二級建築士の製図課題とは?試験時間、過去問、木造、対策など

  • 製図試験って何時から何時まで?
  • エスキスに何分かけていい?
  • 時間が押したらどこを削る?
  • 令和8年の課題は何だった?
  • 過去の課題を一覧で見たい
  • 1枚描き残すと即不合格?
  • 来年に向けて何をすればいい?

上記の様な悩みを解決します。

建築技術教育普及センターの発表では、令和8年の二級建築士製図試験は、9月13日(日)の11時〜16時、5時間です。課題は6月24日に公表済みで、「商店街に建つ併用住宅(木造3階建て)」です。ただ、5時間という数字だけを覚えて安心するのは落とし穴です。注意事項の説明は10時35分〜11時で、試験の5時間はその後に始まります。

もう一つ見落としやすいのが、未完成の扱いです。建築技術教育普及センターの令和7年の合否判定基準では、要求図書のうち図面が1面以上未完成だと重大な不適合(ランクⅣ)とされました。令和7年の製図の合格率は46.4%です。令和8年からは法令集も使えるため、5時間の配分は「図面をすべて仕上げること」を軸に決めておく必要があります。

この記事では、試験を実施する側が出している時刻・判定基準・過去の課題一覧から逆算して「5時間をどう割るか」を考えます。今回は課題の意味・試験時間・過去の課題・要求図書といった基本を押さえた上で、公式の時刻に当てはめた時間配分の目安と「押したときに削る順」、平成28年以降の11回分の課題から読める構造の出方、学科の試験から製図まで70日という日程の組み方まで、施工管理の目線で整理しました。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、これから製図に進む方はもちろん、今年の試験を終えて来年に備えたい方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

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目次

二級建築士の製図課題とは?

「今年の課題って結局何だったの?」「課題はいつ分かるの?」という疑問から整理します。

二級建築士の製図課題とは、結論「設計製図の試験で出題される建物の設計テーマ(用途と構造)のこと」です。

大きな特徴は、この課題が試験当日ではなく、前もって公表される点です。令和8年の設計製図の課題は、試験を実施する建築技術教育普及センターが令和8年6月24日に公式サイトで発表しています。課題名は「商店街に建つ併用住宅(木造3階建て)」で、同じページには要求図書(何の図面を何分の1で描くか)の一覧も載っています。

つまり受験生は、本番で「どんな用途の、どんな構造の建物を設計するか」を先に知った上で練習できるわけです。一方で、敷地の形や要求される部屋、面積といった具体的な条件は、本番の試験問題で初めて示されます。建築技術教育普及センターの令和8年の課題ページでも、各階平面図については試験問題中に示す設計条件等で指定すると注記されています。

日数で見ると、課題の公表(6月24日)から製図の試験日(9月13日)までは81日です。この81日のうち、7月5日の学科の試験までは学科の勉強と重なるので、製図だけに使える日はもっと少なくなります。

だから「課題対策」とは、公表された用途と構造に合わせて、プランの型と作図の速さを本番までに仕上げること、と言い換えられます。個人的には、課題が先に分かるのは受験生にとって大きな救いで、公表から本番までの時間をどう割り振るかが二級製図の勝負どころだと思います。

二級建築士の設計製図試験の試験時間と概要

「製図試験って何時から何時まで?」「5時間ぶっ通し?」という疑問に、まず公式の時刻で答えます。ここを押さえると、なぜ時間配分と準備期間がシビアなのかが見えてきます。

建築技術教育普及センターの「試験について」と令和8年の受験要領では、設計製図の試験は次の枠組みで行われます。

項目 令和8年の内容
設計製図の試験日 9月13日(日)
注意事項等説明 10時35分〜11時(25分)
設計製図(試験時間) 11時〜16時(5時間)
出題数 1課題
法令集 令和8年から試験中に使用できる(法令集チェックは試験開始後)
学科の試験 7月5日(日)
学科の試験の合格発表 8月24日(月)(発表済み)
設計製図の試験の合格発表 12月3日(木)(予定)

見落としやすいのが、注意事項等の説明25分は5時間の外にあることです。建築技術教育普及センターの時間割では、10時35分〜11時が説明、11時〜16時が設計製図と分かれています。会場に着く時刻は、11時ではなく10時35分から逆算しておくのが安全です。休憩や途中退出の扱いはこの記事では断定しないので、受験票と当日の注意事項説明で必ず確認してください。

