ネジのピッチとは?意味、種類、規格、計算方法、測り方など

  • ネジのピッチってなに?
  • 並目(なみめ)と細目(ほそめ)の違いは?
  • どう表記されているの?
  • メートルねじとインチねじの違いは?
  • ピッチってどう測るの?
  • ピッチが合わないとどうなるの?

上記の様な悩みを解決します。

ネジのピッチは、現場で「あれ、このボルトがナットに入らないんだけど」となった時の犯人になりやすいポイントです。M12とM12を持ち寄っても、ピッチが違えば噛みません。電気・設備の現場では、輸入品のインチねじが混入していて気づかず、トルクをかけて潰してしまうトラブルもしばしば。今回はそのピッチの基本と、現場で測って確認する方法までを整理します。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

ネジのピッチとは?

ネジのピッチとは、結論「隣り合うネジ山と山の間の距離のこと」です。

単位はミリメートル(mm)。M10×1.5の「1.5」が、ピッチを表しています。1.5mm、つまり山1つ分の距離が1.5mm、ということ。

似た用語に「リード」があります。

  • ピッチ:山と山の距離
  • リード:ネジを1回転させた時の進行距離

シングルスタート(一条ねじ)の場合、リード=ピッチで一致しますが、二条・三条ねじになるとリードはピッチの2倍・3倍になります。建築・設備で使うボルトはほぼ全て一条ねじなので、現場では「ピッチ=リード」と思って差し支えなし。

並目と細目(ほそめ)

メートルねじ(メートル並目ねじ/メートル細目ねじ)には、同じ呼び径でもピッチが違う2種類があります。

並目(なみめ・ふつう)

最もポピュラーな種類。建築で使うボルト・ナット・建設用アンカーは、ほぼこの並目ねじ。JIS B 0205で規定されています。

呼び径 並目ピッチ
M6 1.0mm
M8 1.25mm
M10 1.5mm
M12 1.75mm
M16 2.0mm
M20 2.5mm
M24 3.0mm

「M16」と書いてあったら、特記なき限りピッチ2.0mm(並目)と理解してOK。

細目(ほそめ)

並目より山の間隔が狭い、より精密なねじ。同じ呼び径で並目より細かい。JIS B 0207で規定。

呼び径 細目ピッチ
M8 1.0mm(並目1.25→細目1.0)
M10 1.25mm(並目1.5→細目1.25)
M12 1.25mm
M16 1.5mm
M20 1.5mm

機械の精密部品、自動車パーツ、緩みにくくしたい部位、震動が多い部位で使われます。建築・設備の現場では珍しい使い方になります。

並目と細目は互換性なし

同じM12でも、並目(ピッチ1.75)と細目(ピッチ1.25)は絶対に噛みません。施工現場で「ボルトの長さ・直径は合っているのにナットが入らない」となった時、最初に疑うべきポイントです。

ネジの表記の読み方

ボルト・ナットに表記される識別の読み方を整理。

基本的な並目表記

M12 × 35

  • M12:直径12mm、ピッチ1.75(並目)
  • 35:長さ35mm

並目ねじの場合、ピッチは省略されるのが一般的。「M12 × 35」と書いてあれば並目ピッチと理解。

細目表記

M12 × 1.25 × 35

  • M12:直径12mm
  • 1.25:細目ピッチ1.25mm
  • 35:長さ35mm

細目を使う時は、必ずピッチも明記します。

強度区分表記

ボルト頭には強度区分の刻印があります(例:4.6、8.8、10.9、12.9)。

  • 4.6:一般ボルト
  • 8.8:高強度ボルト
  • 10.9 / 12.9:超高強度ボルト

鉄骨高力ボルト(F10T、S10T)は、この強度区分が10.9に相当する。ボルト全般の話はボルトの解説も参考に。

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メートルねじとインチねじの違い

世界では大きく分けて、

  • メートルねじ:ピッチをmmで表す(並目/細目)
  • インチねじ(ユニファイねじ):1インチあたりの山数で表す。代表規格はUNC(並目)、UNF(細目)

の2系統が使われています。日本国内の建築では、ほぼメートルねじですが、輸入機器・電気機器・配管のフランジなどで時々インチねじが混入します。

インチねじの表記例

1/2-13UNC

  • 1/2:直径1/2インチ(約12.7mm)
  • 13:1インチ(25.4mm)あたりの山数13
  • UNC:Unified National Coarse(ユニファイ並目ねじ)

