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スタッド溶接とは?仕組み、機械、フェルール、検査方法など

  • スタッド溶接ってなに?
  • どんな仕組みで溶接してるの?
  • 溶接機ってどんなやつ?
  • フェルールってなんで使うの?
  • 検査はどうやるの?
  • 不良があったらどう直すの?

上記の様な悩みを解決します。

スタッド溶接は鉄骨造の合成スラブで欠かせない接合技術で、現場で初めて見るとビカッと一瞬で打ち付ける派手な工程なんですよね。仕組みを知らないと「なんで一瞬で溶接できるの?」「あの白いセラミックは何?」と疑問だらけになります。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

スタッド溶接とは?

スタッド溶接とは、結論「スタッド(頭付きボルト)を母材に瞬間的にアーク放電で溶かして突き当て、一発で溶接する工法」のことです。

通常の被覆アーク溶接が「溶接棒を手で動かしながら数十秒〜数分かけて接合する」のに対し、スタッド溶接は「スタッド先端と母材の間に約0.3〜1秒のアーク放電を発生させ、両方を溶融させた瞬間にスタッドを押し付けて一体化する」という超短時間プロセス。一発勝負ですが、その分施工速度が圧倒的に速いのが特徴です。

主な用途:

  • 合成スラブ:鉄骨梁の上面にスタッドを溶接し、コンクリートと一体化させて床スラブの構造性能を出す(最大の用途)
  • 耐火被覆下地:耐火被覆の固定用ピンの溶接
  • 配管・ダクトの吊り材:天井から吊るす設備の支持金物固定

合成スラブの全体像についてはhttps://seko-kanri.com/slab/ や、デッキプレート側の解説も合わせて読むと、なぜスタッドが必要なのかが見えてきます。

スタッド溶接の仕組み

スタッド溶接の基本的なシーケンスは以下のような流れです。

1. 接触

スタッドガンの先端にスタッドを取り付け、母材(鉄骨梁の上フランジなど)に押し当てる。

2. リフト(持ち上げ)

トリガーを引くと、スタッドが瞬間的に数mmだけ持ち上がり、スタッドと母材の間に隙間ができる。同時に大電流が流れてアークが発生。

3. アーク放電

数百〜数千アンペアの大電流が0.1〜1秒程度流れ、スタッド先端と母材表面が一気に溶融。

4. プランジ(押し込み)

通電を切ると同時に、ガンの内部スプリングでスタッドが母材に向けて押し込まれる。

5. 凝固

溶融金属が冷えて凝固し、スタッドと母材が一体化。アークの周囲ではセラミック製の「フェルール」が溶融金属を保持して、ビードの形を整える役目を果たす。

このアーク放電の原理自体はhttps://seko-kanri.com/ark/ で扱うアーク放電と同じものですが、スタッド溶接では制御された短時間の大電流が使われるところが特徴です。

ポイントは「スタッドと母材の両方が溶けて混ざる」こと。これを「一体化」と呼んでいて、単なる接着ではなく金属組織レベルで結合するため、スタッド母材と同等の引張強度が出ます。

スタッド溶接機(ガン)と関連設備

現場で使われるスタッド溶接設備は、ざっくり以下の構成です。

1. 電源装置(ウェルディングマシン)

直流アーク電源で、容量によって100A〜2000Aまで幅があります。スタッド径によって必要電流が変わるので、機械の選定はスタッド径に合わせて行います。

2. スタッドガン

オペレーターが手で持つ装置。トリガーでアークの発生タイミングとリフト/プランジを制御。先端には焼き付けやすい部分があるので、定期的なメンテナンスが必要。

3. スタッド

頭付き丸棒(ヘッドスタッド、ジベル)が標準。径はφ13、φ16、φ19、φ22 が一般的で、合成スラブ用にはφ16〜φ19が多く使われます。長さは50〜150mm程度のラインナップ。

4. フェルール

セラミック(耐火粘土)製の白いリング。詳しくは次セクションで解説します。

5. アーシングケーブル

母材にしっかりアースを取らないとアークが安定しません。錆びた鉄骨にアースをかませると電流が流れず、不良の原因になるので、グラインダーで削って金属面を出してから取り付け。

6. 専用リード(一次・二次ケーブル)

大電流を流すので、ケーブルは太いものを使用。長さも限られていて、母材から20m以上離すと電圧降下で品質に影響します。

スタッド溶接機には専門技能が要求されるため、施工はメーカー認定や日本建築学会の技能試験合格者が行うのが一般的です。

フェルールの役割

スタッド溶接で必ず使うのが「フェルール」と呼ばれる白いセラミックリング。これがなぜ必要なのかというと、4つの重要な役割があるからです。

1. アークの集中(集弧効果)