令和8年からの大きな変更が法令集です。令和8年の受験要領には、設計製図の試験で試験中に法令集が使えるようになると書かれています。建築技術教育普及センターの「試験について」では、設計製図の試験の法令集チェックは試験開始後に行うとされているので、試験開始後にチェックが行われる時間も見込んで段取りを組んでおくと慌てません。

次に日程です。建築技術教育普及センターが示す令和8年の日程から数えると、学科の試験(7月5日)から設計製図の試験(9月13日)までは70日、学科の合格発表(8月24日)から製図の試験までは20日しかありません。「学科の結果が出てから製図を始める」と決めていると、本番まで3週間を切った状態で作図を始めることになります。

「合格率って本当に50%もあるの?」という点は、実数で見ておきます。建築技術教育普及センターの過去5年間の試験結果データでは、直近3年の設計製図の結果は次の通りです。

年 実受験者数 合格者数 合格率
令和5年 9,988人 4,985人 49.9%
令和6年 9,947人 4,680人 47.0%
令和7年 10,006人 4,645人 46.4%

3年続けて50%を下回り、令和7年は46.4%でした。学科を突破した人だけが受ける試験で、それでも半分以上が落ちていると読むのが正確です。なお同じ試験結果データによると、令和8年の学科の試験の合格者は全国で6,829人と発表されています。

申込みの時期や学科を含めた試験全体の流れは、二級建築士試験の日程と申込みをまとめた記事で整理しています。

正直なところ、製図は学科を通った人の半数以上が落ちる試験です。学科の合格発表を待たずに、学科の試験が終わった翌週から製図に手を付けるくらいの段取りが現実的だと思います。

二級建築士の製図試験5時間の時間配分の目安

「エスキスに何分かけていいのか分からない」「作図だけで何時間かかるのが普通?」「見直しの時間なんて本当に取れる?」。検索でいちばん多いのがこの時間の悩みなので、ここは厚めに書きます。

最初に断っておくと、エスキスに何分、作図に何分といった配分は、建築技術教育普及センターが定めているものではありません。ここで示すのは、公式の時刻(11時〜16時)に当てはめた一つの組み方であり、目安です。

では何を軸に組むか。答えは「全部の図面を描き切ること」です。建築技術教育普及センターの令和7年の合否判定基準では、要求図書のうち図面が1面以上未完成のものは「設計条件・要求図書に対する重大な不適合」に当たり、ランクⅣとされています。同じ基準の令和5年・令和6年にも同じ文言があります。1面でも描き残すと、他の図面がどれだけ丁寧でもランクⅠ(合格)には届きません。だから配分は「エスキスを詰める」より先に「作図の時間を守る」側から決めます。

この考え方で11時〜16時を割ると、たとえば次のようになります。

時刻(目安) 作業 時間 やること
11:00〜11:15 課題文の読み込み 15分 要求室・面積・階・構造などの条件に印を付けて拾い出す
11:15〜12:30 エスキス 75分 ゾーニング→各階プラン→架構の当たりを付ける
12:30〜15:15 作図 165分 平面図→伏図→立面図→部分詳細図(断面)の順に描き切る
15:15〜15:35 面積表・計画の要点 20分 エスキスで出した数字を転記し、要点を文章にする
15:35〜16:00 見直し 25分 要求室の抜け・面積・図面同士の食い違いを確認する

合計は300分、つまり5時間ちょうどです。各時間は「このくらいで区切る」という目安で、実際は自分の通し練習で測った作図時間に合わせて動かしてください。

最初の15分を課題文の読み込みに使うのは、条件の読み落としが後から取り返せない失点になるからです。ここで拾った条件は、エスキスの途中で何度も見返すことになります。令和8年の受験要領では試験中に法令集が使えるとされているので、法規に関わる条件もこの段階で確認しておくと、作図中に手が止まりません。ただし法令集を引く時間も5時間の中に入るので、「どの条件で引くか」は練習の段階で決めておくのが前提です。

