- 参考書は何をそろえればいいのか、種類からして分かっていない
- ランキング記事の1位が、どの記事も違う本を挙げている
- 法令集は総合資格と日建学院とTACのどれを買えばいいのか
- 線引きをやれと言われたが、どこまで書き込んでいいのか怖い
- 得意な科目で点を稼げば受かると思っていたが、それで合っている?
- 製図の本はいつ買うのが正解なのか分からない
- 中古の法令集を買うと損をしないか気になる
- テキストと問題集と過去問集、全部いるのか
上記の様な悩みを解決します。
二級建築士の参考書は、他の資格と違って「買った後にやることが決まっている本」が混ざります。学科の試験に持ち込める法令集がそれで、どこまで書き込んでよいかが公式に決められているんですね。ところが参考書のおすすめ記事はほとんどが書名のランキングで、法令集も「見やすい」「線引き見本がもらえる」といった基準で並べているだけです。合格基準のほうも、科目ごとに点が決まっていて、しかも毎年同じ値とは限りません。今回はそろえる4種類・科目別の基準点・選び方・費用といった基本を押さえた上で、ランキング記事が扱っていない「認められる書き込みの範囲」と「製図の本を買う時期」まで整理しました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、これから独学で学科に挑む方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
二級建築士の参考書とは?そろえるのは4種類
参考書とは、結論「1冊を選ぶ話ではなく、役割の違う4種類をそろえる話」です。
二級建築士の学科は建築計画・建築法規・建築構造・建築施工の4科目で、そこに設計製図の試験が続きます。この構成に対して必要になるのが、知識を入れるテキスト、解く力を作る問題集と過去問集、試験室に持ち込む法令集、そして課題が出てから使う製図の教材です。役割が違うので、どれかで代用するという発想が成立しません。
- テキスト:知らない語を減らす。通読ではなく引くために持つ
- 問題集と過去問集:得点に変える。分野別と年度別で役割が違う
- 法令集:試験室に持ち込む道具。買った後の加工にルールがある
- 製図の教材:課題が公表されてから選ぶ。学科と同時に買わない
このうち3番目だけが、他とまったく性格の違う買い物になります。読む本ではなく、試験当日に机に置いて使う道具だからです。ここを他の3つと同じ感覚で選ぶと、後で困ります。
学科の科目構成そのものを先に押さえておきたい場合は、こちらで整理しています。

合格基準点は科目ごとに違う|令和8年は学科Ⅰだけ14点だった
ここが本の割り当てを決める土台です。結論「二級建築士の学科は総得点だけでなく科目ごとに基準点があり、その値は年によって動く」という点を先に握ってください。
建築技術教育普及センターが公表した令和8年二級建築士試験「学科の試験」の合格基準では、各科目の満点が25点で、基準点は学科Ⅰ(建築計画)が14点、学科Ⅱ(建築法規)が13点、学科Ⅲ(建築構造)が13点、学科Ⅳ(建築施工)が13点、総得点の基準点が100点満点中60点とされ、「各科目及び総得点の基準点全てに達している者を合格とする」と示されています(建築技術教育普及センター 令和8年二級建築士試験「学科の試験」合格基準)。学科Ⅰについては、平均点が例年より著しく高く試験問題の難易度に差が認められたため、基準点の補正が行われたことも同じ資料に書かれています(同)。
表にすると、こうなります。
| 科目 | 満点 | 令和8年の基準点 |
|---|---|---|
| 学科Ⅰ(建築計画) | 25点 | 14点(補正あり) |
| 学科Ⅱ(建築法規) | 25点 | 13点 |
| 学科Ⅲ(建築構造) | 25点 | 13点 |
| 学科Ⅳ(建築施工) | 25点 | 13点 |
| 総得点 | 100点 | 60点 |
