- LA避雷器ってそもそも何をする機器?
- 「LA」って何の略?
- 避雷器の仕組みが知りたい
- 避雷器と避雷針って何が違うの?
- LAとSPDの違いは?
- 定格電圧ってどう選ぶの?6.6kVなら?
- どこに設置するの?キュービクルの中?
- 接地は何種でやるの?
- PAS内蔵型と単独設置どっちがいい?
- 施工管理として避雷器の何を見ればいい?
上記の様な悩みを解決します。
LA避雷器は、高圧受電設備を雷から守る「保護の要」でありながら、避雷針やSPDと名前が似ていて混同されがちな機器です。役割・仕組み・設置場所を正しく理解していないと、キュービクルの据付や年次点検で何を見ればいいか分かりません。今回はLA避雷器とは何か、仕組みや選定といった基礎を押さえた上で、避雷針・SPDとの違いや、施工管理としての据付・点検の着眼点まで、電気施工管理の目線で整理しました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
LA(避雷器)とは?
LA避雷器とは、結論「落雷などで受電設備に侵入する異常な過電圧(雷サージ)を大地に逃がし、電気機器の絶縁破壊を防ぐ保護機器」のことです。
「LA」はLightning Arrester(ライトニング・アレスタ)の略で、日本語ではそのまま避雷器と呼びます。「アレスタ」と呼ぶこともありますが、指しているものは同じです。高圧受電設備(キュービクルなど)に必ず組み込まれる、雷対策の中心的な機器です。
守る相手は、主に雷サージと開閉サージです。雷が電線路の近くに落ちると、電磁誘導でとんでもなく高い電圧(サージ)が電線を伝わって受電設備に侵入してきます。また、開閉器を操作したときにも一時的な過電圧(開閉サージ)が発生します。これらの異常電圧をそのまま受けると、変圧器やケーブルの絶縁が破壊されて機器が壊れる。それを防ぐのがLA避雷器の仕事です。
法令面では、電気設備技術基準の解釈(第37条)で、高圧架空電線路から受電する受電電力500kW以上の需要場所の引込口には避雷器の施設が義務づけられています。500kW未満なら義務ではありませんが、雷害のおそれがある場合は避雷器の施設などの措置が求められます。実際には、キュービクルには標準で避雷器が組み込まれることがほとんどで、「付けるのが当たり前の保護」だと考えておけば実務では困りません。
高圧受電設備の全体像を先に押さえておくと、LAの位置づけが分かりやすくなります。

僕としては、LA避雷器は「受電設備の避雷針ではなく、雷サージの逃がし弁」だと捉えると本質が見えると思っています。建物の避雷針が直撃雷を受け止めるのに対して、LAは電線を伝ってくる過電圧を大地に逃がす。同じ「避雷」でも守り方がまったく違う、という点が最初の理解のカギになります。
LA避雷器の仕組み
避雷器がなぜ「普段は電気を通さないのに、過電圧のときだけ電流を逃がす」という都合のいい動きができるのか。その秘密が内部の素子にあります。
現在の主流は酸化亜鉛素子(ZnO)を使った避雷器です。この酸化亜鉛には、バリスタ特性という電圧によって抵抗が激変する性質があります。
酸化亜鉛素子(ZnO)の動きは次の通りです。
- 通常時(常用電圧):抵抗が非常に高く、ほとんど電流を流さない(絶縁物のように振る舞う)
- 過電圧侵入時(雷サージ):抵抗が急激に下がり、大電流を大地へ放電して電圧を制限する
- 放電後:再び抵抗が高い状態に自動で復帰し、常用電圧では電流を流さなくなる
このおかげで、避雷器は普段は回路に影響を与えず、雷サージが来た一瞬だけ電流を逃がして電圧を抑え、終わればまた元に戻る、という理想的な保護ができます。過電圧を「機器の絶縁が耐えられるレベル」まで制限するので、この制限電圧と機器の絶縁強度の関係を絶縁協調と呼びます。
考え方としては、避雷器は「電圧で開くバルブ」です。ある電圧を超えたら開いて電流を逃がし、電圧が下がったら閉じる。これを機械的な部品なしで、素子の性質だけで一瞬でやってのける。だから落雷という一瞬の現象にも間に合うわけです。
雷サージから低圧側を守るSPDも同じ酸化亜鉛系の素子を使っており、原理は共通しています。

