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SM材とは?溶接構造用圧延鋼材、SM400、SM490、規格など

  • SM材って何の略?
  • SS400と何が違うの?
  • SM400・SM490・SM520の使い分けは?
  • A、B、Cの記号は何を意味する?
  • 建築で使うのと橋梁で使うのとで違う?
  • 現場で何をチェックすればいい?

上記の様な悩みを解決します。

鉄骨製作要領書を読むと「主要部材:SM490A」「ガセットプレート:SS400」のように、SS と SM が同じ図面に混在しています。「どっちも『S』で始まるから似たようなもんだろう」と読み流しがちですが、実は SM材は『溶接』に最適化された鋼材 で、橋梁や中高層建築の主要部材を支える主役級の材料です。今回は SM 材の正体と、SS400・SN材との使い分けを施工管理視点で整理してみます。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

SM材(溶接構造用圧延鋼材)とは?

SM材とは、結論「JIS G 3106 で規定された、溶接性を担保した構造用圧延鋼 のこと」です。

「S」は Steel、「M」は Marine(船舶・海洋構造)から来ていて、もともとは造船向けの溶接構造用鋼として規格化されたのが始まり。現在では橋梁・鉄塔・中高層建築・産業プラントなど、溶接が前提となる構造物の鋼材 として広く使われています。

SM材の主な鋼種(JIS G 3106)

鋼種 引張強さ [N/mm²] 主な用途
SM400A/B/C 400〜510 一般的な溶接構造、軽量建築
SM490A/B/C 490〜610 中高層建築、橋梁、鉄塔
SM490YA/YB 490〜610(高降伏点) 中高層建築の柱・梁
SM520B/C 520〜640 高強度橋梁
SM570 570〜720 大型橋梁、特殊構造

ポイントは「数字=引張強さの最低保証値」。SM400 なら 400 N/mm² 以上、SM490 なら 490 N/mm² 以上の引張強さが、JIS で保証されているということです。

SM材の特徴

  • 化学成分が管理されている:C(炭素)、Si(ケイ素)、Mn(マンガン)、P(リン)、S(硫黄)の上限値が決まっており、溶接時の割れリスクが低い
  • 衝撃靱性が保証(B、C グレード):低温でも靱性が落ちないことが規格内で保証される
  • 降伏比の制約:降伏点 ÷ 引張強さの比率が一定範囲内に収まる

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SM400、SM490、SM520の使い分け

「同じ SM 材でも、どれを使えばいいの?」と迷ったときの目安です。

鋼種別の許容応力度(長期)

鋼種 引張強さ [N/mm²] F値(基準強度)[N/mm²] 長期許容引張応力度 [N/mm²]
SM400 400〜510 235(板厚16mm以下は245) 156
SM490 490〜610 325(板厚40mm以下) 216
SM490Y 490〜610 365(高降伏点品) 243
SM520 520〜640 355 236
SM570 570〜720 460 306

用途別の選び方の目安

  • 小規模建築(〜2階建):SM400 でも十分。コスト優先
  • 中規模建築(3〜6階):SM490(梁・柱とも)
  • 中高層建築(7階以上):SM490Y(高降伏点品で梁せいを抑える)
  • 長スパン橋梁:SM520、SM570
  • 耐震要素(ブレース):SM490B 以上で衝撃靱性確保

「SM490 が建築鉄骨の標準」と言われる理由

SM490 は引張強さと加工性のバランスが良く、価格も SM400 とそれほど大きく変わらないため、コスト ÷ 強度効率 が最も優れる鋼種として標準的に選ばれます。SM400 を選んでも、サイズアップで重量が増えれば結果的に高くなる、という事情もあります。

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SS400・SN材との違い

SM 材と並んで建築でよく使われる SS400・SN材との違いをしっかり押さえておきましょう。

3つの鋼材規格の比較

項目 SS400(G 3101) SM400(G 3106) SN400(G 3136)
規格 一般構造用 溶接構造用 建築構造用
化学成分 規定が緩い(P・S のみ) C、Si、Mn 等を規定 より厳しく規定
衝撃試験 なし B、C グレードで規定 規定あり
降伏点上限 規定なし 規定なし 規定あり(耐震性)
炭素当量 規定なし 規定なし(高強度のみ) 規定あり(溶接性)
主な用途 軽微な部材、二次部材 橋梁、産業プラント、土木 建築の主要構造

SS400 → SM400 → SN400 の進化

  • SS400:化学成分の規定が緩く、ロットによって溶接性にバラつきがある
  • SM400:化学成分・衝撃靱性を規定。溶接性が安定
  • SN400:さらに 降伏点上限・炭素当量 も規定。建築の耐震設計に最適化

なぜ建築主要構造は SN 材に置き換わったか

1981年新耐震基準以降、建築は 「想定外の地震でも降伏点を超えた塑性変形で粘る」 設計思想に変わりました。ここで問題になったのが、SM490 でも「降伏点が高すぎる材料が紛れ込むと、ねばらずに脆性破壊する」リスクです。

そこで 1994年(阪神淡路大震災の前年)に 降伏点上限を規定した SN 材 が JIS 化され、建築主要構造の主役は SM 材から SN 材に移行しました。一方、橋梁や産業プラントなど 降伏点上限規定が不要な分野では SM 材が引き続き主役 です。

