- 建具表ってなに?
- 何が書いてあるの?
- 建具のキープランとは何が違うの?
- AD-1、SD-2みたいな記号はどう読むの?
- 施工管理として何をチェックすればいいの?
- 自分でも書けるようになりたい
上記の様な悩みを解決します。
建具表は「現場に何枚の扉と何枚の窓を、どんな仕様で取り付けるか」を一覧にした書類で、施工管理が建具発注・搬入・取り付け検査をする上で最も参照する図書の1つ。だけど、設計事務所によって書き方の流儀が微妙に違うので「どこを見ればいいか分からない」となりがちです。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
建具表とは?
建具表とは、結論「建物に取り付ける扉・窓・サッシ・シャッターなどの建具を、一枚ずつリスト化した一覧表」のことです。
英語ではDoor ScheduleやWindow Schedule、Door & Window Scheduleと呼ばれます。「建具リスト」「建具一覧表」とも呼ばれることがあり、設計図書(意匠図)の中の重要な構成書類の1つ。
→ ざっくり、「建具1枚ごとの身分証明書を集めた一覧表」が建具表、というイメージです。
記載内容
建具表に書かれている内容は、建具記号(AD-1、WD-3、SD-2など)、建具の種類(ドア・引戸・サッシ・シャッターなど)、寸法(W×H、有効寸法・面木寸法)、材質(スチール・アルミ・ステンレス・木製など)、仕上げ(メラミン・焼付塗装・ウレタン塗装・天然木突板など)、ガラス(ある場合の種類・厚み・型番)、金物(蝶番・錠前・ドアクローザー・取手など)、数量(同一仕様の建具が何枚あるか)、設置階・部屋名(参照番号)、特記事項(防火区画、気密、電気錠の有無、自動ドア等)、というあたり。
これだけの情報が1つの建具記号に紐付いて整理されているのが建具表です。建具1つ1つに「身分証明書」が付いているイメージを持つと、この書類の役割がスッと入ってきます。意匠図全体の中での位置づけは、別記事の意匠図解説と合わせて読むと立体的に見えます。

建具表の書き方と記号ルール
建具表の書き方は、建築の見積書類の標準的なフォーマットとしてある程度型が決まっています。施工管理として「自分で書く」より「読み解く」スキルが重要なので、まずは記号ルールを整理しましょう。
主要な建具記号
| 記号 | 意味 | 用途 |
|---|---|---|
| AD | アルミドア | 玄関・通用口など |
| AW | アルミウィンドウ | 外周のサッシ窓 |
| SD | スチールドア | 共用部・倉庫・機械室 |
| WD | ウッドドア | 居室・ホテル客室など |
| SS | スチールシャッター | 駐車場・倉庫 |
| LSD | 軽量スチールドア | 倉庫・PS・パイプスペース |
| SUS | ステンレス製建具 | 厨房・浴室 |
| LD | 自動ドア | エントランス |
これに通し番号を付けて「AD-1」「WD-3」のように建具を識別します。番号は1階から順番に振るのが多く、用途・部屋ごとに割り当てる流派もあります。
建具表とは別に、鉄製建具(特にスチールドア)には個別の詳細図「SD図」が用意されていることが多い。建具表が一覧、SD図が個別の詳細図、というイメージ。

