- 応力ってなに?
- 力(荷重)と何が違うの?
- 単位はなぜN/mm²なの?
- 引張・圧縮・せん断・曲げの違いは?
- ひずみとはどう違う?
- 求め方の式が知りたい
- 試験で間違えやすいポイントは?
上記の様な悩みを解決します。
応力は構造力学のいちばん入口にある概念です。でも「応力=力」と思い込んでしまうと、許容応力度計算でつまずきますし、現場で「ここに応力がかかる」と雑に言うと荷重とごちゃ混ぜになってベテランから突っ込まれる単語でもあります。意味と単位、4種類の使い分けを一度きちんと整理しておきましょう。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
応力とは?
応力とは、結論「部材の内部で、単位面積あたりに発生している力」のことです。英語では stress、記号は σ(シグマ)や τ(タウ)を使います。
応力の最重要ポイントは「外から加わる力(荷重)」ではなく「部材の中で発生する力」で、単位面積あたりで計算する、というところ。荷重をP、断面積をAとすると、応力σは σ = P / A で出ます。
たとえば断面積100mm²の鋼棒を10kNで引っ張ると応力100 N/mm²、200mm²なら50 N/mm²。荷重は同じでも、太さで応力が変わる、というのが応力という量の本質です。
僕としては、応力は「部材内部で起きていることを表現する量」だと捉えていて、荷重と分けて捉える感覚が施工管理者にも必要だなと感じます。「ここに応力かかるからね」と言うとき、本当は「ここに大きな荷重がかかるから、断面が小さいと応力が許容を超えるね」という意味だったりするので、荷重と応力は分けて使うのが鉄則。
荷重そのものについてはこちらに詳しいです。

応力の単位
応力の単位はN/mm²(ニュートン毎平方ミリメートル)が基本です。
| 単位 | 意味 | 換算 |
|---|---|---|
| N/mm² | 1mm²あたりの力 | 建築・機械の標準 |
| MPa | メガパスカル | 1 MPa = 1 N/mm² |
| Pa | パスカル | 1 N/mm² = 10⁶ Pa |
| kgf/cm² | 旧単位 | 1 N/mm² ≒ 10.2 kgf/cm² |
N/mm² と MPa は数値として完全に同じ。SS400 の許容応力度156 N/mm² = 156 MPa、コンクリートFc24 = 24 N/mm²、旧単位 kgf/cm² は10で割って近似する、という関係。
応力の値は「数十〜数百 N/mm²」のオーダーが多いので、そこから外れた数字(例えば10,000とか)が出てきたら、まず単位の取り違いを疑うのがコツです。
応力の種類(4種)
部材にかかる応力は、力の向きと変形のしかたで4種類に分かれます。試験でも実務でも頻出。
- 引張応力(σt):σ = P / A、鉄筋・ブレースで支配的
- 圧縮応力(σc):σ = P / A(符号逆)、柱・コンクリートで支配的
- せん断応力(τ):τ = Q / A、ボルト・梁端のせん断
- 曲げ応力(σb):σb = M / Z、梁の設計で最重要
イメージで覚えるコツは、引張=物を両側から引っ張る、圧縮=物を両側から押し縮める、せん断=ボルトをハサミでチョキンと切る、曲げ=物差しの真ん中を押すと両端が反り上がる、という具合。
圧縮応力は細長い部材だと応力が許容内でも座屈が先に来るので注意です。

応力とひずみの違い
応力(σ)と並んでよく出てくるのが「ひずみ(ε)」です。混同されがちですが、別物です。
| 項目 | 応力 σ | ひずみ ε |
|---|---|---|
| 何を表す | 単位面積あたりの力 | 単位長さあたりの変形 |
| 単位 | N/mm² | 無次元 |
| 計測 | 直接測れない | ひずみゲージで実測 |
| 関係式 | σ = E × ε(フックの法則) | ε = σ / E |
弾性領域(材料が壊れない範囲)では応力とひずみが比例して、比例定数がヤング係数E(フックの法則)。現場で実測できるのはひずみ(ひずみゲージ)、応力はひずみからEを掛けて換算する、という関係。「応力を直接測る装置はない」という事実は、構造実験を経験すると腹落ちしやすい話です。
応力の求め方(実務での流れ)
応力を求める流れを、実務でやる順番で整理しておきます。
- 荷重を決める(固定・積載・地震・風・雪の組合せ)
- 断面力を求める(軸力N、せん断力Q、曲げモーメントM)
- 断面諸量を出す(A、I、Z)
- 応力を計算(σ=N/A、τ=Q/A、σ=M/Z)
- 許容応力度と比較(σ≦fσで OK、検定比で確認)
慣れてくると、軸力が支配的か曲げが支配的かで「鉄骨柱は曲げ+軸力」「鉄骨梁は曲げ+せん断」のようにパターンで頭に入るようになります。
応力を扱うときの注意点
設計・施工で間違えやすいポイントを整理しておきます。
注意点①:応力と荷重を混同しない
荷重は外力(kN)、応力は内部の単位面積あたりの力(N/mm²)、「応力が大きい」と「荷重が大きい」は別の意味で、同じ荷重でも断面を太くすれば応力は下がる、という関係を頭に入れておきます。
注意点②:せん断応力の最大値と曲げ応力の中立軸
τ = Q/A はあくまで「平均」の式で、矩形断面では最大せん断応力 τmax = 1.5 × Q/A。曲げ応力は中立軸で0、上下端で最大、非対称断面では上下でZが違うので注意します。
注意点③:応力集中・温度応力・残留応力
計算は均一な応力を仮定するけど、実部材は穴・段差・溶接部で応力集中が起こります。安全率や応力集中係数Ktで見込み、温度応力・残留応力も実部材では効くので、計算上ゼロでも実物には微小な内部応力が常にある、と意識しておきます。
残留応力の話はこちら。

応力に関する情報まとめ
- 応力とは:部材内部の単位面積あたりの力
- 単位:N/mm²(=MPa)、kgf/cm²は約10倍違い
- 種類:引張/圧縮/せん断/曲げの4つ
- 計算式:σ=P/A(軸力)、τ=Q/A(せん断)、σ=M/Z(曲げ)
- ひずみとの違い:応力は力÷面積、ひずみは変形量÷元の長さ
- 関係:σ=E×ε(フックの法則)
- 実務:荷重→断面力→断面諸量→応力→許容比較
- 注意点:荷重との混同/せん断最大値/応力集中/温度・残留
以上が応力に関する情報のまとめです。
応力は「単位面積あたりの力」というたった一行の定義の中に、構造力学のすべてが詰まっています。荷重と分けて捉える、4種類を区別する、ひずみと混同しない、この3つを押さえれば試験対策・現場対応どちらも一通りこなせます。許容応力度計算や断面係数、座屈などの応用に進む前のベースとして、ここをしっかり固めておくと後が楽です。一通り基礎知識は網羅できたかなと思います。
合わせて読みたい記事はこちら。