エスキスは75分を一つの区切りにしています。エスキスは粘るほど良いプランになりそうに感じますが、12時30分を過ぎても平面が固まらないなら、条件を満たしている案で作図に移るほうが結果的に得点は残りやすくなります。エスキスの進め方そのものは、建築のエスキスのやり方を解説した記事にまとめています。

作図の165分は、5時間の半分を超えます。「作図だけで2時間半以上かかるのは遅いのでは」と不安になる人もいますが、建築技術教育普及センターの令和8年の課題ページでは要求図書が7点あり、そのうち図面が5点ある以上、ここを削ると未完成に直結します。作図の順番は毎回同じにして、どの図面から描くかで迷う時間をゼロにしておくのがコツです。

面積表と計画の要点は、図面ではありませんが要求図書に含まれます。建築技術教育普及センターの令和8年の課題ページでは、要求図書に対して解答内容が不十分な場合も重大な不適合と判断されるとしているので、白紙で出す選択肢はありません。エスキスの段階で面積を出しておけば、ここは転記と文章化だけで済みます。

見直しの25分は、時間が押したときに削りやすい時間です。それでも、要求室の抜けや上下階の食い違いは、図面を描いている最中には気付きにくいものです。見直しは「全部をもう一度見る」ではなく、課題文で印を付けた条件を1つずつ図面と突き合わせる作業にすると短時間で回せます。

本番で時間が押したときは、次の順で削ります。

  • 1番目:見直しの時間(25分を10分程度まで縮める)
  • 2番目:立面図の外構や植栽など、条件に関係しない描き込み
  • 3番目:計画の要点の文章量(要点を短い文に絞る。白紙にはしない)
  • 4番目:清書の仕上げ(線の強弱や文字の丁寧さを後回しにする)
  • 最後まで削らないもの:全図面の外形・壁・開口と、面積表

なお、どこまで描けば未完成にならないかは、公式の判定基準には書かれていません。ここでの削る順は、描き込みの丁寧さを後回しにするという意味での目安です。このリストの考え方は単純で、「描き込みの質を落としても、図面の枚数は落とさない」です。1面でも未完成なら重大な不適合、という令和7年の判定基準から逆算すると、削る順はこうなります。

練習の段階では、通し練習のたびに「読み込み・エスキス・作図・面積表・見直し」の5区分で実際にかかった時間を記録しておくと、自分の弱い工程が数字で分かります。作図が毎回165分を超えるなら作図の順番と線の引き方を、エスキスが毎回押すならプランの型を見直す、という具合に手を打つ場所が決まります。

僕の考えでは、時間配分は「本番で守るもの」というより「練習で作り込むもの」です。本番の5時間で新しい配分を試す余裕はないので、課題公表後の通し練習で自分の数字を固めておくのが一番の対策だと思います。

二級建築士の製図課題の傾向

「木造3階建てって今までにあった?」「RCの年はどれくらい?鉄骨は出る?」という疑問に、公式の過去問から答えます。

建築技術教育普及センターが公開している過去の試験問題(平成28年〜令和8年の11回分)を並べると、次のことが読み取れます。

  • 木造:11回のうち8回。最も多い構造
  • 鉄筋コンクリート造:平成30年・令和3年・令和6年の3回
  • 鉄骨造:この11回の範囲には出題なし
  • 木造3階建て:この範囲では令和8年が初めて
  • 用途:住宅に店舗・事務所・診療所・カフェなどを組み合わせた住まいが多い

用途を見ると、令和8年の「商店街に建つ併用住宅」、令和3年の歯科診療所併用住宅、令和2年のシェアハウスを併設した住まい、令和元年の建築設計事務所を併設した住宅、平成30年のカフェを併設する二世帯住宅と、住宅に別の用途を組み合わせた課題が繰り返し出ています。一方で令和4年の保育所、令和6年のゲストハウスのように、住宅ではない用途の年もあります。

鉄骨造は、平成28年以降の11回の公表課題では出題されていません。また、過去の並びから翌年の構造を当てることは、この記事では行いません。翌年の構造は、公式の公表を待って確認してください。

課題の構造が木造かRC造かで、架構の考え方も図面の描き方も大きく変わります。木造の骨組みの基本は、木造の構造と特徴を整理した記事で確認できます。

現場目線で言えば、傾向は「次を当てる」ためではなく「今年の課題が過去のどれに近いか」を探すために使うものです。令和8年なら、木造・併用住宅という点で過去の木造課題の練習がそのまま生き、課題名に木造3階建てと明記された点が新しい、と切り分けると練習の優先順位が立てやすくなります。

