- ねじ込み継手ってどんな種類があるの?
- PT・Rc・Rってどう違う?
- シールテープ、液状ガスケット、ヘンプ、結局どれ?
- 締付トルクってどう決まる?
- 25Aより大きい配管でも使える?
- 施工後に漏水したらどう直す?
上記の様な悩みを解決します。
ねじ込み継手は 配管接合方式の中で一番施工が早く、特殊工具も不要 な接合方法で、給水・給湯・空調・消火など中小口径の配管系統で今でもバリバリ現役の部材です。ただ、 ねじ規格(PT vs Rc)の選定間違い や シール材の選定ミス で漏水トラブルが頻発するという、地味に怖い側面も持っています。施工管理として「ねじ込み継手なら誰でも施工できる」と流すと、引渡し後の漏水補修工事に何度も呼ばれることになるので、種類・規格・シール材の知識を正確に押さえておきたいところ。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
ねじ込み継手とは?
ねじ込み継手とは、結論「配管端のおねじと継手のめねじを噛み合わせて、シール材で気密・水密を確保する接合方法のための部品」のことです。
英語では Threaded Pipe Fitting(スレッデッドパイプフィッティング)または NPT/BSP Fitting。日本では「ねじ込み」「ねじ継手」「Sフィット」などとも呼ばれます。
ねじ込み継手の基本的な役割
- 配管同士の 方向転換(エルボ)
- 配管の 分岐(ティーズ)
- 配管同士の 直線接続(ソケット)
- 配管径の 変更(ブッシング、レデューサ)
- メンテナンス用の分解継手(ユニオン、フランジ)
要するに、 配管の端部に取り付けて、配管網を組み立てる「部品集合体」 がねじ込み継手の正体です。
他の接合方式との比較
- 溶接:強度高、メンテ不可、有資格者必要
- フランジ継手:分解可、シート交換要
- 機械式継手(ハウジング型):施工早、薄肉鋼管向き
- ねじ込み継手:小口径用、施工早、特殊工具不要、シール材選定が品質キモ
接合方式全般の整理はこちら。
適用範囲
- 管径:6A〜80A(特に15A〜50Aで多用)
- 圧力:給水・給湯(0.7MPa以下)、低圧蒸気(0.1MPa以下)
- 温度:常温〜100℃前後
100Aを超える大口径や、高圧・高温の系統では 溶接 or フランジ が選ばれるので、ねじ込み継手は中小口径・低圧の系統が主戦場です。
ねじ込み継手の主な種類
形状別に主要部品を整理します。
エルボ(90度・45度)
配管の 方向転換 に使う L字形の継手。
エルボの種類
- 90度エルボ:直角に方向転換(給水・給湯の標準)
- 45度エルボ:穏やかに方向転換(圧損低減)
- 異径エルボ:径を変えながら方向転換
- ストリートエルボ:片側が雄ねじの簡略タイプ
最も使用頻度が高い継手で、 90度エルボの内側Rが大きい「ロングエルボ」 は圧損が小さく、給水主管などで選定されます。
ティーズ(チーズ・T字)
配管の 分岐 に使うT字形の継手。
ティーズの種類
- 同径ティーズ:本管と分岐管が同径
- 異径ティーズ:分岐管が本管より細い
- ストリートティーズ:片側雄ねじタイプ
水栓への取出しや、分岐ヘッダーの末端で多用。
ソケット
配管同士を 直線接続 する筒形の継手。
ソケットの種類
- 同径ソケット:同サイズの配管接続
- 異径ソケット(レデューサ):径違いの配管接続
- 偏芯レデューサ:軸を平行にずらしたい場合(蒸気配管で多用)
長尺配管の途中接続や、サイズ変更点で使います。
ニップル
両端が 雄ねじ の短い管材。
ニップルの種類
- 標準ニップル:両端ねじ
- バーレルニップル:中央が長い
- リダクションニップル:両端の径が違う
機器との接続、ソケット間の補助接続で使用。
ユニオン(ユニオン継手)
ナットで 分解可能 な接続部を作る継手。
ユニオンの構造
- ねじ込み + ナット締付の3部品構成
- メンテナンス時に分解→再組立可能
- ガスケット(パッキン)またはメタルタッチでシール
ポンプ・バルブ・水栓器具との接続で必須。 メンテナンス時に器具交換できる のがユニオンの最大価値。
ブッシング
ねじ径を 変更 する短い継手。
