- OAフロアってなに?
- どういう種類があるの?
- 高さはどう決まるの?
- 電気配線・LAN配線との関係は?
- コンセントはどう出すの?
- 施工で気をつけることは?
上記の様な悩みを解決します。
OAフロアは、現代オフィスの「足元」を担う設備で、机の下を見ると四角いタイルが敷き詰められているアレですね。電気施工管理として絡むと、「OAフロアの中をケーブルが走る」前提で電気・LANのレイアウトを組むことになり、内装屋・電気屋・通信屋の3者が床下スペースの取り合いで毎回バトルしています。床下高さが10mmずれただけで盤が入らない、なんて事態もまあまあ起きるので、実務的な知識を押さえておきたいところ。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
OAフロアとは?
OAフロアとは、結論「床の上に二重床を作って、その隙間にケーブルを通せる構造の床のこと」です。
「フリーアクセスフロア」「二重床」とも呼ばれ、英語表記はAccess Floor。建物のスラブ(コンクリート床)の上に、樹脂製や鋼製のパネルを並べて二重床を作り、その下にできる空間(アクセスフロア空間)を電源ケーブル・LANケーブル・空調ダクトの配線スペースに使います。
OAフロアという呼び方は、日本でオフィスのOA化(Office Automation=1980年代)が進んだ時、机周りに増えるパソコン・電話・コピー機の配線をスマートに通す目的で普及した名残。今ではIT機器のネットワーク配線が主役なので「フリーアクセスフロア」と呼ぶ方が実態に近いかもしれません。
主な用途は、
– オフィスのフロア全面(最も一般的)
– サーバ室・データセンター(空調吹出し兼用)
– 学校のPC教室・図書館
– マンションの共用部リビング(戸建てではあまり使わない)
電気施工管理として、この「床下空間に配線が通る」前提で電気盤の位置・コンセント口の取り出しを設計する場面が大半です。
OAフロアの種類
OAフロアは大きく3タイプ。それぞれ施工性・コスト・対応高さが違います。
樹脂製パネル(置敷タイプ)
最も普及しているタイプ。樹脂(再生PP樹脂が多い)の支柱と一体化したパネルを、床に置くだけで施工できます。
メリット:軽い(1枚3〜5kg)、施工が速い、安価、レイアウト変更も楽
デメリット:高さは50〜100mmが上限、重量物に弱い、火災時に樹脂が燃える可能性
鋼製パネル(支柱タイプ/溶接タイプ)
スチール製の支柱を床に固定し、その上にパネルを載せる構造。サーバ室や重要建物で採用。
メリット:高さ自由(100〜500mmまで対応)、耐荷重が高い、不燃
デメリット:施工コスト高、施工時間も長い、支柱固定でレイアウト変更が大変
床束タイプ(置き敷き支柱)
樹脂支柱と樹脂パネルの組み合わせで、支柱を独立させて高さ調整できるタイプ。中規模オフィスで人気上昇中。
メリット:高さ調整可(70〜200mm)、置敷より高い、鋼製より安い
デメリット:施工に水平調整の手間、樹脂のため重量物には弱い
| 種類 | 高さ | 耐荷重 | 価格 | 施工性 |
|---|---|---|---|---|
| 樹脂置敷 | 50〜100mm | 中 | 安 | 速 |
| 鋼製支柱 | 100〜500mm | 高 | 高 | 遅 |
| 床束タイプ | 70〜200mm | 中 | 中 | 中 |
「一般オフィスは樹脂置敷100mm、データセンターは鋼製300mm」というのが現場感としてはよくある分け方ですね。
OAフロアの構成と材料
OAフロアの基本構成は以下。
パネル(タイル)
正方形のパネルが標準で、500×500mmが圧倒的多数。これは机の脚位置との相性、施工の効率、ケーブル取出口の位置決めしやすさから、業界標準として定着しています。一部に600×600mmの規格も。
材質は、樹脂製(再生PP樹脂、ABS樹脂)か、鋼製(スチール製、コンクリート充填型)。表面はそのまま露出するわけではなく、上に「タイルカーペット」(500×500mmまたは400×400mm)を敷くのが定番。
支柱(足)
樹脂置敷タイプはパネルと一体化。鋼製は独立支柱で、ボルト固定。床束タイプは樹脂支柱に高さ調整ネジが付き、現場で水平調整が可能。
取出口(コンセントタップ/配線口)
ケーブルを床下から立ち上げる開口。種類が豊富で、
– 角型タップ(OAタップ):床面に四角い金物を埋め込み、コンセントとLANポートを格納
– 丸型タップ(電源・通信用ボックス):直径100〜150mmの丸い金属ボックス
– 立上げカバー(ジャンクション):ケーブルだけ出すための開口
など、用途で使い分け。
施主の意向と、机のレイアウトで「どこにいくつの取出口を置くか」が決まる重要な部分です。
OAフロアと電気・弱電配線の取り合い
電気施工管理として一番ハマるところ。OAフロアの床下は、配線が複雑に走る「縁の下の力持ち」スペース。
