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モジュール設計とは?尺・メーター、グリッド、用途別の例など

  • モジュール設計ってそもそも何?
  • 尺モジュールとメーターモジュールってどっちがいいの?
  • 住宅とオフィスでモジュールはどう違う?
  • なんで建築は寸法を揃えるの?
  • 施工管理として現場でどう活きるの?
  • BIMとモジュールってどんな関係?

上記の様な悩みを解決します。

モジュール設計」は建築の寸法をある基準単位の倍数で揃えていく考え方で、設計段階の意匠だけでなく構造・設備・施工の全ての段階に効いてくる地味だけど重要な発想です。施工管理として図面を読むときも「この建物のモジュール、何mmなんだろう」と意識できるかどうかで、墨出し計画や搬入計画の組み方が変わってきます。本記事では基本概念から尺・メーター・大スパンの違い、用途別の使い分け、施工管理目線の活かし方までまとめておきます。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

モジュール設計とは?

モジュール設計とは、結論「建築の各部寸法をある基準単位の倍数で揃えていく設計手法」のことです。

英語では Modular DesignModular Coordination。日本語では「寸法体系」「寸法計画」とも呼ばれます。ある決められた基本寸法(モジュール)の倍数で、平面・立面・断面の各部材を配置することで、設計・施工・部材調達のすべてが効率化される、というのがコアコンセプトです。

モジュール設計が効く範囲

  • 構造柱の配置(柱割)
  • 壁の長さ・開口位置
  • 床仕上げ・天井仕上げの割付
  • 建具寸法(サッシ・ドア)
  • 設備配管・電気配線の経路
  • ユニット部材(パネル・PC・サイディング)

寸法のリズムを揃える」だけで、設計の合理性と施工の効率性が同時に上がるのがモジュール設計の本質です。

平面計画でモジュールがどう機能するかはこちらでも整理しています。

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モジュールの種類

日本の建築でよく使われる主要なモジュールを整理します。

尺モジュール(910mm)

日本の在来木造住宅の伝統的なモジュール。

特徴

  • 1グリッド = 910mm(3尺)
  • 1畳 = 910 × 1820mm
  • 1間 = 1820mm(6尺)
  • 4畳半・6畳・8畳の和室がそのまま設計可能
  • 大工の墨付け・刻みに最適化された寸法

メリット

  • 在来工法の規格部材(柱・梁・床合板)が定尺で揃う
  • 畳・襖・障子といった和室部材がそのまま使える
  • 木材歩留まりが良い

デメリット

  • 廊下・トイレなど狭い空間で実際に使える幅が780〜810mmしかない
  • 車椅子・ベビーカーが通りにくい
  • 既製品の家具配置で寸法が中途半端になる

伝統と歩留まりで強い、ただし現代生活ではやや窮屈」というのが尺モジュール。

メーターモジュール(1,000mm)

ハウスメーカー系で多用される現代的なモジュール。

特徴

  • 1グリッド = 1,000mm
  • 廊下幅・階段幅・トイレが約10%広く取れる
  • バリアフリーに有利
  • 国際的な計算単位(メートル法)と整合

メリット

  • 廊下幅900mm前後を確保しやすい
  • 車椅子・ベビーカーの通行に余裕
  • 国際標準・メーカー規格との整合
  • 図面寸法の計算が直感的

デメリット

  • 在来工法の規格部材で歩留まりが悪い
  • 畳・和室部材を使うとサイズが合わない
  • 同じ建坪でも尺モジュールより材料費が上がる

ハウスメーカーの積水ハウス・大和ハウス系は、メーターモジュール標準が多めです。

6,000mmモジュール(オフィスビル系)

中規模・大規模ビルの構造柱の標準スパン。

特徴

  • 1スパン = 6,000mm(柱中心〜柱中心)
  • 6m × 6m の正方形グリッドが基本
  • オフィス・店舗の標準寸法
  • システム天井・OAフロアの規格と整合

メリット

  • 標準的なオフィスレイアウト(机・キャビネット)が収まる
  • 鉄骨梁・床スラブの設計が標準化できる
  • システム天井・OAフロアの定尺パネル(600 × 600)と整合

オフィスビルで「柱と柱の間が6m」を見たら、それは6mモジュールです。

7,200/8,100/9,000mmモジュール(大型施設)