ここから2つのことが言えます。ひとつは、得意な科目で稼いで苦手な科目を捨てるという設計が使えないこと。総得点が60点を超えていても、1科目でも基準点を割れば不合格になります。もうひとつは、「各科目13点」と固定値で覚えないほうがいいこと。令和8年の学科Ⅰのように、その年の難易度で補正が入ります。
- 4科目それぞれに基準点があり、1科目でも割ると不合格
- 総得点60点は必要条件のひとつでしかない
- 基準点は毎年同じではない。令和8年の学科Ⅰは14点だった
- だから本は「4科目に1冊ずつ足りているか」で点検する
個人的には、参考書選びで最初にやるべきなのは書名を比べることではなく、自分の手元の本が4科目のどこを埋めていて、どこが空いているかを書き出すことです。構造だけ薄い、施工だけ何も持っていない、という状態が普通に起きます。
科目別にどれくらい時間を割り当てるかは、この基準点の形から逆算するのが現実的です。

学科Ⅱは法令集を持ち込める|法規の本は覚えるための本ではない
続けて、結論「学科Ⅱの建築法規は法令集を持ち込める。だから法規の参考書は、覚えるためではなく引く練習をするために選ぶ」という話です。
建築技術教育普及センターの試験当日の注意事項では、法令集について「学科II(建築法規)の問題を解答する場合に限り、2冊まで使用できます。ただし、使用する法令集に付随する追録、追補、訂正表等は追加できます。」とされています(建築技術教育普及センター 二級建築士試験 試験当日の注意事項)。設計製図の試験についても「2冊まで使用できます」と同じ扱いです(同)。当日の時間割には法令集チェックの時間が組まれていて、学科では9時30分から10時00分まで、設計製図では試験開始後に行うとされています(建築技術教育普及センター 二級建築士試験 試験について)。
つまり法規は、条文を暗記する科目ではなく、必要な条文に何秒で到達できるかを競う科目です。参考書の選び方もそこに従います。条文の解説が丁寧な本より、どの問題がどの条文に対応するかを示してくれる本のほうが役に立ちます。
- 法令集は学科Ⅱと設計製図で2冊まで使える
- 法規は暗記科目ではなく、引く速さを作る科目
- 法規の参考書は、問題と条文の対応を示すものを選ぶ
- 買ったらすぐ法令集と並べて、引く練習を始める
法令集が2冊まで使えるという点も、意外に知られていません。法令編と告示編を分けて持ち込むこともできますし、設計製図でも同じように使えます。学科が終わったら法令集は用済み、という思い込みで手放さないでください。
法令集は買った後の加工にルールがある|認められる書き込みの範囲
ここが記事の中心です。結論「法令集への書き込みは自由ではない。認められる範囲が公式に決められていて、そこを外すと試験室で使えなくなる」ということを、本を買う前に知っておいてください。
建築技術教育普及センターが公表している「使用が認められる法令集について」では、認められる書き込み等として「目次、見出し及び関連法令・条文等の指示(法令、章、節、条等の名称、番号及び掲載ページを限度とする)」「改正年月日」「アンダーライン(二重線、囲み枠含む)」「○、△、×の記号」が挙げられています(建築技術教育普及センター 二級建築士試験 使用が認められる法令集について)。逆に認められない例としては、条文の順序を入れ替えたものや別表を挿入したもの、早見表に相当する表、図解による説明的な書き込み、凡例を付けたマーク、計算式の記載が示されています(同)。また「ホームページ等から法文を印刷したものや法令集をコピーしたものの使用は認めません」とも明記されています(同)。
- 書けるのは、目次・見出し・関連条文の指示、改正年月日、線、○△×まで
- 関連条文の指示は、名称・番号・掲載ページが限度
- 図解、凡例つきマーク、計算式、早見表はいずれも認められない例
- 条文の順序を入れ替えたり別表を挿入したものも不可
- 法文をウェブから印刷したものやコピーは使えない