個人的には、この「普段は絶縁・過電圧で放電・その後復帰」という3拍子が避雷器の全てだと思っています。仕組みを難しく考えず、電圧センサー付きの自動バルブ、とイメージしておけば、点検で何を見るか(この動きが正常か)の理解にもつながっていきます。
LA避雷器・避雷針・SPDの違い
避雷器の話でいちばん混乱するのが、避雷針やSPDとの区別です。名前も役割も似ているようで、守る対象も設置場所も違います。ここを整理しておきます。
3つの違いは次の通りです。
| 機器 | 何を守るか | 守る対象 | 設置場所 |
|---|---|---|---|
| LA(避雷器) | 高圧電路に侵入する雷サージ・開閉サージ | 高圧受電設備の機器 | PAS付近・キュービクル内 |
| 避雷針 | 建物への直撃雷 | 建物・人 | 建物の屋上・突端 |
| SPD | 低圧回路に侵入する雷サージ | 低圧の電気機器・電子機器 | 分電盤・低圧側 |
まず避雷針は、建物に直接落ちる直撃雷を受け止めて、雷電流を安全に大地へ導く設備です。守るのは建物と人であって、電気回路ではありません。屋上や塔屋の先端に立っているあれです。
一方でLA避雷器とSPDは、どちらも「電線を伝って侵入してくる雷サージ(主に誘導雷)」から電気機器を守る機器です。違いは電圧階級で、LAは高圧側(6.6kVなど)の受電設備を守り、SPDは低圧側(100V/200V)の機器を守る。つまり同じ「サージから回路を守る」役割を、高圧はLA、低圧はSPDが分担している、という関係です。
ざっくり言えば、避雷針は「雷を受け止める」、LAとSPDは「雷サージを逃がす」。そしてLAは高圧、SPDは低圧の担当。この3つの整理ができると、現場で図面を見たときにどの機器が何のためにあるのかが読めるようになります。
建物側の避雷設備については、避雷針設備の記事で詳しく押さえられます。

正直なところ、この3つは実務でもよく混ざります。ただ「避雷針=直撃雷を受ける・LA=高圧サージを逃がす・SPD=低圧サージを逃がす」と役割と電圧で覚えておけば、もう迷いません。読者からの質問で一番多いのがこの違いなので、ここを押さえるだけで受電設備の理解が一段深まります。
LA避雷器の定格電圧と選定
避雷器を選ぶときの基本になるのが定格電圧です。ここは数字が決まっているので、押さえておけばそのまま実務で使えます。
高圧配電系統で使われる避雷器の定格電圧は、主に次の2種類です。
| 電路の公称電圧 | 避雷器の定格電圧 |
|---|---|
| 3.3kV | 4.2kV |
| 6.6kV | 8.4kV |
日本の高圧受電はほとんどが6.6kVなので、実務で選ぶのは定格電圧8.4kVの避雷器が中心になります。具体的には、6.6kV高圧受電設備に施設される避雷器は「公称電圧6.6kV・定格電圧8.4kV・公称放電電流2500A」のものが標準的に使われます。
ポイントは、定格電圧は「電路の電圧より高く設定されている」という点です。6.6kVの電路に8.4kVの避雷器を使うのは、常用電圧では絶対に放電せず、雷サージのような明確な過電圧のときだけ動作させたいから。定格電圧が低すぎると常用電圧でも誤って動作してしまうし、高すぎると保護効果が落ちる。だから電路電圧に対して適切な定格が決められているわけです。
公称放電電流2500Aというのは、その避雷器が安全に逃がせる放電電流の目安で、一般の高圧需要家設備ではこのクラスが使われます。
受変電設備の中身と、その中でのLAの位置づけをあわせて見ると理解が深まります。

僕の感覚だと、選定は「6.6kVなら定格8.4kV・2500A」という組み合わせを丸ごと覚えてしまうのが実務では速いです。ほとんどの高圧受電は6.6kVなので、この1パターンを押さえておけば、図面や機器銘板を見たときに「標準品だな」「これは違うな」の判断がすぐつきます。
LA避雷器の設置位置と接地
避雷器は、付ける場所と接地の取り方で効果が決まります。ここは施工管理として現場で確認する部分でもあります。
設置位置は、雷サージが侵入してくる引込口側、つまり区分開閉器であるPAS(気中負荷開閉器)の付近か、キュービクルの内部です。雷サージができるだけ受電設備の奥に入り込む前に逃がしたいので、入口に近い位置に置くのが基本になります。最近はPASの中に避雷器を組み込んだ避雷器内蔵PASも広く使われています。
PASの役割や構造を押さえておくと、LAの設置位置の意味がよく分かります。