ショッピングモール・工場・倉庫・体育館などで使われる大スパンモジュール

特徴

  • 1スパン = 7,200/8,100/9,000mm
  • 柱を減らして大空間を作る
  • 倉庫はパレット2枚分の寸法(1,100mm × 8 = 8,800mm)に近い

メリット

  • 用途上必要な大空間を効率良く構成
  • 柱本数が減るのでテナント区画の自由度が高い

デメリット

  • 鉄骨梁が大型化して高価
  • 構造設計の難易度が上がる

モジュール早見表

用途 標準モジュール 用途例
在来木造住宅 910mm(尺) 戸建・和風住宅
ハウスメーカー住宅 1,000mm(メーター) 戸建・分譲住宅
集合住宅 6,000mm(柱割)+1,000mm単位 マンション
オフィスビル 6,000mm(柱割)+ 100mm単位 事務所ビル
商業施設 7,200〜10,000mm ショッピングモール
工場・倉庫 8,100〜12,000mm 倉庫・工場
体育館・大空間 15,000〜30,000mm 屋内競技場・展示場

モジュールを揃えるメリット

モジュール設計を徹底すると、設計・施工・運用の各フェーズで効果が出ます。

構造設計のシンプル化

柱・梁が規則的に並ぶと、構造解析モデルが標準化できます。

  • スパン計算が定型的
  • 梁断面の選定が簡単
  • 床スラブの配筋が反復可能
  • 接合部のディテールが共通化

不規則な平面だと、梁ごとに違う計算が必要になり、設計時間が大幅に増えます。

設備配管・電気配線の合理化

寸法が揃っていると、配管・配線が直線基調で走らせやすくなります。

  • 縦シャフト(PS・EPS)が各階で重なる
  • 給排水・空調主管が直線で通る
  • 電気の幹線ルートが単純化
  • メンテナンス時の追跡が容易

ウェットコラム」という言葉があり、これは水回りを縦に揃えて配管を短くする設計手法。モジュール設計の発想を設備に応用したものです。

縦シャフトや配管経路の話はこちらでも。

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仕上げ材の歩留まり

定尺の仕上げ材(タイル・サイディング・サッシ・ボード)はモジュールと整合する寸法で作られています。

  • タイル:100mm・200mm・300mm系
  • サイディング:455mm・910mm幅
  • 石膏ボード:910 × 1,820mm
  • システム天井:600 × 600mm

モジュールが揃っていれば割付ロスがほぼゼロになり、コストも工期も短縮されます。逆にモジュールが崩れている部分では、現場合わせの切断・廃材が発生しがちです。

施工性の向上

施工管理目線で最大のメリットは墨出し効率

  • 通り芯(基準線)が規則的なので、墨出しが速い
  • 建て込み・型枠の段取りが標準化
  • 継手位置・配筋ピッチが共通化

墨出しの話はこちらでも整理しています。

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コスト削減

設計・施工・部材すべてが標準化されるので、全体コストが下がる。これが多くのビル系プロジェクトが厳格にモジュールを守る理由です。

用途別のモジュール設計

建物用途で最適なモジュールが変わります。

戸建住宅

選択肢:尺910mm or メーター1,000mm

  • 在来工法を活かす ⇒ 尺
  • バリアフリー・大型家具優先 ⇒ メーター
  • 木造2×4工法 ⇒ メーターに近い独自モジュール

最近の戸建トレンド:1階LDK・水回りはメーター、2階寝室は尺と部位別に使い分ける設計事務所もあります。

集合住宅(マンション)

選択肢:6m柱割 + 住戸内は1m単位

  • 構造柱は6,000〜8,000mmスパン
  • 住戸の壁芯は1,000mm単位(デベロッパー標準)
  • 共用廊下・EVは別途寸法

専有面積60㎡、70㎡、80㎡」のラインナップは、住戸幅×奥行きをモジュールで標準化することで成立しています。

オフィスビル

選択肢:6m × 6m(中央コア型)or 6m × 9m(偏心コア型)

