- 「根巻き」って造園と鉄骨で意味が違うの?
- 樹木の根巻きはなんで必要なの?
- 鉄骨柱脚の根巻きコンクリートって何?
- 材料・サイズはどう決めるの?
- 施工方法と手順は?
- 失敗しがちな注意点は?
上記の様な悩みを解決します。
「根巻き」は造園と建築・鉄骨で別々の意味で使われる、ややこしい用語の代表格です。図面の指示を読み違えると、どえらい手戻りになるので、両方の意味と現場運用をきちんと整理しておきましょう。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
根巻きとは?2つの意味
根巻きとは、結論「造園では樹木の根鉢を保護する作業」「鉄骨では柱脚をコンクリートで巻く構造」のことです。
同じ言葉なのに守備範囲が全く違うので、現場で「根巻きやっといて」と言われたら、まずどっちを指しているか確認するのが鉄則。
| 種別 | 対象 | 目的 | 主な材料 |
|---|---|---|---|
| 造園の根巻き | 樹木の根鉢 | 移植・運搬時の根の保護、活着促進 | わら縄、麻布、根巻きテープ |
| 鉄骨柱脚の根巻き | 鉄骨柱の脚部 | 柱脚の固定、靱性確保、座屈防止 | 鉄筋+コンクリート |
僕は電気施工管理出身ですが、複合工事の現場で土建系の若手と話していると「鉄骨の根巻きにわら縄って入るんですか?」みたいな噛み合わない会話が普通に発生します。それぐらい用語の混在は厄介。図面の名称欄や仕様書の文脈で判断してください。
造園における根巻き(樹木の養生)
造園での根巻きは、結論「樹木を移植するときに、根鉢の崩壊を防いで活着率を上げるための養生作業」です。
目的
- 掘り取り時に根が切れすぎないように保護する
- 運搬中の振動で根鉢が崩れるのを防ぐ
- 植え付け後、新たな細根が伸びるまでの「リハビリ期間」を支える
樹木は 細根(ひげ根) で水と養分を吸っています。掘り取りで太い根を切ると一時的に吸水力が落ちるので、根鉢の土を抱かせたまま運び、植え付け後も土が崩れない状態を維持することが活着の決め手。
材料
- わら縄:伝統的な材料。土壌で自然分解する
- 麻布(マイカ線、コモ):根鉢全体を覆う
- 根巻きテープ/樹脂ネット:近年は分解が早すぎるわら縄の代替として広がっている
施工手順(堀回し→根巻き→運搬→植付け)
- 掘り回し:樹木の周囲を、根鉢の直径相当(幹直径の3〜5倍が目安)で円形に掘る
- 底回し:根鉢の下を斜めに切り、樹木を持ち上げられる状態にする
- わら縄で胴巻き:根鉢の側面を縄で締め、土の崩落を防ぐ
- 麻布巻き:必要に応じて根鉢全体を麻布で覆い、再度縄で固定
- 運搬:吊り上げは幹ではなく根鉢で行う。幹で吊ると皮がむけて活着不良の原因に
- 植え付け:植え穴に据え、わら縄・麻布は植え穴の中で外さず、自然分解に任せる
根回しとセットで覚える
移植の半年〜1年前に、根の周りを部分的に掘って太い根を切り、細根を発生させておく作業を 根回し と呼びます。根回し→根巻き→移植、の流れがセット。大きな樹木ほど根回しを丁寧にやらないと、移植後の枯死リスクが跳ね上がります。
剪定との関係
移植時には、葉からの蒸散と根からの吸水のバランスを取るため、地上部の剪定もセットで行います。剪定の時期や方法はこちらにまとめる予定です。
鉄骨柱脚における根巻きコンクリート
鉄骨での根巻きは、結論「鉄骨柱の脚部を、鉄筋を入れたコンクリートで巻いて柱脚を強化する構造形式」のことです。
正式名は 根巻き型柱脚(根巻き柱脚)。鉄骨造の柱脚形式の代表3種類のうちの1つで、他に 露出型柱脚(ベースプレート+アンカーボルト)、 埋込み型柱脚(基礎コンクリートに柱を直接埋め込む)があります。
根巻き柱脚の目的
- ベースプレート単独では曲げ抵抗が不足する場合に、コンクリートで補強
- 柱脚に 降伏ヒンジ を作らせない(部材中央側に塑性ヒンジを誘導)
- 柱脚部の局部座屈防止
寸法の目安
- 根巻きコンクリートの高さ:柱せいの 2.5倍以上(建築基準法施行令第66条関連の構造規定)
- 根巻き柱脚の主筋:4本以上(柱を取り囲むように配筋)
- 帯筋:D10@100程度を標準とし、柱脚最下部は密に配筋
主筋・帯筋の役割は、コンクリート単独では負担できないせん断力・引張力を負担すること。鉄筋の定着長は地中梁・基礎梁に十分のみ込ませる必要があります。
スターラップ筋(あばら筋)の基本はこちら。

