- 二級建築士の通信講座って、結局どれを選べばいいの?
- 比較サイトを何本読んでも1位が同じで、逆に信用できない
- 8万円台の講座と100万円超の講座、何がそんなに違うの?
- 高い講座の方が受かるなら払うけど、値段と合格率って比例するの?
- 学科は独学でいけそう。製図だけ講座って買えないの?
- 添削って何回してもらえるの?1回だけなら意味がない
- 働きながらで、決まった時間に授業へ出るのは無理
- 給付金があると聞いたけど、自分が対象か分からない
- 「通信講座」で調べたら学校の通信教育が出てきた。これは2年通うやつ?
- 結局、最低いくらあれば戦えるのか、その一線が知りたい
上記の様な悩みを解決します。
二級建築士の通信講座は、安いものだと9万円前後、大手の総合コースだと100万円を超えます。同じ資格を目指すのに10倍以上の開きがあるのに、比較記事を読んでも「1位はここ」と結論だけが並んでいて、なぜそこまで価格が違うのかは書かれていないことが多いんです。今回は、そもそも二級建築士の通信講座には性格の違う2種類があるという前提の整理から、費用相場と価格差が生まれる正体、製図の添削回数を軸にした選び方、学科だけ独学にする買い方、教育訓練給付金で受講料が戻る条件、そして受験資格そのものを通信で取るルートまで、施工管理の目線でまとめました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
二級建築士の通信講座とは?まず2種類を切り分ける
二級建築士の通信講座は、結論「試験対策の講座」と「受験資格を取るための通信制課程」という別物が同じ言葉で呼ばれている、というのが最初に押さえるべき点です。
前者は、すでに受験資格を持っている人が学科と設計製図の対策をするための講座です。期間は数ヶ月から1年、価格は9万円前後から100万円超まで。後者は、建築系の学歴がない人が指定科目を修めて受験資格そのものを手に入れるための、専門学校や大学の通信教育課程です。こちらは修了までに最短2年かかり、学費は80万円台という例もあります。目的も期間も桁違いなのに、比較記事の一覧表では両方が同じ表に並んでいることがあり、ここで迷子になる人がかなり多いと感じます。
自分がどちらを探しているかは、次の一点で判別できます。
- 建築系の学校で指定科目を修めて卒業している:試験対策の講座(実務経験は不要で今すぐ受験可)
- 建築設備士を持っている:試験対策の講座(実務経験0年で受験可)
- 建築系の学歴がなく、実務経験も7年未満:まず受験資格を取る通信制課程を検討
- 建築系の学歴はないが実務経験が7年以上ある:試験対策の講座
建築技術教育普及センターの受験資格区分では、指定科目を修めて卒業していれば試験時の実務経験は0年、建築に関する学歴がない場合は7年以上と整理されています。ここを確認しないまま試験対策の講座に申し込むと、勉強は進んでも願書が出せないという事態になりかねません。まず自分の区分を確定させるのが先です。
二級建築士という資格そのものの位置づけを先に把握しておきたい人は、こちらから読むと全体像が掴めます。