  • システム天井 600 × 600mm
  • OAフロア 500 × 500mm
  • 机1セット 1,400 × 700mm

執務空間の家具・什器がモジュールに整合するように、6mグリッドが標準化されています。

商業施設・ショッピングモール

選択肢:7,200 × 7,200mm or 7,200 × 12,000mm

  • テナント区画を整数倍で取りやすい
  • 共用通路の幅を一定にしやすい
  • 駐車場の寸法(1台2,500 × 5,000mm)とも整合

工場・倉庫

選択肢:8,100〜12,000mm

  • フォークリフトの動線幅
  • 製造ラインの長さ
  • パレット寸法(1,100 × 1,100mm)に整合する寸法

学校・病院・公共建築

選択肢:3,200mm × 整数倍 or 教室寸法 7,000 × 9,000mm

  • 教室の標準寸法から逆算したモジュール
  • 廊下・階段の用途別寸法
  • バリアフリー基準

モジュール設計と施工管理

施工管理として、モジュール設計を意識することで現場の段取り・品質を一段引き上げられます。

図面チェックでまず見る寸法

施工管理が新しい図面を受け取った時、最初に見るべきはモジュール寸法

  • 構造柱の通り芯間隔(柱割)
  • 室内寸法のグリッド単位
  • 階段・廊下幅
  • 建具寸法

この建物のモジュールは何か」を最初に押さえておくと、その後の図面読み込みの速度が変わります。

墨出し計画への反映

モジュール設計が整っていれば、墨出しが効率化されます。

  • 通り芯墨をモジュール単位で設定
  • 各階で同じ通り芯を縦に通す
  • ベンチマーク(基準点)から各通り芯までの寸法が定型化

逆に変則寸法が多い建物は、墨出しに時間がかかり、ミスも増えます。墨出しチームには「この建物は基本Xmmモジュール、ただしAエリアだけ変則」というように事前共有が必要です。

仕上げ・建具の発注タイミング

モジュールが揃っている部分は、仕上げ材を定尺で発注できるので、コストも納期も短縮できます。一方、変則寸法の部分は特注品になりやすく、発注の前倒しが必要になります。

モジュールが崩れている部分=要注意箇所」と読み替え、施工計画でも段取り替えを意識しましょう。

BIM・建設DXとモジュール

近年のBIMや建設DXツールは、モジュール単位での部材ライブラリを前提に設計されています。

  • BIMの構造柱・梁ライブラリは標準スパンで揃っている
  • システム天井・OAフロアのIFC部品もモジュール単位
  • 干渉チェックもモジュールが揃っていると検出が容易

BIMの話はこちらでも整理しています。

搬入計画と養生計画

モジュールが揃った建物は、仮設・搬入経路も合理化しやすい。

  • 仮設エレベーターの位置を通り芯に合わせる
  • 養生範囲をモジュール単位で設定
  • 大型部材の搬入動線が直線化

仮設計画はこちらでも。

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モジュールが崩れる箇所の対処

完璧なモジュール建物は珍しく、現実には以下の場面で崩れます。

  • 敷地形状が不整形(旗竿地・台形地・斜め道路)
  • 既存建物との取り合い(増築・改修)
  • 用途上の特殊寸法部屋(大ホール・厨房・レントゲン室)

これらの変則部分は、現場合わせ・特注材・追加段取りの発生源になります。変則箇所を事前に色塗りしてリスト化しておくと、工程会議で「あの部屋だけ別管理」とアラートを上げやすくなります。

僕が電気施工管理時代、ある病院の手術室まわりだけが完全に独自寸法で、配線ピッチを全部現場合わせにした記憶があります。設計者が機能上の要請でモジュールを破った部分は、施工管理が段取り替えで受け止めるしかありません。

モジュール設計に関する情報まとめ

  • モジュール設計とは:建築寸法を基準単位の倍数で揃える設計手法
  • 主な種類:尺910mm(在来木造)/メーター1,000mm(ハウスメーカー)/6m(オフィスビル)/7,200〜12,000mm(大型施設)
  • メリット:構造解析の標準化、設備配管の直線化、仕上げ材の歩留まり、墨出し効率、コスト削減
  • 用途別:戸建(尺or メーター)/集合住宅(6m柱割)/オフィス(6m)/商業(7.2m)/工場(8〜12m)
  • 施工管理視点:図面チェック、墨出し計画、発注タイミング、BIM連携、搬入計画
  • 崩れる場面:不整形敷地、既存取り合い、特殊用途部屋

以上がモジュール設計に関する情報のまとめです。

モジュール設計は「設計者が決めること」と思われがちですが、施工管理としてモジュール寸法を即座に把握できるかどうかで、墨出し精度・発注効率・段取り力が変わってきます。「この建物の通り芯ピッチは?」を最初に問い直す癖を付けると、図面の意図が一段速く読めるようになります。

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