施工手順(鉄骨建方→根巻き)
- 鉄骨建方完了、ベースプレートのレベル調整&無収縮モルタル充填
- 根巻き範囲の主筋・帯筋を組む
- 型枠建て込み、鉄骨柱の周囲にコンクリート打設用空間を確保
- コンクリート打設、十分にバイブレータで締固め
- 養生(最低7日、夏期5日)後に脱型
- 構造体接地が必要な場合は、根巻きコンクリート前に接地端子を露出させておく
型枠建て込みの基本はこちら。

ベースプレート下のグラウト材についてはこちら。

設計上の注意
根巻き柱脚は、上端で柱の塑性ヒンジが発生しないように 柱の終局耐力以上の強度 を確保することが原則。鉄骨設計者と構造図のすり合わせを抜かりなくやらないと、地震時に意図しない位置で破壊が起きます。
根巻きで使う材料・サイズ(造園・鉄骨)
両者の材料・寸法を1表で対比すると以下のようになります。
| 項目 | 造園の根巻き | 鉄骨の根巻きコンクリート |
|---|---|---|
| 主材料 | わら縄、麻布、根巻きテープ | 普通コンクリート(呼び強度21〜30N/mm²)、異形鉄筋 |
| 寸法目安 | 根鉢径=幹直径の3〜5倍 | 高さ=柱せいの2.5倍以上 |
| 鉄筋 | なし | 主筋4本以上+帯筋D10@100程度 |
| 養生期間 | 移植後1〜2年で活着判定 | コンクリート養生7日(夏期5日) |
| 施工単価 | 樹種・サイズで変動 | 1柱あたり数万円〜(規模に応じる) |
選定で迷う場面は基本的にありません。 造園は園芸資材店、鉄骨はゼネコンの構造図と特記仕様書 が情報源。
根巻きの注意点
ここからは現場でハマりがちな失敗例を共有します。
造園の根巻きでありがちな失敗
- 根鉢が小さすぎる:細根の量が足りず、移植後に水切れで枯れる
- わら縄を植え付け前に外す:根鉢が崩れて活着率が激落ち。 植え穴の中では外さない が鉄則
- 運搬時に幹で吊る:表皮がむけて病害侵入の入口になる。 必ず根鉢吊り で
- 植え付け後の水管理放置:移植後3ヶ月は週1回のたっぷり灌水が基本。これを怠って枯らす事例が一番多い
鉄骨柱脚の根巻きでありがちな失敗
- 鉄筋のかぶり不足:根巻きコンクリートは外気に晒される位置のため、かぶり厚が不足すると鉄筋腐食が早まる。 最低40mm以上 を確保
- 柱脚の止水処理不足:根巻き上端と鉄骨柱の隙間から雨水が侵入し、内部のベースプレートやアンカーボルトが錆びる。シール処理を抜くと10年で錆汁が出始めます
- 打設時のバイブ不足:柱周囲はジャンカが発生しやすい。バイブレーターの差し込み位置を事前に決めておく
- 養生期間の短縮:工程を縮めるために型枠を早く外して、コンクリートにヒビが入る事例が頻発。 養生期間は守る
打設の基本工程はこちら。

ジャンカ対策などコンクリートの基礎はこちら。

根巻きに関する情報まとめ
- 根巻きとは(造園):樹木移植時に根鉢を保護する養生作業
- 根巻きとは(鉄骨):鉄骨柱脚をコンクリートで巻いて補強する構造形式
- 造園材料:わら縄、麻布、根巻きテープ
- 鉄骨材料:コンクリート+主筋+帯筋。高さは柱せいの2.5倍以上
- 造園手順:掘り回し→根巻き→運搬→植付け(縄は外さず自然分解に任せる)
- 鉄骨手順:建方→ベースモルタル→配筋→型枠→打設→養生
- 注意点(造園):根鉢サイズ、縄外し禁止、根鉢吊り、灌水管理
- 注意点(鉄骨):かぶり厚40mm以上、止水処理、バイブ十分、養生期間厳守
以上が根巻きに関する情報のまとめです。
「根巻き」は造園と鉄骨で全く別物の作業を指す紛らわしい用語ですが、 どちらも”対象物を巻いて保護する” というコアの目的は共通しています。造園では細根の活着、鉄骨では柱脚の靭性確保。図面で根巻きの指示を見たら、まずはどちらの用語かを判断し、それぞれの仕様書・構造図に立ち戻るクセを付けると、現場での齟齬が減ります。柱脚周りの構造体・基礎・コンクリートの基礎知識と合わせて押さえておきましょう。