この範囲を知っていると、法令集の選び方が変わります。関連条文の指示を自分で書き込める余白があるか、線を引いても裏に抜けない紙質か、という見方になるからです。ランキング記事が並べている「サイズ」「段組」「線引き見本の配布」といった基準も、突き詰めればこの加工作業をどれだけ楽にできるかという話に収束します。
中古の法令集を勧める記事もありますが、ここは慎重に判断してください。前の持ち主の書き込みが認められる範囲に収まっているとは限りませんし、そもそも年度が古ければ法改正に追いつきません。加えて、線引きの作業そのものが条文の位置を覚える工程になっているので、完成品を買うと勉強の一部を丸ごと飛ばすことになります。
なお、認められる範囲は年度によって表現が変わることがあります。線を引き始める前に、その年に公表されている資料を自分の目で確認してください。ここは人の記事を信じて進める場所ではありません。
テキストと問題集の選び方|年度表記と分野別の並び
残りの3種類については、結論「年度の表記と、分野別に並んでいるかどうか。この2か所で決まる」です。
| 見る場所 | 判断のしかた | 理由 |
|---|---|---|
| 年度の表記 | 表紙の年度と、法改正への対応の記載 | 法規は改正が続く。古い版は法規が使えない |
| 分野別の並び | 目次が年度順か分野順か | 科目ごとに基準点を作る使い方に合う |
| 正誤表の有無 | 出版社サイトに正誤表と法改正情報があるか | 発行後の改正はここで補うしかない |
問題集には分野別のものと年度別のものがあり、役割が違います。分野別は苦手な科目を狙って潰すのに向き、年度別は本番と同じ並びで時間配分を試すのに向きます。基準点が科目ごとに設定されている以上、先に必要なのは分野別のほうです。年度別は仕上げの段階で入れれば足ります。
テキストのほうは通読しないのが前提です。分からない語を引くための辞書として置いておき、問題集を回す中で止まったときだけ開きます。あわせて、買った日に出版社サイトの正誤表と法改正情報のページをブックマークしておいてください。発行後に入った改正は、そこでしか補えません。
独学の進め方そのものを組み直したい場合は、スケジュールの記事もあわせて読むと配分が決めやすくなります。

設計製図の本は買う時期が決まっている|課題は6月下旬に公表
見落とされやすいのが、結論「製図の教材は、課題が公表されてから選ぶもの」という点です。
建築技術教育普及センターの案内では、令和8年の設計製図の課題は6月24日頃から公表予定とされています(建築技術教育普及センター 令和8年二級建築士試験)。学科の試験は令和8年7月5日の日曜、設計製図の試験は9月13日の日曜です(同)。設計製図の試験時間は11時から16時までの5時間です(同 試験について)。
課題が出る前に製図の本を買うと、その年の課題に合っていない用途の建物で練習することになります。学科が終わってから動いても遅くはありませんし、むしろ課題に合わせて選んだほうが無駄が出ません。
- 課題の公表は6月下旬頃。学科の試験より前に出る
- 製図の教材は、課題を見てから選ぶ
- 学科と同時に買っても、その年の課題に合うとは限らない
- 法令集は製図でも2冊まで使えるので、学科の後も手元に置く
課題そのものの読み方と、過去の課題の傾向はこちらでまとめています。

費用の考え方|受験手数料18,500円との順番
最後に費用です。結論「書籍代は受験手数料と同じくらいの規模になる。だから削る場所を間違えないこと」を押さえておいてください。
建築技術教育普及センターの案内では、令和8年二級建築士試験の受験手数料は18,500円(非課税)で、別途ネット決済手数料がかかるとされています(建築技術教育普及センター 令和8年二級建築士試験)。書籍のほうは、テキストと問題集と過去問集で1万円前後、法令集がそこに数千円加わるという構成になりがちです。