つまり「建築の柱・梁はSN490B」「橋梁・鉄塔は SM490A」という分業が生まれているわけですね。

衝撃グレード(A/B/C)の違い

SM材の鋼種記号の末尾に付く「A」「B」「C」は、衝撃靱性のグレード を表します。

衝撃試験(シャルピー衝撃試験)の温度と吸収エネルギー

グレード 試験温度 吸収エネルギー(最低保証)
A 規定なし 規定なし
B 0℃ 27 J 以上
C -5℃(低温域) 47 J 以上

用途別の目安

  • A グレード:屋内構造、温暖地域の二次部材
  • B グレード:屋外構造、橋梁、一般建築の主要部材
  • C グレード:寒冷地(北海道・東北・高層部)、耐震要素

実際の発注では「同じ価格なら B 以上」が安全側

A と B の価格差は5%程度なので、「設計が SM490A 指定でも、ファブの在庫が SM490B しかなく、価格差負担なしで B 納入」というケースはよくあります。グレードアップは安全側なので問題ありませんが、ミルシートと現品の刻印を照合し、設計担当者にも報告 しておくのが原則です。

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建築でのSM材の使われ方

SN 材が建築主要構造の主役になったとはいえ、SM 材は今でも建築の至る所で使われています。

建築での主な SM 材の使い道

部位 よく使う鋼種
ガセットプレート(接合用) SM490B
ベースプレート SM490B、SM520B
スプライスプレート SM490B
補強材(スチフナー) SM490A/B
ダイヤフラム SM490B、SM490YB
屋根の長スパントラス SM490B、SM520
鉄骨階段の踏板支持材 SM490A
鉄塔・通信塔 SM400B、SM490A

主要構造部材(柱・梁)は SN 材で、それ以外の 副次部材・接合用プレート・付帯鉄骨 に SM 材が活躍する、という棲み分けが一般的です。

「SM490C」がたまに指定される現場

寒冷地の屋外鉄骨や、橋梁の主桁などでは、靱性確保のため SM490C が指定されることがあります。SM490B より価格が10〜15% 高くなりますが、低温脆性破壊のリスクを下げる効果は大きいです。

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SM材に関する施工管理の注意点

最後に、現場で押さえておきたい注意点をまとめます。

注意点①:「SM」と「SS」の刻印を必ず照合

工場ファブの倉庫では、SS400 と SM490 の H 形鋼が外観上ほぼ区別がつきません。ロール刻印(H 形鋼のフランジ側面に刻まれた鋼種記号) とミルシートを必ず突き合わせて確認しましょう。「SM490B」の刻印は「SM490B」と打刻されている、というシンプルな確認ですが、ここを省略すると鋼種違いで主要構造が組み上がるリスクがあります。

注意点②:衝撃グレードの確認

ミルシートに「シャルピー吸収エネルギー:0℃ 35J」と記載されていれば SM490B 相当、「-5℃ 50J」なら SM490C 相当の証明になります。グレードと試験温度の組み合わせを確認しましょう。

注意点③:溶接時の予熱が必要なケース

板厚が25mm を超える SM490 や、板厚を問わず SM520 以上では、溶接前の 予熱(80〜150℃) が必要なケースが多くあります。これは溶接時の急冷で硬化組織が形成され、低温割れが発生するのを防ぐためです。施工要領書の予熱条件は必ず守りましょう。

注意点④:板厚で F 値(基準強度)が変わる

SM490 は板厚 40mm 以下で F=325 ですが、板厚 40〜100mm では F=295、100〜160mm では F=275 と段階的に下がります。厚板の梁・柱では F 値の段階を意識した構造設計 が必要です。

中規模商業ビルの鉄骨工事で、製作要領書に「外周梁:SM490B、内周梁:SM490A」と区分指定されている現場を任されたことがあります。ファブ工場の現品確認で、内周梁の SM490A 在庫が足りず、職人さんから「同等品の SM490B で差し替えて良いか」と相談を受けました。引張強さも降伏点も同じで、B のほうが衝撃靱性が上なので一見問題なしに見えますが、「結露で湿る屋内梁の上に低温靱性過剰スペックの材料を入れるのは、コスト上の差異だけでなく『なぜ設計が A を指定したのか』が説明できない」と判断し、設計担当者に確認したうえで承認を取りました。後で聞くと、A 指定は「コストダウン狙い」だっただけで、B 差し替えはコスト負担なしで合意できました。鋼種の差し替えは技術的にOKでも、設計の意図を確認してから動く のが施工管理の基本ですね。

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SM材に関する情報まとめ

  • SM材とは:JIS G 3106 で規定された、溶接性を担保した構造用圧延鋼
  • 主な鋼種:SM400、SM490、SM490Y、SM520、SM570
  • 数字=引張強さの最低保証値(N/mm²)
  • A/B/C:衝撃靱性のグレード(B は 0℃、C は -5℃ で試験)
  • SS400 との違い:化学成分・衝撃靱性が管理され、溶接性が安定
  • SN材との違い:SM材は降伏点上限規定なし。建築主要構造は SN、橋梁・産業プラントは SM
  • 建築での出番:ガセットプレート、ベースプレート、ダイヤフラム、副次鉄骨
  • 施工注意:刻印照合、衝撃グレード確認、予熱、板厚別F値

以上が SM 材(溶接構造用圧延鋼材)に関する情報のまとめです。

SM 材は「溶接性が担保された汎用構造用鋼」の代表選手で、橋梁・鉄塔・産業プラントの主役。建築の世界では SN 材に主役を譲りつつも、付帯鉄骨や接合プレートでは今でも欠かせない存在です。SS400・SM400・SN400 の3兄弟を「どう違うのか」で説明できるようになると、鉄骨製作要領書の読み解きが一段スムーズになります。一通り SM 材に関する基礎知識は理解できたと思います。

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