高いためマスコンクリート対策=プレクーリング・ポストクーリングが必要なケースもある)、というあたり。
養生時の注意は、湿潤養生(高強度は自己収縮による初期ひび割れリスクが高い・湿潤養生を10〜14日としっかり実施)、温度ひび割れ(内部温度上昇と表面温度差による応力でひび割れが発生しやすい)、養生期間(強度発現は早いが型枠脱型は構造設計者の指示に従うこと)、というあたり。マスコンクリート関連の話は別記事もどうぞ。

現場で失敗しがちなポイント
現場サイドで失敗しがちなポイントは、「スランプ試験」と思って試験要領を準備していたらスランプフロー試験が必要だったというポカ、認定外の工場からレミコンを発注してしまう、試験ピースの採取本数が足りない(高強度は採取本数が増えることが多い)、バイブレータをかけすぎて材料分離を起こす、真夏に打設時間を守れず急結する、というあたり。
→ 「普通コンクリートの感覚で扱うと事故になる」ことを現場全体で共有しておくのが、高強度を扱う上での最重要ポイントですね。
高強度コンクリートに関する情報まとめ
- 高強度コンクリート:設計基準強度Fcが36N/mm²超のコンクリート
- 指定建築材料:建築基準法第37条で大臣認定またはJIS適合が必要
- 配合の特徴:水セメント比30〜35%、セメント量450〜500kg、シリカフューム使用
- 管理項目:スランプフロー(55〜65cm)、塩化物含有量、空気量、温度
- 主な用途:超高層ビル低層階柱、耐震壁、PC部材、極厚部材、基礎マット
- 製造から打設:60〜90分以内に完了
- 打設時の注意:自由落下1.5m以下、バイブレータ最小限、コールドジョイント防止
- 養生:湿潤10〜14日、自己収縮対策、マスコン対応
以上が高強度コンクリートに関する情報のまとめです。
高強度コンクリートは「強度が高い特別なコンクリート」というより、設計・配合・製造・運搬・打設・養生のすべてが普通コンクリートとは別物という認識でかかるのが正解。施工管理として現場に立つときは、国交大臣認定書の確認、運搬時間の徹底管理、スランプフロー試験の準備、湿潤養生の確保の4点を最低限押さえれば、大きな事故は防げます。Fcの数字が大きい現場ほど、事前計画と検査体制の手厚さが品質を決めますね。
合わせて読みたい関連記事はこちら。