二級建築士の通信講座の費用相場|9万円前後から100万円超まで開く理由
試験対策の通信講座の費用は、結論「9万円前後・15万円前後・100万円前後という3つの層に分かれている」と捉えると一気に見通しが良くなります。
最も安い層は、動画講義とアプリの問題演習をスマホで完結させるオンライン特化型です。学科と製図をセットにしても9万円前後で収まります。中間層は15万円前後で、動画に加えて紙のテキストが届き、製図の添削課題が数回ついてきます。最上位層は大手予備校の総合コースで、100万円前後。ここには映像講義だけでなく、教室での対面指導や個別カウンセリング、大量の課題演習と添削が含まれます。
同じ資格の対策で10倍以上の差が出る理由は、実はほぼ一点に集約されます。人が手をかける量です。
- 動画配信と自動採点の問題演習は、受講者が何人増えてもコストがほとんど増えない
- 製図の添削は、講師が1枚ずつ図面を見て赤を入れるので受講者数に比例してコストが増える
- 対面での質問対応や個別面談を持つと、さらに人の時間と校舎の固定費が乗る
- 合格保証や返金制度がついている講座は、その原資が受講料に織り込まれている
つまり価格差の正体は教材の質そのものというより、自分のためにプロが何時間使ってくれるかの差です。学科はマークシートなので、極端に言えば安い講座でも高い講座でも解くべき過去問は同じ。差がつくのは、正解が1つに定まらない設計製図の方です。
もう一つ、費用を考えるうえで見落とされがちなのが受験のたびにかかる固定費です。二級建築士試験の受験手数料は18,500円で、不合格ならこれが毎年発生します。加えて製図用の三角定規やテンプレート、用紙代、そして何より1年という時間。安い講座で2年かかるより、適切な講座で1年で終わらせた方が総コストは安く済むケースは普通にあります。僕の感覚だと、講座選びは支出の最小化ではなく「受験回数の最小化」で考えた方が、結果的に財布にも優しいです。
通信講座の選び方|製図の添削回数と当年度課題への対応を最優先に見る
通信講座の選び方は、結論「製図の添削が何回受けられるか」と「当年度の課題に対応しているか」の2つを最優先に据えるのが失敗しにくいやり方です。
なぜ添削回数なのかというと、設計製図の試験は減点方式で、しかも致命的なミスを踏むと図面の完成度に関係なく一発で不合格ランクに落ちるからです。法規違反、未完成、要求室の欠落といった地雷は、自分では踏んだことに気づけません。第三者に図面を見てもらう回数がそのまま地雷を潰す回数になるので、ここが講座の価値の中心になります。添削1回の講座と6回の講座では、同じ「通信講座」でも中身がまったく違います。
当年度課題への対応も外せません。二級建築士の設計製図の試験は、毎年6月下旬に課題が公表され、受験生はその課題に絞って練習します。令和8年の課題は6月24日に公表された「商店街に建つ併用住宅(木造3階建て)」で、要求図書は1階平面図兼配置図と各階平面図(縮尺1/100)、床伏図兼小屋伏図(1/100)、立面図(1/100)、部分詳細図の断面(1/20)、面積表、計画の要点等です。木造3階建てで併用住宅、しかも商店街という敷地条件なので、この年に必要な練習は前年とは別物になります。去年の教材をそのまま使い回している講座では、練習量を積んでも本番とズレます。
そのうえで、働きながら受講する人が見るべき項目を並べると次の通りです。
- 製図の添削回数と、添削が返ってくるまでの日数
- 当年度課題に差し替えた課題演習が何題あるか
- 講義が録画で、視聴期限がいつまでか(決まった時間に出席する必要がないか)
- 質問できる回数と手段、返答までの目安
- 添削課題の提出期限が固定か、自分のペースでずらせるか
- 一般教育訓練給付金の指定講座になっているか
最後から2番目の提出期限は、地味ですがかなり効きます。働きながらの受講で一番多い失敗は、講座が悪かったことではなく、課題を提出しないまま受験日が来てしまうことです。繁忙期に提出期限が重なると、そこで一度止まってそのまま戻れなくなる。期限が固定の講座を選ぶなら、自分の現場の繁忙期と重ならないか先に確認しておくのが安全です。返金保証や合格祝い金は判断の決め手にはしない方がよくて、条件が細かく設定されていることが多いので、あくまで最後のおまけとして見ておくくらいがちょうどいいと思います。
製図試験そのものの採点の仕組みや、どこで落とされるのかを先に知っておくと、添削の価値が具体的に見えてきます。

学科は独学・製図だけ通信講座|完全独学との違い
費用を抑えたい人にとって、結論「学科は市販教材で独学し、製図だけ通信講座を使う」という買い方が最もコストパフォーマンスの高い選択肢になります。
二級建築士試験の合格率は、学科がおおむね35〜42%、設計製図がおおむね50%前後、両方を通した総合ではおおむね20〜25%で推移しています。数字だけ見ると製図の方が易しく見えますが、製図を受けているのは学科を突破した人だけなので、母集団の質を考えれば体感の難易度は逆です。そしてこの難易度の非対称性が、そのままお金の使いどころを決めます。
学科試験は計画・法規・構造・施工の4科目のマークシートで、過去問を7〜8年分繰り返せば独学で十分に戦えます。市販の過去問集とテキスト、法令集を揃えても数万円です。一方の製図は、前の項目で書いた通り第三者の目がないと自分の欠点が見えません。この非対称性があるので、お金を投じる先を製図に寄せるのが理にかなっています。実際、製図単科のコースを用意している講座は複数あり、総合コースより大幅に安く済みます。
完全独学との違いを整理すると、こうなります。
- 完全独学:費用は数万円。学科は問題ないが、製図で地雷を踏んだまま本番へ向かうリスクが残る
- 学科独学+製図単科:費用は十数万円。支出を製図の添削に集中させられる
- 総合コース:費用は数十万円から100万円超。学習管理まで外注でき、自力での計画が苦手な人には効く
施工管理の仕事をしている人は、この選び方と特に相性が良いと考えています。現場で日常的に図面を読み、納まりや施工手順が頭に入っているぶん、製図で「実際には施工できない納まり」を描いて減点される事故が起きにくいからです。逆に不利になりやすいのは作図スピードで、普段は図面を読む側で描く側ではないため、時間内に描き切る訓練だけは意識的に積む必要があります。現場目線で言えば、実務経験は製図の内容面では効くけれど、手の速さは別途鍛えるものだと割り切っておくと計画を立てやすいです。
完全独学でどこまで行けるのか、その具体的な勉強法とテキスト選びはこちらで詳しく整理しています。