- 雌ねじ大径 – 雄ねじ小径
- 単純な径違い接続
- ねじ込み深さに注意
配管のブッシング詳細はこちら。

キャップ・プラグ
配管の末端を 塞ぐ 部品。
- キャップ:雌ねじ式(配管雄端を塞ぐ)
- プラグ:雄ねじ式(継手雌端を塞ぐ)
- 試験圧力時の仮閉塞、将来分岐用の盲蓋
ねじの規格(テーパねじ・平行ねじ)
ねじ込み継手の品質は ねじ規格の整合性 で決まります。
テーパねじ(PT、Rc、R)
ねじ山が 円錐形 に広がるテーパ形状。締め込むほど面圧が上がり、シール性が出ます。
- R(雄ねじ):管用テーパ雄ねじ。JIS B 0203
- Rc(雌ねじ):管用テーパ雌ねじ。JIS B 0203
- PT:旧JIS呼称(現在も流通)
テーパねじの特徴
- ねじ自体にシール性能あり
- シール材必須(ねじだけでは漏れる)
- 流体配管(給水・給湯・空調・蒸気)の標準
平行ねじ(PS、G、Rp)
ねじ山が 平行(円柱形) のねじ。シール性能はナシ、ガスケットでシール。
- G(雄ねじ・雌ねじ):管用平行ねじ。JIS B 0202
- Rp(雌ねじ):管用平行雌ねじ
- PS:旧JIS呼称
平行ねじの特徴
- ねじ自体にシール性なし
- パッキン・Oリングでシール
- 機器接続部(バルブ・ポンプ)で多用
規格組合せのルール
- R(雄)×Rc(雌):標準。テーパ×テーパでシール材必要
- R(雄)×Rp(雌):可。雄テーパが平行雌に食い込んでシール
- G(雄)×G(雌):パッキンシール必須
- R(雄)×G(雌):原則NG(ねじが噛み合わない)
設計図面で「R 1B」「Rc 1B」「G 1B」と書かれていたら、 継手側のねじ規格と合わせる のが鉄則。「PT」と「Rc」は実質同じですが、新旧規格名なので混乱しないように。
JISの基本を確認するなら、JIS B 0203(テーパねじ)とJIS B 0202(平行ねじ)を見ておくと正確。
シール材の選定(テープ・液状・ヘンプ)
ねじ込み継手の シール材 は施工品質の急所です。
シールテープ(テフロンテープ・PTFEテープ)
四フッ化エチレン(テフロン)の薄いテープ。
シールテープの特徴
- 安価、施工が早い
- 給水・給湯・空調・低圧蒸気で標準
- 巻き数:管径15A→3〜4回、20A以上→5〜6回
- 巻き方向:ねじ込み方向と同じ向き
注意点
- 巻きすぎ → ねじ込み力増、過大トルクで継手割れ
- 巻き不足 → シール不良で漏水
- 巻き方向逆 → ねじ込み中にテープが剥がれてシール不良
液状ガスケット(液状シール材)
ペースト状のシール剤。
液状ガスケットの特徴
- ねじ山に塗布してねじ込む
- 高温・高圧・振動環境に強い
- 蒸気配管・油配管・特殊薬品配管で使用
- 硬化型(アネロビック)と非硬化型がある
ロックタイト567(航空機グレード)、スリーボンドTB1110、ヘンケル製Loctite 5331(飲料水認定)など。
ヘンプ(マイ)+ペースト
天然繊維の麻紐+シールペーストを併用する古典手法。
ヘンプの特徴
- 高圧・高温の蒸気配管で今でも現役
- 施工技能が必要(巻き量・締め方)
- 経年で痩せやすい、定期増締め推奨
- 飲料水系ではNG(衛生面)
最近は液状ガスケットに置き換わっていますが、 古い建物の蒸気配管補修 ではヘンプが現役で残っています。
シール材の用途別早見表
| 系統 | 標準シール材 |
|---|---|
| 給水(飲料水) | シールテープ+飲料水認定液状 |
| 給湯(〜80℃) | シールテープ |
| 空調冷温水 | シールテープ |
| 低圧蒸気(〜0.1MPa) | シールテープ+液状 |
| 高圧蒸気 | 液状ガスケット または ヘンプ |
| 油配管 | 油用液状ガスケット |
| ガス配管 | ガス用液状ガスケット(消防認定品) |
ガス警報器・ガス配管関連はこちら。
ねじ込み継手の施工
施工手順とトルク管理。
施工手順
- 管端切断:パイプカッターまたは金鋸で直角切断
- バリ取り:内外面のバリをリーマー・ヤスリで除去
- ねじ加工:ねじ切り盤(ダイス)で雄ねじ加工
- シール材塗布/巻き付け:規定の巻き数・塗布量