アークがフェルールの内側に閉じ込められて集中するため、効率よく母材を溶かせます。

2. 溶融金属の流出防止

ドロドロに溶けた金属が周囲に飛び散らず、フェルール内側に留まるため、ビード形状がきれいに整います。

3. 大気との遮断(シールド効果)

溶融金属が大気中の酸素と反応して酸化するのを防ぎ、健全な溶接部を作る。アーク溶接でいうとフラックスやシールドガスに相当する役割。

4. 周囲への熱・スパッタ拡散防止

熱や火花が広がるのを抑えて、近くの仕上材や設備への二次被害を防止。

施工後はフェルールを軽くハンマーで叩くとパキッと割れて取り外せます。割らずにそのまま残すと耐火被覆や塗装の付着不良の原因になるので、必ず除去するのが基本動作。

なお、フェルールはスタッド径ごとに専用品なので、現場でサイズ違いを使うとアーク不安定→不良につながります。荷札と現物を必ず確認すること。

スタッド溶接の検査

スタッド溶接の品質確認は、外観検査と機械的検査の2段構えで行います。

1. 外観検査(全数実施)

  • ビードの形状(フェルールに沿った円形のビードが全周に出ているか)
  • ビード高さ・幅(カタログ値に対して概ねOKか)
  • アンダーカット・オーバーラップの有無
  • スタッドの傾き(垂直に立っているか)

明らかにビードが片寄っていたり、フェルール内側まで溶けていない(割れ・空隙)状態は不合格。

2. 打撃試験(曲げ試験、抜き取り)

ハンマーで横方向に叩いて、スタッドを母材に対して30°〜45°曲げる試験。曲げた後にスタッド本体が折れる、または溶接部から外れる場合は不合格。逆に、母材が変形してもスタッドが折れない・外れない場合は健全と判定します。

抜き取り頻度は通常、全数の3〜5%程度。ただし不合格が出た場合は、その日の同じ施工者・同じ条件のロットを全数追加検査する流れになります。

3. 引張試験(必要時)

第三者機関でテストピースを引張試験し、規定の強度(スタッド母材の引張強さ以上)が出ているかを確認。新しい施工チーム・初めて使うロットなどで実施。

検査記録は「スタッド施工要領書」に基づいて、施工日・施工者・電流値・電圧・打数・検査結果を残しておくのが標準。後日トラブルがあった際の根拠資料になるので、ここを丁寧にやっておくと施工管理として救われる場面が多いです。

スタッド溶接の不良例と是正

代表的な不良パターンと対処を整理しておきます。

不良内容 原因 是正方法
ビードが片寄る アースの取り方が悪い、母材が傾いている アース見直し、母材水平確認
ビードが小さい・割れ 電流不足、通電時間不足 電源設定の見直し、電源容量UP
アンダーカット 電流過大、押し込み力不足 電流調整、ガン押付力確認
スタッド傾き ガンが垂直でない、母材変形 治具使用、垂直度マーキング
フェルール割れ・欠け サイズ違い、品質不良 サイズ確認、別ロットへ変更

不良が出た場合の是正は、原則「不良スタッドを取り外して、隣接位置に新規スタッドを再溶接」が標準。元の位置に再施工はしません。これは元位置の母材が一度溶けて熱影響を受けているため、再溶接しても所定品質が出ないからですね。

是正記録もきちんと残し、構造設計者・元請の確認を経て進めるのが原則。「現場の判断で隣に打っちゃった」では、後の構造監理でやり直しになる可能性があります。

スタッド溶接に関する情報まとめ

  • スタッド溶接とは:頭付きボルトを瞬間的なアーク放電で母材に溶接する工法
  • 仕組み:接触→リフト→アーク放電→プランジ→凝固の5ステップ、約0.3〜1秒で完了
  • 設備:電源装置、スタッドガン、スタッド、フェルール、アーシングケーブル
  • フェルールの役割:集弧、溶融金属の保持、シールド、熱・スパッタ拡散防止
  • 検査:外観全数検査+打撃試験(30〜45°曲げ)抜き取り+必要時の引張試験
  • 不良対応:不良位置を取り外し、隣接位置に新規再溶接、施工記録を残す

以上がスタッド溶接に関する情報のまとめです。

スタッド溶接は一発で決まる派手な工程ですが、その裏では電流設定・ガン姿勢・アース・フェルールといった細かな要素が品質を支えています。施工管理としては、要領書ベースの管理と検査記録の積み上げが、合成スラブの構造性能を保証する一番の決め手になりますね。

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