過去の二級建築士の製図課題の一覧

「過去の課題を一覧で見たい」という方向けに、建築技術教育普及センターの過去の試験問題(各年の設計製図の試験問題PDF)と令和8年の課題公表ページに記載された課題名を、そのままの表記で並べます。

年度 課題名(公式表記) 構造
令和8年 商店街に建つ併用住宅(木造3階建て) 木造
令和7年 シェアハウス(木造) 木造
令和6年 観光客向けのゲストハウス(簡易宿所)(鉄筋コンクリート造) RC造
令和5年 専用住宅(木造) 木造
令和4年 保育所(木造) 木造
令和3年 歯科診療所併用住宅(鉄筋コンクリート造) RC造
令和2年 シェアハウスを併設した高齢者夫婦の住まい(木造2階建て) 木造
令和元年 夫婦で営む建築設計事務所を併設した住宅(木造2階建て) 木造
平成30年 地域住民が交流できるカフェを併設する二世帯住宅〔鉄筋コンクリート造(ラーメン構造)3階建て〕 RC造
平成29年 家族のライフステージの変化に対応できる三世代住宅(木造2階建て) 木造
平成28年 景勝地に建つ土間スペースのある週末住宅(木造2階建て) 木造

こうして並べると、課題名に3階建てと明記されているのは平成30年(RC造)と令和8年(木造)で、木造3階建てと明記された課題は平成28年以降では令和8年だけだと分かります。以前の記事で紹介していた平成25年の課題は、公式の過去問ページ(平成28年以降を掲載)で確認できなかったため、この表から外しました。

過去の試験問題は建築技術教育普及センターのサイトで公開されているので、課題名だけでなく問題用紙そのものを一度は見ておくべきです。条件の量や書き方、答案用紙の方眼の寸法は年度によって違うので、「毎年同じ」と思い込まずに年ごとに確認するのが確実です。

僕の感覚だと、過去課題は「パターンを覚えるため」より「5時間でどれくらいの条件量を捌くのか」を体で覚えるために解く価値が大きいです。今年の課題と構造・用途が近い年を2〜3回分選び、時間を計って通してみると、自分の作図の速さが本番基準で測れます。

二級建築士の製図課題の要求図書と作業

「何の図面を描くの?」「断面図や矩計図は出る?」という疑問に、令和8年の公式の要求図書で答えます。

建築技術教育普及センターが令和8年6月24日に公表した課題ページでは、要求図書は次の7点です。

要求図書 縮尺
1階平面図兼配置図 1/100
各階平面図 1/100
床伏図兼小屋伏図 1/100
立面図 1/100
部分詳細図(断面) 1/20
面積表 —
計画の要点等 —

同じ課題ページの注記では、答案用紙には1目盛が4.55ミリメートル(部分詳細図(断面)については10ミリメートル)の方眼が与えられるとされています。各階平面図については、試験問題中に示す設計条件等で指定すると書かれています。

ここで注意したいのが「断面図」と「矩計図」です。令和8年の要求図書には、「断面図」「矩計図」という名前の図面はありません。代わりにあるのが「部分詳細図(断面)[縮尺1/20]」です。外壁まわりを縦に切って、基礎から屋根までの納まりを詳しく描く図は、現場では一般に矩計図と呼ばれます。部分詳細図(断面)は、その矩計図で描く部分に当たる図だと理解しておくと、練習の方向を外しません。どの範囲まで描くかは試験問題の指示に従うことになるので、ここでは断定しません。

一方で、建築技術教育普及センターの令和7年の合否判定基準では、採点のポイントに「構造に対する理解」「架構計画」「矩計に関する知識」「要求図書の表現」が挙がっています。図面の名前が変わっても、矩計の知識そのものが問われなくなるわけではない、と読むのが自然です。矩計図の基本は、矩計図とは何かを解説した記事で確認できます。

もう一つの特徴が「床伏図兼小屋伏図」です。床や屋根を支える梁・桁の組み方を平面的に描く図で、木造の架構をきちんと組めているかがそのまま表に出ます。平面図だけ練習していると、ここで手が止まる人もいます。図面表現そのものの基礎は、建築図面の描き方をまとめた記事で押さえておくと、伏図や詳細図にも応用が利きます。