- 手締め:手で2〜3山入るまで
- トルク締付:パイプレンチで規定トルクまで
- 増し締め:1〜2時間後に再確認
- 試験圧力での漏水確認
ねじ加工は ダイスの切れ味と切削油 で品質が決まります。古いダイスでねじを切ると、ねじ山がバリ立ったり潰れたりして、シール不良の原因に。
締付トルクの目安
| 管径 | 標準トルク |
|---|---|
| 15A | 30〜40 N·m |
| 20A | 50〜70 N·m |
| 25A | 80〜100 N·m |
| 32A | 100〜130 N·m |
| 40A | 130〜160 N·m |
| 50A | 170〜200 N·m |
トルクレンチで管理するのが理想ですが、現場ではパイプレンチで ねじ込み回転数+ハンドル感覚 で締めることが多い。締めすぎると 継手の鋳鉄部分が割れる ことがあるので、過剰締付に注意。
配管の固定(支持金具)
ねじ込み継手は 回転トルクで緩む ので、
- 支持金具で配管を確実に固定
- 支持間隔:15A〜25A → 1.5〜2m、32A以上 → 2.5m
- 振動環境では防振金具
サドル・吊バンドの位置決めはスリーブと干渉しないように。
スリーブ関連はこちら。

ねじ込み継手に関する注意点(施工管理視点)
施工管理として現場で詰むポイントを4つ。
ねじ込み継手で押さえる注意点
- ねじ規格の混在トラブル(テーパ×平行)
- シール材の用途違反(飲料水系のNGシール材使用)
- 過剰締付による継手割れ
- 異種金属接触による電食
ねじ規格の混在
新築工事ではほぼ問題ないですが、 既存改修 で古いPS規格の機器に新規Rc規格の継手を付けると、ねじが噛んでもシールしない、という事態に。
- 既存機器のねじ規格を必ず実測(ねじゲージ)
- 規格不整合なら アダプター継手 で変換
- 施工要領書に 「規格確認結果」 を記録
シール材の用途違反
飲料水系統に 非認定の液状ガスケット を使うと、水質基準オーバーで保健所案件になります。
- 飲料水系:JWWA K144(給水装置の構造及び材質)認定品
- ガス:消防認定品
- 蒸気:耐熱認定品
- 油:油圧認定品
シール材の JWWA / 消防 / 認定マーク を製品出荷段階で確認します。
過剰締付
ねじ込み継手の鋳鉄製部品は 過剰トルクで割れます。
- パイプレンチで全力で締めない
- 締めながら継手の歪みを目視確認
- 異音・段差を感じたら停止
割れた継手は ねじ込んでから外せない ことが多く、配管切断+全部やり直しになります。
異種金属接触による電食
鋼管配管に 真鍮製のバルブ を直結すると、ガルバニック腐食(電食)で接続部から漏水します。
- 異種金属間に 絶縁ユニオン を介す
- 配管材料と継手材料を統一
- 既存配管の改修時は元材質確認
検査・自主検査関連はこちら。

ねじ込み継手に関する情報まとめ
- ねじ込み継手とは:配管端のおねじとめねじでシールしながら接合する部品
- 主な種類:エルボ/ティーズ/ソケット/ニップル/ユニオン/ブッシング/キャップ
- ねじ規格:テーパ(R/Rc/PT)/平行(G/Rp/PS)。組合せに整合性必要
- シール材:シールテープ(標準)/液状ガスケット(高温高圧)/ヘンプ(古典・蒸気)
- 施工:管端切断→バリ取り→ねじ加工→シール材→トルク締付→試験圧
- 適用範囲:管径6A〜80A、圧力0.7MPa以下、温度100℃以下
- 施工注意点:ねじ規格の混在、シール材の用途違反、過剰締付、異種金属電食
以上がねじ込み継手に関する情報のまとめです。
ねじ込み継手は 「ねじ規格×シール材×締付トルク」の3要素が噛み合って初めて気密・水密が出る 部材で、どれか1つでも外すと漏水トラブルに直結します。施工管理として効くのは、 シール材の認定マーク(JWWA・消防)の出荷確認 と、 既存改修時のねじ規格の実測 の2点。「ねじ込み継手なら簡単」と流していると、引渡し後にユニオン部・継手本体からの微小漏水で何度も補修に呼ばれて、最終的にコストも信用も失うので注意したいですね。
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