- ウェブとフランジって何?
- どうやって見分けるの?
- なんで役割が違うの?
- H形鋼以外でも出てくる用語?
- 厚みって何mm刻みで決まってる?
- 現場の検査ではどこを見るの?
上記の様な悩みを解決します。
ウェブとフランジは、H形鋼やI形鋼などの形鋼を理解するうえでまず最初に出てくる超基本用語です。鉄骨の梁や柱に毎日触れる施工管理者にとっては「なぜこの形なのか」「どこに応力が走っているのか」を理解する出発点になるので、ここでまとめておきましょう。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
ウェブとフランジとは?
ウェブとフランジとは、結論「H形鋼などの形鋼を構成する2つの部位の名称」のことです。それぞれを一言でいうと次のとおり。
- ウェブ(web):H形鋼の真ん中の縦の板。柱で言えば「壁」、梁で言えば「上下のフランジを繋ぐ縦リブ」の役割
- フランジ(flange):H形鋼の上下にある横長の板。柱で言えば「天井と床」、梁で言えば「曲げモーメントを負担する主役」
H形鋼を真横から見たとき、上の横棒(フランジ)と下の横棒(フランジ)を、真ん中の縦棒(ウェブ)が繋いでいるイメージ。アルファベットの「H」をそのまま部材にしたような形ですね。
英語の語源を見ると、ウェブは「クモの巣(spider web)」のweb、つまり「面」のニュアンス。フランジは「鍔(つば)」「つば付きの縁」を意味するflange。形を観察するとどっちがどっちか覚えやすいです。
似たような部材構成は、I形鋼・C形鋼(C型チャンネル)・Lアングルなどでもあり、その都度「フランジ」「ウェブ」の用語が使われます。

ウェブとフランジの違い(一覧表)
ぱっと比較できる形で整理しておきます。施工図や材料表を読むときに役立つ早見表として使ってください。
| 項目 | ウェブ | フランジ |
|---|---|---|
| 位置 | H形鋼の中央(縦の板) | H形鋼の上下(横の板) |
| 形 | 縦長の薄い板 | 横長で厚めの板 |
| 主な役割 | せん断応力を負担 | 曲げモーメントを負担 |
| 厚み | 比較的薄い(5〜25mm程度) | 比較的厚い(8〜50mm程度) |
| 加工対象 | スカラップ、ボルト穴 | 高力ボルト接合面、開先加工 |
| 構造計算上 | せん断検定の主役 | 曲げ検定の主役 |
ぱっと見の違いは「向き(縦か横か)」と「厚み(薄いか厚いか)」。役割の違いは「曲げ vs せん断」。この2軸で覚えてしまうと、構造計算書を読むスピードが上がります。
ウェブとフランジの役割分担(応力の流れ)
「なぜ役割が違うのか?」を応力の観点で押さえると、構造計算書の数字が腑に落ちます。
梁に荷重がかかったときの応力分布
水平に渡した梁の上に荷重が乗ると、梁の中には次の2種類の応力が走ります。
- 曲げ応力:梁の上下端で最大、中立軸でゼロ
- せん断応力:梁の中立軸で最大、上下端でゼロ
つまり、上下端(フランジ位置)には大きな曲げ応力が走り、中央(ウェブ位置)には大きなせん断応力が走る。これに合わせて材料を配置すると、上下端は厚く(フランジ)、中央は薄く(ウェブ)するのが合理的、という結論になります。
「H形鋼の形には、応力分布に合わせた最適な材料配置という物理的な必然がある」というわけ。中をくり抜いた箱型より、必要な所だけに材料を残したH形鋼のほうが、曲げ・せん断のコスパが良い。
フランジは曲げの主役
曲げモーメントを受ける梁では、上下端が圧縮と引張に振れます。フランジを上下に厚く配置することで、断面の縁(重要なところ)に材料を集めて、効率的に曲げを抑え込むことができます。
「断面係数(Z)」「断面二次モーメント(I)」という構造計算の基本指標も、断面の縁に材料があるほど大きな値になる仕組み。H形鋼が梁に使われる理由はここです。
ウェブはせん断の主役
H形鋼のせん断検定では、ほぼウェブだけでせん断力に抵抗すると考えるのが構造計算の標準。フランジは曲げに使い、ウェブはせん断に使う、という役割分担が完全に分かれます。
ウェブ厚が薄すぎると、せん断応力で「ウェブ座屈」(縦方向にしわが寄る現象)が発生する。これを防ぐためにスチフナー(ウェブを縦に補強するリブ)を設けることがあるので、施工図で「スチフナー位置」を見たときは「ここはせん断応力が大きい場所」と読めるようになります。