作業の全体としては、課題文を読んで条件を拾い、エスキスでプランと架構を固め、それを各図面に清書し、面積表と計画の要点で締める、という流れになります。

僕の整理では、要求図書は「課題が公表された日に、何をどの縮尺で描くかを確定させる表」です。令和7年は要求図書に矩計図があったのに対し、令和8年は部分詳細図(断面)になっているように、図面の名前が過去と違う年は、古い教材の図面名のまま練習を始めず、公式の7点に合わせて練習用の答案の枠を作り直しておくのが確実です。

二級建築士の製図課題の対策と勉強法

「学科から製図まで間に合う?」「今年落ちた気がする。来年に向けて何をすればいい?」「独学か学校か、結局どっち?」。この3つの悩みに沿って、現実的な勉強法を整理します。

対策の柱は次の通りです。

  • トレースで描き方を体に入れる:解答例を敷き写して、線の順番と図面の描き方を覚える
  • 時間を計って通しで解く:11時〜16時を想定し、5区分の時間を毎回記録する
  • 作図の順番を固定する:平面図→伏図→立面図→部分詳細図(断面)の順を毎回変えない
  • 課題の用途・構造に絞る:公表された課題に近い過去課題を重点的に練習する
  • 法令集の引き方を練習する:令和8年から試験中に使えるので、引く場面を決めておく

トレースは、原図の上に薄紙を載せて敷き写す練習方法で、作図の速さと正確さを上げるのに向いています。ただし1枚描くのにまとまった時間がかかるので、学科の試験が終わってから始めるのでは量が足りなくなりがちです。建築技術教育普及センターの令和8年の日程で数えると、学科の試験から製図までは70日です。課題が公表された6月の段階で、学科の勉強の合間に作図に触れておくと、後半が楽になります。

令和8年の製図を受け終えた方は、建築技術教育普及センターの予定では12月3日(木)に合格発表があります。発表を待つ間にできることは、基礎体力づくりです。構造を問わず使えるのは、線を引く速さ、面積の出し方、時間を計った通し練習の3つです。木造の伏図と部分詳細の描き方は、翌年の課題が木造になった場合に生きる練習で、鉄筋コンクリート造の年には架構の考え方も図面の描き方も変わります。令和8年の課題は6月24日に公表されたので、次の課題の公表までは、構造を問わない練習を中心に時間を回せます。課題が公表されたら、そこからは用途と構造に絞った練習に切り替えます。

独学か資格学校かは、時間・費用・自分で添削できるかで判断します。独学は費用を抑えられる一方、自分の図面の良し悪しを客観的に見てもらいにくいのが弱点です。資格学校は費用がかかるものの、課題に沿った練習と添削を受けられるのが強みです。採点ランクの考え方や製図道具、独学で進める場合の詳しい段取りは、二級建築士の製図試験の採点・道具・独学のポイントをまとめた記事に分けて書いています。

自分としては、二級製図は「才能より作図量」で決まる試験だと考えています。課題公表後、どれだけ早くトレースと通し練習を始められるか、そして通し練習の時間記録から自分の弱い工程を直せるかが、合否を大きく分けると思います。

二級建築士の製図課題でつまずくポイントと注意点

「1枚でも描き切れなかったら即不合格?」「時間が足りなくなったらどうなる?」という不安に、公式の判定基準から答えます。

建築技術教育普及センターの令和7年の合否判定基準では、採点結果をランクⅠ〜Ⅳの4段階に分け、ランクⅠだけを合格としています。ランクⅣは「設計条件・要求図書に対する重大な不適合に該当するもの」で、その内訳と、同じ基準で示された令和7年の解答の傾向を並べると次のようになります。

つまずきやすい点 令和7年の判定基準・解答の傾向での扱い
図面の未完成 要求図書のうち図面が1面以上未完成=重大な不適合。解答の傾向でも「未完成」が多かった
面積の違反 面積等の不適合=重大な不適合。解答の傾向でも「面積違反」が多かった
主要室の欠落 要求室等の欠落や設置階の違い=重大な不適合。解答の傾向でも「主要室の欠落」が多かった
設計条件の違反 解答の傾向で、吹抜けの大きさ、LDK及び交流スペースの計画、避難経路の違反が多かった
図面同士の食い違い 図面相互の重大な不整合(上下階の不整合等)=重大な不適合
非常識な計画 著しく非常識な計画(階段の欠落等)=重大な不適合