働きながらどれくらいの時間が必要になるのか、逆算のしかたはこちらが参考になります。

教育訓練給付金で受講料の20%(上限10万円)が戻る
通信講座の費用を下げる公的な手段として、結論「一般教育訓練給付金を使えば受講料の20%、上限10万円が戻ってくる」という制度があります。
これは雇用保険の制度で、厚生労働大臣が指定した講座を修了すると、支払った受講料の一部がハローワークから支給されます。二級建築士の受験対策講座は、大手予備校を中心に指定を受けているものが複数あります。給付率は20%で上限は10万円。たとえば50万円の講座なら10万円、15万円の講座なら3万円が戻る計算です。
対象になるかどうかは、講座側と自分側の両方の条件で決まります。
- 講座側:厚生労働大臣の指定を受けた一般教育訓練の指定講座であること
- 自分側:雇用保険の被保険者期間が3年以上あること(初めて受給する場合は1年以上)
- 離職している場合は、離職から受講開始までが1年以内であること
- 修了要件(提出課題や修了試験など)を満たして修了したと認定されること
なお教育訓練給付には一般のほかに、給付率40%・上限20万円の特定一般教育訓練と、給付率50%以上の専門実践教育訓練という区分もあります。ただし建築士の受験対策講座で指定されているのは一般教育訓練が中心なので、二級建築士の講座については20%・上限10万円を前提に考えておくのが実際的です。自分が申し込もうとしている講座が対象かどうかは、厚生労働省の教育訓練講座検索システムで講座名を引けば確認できます。個人的には、同程度の内容で迷ったときの決め手として使うのが賢い付き合い方だと思っていて、10万円は製図の添削を数回上乗せできる金額です。
受験資格そのものを通信で取るルート|期間と費用
建築系の学歴がない人にとって、結論「通信制の専門学校や大学で指定科目を修めれば、実務経験7年を待たずに受験資格を取れる」というのが現実的な近道です。
2020年の建築士法改正で、指定科目を修めて卒業していれば実務経験0年で二級建築士試験を受験できるようになりました。実務経験は受験ではなく、合格後の免許登録の要件へ整理された形です。この「指定科目を修めて卒業」は通信教育課程でも満たせるため、働きながら受験資格を取る道が開かれています。
通信制課程を検討するときに押さえておく点は次の通りです。
- 修了までの期間は最短2年が目安(eラーニングとスクーリングの組み合わせ)
- 学費は80万円台という例があり、試験対策の講座とは桁が違う
- スクーリングで通学する日程が必ず発生するので、勤務先との調整が要る
- 卒業ではなく「指定科目を修めた」ことが要件なので、履修科目の確認が必須
判断の目安として、いま建築系の実務に就いていて7年に近づいているなら待つ選択も合理的ですが、実務年数がまだ浅い、あるいは業務内容が建築実務として認められるか怪しいなら、通信制で指定科目を修める方が確実で早いです。正直なところ、7年という年数は「待てば無料」に見えて、その間ずっと資格手当も設計業務も手に入らないという機会損失を伴います。そこを含めて比べるのがフェアだと考えています。
自分がどの受験資格の区分に当てはまるのか、学歴と実務経験の数え方はこちらで詳しく整理しています。

二級建築士の通信講座に関する情報まとめ
- 通信講座には2種類:試験対策の講座と、受験資格を取る通信制課程は別物
- どちらを選ぶかは、指定科目を修めて卒業しているかどうかで決まる
- 試験対策の費用相場:9万円前後・15万円前後・100万円前後の3層に分かれる
- 価格差の正体:教材ではなく、製図の添削など人が手をかける量の差
- 選び方の最優先軸:製図の添削回数と、当年度課題への対応
- 令和8年の製図課題は「商店街に建つ併用住宅(木造3階建て)」(6月24日公表)
- 働きながらなら、添削の提出期限が繁忙期と重ならないかを事前に確認
- コスパ重視の買い方:学科は市販教材で独学、製図だけ単科で通信講座
- 一般教育訓練給付金:受講料の20%・上限10万円。雇用保険3年以上が条件
- 受験資格を通信で取る場合:最短2年、学費80万円台の例あり
以上が二級建築士の通信講座に関する情報のまとめです。
一通り全体像は整理できたと思います。実務だと、講座選びで本当に効くのは価格の安さでも合格実績の数字でもなく、「自分の図面を何回、誰かに見てもらえるか」です。学科は市販教材でも十分に戦えるぶん、限られた予算をどこに集中させるかで結果が変わります。まずは自分の受験資格の区分を確定させて、そのうえで製図の添削回数を軸に絞り込む。この順番で選べば、ランキング記事の1位に流されずに自分に必要な講座へたどり着けるはずです。