そして避雷器で最重要なのが接地です。避雷器は逃がした雷電流を大地へ流す機器なので、接地がしっかりしていないと本来の性能を発揮できません。
避雷器の接地で押さえるポイントは次の通りです。
- 接地種別:避雷器の接地はA種接地工事による(接地抵抗値10Ω以下が原則)
- 接地線:所定の太さ以上の接地線を用い、確実に大地へ接続する
- 単独接地と共用接地:避雷器内蔵PASでは、避雷器の接地を他の接地と分けるか共用するかで考え方が変わる
- 接地の健全性:接地抵抗が上がると保護性能が落ちるため、点検で測定して確認する
避雷器がA種接地なのは、逃がす雷電流が大きく、確実に低い抵抗で大地へ流す必要があるからです。接地抵抗が高いと、雷電流を流しきれずに避雷器の端子電圧が上がり、守るはずの機器に過電圧がかかってしまう。だから避雷器の効きは接地の良し悪しに直結します。
A種接地工事の考え方は、避雷器の接地を理解する前提になります。

接地線の太さや選定の考え方もあわせて確認しておくと安心です。

実務だと、避雷器は「機器そのもの」より「接地」で性能が決まる、という意識が大事です。立派な避雷器を付けても接地が甘ければ意味がない。据付では機器の取り付けだけでなく、A種接地が確実に取れているか、接地抵抗が規定値に収まっているかまでをワンセットで確認する、という姿勢で臨むのが正解だと思います。
施工管理が押さえる避雷器の据付・点検ポイント
最後に、施工管理者として避雷器で何を見るかを整理します。据付時と、運用後の点検の両面で着眼点があります。
避雷器で押さえたい据付・点検ポイントは次の通りです。
- 設置位置:引込口(PAS付近)または受電の入口側に施設されているか
- 接地:A種接地が確実に施工され、接地抵抗が規定値以下か
- 端子の締付け:高圧端子・接地端子の緩みがないか(発熱・放電の原因)
- 外観:がいし部のひび割れ・汚損・トラッキング痕がないか
- 動作の健全性:漏れ電流の測定や、避雷器の劣化判定(点検時)
据付では、位置と接地が二大チェックポイントです。雷サージを入口で逃がせる位置にあり、A種接地が確実に取れていること。ここが押さえられていないと、いくら機器が正しくても保護が成立しません。
運用後の年次点検では、外観の異常(がいしの割れ・汚れ・放電痕)と、接地抵抗、そして避雷器自体の劣化がないかを見ます。酸化亜鉛素子は経年で少しずつ劣化することがあり、劣化すると常用電圧でも微小な漏れ電流が増えていく。点検ではこの兆候を捉えて、必要なら交換を判断します。
キュービクルそのものの点検や離隔の考え方も、あわせて押さえておくと現場で役立ちます。

現場目線で言えば、避雷器は「普段は何もしていないように見えて、いざという時に受電設備全体を守る」機器です。だから点検でも症状が出にくく、つい後回しにされがち。でも避雷器が劣化していると、次の落雷で高価な変圧器ごと飛ぶこともある。地味だけど、接地と劣化だけは毎回きちんと見る、というスタンスで向き合ってほしい機器だと思います。
LA避雷器に関する情報まとめ
- LA避雷器とは:雷サージなどの異常電圧を大地に逃がし、受電設備の機器を絶縁破壊から守る保護機器(Lightning Arrester)
- 仕組み:酸化亜鉛素子(ZnO)のバリスタ特性で、常時は絶縁・過電圧時に放電・その後復帰する
- 避雷針との違い:避雷針は建物への直撃雷を受け止める。LAは電線を伝う雷サージを逃がす
- SPDとの違い:LAは高圧側、SPDは低圧側のサージを担当する
- 定格電圧:6.6kV電路なら定格8.4kV・公称放電電流2500Aが標準(3.3kVは4.2kV)
- 設置位置:PAS付近やキュービクル内の引込口側。避雷器内蔵PASも普及
- 接地:A種接地工事による。接地の良し悪しが保護性能に直結する
- 点検:位置・接地・端子締付け・外観・劣化(漏れ電流)を確認する
以上がLA避雷器に関する情報のまとめです。
一通り避雷器の基礎知識は網羅できたかなと思います。LA避雷器は「避雷針・SPDとの違い」でつまずきやすいですが、避雷針は直撃雷を受け止める・LAは高圧サージを逃がす・SPDは低圧サージを逃がす、と役割と電圧で整理すれば一気にクリアになります。現場では機器そのものより接地の健全性が性能を決めるので、A種接地と劣化判定を軸に点検してもらえればと思います。
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