- 元請けってなに?
- 一次受けとはどう違うの?
- 下請け、孫請けとの違いって?
- 責任はどうなるの?
上記の様な悩みを解決します。
建設業に限らず多くの業界において、請負の構造があります。微妙なニュアンスがあって分かりにくい部分があったりするので、それぞれの意味について明確に理解しましょう。
この記事では元請けとは?といったところから、一次請けとの違い、下請けと孫請けとの違い、責任などについて解説していきます。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
元請けとは?意味を解説
元請けとは、結論「発注者から工事を直接発注された業者のこと」です。
例えば、施主が100億円でオフィスビルを施工したいとしましょう。施主はオフィスビルを施工する為にゼネコンへ発注しますよね。
次にゼネコンはサブコンに設備工事を発注します。そしてサブコンは下請け会社に仕事を発注し、下請け会社がまた下請け会社に発注します。
「元請け→一次請け→二次請け→三次請け」といった風に階層が出来上がりますよね。
ここで注意すべきなのは、三次請けからしたら一次請けは元請けになるということです。
三次請けの会社からしたら一次請けの会社は、ゼネコン(発注者)から工事を直接発注されていますよね。同様に二次請けの会社は一次請けの会社から工事を直接発注されています。
つまり三次請けから見たら、一次請けも二次請けも元請けになるんです。
現場全体で見たら、施主(お客様)から直接発注を受けている会社が元請けで、それ以外は下請けになります。対して、各ポジションから見たら、上の階層にいる会社は全部元請けに見えるという訳です。
基本的に現場では「現場全体で見た元請け」という見方で工事を進めます。
とりあえずは施主(お客様)から直接発注を受けている業者のことを「元請け」と認識しておきましょう。
元請けと下請けと孫請けの違い
元請けと下請けと孫請けの違いは、結論「施主への近さ」です。
大まかな流れとしては、下記となります。
工事発注の流れ
- 施主(お客様)が元請けに工事を発注する
- 元請けが一次請けに工事を発注する
- 一次請けが二次請けに工事を発注する
- 二次請けが三次請けに工事を発注する
「施主→元請け→一次請け→二次請け→三次請け」といった流れで発注が行われます。元請けに対して「一次請け=下請け」であり「二次請け→孫請け」です。施主への距離が違いますよね。
元請けから見たら一つ下が下請けで、二つ下が孫請けといった認識になります。
まず自分が子供を産んだら、生まれた子供は息子になりますよね。その息子が子供を産んだら、生まれた子供は孫になります。
想像できる通り、息子が下請けで孫が孫請けです。
上記が正確な定義ですが、実際の現場では孫請けのことも下請けといったりします。
下請けという言葉に「下」という単語がある通り、自分より下の会社は全て下請けだという考え方です。簡単な話、元請けからしたら一次請けも二次請けも三次請けも「下」です。
「じゃあ全部下請けじゃね?」という発想になりますね。
つまり一つ下の階層は下請けですが、二つ下の階層(二次請け)は孫請けでもあり、下請けでもあるということです。
正確に言えば、元請けからしたら二次請けは孫請けですが、それら全ての会社を全部くくって「下請け」と呼ぶ人もいます。というか現場ではこちらの方が多いです。
元請けと一次請けの違い
元請けと一次請けの違いも、結論「施主への近さ」です。
先ほどの話と同様ですね。発注者から直接発注を受けているのは、元請けです。一次請けは元請けの下請けですので、施主への距離が異なります。
一次請けという単語には「一」と入っていますから、最初に発注を受けた会社、つまりは元請けなんじゃないかと思うのも分からない訳ではありません。
繰り返しになりますが、一次請けは元請けの下請けです。
「施主→元請け→一次請け→二次請け→三次請け」という流れを忘れないようにしましょう。
責任は元請けが負う
基本的に、工事に対する責任は元請けが追います。
例えば、ゼネコンが電気工事会社に発注して、電気工事を依頼したとしましょう。完成した建物の電気設備で事故が発生した場合、悪いのはゼネコンになります。
実際に工事を行ったのは「一次受け」である電気工事会社だったとしても、責任が問われるのは元請けであるゼネコンなんです。
元請けは発注された工事に対する責任を負っています。
施主から問い詰められた時に、ゼネコンが「違うんです!実際に工事をしたのはコイツらなんです!」と言っても、施主からしたら知ったこっちゃありませんよね。
また、ゼネコンは施主から問い詰められると共に、電気工事会社に対して問い詰める権利はあります。
事故が起こった際の責任追求
- 施主は元請けに対して責任を追求する
- 元請けは一次請けに対して責任を追求する
- 一次請けは二次請けに対して責任を追求する
- 二次請けは三次請けに対して責任を追求する
建設業では下請けいじめが問題になっている
それでも最近はマシになった方だと思いますけどね。昔はもっとヤバかったと思います。とはいえ、現在も下請けいじめは全然あります。(特に新築工事)
まず大前提として、元請けは下請けよりも立場が上です。
元請けは下請けに対して工事を発注します。下請けからしたら元請けは「お客様」な訳です。ここで上下関係が出来上がってるんですよ。
今の日本は施工会社が多すぎて、元請けが施工会社を選びたい放題の状態になっています。「あんまり文句言うんだったら、別の会社に変えちゃおっかな」という態度を取れる訳です。
この立場を利用して下請けいじめが始まります。
具体的には下記のような内容です。
下請けいじめの内容
- 大声で怒鳴りつける
- 無理な価格で受注させる
- 急な仕事を要求し長時間労働をさせる
- 普通に暴力
要は誰が悪いかって誰も悪くなくて、建設業の業界構造が悪いんですよ。
施工会社が多すぎるので、施主からしたら施工会社を選び放題。施工会社同士で競争になりますから、受注金額は安価になります。
とはいえ会社として、利益を出さない訳にはいきません。
利益を出す為の手段として、元請けが下請けを安く買い叩き、下請けが孫請けを安く買い叩き。。。というループが始まります。
「お願いします。仕事ください。」といった格好になりますので、立場の差も大きくなるばかり。加えて建設業はパワー系の人材比率多めですからね。
建設業全体を見たら、多すぎる施工会社の数をなんとかしないと下請けいじめはなくならないでしょう。コストオン方式が広まればまだ分からないですが、まあ無理でしょうね。
個人として建設業で働くなら、なるべく上の商流を目指した方がいいです。
孫請けより下請け、下請けより元請け、元請けより施主を目指しましょう。