令和7年の内訳には、このほかに「木造2階建てでないもの」も入っていました。課題で指定された構造や階数そのものを外すと、それだけで重大な不適合になるということです。令和8年の判定基準でどう書かれるかは発表を待つ必要がありますが、課題の構造・階数は最初に守るべき条件だと考えておくのが安全です。

結果の分布も見ておきます。建築技術教育普及センターの令和7年の合否判定基準等では、ランクⅠが46.4%、ランクⅡが3.5%、ランクⅢが25.0%、ランクⅣが25.1%でした(小数点以下第2位を四捨五入した構成比です)。およそ4人に1人が、図面の出来以前の「重大な不適合」で落ちている計算です。

ここから言えるのは、未完成を出さないことが最優先の一つだということです。時間切れはその原因になりやすいので、前の章の時間配分で「描き込みの質を落としても、図面の枚数は落とさない」と書いたのは、この判定基準があるからです。

もう一つ、課題文の条件の読み落としも致命傷になります。面積、要求室、設置階、吹抜け、避難経路といった「外してはいけない条件」を、エスキスの最初に必ず拾い上げ、見直しの時間にその印と図面を1つずつ突き合わせる習慣をつけておくと、重大な不適合をかなり防げます。

実務だと、図面は「凝っているか」より「条件どおりか」で評価される場面が多いものです。二級製図の判定基準も、令和7年のランクⅣの内訳を見る限り、条件を満たしているかを先に見る構成になっています。凝った設計より、条件を満たした図面を時間内に全部そろえることが最優先です。ここを取り違えなければ、合格はぐっと近づくはずです。

二級建築士の製図課題に関する情報まとめ

  • 製図課題とは:設計製図の試験で出る建物の用途と構造。令和8年は6月24日に「商店街に建つ併用住宅(木造3階建て)」が公表された
  • 試験時間と概要:9月13日(日)11時〜16時の5時間・1課題。説明の25分は別枠。法令集は令和8年から使える。合格率は令和5〜7年で49.9%・47.0%・46.4%
  • 時間配分の目安:公式の配分は無い。「全部の図面を描き切る」を軸に組み、押したら見直し→描き込み→文章量の順で削る
  • 課題の傾向:平成28年以降の11回で木造8回・RC造3回・鉄骨造なし。木造3階建ては令和8年が初めて
  • 過去の課題:住宅に別の用途を組み合わせた課題が多い。課題名は公式の過去問で確認する
  • 要求図書:令和8年は7点。断面図・矩計図の名前は無く、部分詳細図(断面)1/20と床伏図兼小屋伏図がある
  • 対策と勉強法:トレース・時間を計った通し練習・作図順の固定。学科の試験から製図までは70日
  • 注意点:未完成・面積違反・主要室の欠落・設計条件違反は令和7年の判定基準で重大な不適合に当たる

以上が二級建築士の製図課題に関する情報のまとめです。

二級建築士の製図課題は、「課題は先に公表される」「試験は11時〜16時の5時間で、説明の25分は別枠」「1面でも未完成なら重大な不適合」の3点を押さえておけば、準備の方向を外しません。まずは通し練習を1回やって、読み込み・エスキス・作図・面積表・見直しの5区分で自分の時間を測ってみてください。その数字が、本番の配分を決めるいちばん確かな材料になります。正直なところ、二級製図は準備量が結果に直結する試験なので、課題公表と同時に動き出せた人が有利だと思います。

資格を取ったあとの働き方や待遇を、いまの職場だけで決めてしまう必要はありません。二級建築士を活かせる会社の条件を並べて見ておきたい方は、施工管理・建築系の転職サービスを比較した記事も見てみてください。

二級建築士の製図課題に関するよくある質問

Q1:二級建築士の製図課題はいつ発表されますか?