ピッチに換算すると、25.4mm ÷ 13山 ≒ 1.95mm。M12並目(1.75mm)に近いですがちょっと違う。

似ているが噛み合わない代表組合せ

  • M12(ピッチ1.75)と1/2-13UNC(ピッチ約1.95):似ているが互換性なし
  • M16(ピッチ2.0)と5/8-11UNC(ピッチ約2.31):これも噛まない

「直径が近くてピッチも近いから無理に押し込んでナットを潰す」事故は、輸入機器の据付でよくあります。施工管理として、輸入品の機器が現場に届いたら、最初に「ボルトはメートルねじかインチねじか」を確認する習慣を。

配管ねじ(Rc/Rp/G/PT)

ボルトとは別系統で、配管に使う「テーパねじ」「平行ねじ」もあります。Rc(管用テーパめねじ)、G(管用平行ねじ)、PT(旧JIS)など。これらはまた別の規格体系で、ボルトのねじとは絶対に互換性ありません。配管工事の話は配管工事の解説を参照。

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現場でのピッチの測り方

現場で「このボルト・ナット、ピッチが分からん」となった時の確認手順。

①ピッチゲージ(スレッドゲージ)を使う

最も確実なのがピッチゲージ。複数のピッチが切られた金属プレートが扇状にまとめられている工具で、各プレートをネジに当てて、ぴったり噛み合うピッチを探します。

メートル用とインチ用がセットになった製品(数千円〜)を、施工管理の道具箱に1個忍ばせておくと、輸入機器据付・古い既設配管との取り合いでめちゃくちゃ役立ちます。

②ノギスで山を数える

ピッチゲージがない時は、ノギスで山と山の距離を測るか、5山〜10山の合計距離を測って割り算する方法。

ピッチ = 5山合計距離 ÷ 5

例えば5山で7.5mmなら、ピッチ1.5mm(M10並目)と分かります。

③呼び径を測る

ピッチを正確に測る前に、まずノギスでネジ部の外径(呼び径)を測る。

  • M12のおねじ:実外径11.7〜12.0mm程度
  • M16のおねじ:実外径15.7〜16.0mm程度

外径が分かれば、おおよその呼び径が確定するので、その呼び径の並目ピッチ(上の表)と現物を照合して確認。

④ナットを当ててみる

最後の手段ですが、用意した既知のナットをスーッと指で入れてみて、

  • スムーズに入る → ピッチ合致
  • 引っかかる、力が要る → ピッチ違いか細目/並目違い

を判定。決して工具で強く回さないこと(雌ネジが潰れる)。

施工での注意点

施工管理として押さえておくべき注意点。

①ボルト・ナットを別ロットで仕入れた時

ボルトとナットを別の業者・別の倉庫から仕入れた時は、必ず1組「指で入るか」を確認してから現場に出す。並目を頼んだつもりが細目が混ざっていた、という発注ミスは時々あります。

②機械据付時のインチねじ確認

輸入機器の据付では、付属の取付ボルトと現場で用意するアンカーボルトのピッチが違うことが。設備機器の据付前に、機器側のアンカーホール径・ピッチを確認しておきます。

③緩み止めとピッチ

緩み止めナット(Uナット、ゆるみ止めワッシャ、緩み止め接着剤など)は、ピッチが合っていないと効果が出ません。緩み止めの選定はピッチが正しいことが前提。

④締付トルクとピッチ

同じM12でも、並目と細目では締付トルクの推奨値が違います。細目の方が同じトルクで強い軸力を出すので、機械側の指定トルクが「細目用」なのか「並目用」なのか、機械側の取扱説明書を確認。締付トルクの一般論はボルトの解説も参照。

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ネジのピッチに関する情報まとめ

  • ネジのピッチとは:隣り合う山と山の距離。単位はmm
  • 並目/細目:同じ呼び径でも2種類ある。互換性なし
  • 表記の読み方:M12は並目、M12×1.25のように細目はピッチ明記
  • メートルねじとインチねじ:UNC/UNFは1インチあたり山数で表記。互換なし
  • 測り方:ピッチゲージが確実、ノギスで山距離計測も可
  • 施工注意:別ロット仕入れ、輸入機器、緩み止めの効果、トルク指定の根拠ピッチ

以上がネジのピッチに関する情報のまとめです。

ピッチは「合えば回る、合わなければ絶対回らない」というシビアな指標。施工管理として、輸入機器の据付前のピッチ確認、ボルト・ナットの納入時の組み合わせチェックを習慣化すれば、潰し直し・手戻りがほぼゼロになります。一通り基礎知識は理解できたと思います。

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