ここで削ってはいけないのが法令集です。年度が古い法令集は、法改正に追いつかないうえに、そもそも試験の道具として成立しません。逆に削ってよいのは、同じ役割の本を2冊持つことです。テキストを2冊持っても、引く場所が2つに分かれるだけで得点は増えません。
- 受験手数料は18,500円。ネット決済手数料は別途
- 書籍はテキスト・問題集・過去問集で1万円前後が目安
- 法令集は最新年度を買う。ここを削る意味はない
- 同じ役割の本を重ねて買わない。増やすなら役割の違う1冊
学科で1年落とすと、次の年にもう一度18,500円を払い、法令集も買い直すことになります。金額の順序で考えれば、最初の年に必要な4種類をそろえきるほうが結局は安く済みます。
受験の区分や必要な書類は先に確定させておくと、教材の計画も立てやすくなります。

二級建築士の参考書に関する情報まとめ
- 参考書とは:テキスト・問題集と過去問集・法令集・製図教材の4種類をそろえる話
- 合格基準:令和8年は学科Ⅰが14点、学科Ⅱ〜Ⅳが13点、総得点60点。全部に達する必要がある
- 基準点は動く:学科Ⅰは難易度差が認められて補正が行われた
- 法令集の持込み:学科Ⅱと設計製図で2冊まで。当日に法令集チェックがある
- 認められる書き込み:目次・見出し・関連条文の指示、改正年月日、線、○△×まで
- 認められない例:図解、凡例つきマーク、計算式、早見表、条文順序の入替、コピー
- テキストと問題集:年度の表記と分野別の並びで選ぶ。分野別を軸にする
- 製図の教材:課題の公表は6月下旬頃。それを見てから選ぶ
- 費用:受験手数料は18,500円。法令集の年度は削らない
以上が二級建築士の参考書に関する情報のまとめです。
二級建築士の参考書は、良い本を1冊引き当てる勝負ではありません。4科目それぞれに基準点があるという形に合わせて、役割の違う本を過不足なく並べる作業です。とくに法令集は、買ってからの加工まで含めて1つの準備になります。実務でも似た話で、道具を比べている時間より、足りていないものを書き出す時間のほうが結果に効きます。書名のランキングを3つ読み比べるなら、その時間で手元の4科目の穴を洗い出したほうが、合格にはずっと近づきます。
二級建築士の参考書に関するよくある質問
Q1:参考書は何冊必要ですか?
テキスト1冊、分野別の問題集1冊、年度別の過去問集1冊、法令集1冊の4冊が基本形です。設計製図はここに含めず、課題が公表されてから追加します。同じ役割の本を2冊持っても得点は増えないので、増やすなら役割の違うものを選んでください。
Q2:法令集はどこの出版社のものを選べばいいですか?
使用が認められる条件を満たしていれば、あとは自分が引きやすいかどうかで選んで構いません。サイズ、段組、関連条文の記載の有無といった違いは、要するに書き込みと索引の作業を楽にできるかという話です。判断がつかない場合は、実物を書店で開いて、余白に条文番号を書き込めるかを見てください。
Q3:法令集に線を引いても大丈夫ですか?
アンダーラインは認められる書き込みに挙げられており、二重線や囲み枠も含まれます。ただし図解による説明や凡例を付けたマーク、計算式の記載は認められない例に挙げられています。線を引き始める前に、その年に公表されている資料で範囲を確認してください。
Q4:中古の参考書や法令集を買っても大丈夫ですか?
テキストや問題集は、年度が新しければ中古でも構いません。法令集は別で、法改正に追いついていない版は道具として使えませんし、前の持ち主の書き込みが認められる範囲に収まっている保証もありません。線引きの作業自体が条文の位置を覚える工程になっている点も踏まえて判断してください。
Q5:得意な科目で点を稼げば合格できますか?
できません。令和8年の合格基準では、各科目と総得点の基準点すべてに達している者を合格とするとされています。総得点で60点を超えていても、1科目でも基準点を割れば不合格です。まず4科目すべてで基準点を確保する設計にしてください。
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