床下に走るケーブルの種類
- 電源ケーブル(VVF・CV):分電盤からOAタップへ。VVF(https://seko-kanri.com/vvf/)が定番
- 弱電・LAN(CAT5e・CAT6・光ファイバー):通信ハブからOAタップへ
- 電話ケーブル(昔はCPEV、今は減少)
- 制御線(防災・セキュリティ)
強電(電源)と弱電(信号)は分離するのが基本ルール。電源ケーブルから出るノイズが、信号ケーブルに飛んで通信不良を起こすことがあるので、最低でも300mm離す、または金属の電線管で電源側をシールドする、といった措置を取ります。
コンセントの口数計画
オフィスでは「1人あたり何口」で計算するのが一般的。
– パソコン用2口+プリンタ用2口+予備2口=1人あたり6口、が標準的
– フリーアドレスオフィスでは8〜10口
– 会議室では1人あたり3〜4口
口数を絞りすぎると、テナント入居後にタコ足配線が増えて発熱火災のリスクに。逆に多すぎると施工コストとOAタップのスペースが膨らむ。施主・設計と十分にすり合わせを。
分電盤との連動
OAフロア内のコンセント分岐は、フロア各所に設置するOAタップを「島」と呼ぶグループ単位で分岐回路を組むのが一般的。1分岐回路あたり最大15A負荷を超えないよう、コンセント口数を10〜15口程度に分けます。分電盤(https://seko-kanri.com/bundenban/)の容量設計時に「OAタップの想定使用率」を含めて計算するのがコツ。
OAフロアの施工方法
施工フローは以下。
- 床下地の確認:スラブの平滑度、防塵塗装、ホコリ除去
- 墨出し:基準線(X軸・Y軸)を出し、パネル割付の中心を決める
- 置敷タイプ:基準線から外周→中央へとパネルを並べる
- 鋼製支柱タイプ:支柱を床に接着またはボルト固定→水平調整→パネル載せ
- 配線工事:電気・弱電業者がパネル下に各種ケーブルを敷設
- 取出口設置:OAタップ・コンセントボックスをパネルに開口して設置
- タイルカーペット貼り:仕上げのタイルカーペットを敷きこむ
施工順序で重要なのが「配線工事のタイミング」。パネルを全部敷いた後で配線屋が入ると、パネルを外しながら作業するハメに。理想は「パネルを敷きながら、配線屋が同時並行で床下作業」という連携。これを段取れるかどうかで施工効率が3割変わります。
僕が初めてOAフロア現場を担当した時は、内装屋がパネルを全部敷いてから「電気屋さんどうぞ」と言われ、半分パネルを再度外す羽目に。事前の工程会議で「OAフロアと電気の同時並行」を共有しておくのが鉄則ですね。
OAフロアの注意点
実務でハマりやすいポイントを4つ挙げておきます。
①床下高さの決定タイミング
OAフロアの高さ(仕上げ床高)は、内装の仕上げ高、ドア高、エレベータ床との段差、空調ダクトとの取り合いに影響します。基本設計の早い段階で「OAフロア高は何mmか」を全業種で共有しないと、後から「このダクトが入らない!」と大事故になります。
②耐震対策
オフィスのOAフロアは床下の支柱が地震で動くと、上部のパネルがズレる事故が起きます。サーバ室・重要施設では、支柱を床に固定し、パネル間も連結金物で動かないように施工。一般オフィスは置敷でも問題ないことが多いですが、重要負荷がある部屋は耐震仕様にしておくのが無難。
③メンテナンスアクセス
将来的にケーブル増設・撤去が発生するので、パネルが「外せる構造」になっているか確認。タイルカーペットは接着剤を使わない「ピールアップ工法」(後から剥がせる)が必須。これを忘れて全面接着すると、改修時に床ごと壊すハメになります。
④空調吹出しとの兼用
データセンターなどでは、OAフロアの床下空間を空調の冷気経路として使う「フロア吹出し空調」を組むことがあります。この場合、配線とエアフローが共存するので、ケーブル整理・パネル選定・空調設計が三位一体で進める必要が。一般オフィスでは普通やりませんが、サーバ室があれば要検討。
OAフロアに関する情報まとめ
- OAフロアとは:床上に二重床を作り、床下を配線スペースに使う構造の床
- 種類:樹脂置敷/鋼製支柱/床束タイプの3系統。用途と高さで選定
- 構成:パネル(500×500mm標準)+支柱+取出口。仕上げにタイルカーペット
- 配線:強電と弱電を分離、口数は1人6〜10口、分岐回路は最大15A
- 施工:墨出し→パネル設置と配線の同時並行→取出口→タイルカーペット
- 注意点:床下高さ/耐震/メンテナンスアクセス/空調吹出し兼用
以上がOAフロアに関する情報のまとめです。OAフロアは「ただの床」と侮ると配線・空調・耐震の取り合いで詰まる、奥深い設備。床下高さを早期に確定し、配線工程と同時並行で進めるのが、施工管理として一番効く所作です。一通り基礎知識は理解できたと思います。
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