代表的な型鋼での「ウェブ」「フランジ」
H形鋼以外でもこの用語は登場します。混同しやすいので一覧で整理。
| 形鋼 | ウェブ | フランジ |
|---|---|---|
| H形鋼 | 中央の縦板 | 上下の横板(左右が同じ長さ) |
| I形鋼(Iビーム) | 中央の縦板 | 上下の横板(H形より幅が狭く厚みも薄め) |
| C形鋼(リップ溝形鋼) | 縦の板 | 上下の短い水平板(リップ付き) |
| Lアングル | (該当なし) | 2枚の板が直角に組まれた構成 |
| 角形鋼管 | 4枚の板で構成(個別名はあまり使わない) | (同上) |
I形鋼はH形鋼より古いタイプで、フランジが内側に向かってテーパー状に薄くなっています。今はほとんどH形鋼が使われていますが、既存の建物の改修ではI形鋼が出てくることがあるので、見分けられるように。



H形鋼の寸法表記とフランジ厚・ウェブ厚
H形鋼は次のような4つの寸法で表記されます。
H-A × B × t1 × t2
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| A | 高さ(梁せい、フランジ間の外寸) |
| B | フランジ幅 |
| t1 | ウェブ厚 |
| t2 | フランジ厚 |
たとえば「H-400×200×8×13」と書かれていたら、高さ400mm、フランジ幅200mm、ウェブ厚8mm、フランジ厚13mm。「ヨンマル・ニーマル・ハチ・ジュウサン」と読むのが一般的ですね。
H形鋼には「細幅」「中幅」「広幅」のシリーズがあり、それぞれフランジ幅とウェブ厚のバランスが違います。
- 細幅(H-400×200):梁向き(曲げ抵抗を高さで稼ぐ)
- 中幅(H-300×300):梁にも柱にも
- 広幅(H-400×400):柱向き(弱軸方向の座屈に強くする)
設計者がフランジ幅を決めるときは「梁か柱か」「弱軸方向の座屈をどこまで気にするか」で選んでいます。
加工と検査ポイント
施工管理が現場で「ウェブ」「フランジ」を意識する場面を整理します。
①工場での加工
鉄骨工場では、H形鋼にいろいろな加工が入ります。
- スカラップ:ウェブの隅を扇形にカットする加工。フランジの溶接金属とウェブの溶接金属が干渉しないようにする目的
- 開先加工:フランジの端部に45度のV形断面を作る加工。突合せ溶接の準備
- 高力ボルト穴:フランジ・ウェブの両方にあけられる
- スチフナー:ウェブを補強する縦のリブ材を溶接する
工場でのこれらの加工が、現場の精度と工程に直結します。製品検査では、フランジ厚・ウェブ厚を実測することはほぼありませんが(規格品なので)、開先角度・スカラップ寸法・高力ボルト穴位置は寸法精度を厳しくチェックする項目です。
②現場での施工管理ポイント
- 高力ボルトの摩擦面:フランジ・ウェブ両方の接合面の摩擦面処理(黒皮除去・浮き錆処理)が規定どおりか
- 溶接部の検査:フランジの完全溶込み溶接の品質(外観、UT検査)が、梁の曲げ耐力を直接決める
- スチフナーの位置:図面通りの位置に、ウェブの両面に取り付いているか
- ウェブのスカラップ部:割れや変形がないか
- 取付精度:フランジの傾き、ウェブの倒れが許容範囲内か
特に高力ボルト接合のフランジ面は、トルク管理がそのまま接合部の安全性に直結します。「マークの回転角」「軸力検査」「目視」で締付完了を確認する流れが標準です。

③設備配管の貫通
電気・設備の配管が梁を貫通するとき、貫通位置はウェブが原則。フランジを貫通させることは構造的にNGです。理由は、フランジは曲げの主役なので穴を空けると断面性能が大きく落ちるから。一方、ウェブは穴あけによる断面性能の低下が比較的小さく、補強板で対応できる範囲も広いんです。
「梁貫通スリーブはウェブの中央付近に、補強板つきで」というのが標準的なルールですね。
僕も電気施工管理時代、配管ルートの再検討でフランジ貫通を一瞬考えたことがありますが、構造担当に瞬殺されました。原則ウェブ、と覚えておいて損はないです。

ウェブとフランジに関する情報まとめ
- ウェブとは:H形鋼の中央の縦板。せん断応力の主役
- フランジとは:H形鋼の上下の横板。曲げモーメントの主役
- 違い:位置(縦/横)、厚み(薄い/厚い)、役割(せん断/曲げ)
- 形鋼ごとの呼び方:H形鋼、I形鋼、C形鋼、Lアングルでそれぞれ呼ばれる
- 寸法表記:H-A×B×t1×t2 のt1がウェブ厚、t2がフランジ厚
- 検査ポイント:高力ボルト摩擦面、フランジ溶接部、スチフナー位置、貫通スリーブ位置
以上がウェブとフランジに関する情報のまとめです。
H形鋼の「H」の形には、応力分布に合わせて材料を配置するという物理的な必然があります。ウェブとフランジが役割分担しているのを意識できると、構造計算書の「曲げ検定」「せん断検定」の数字の意味が一段クリアになります。施工管理の現場では、フランジ=曲げ・ウェブ=せん断のセットを基本動作として頭に入れておくと、加工図・施工図・検査の判断がスムーズになりますね。