建築技術教育普及センターは、令和8年の設計製図の試験の課題を令和8年6月24日に公表しました。公表されたのは課題名(用途と構造)と要求図書などで、敷地や要求室などの具体的な条件は本番の試験問題で示されます。課題の公表から令和8年9月13日の試験日までは81日です。公表されたら、すぐにその用途・構造に絞った練習を始めるのが有効です。

Q2:二級建築士の製図課題は木造ばかりですか?

建築技術教育普及センターが公開している平成28年〜令和8年の11回分の課題では、木造が8回、鉄筋コンクリート造が3回(平成30年・令和3年・令和6年)で、鉄骨造はこの範囲にありません。木造が中心ですが、RC造の年もあります。構造によって架構の考え方や図面の描き方が変わるので、まず公表された課題の構造を確認し、それに合わせて練習を組み立てるのが先決です。

Q3:二級建築士の設計製図試験は何時間ですか?

令和8年の受験要領では、設計製図は1課題・5時間です。この5時間の中で、課題文の読み込み、エスキス、平面図・床伏図兼小屋伏図・立面図・部分詳細図(断面)などの作図、面積表と計画の要点の記入までをすべて仕上げます。注意事項等の説明の25分はこの5時間の外にあります。時間を計った通し練習で、5時間で必ず描き切る感覚を身につけておくことが欠かせません。

Q4:学科が終わってから製図まで、2ヶ月で間に合いますか?

建築技術教育普及センターの令和8年の日程で数えると、学科の試験(7月5日)から設計製図の試験(9月13日)までは70日、学科の合格発表(8月24日)から製図の試験までは20日です。学科の合格発表を待ってから始めると3週間を切るので、学科の試験が終わった段階で製図に手を付けるのが現実的です。令和7年の製図の合格率は46.4%で、半分以上が落ちている試験だという前提で準備してください。

Q5:製図課題ではどんな図面を描くのですか?

建築技術教育普及センターが公表した令和8年の要求図書は、1階平面図兼配置図・各階平面図・床伏図兼小屋伏図・立面図(いずれも1/100)、部分詳細図(断面)(1/20)、面積表、計画の要点等の7点です。「断面図」「矩計図」という名前の図面はありませんが、部分詳細図(断面)は外壁まわりの納まりを描く図で、令和7年の採点のポイントにも「矩計に関する知識」が挙がっています。課題公表後は、どの図書をどの縮尺で描くかを確認し、時間のかかる図面を優先的に練習しておくと効率的です。

Q6:二級建築士の製図は独学で合格できますか?

独学での合格も可能ですが、自分の図面の良し悪しを客観的に見てもらいにくい点が弱点になります。資格学校は費用がかかるものの、課題に沿った練習と添削を受けられるのが強みです。建築技術教育普及センターの試験結果データでは、令和5〜7年の製図の合格率は49.9%・47.0%・46.4%なので、準備不足のまま独学に走るのはリスクがあります。自己管理ができ作図に慣れている人は独学、作図に不安がある人は学校、という判断が現実的です。

Q7:製図試験は何時から何時までですか?

建築技術教育普及センターの「試験について」では、令和8年の設計製図の試験は、10時35分〜11時(25分)が注意事項等の説明、11時〜16時(5時間)が設計製図です。試験時間の5時間は11時から始まるので、会場への到着は10時35分から逆算して余裕を持たせておくと安心です。入室できる時刻や集合時刻は、受験票と案内で確認してください。

Q8:製図試験で法令集は使えますか?

令和8年の受験要領には、令和8年から設計製図の試験において試験中に法令集が使用できるようになると書かれています。建築技術教育普及センターの「試験について」では、設計製図の試験の法令集チェックは試験開始後に行うとされています。使えるといっても引く時間は5時間の中に入るので、どの条件で法令集を開くかは練習の段階で決めておくのがおすすめです。

Q9:来年の製図課題はいつ分かりますか?

令和9年の課題の公表日は、この記事では断定しません。参考として、令和8年の課題は建築技術教育普及センターから令和8年6月24日に公表されました。公表は同センターの二級建築士試験「設計製図の課題」のページで行われたので、来年もそのページを確認してください。公表までの間は、構造を問わず使える作図スピード・面積の出し方・時間を計った通し練習に時間を回し、木造の伏図や部分詳細は木造の年に備える練習として位置づけておくのが得策です。なお、令和9年の試験の時刻や法令集の扱いも、公表された受験要領で改めて確認してください。

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