寸法とガラスの表記ルール
寸法はW(幅)× H(高さ)で書きます。表記には2種類あって読み間違えに注意。面木寸法が枠の外寸(壁の開口寸法に近い)、有効寸法が扉の通れる開口寸法(人や物が実際に通る寸法)、という違い。
「有効W900×H2100」は人が通れる開口寸法、「面木W970×H2150」は壁開口の寸法、というように使い分けられます。設計図と現場で寸法の取り方を間違えると数十ミリのズレになるので要注意。
ガラスの表記としては、FLがフロート板ガラス、TPが透明、FRが型板ガラス、LHが合わせガラス(laminated)、TGが強化ガラス(tempered)、IGが複層(pair / Insulated Glass)、というあたり。「12LH(透明合わせ)」「6mm TG」のように厚みと種類で表記。耐震・防犯・断熱の観点で使い分けられます。
建具表の見方と施工管理のチェックポイント
建具表は「読めれば発注ミス・取り付けミスがほぼ防げる」書類。施工管理として現場で実際に使うチェックポイントを整理します。
照合・寸法・防火・金物
手順①:建具表とキープラン(建具配置図)の照合。建具表は仕様の一覧、キープラン(建具配置図)はどの位置に何のドアが付くかを示した図。両者を照合して、「AD-1が3枚必要なら、キープランに3つのAD-1表示があるか」を必ず確認します。数量の不整合は発注後・搬入後では取り返しが付かないので、設計図書受領時に最初にやる作業。キープラン(建具のキープラン含む)の具体的な書き方は、別記事を参照してください。

手順②:寸法・仕様の現場照合。建具表のW×Hと現場の壁開口(または躯体開口)が一致しているか、仕上げ・色番が指示通りか、ガラス仕様が指示通りか、金物(錠前・ドアクローザー)の指定品番は正しいか、をチェック。
手順③:防火区画と特記事項の確認。防火区画を貫通する建具は特定防火設備(旧:甲種防火戸)または防火設備(旧:乙種防火戸)の認定品でなければなりません。建具表に「特定防火設備(CAS-XXX)」のような認定番号が記載されているはずなので、現物の認定銘板(ラベル)と照合します。
手順④:金物表との連携。建具表とは別に金物表(金物リスト)が用意されているケースが多い。建具1枚に対して付ける錠前・蝶番・ドアクローザーが箇条書きされているので、建具表の建具記号と金物表の対応を確認。
ありがちなミスと見分け方
ありがちなミスは、建具表の数量とキープランの建具数が合っていない、防火区画の建具に防火設備でない建具を発注、寸法を「面木」と「有効」で取り違えて発注(W30〜50mm違ってくる)、ガラス種別の取り違え(FL→LHなど・防犯・耐震性能が変わる)、金物・色番の指定漏れで「色違いの建具が届く」、というあたり。
→ 建具を取り付ける前に「建具に貼られている検収票(搬入票)の品番・寸法」と「建具表の品番・寸法」を必ず照合する。搬入時のチェックを怠ると、扉だけ届いて枠が違うサイズだった、というトラブルに発展します。設計図全般の見方は、設計図記事も合わせて読んでみてください。

建具表とキープランの違い
「建具表」と「建具のキープラン」、似ているけど役割は明確に違うので、ここを混同しないように整理します。
| 項目 | 建具表 | キープラン(建具配置図) |
|---|---|---|
| 表現形式 | 一覧表(リスト) | 平面図 |
| 主な情報 | 仕様(材質、寸法、金物等) | 建具の位置 |
| 主な用途 | 建具発注・取り付け仕様 | 建具の取り付け位置の指示 |
| 数量 | 同一仕様で何枚かを表示 | 1枚ずつ平面に配置 |
| 検査時に使う | 仕様検査・搬入検査 | 取り付け位置確認 |
建具表は「カタログ」、キープランは「地図」と覚えると理解しやすいです。
実務での使い方は、設計段階で意匠設計者が両方を作成、見積段階で建具メーカーが建具表で見積・キープランで数量確認、発注段階で施工管理が建具表で仕様確定・メーカー発注、搬入段階で搬入物の品番・数量を建具表と照合、取り付け段階でキープランで位置確認しながら取り付け、検査段階で建具表で仕様確認・キープランで配置確認、という流れ。両方を行ったり来たりしながら使うのが普通で、片方だけでは情報が完結しないように設計されています。
建具表の作成方法(施工管理視点での読み方の前提)
施工管理は基本的に建具表を「作る側」ではなく「読む側」ですが、設計図に不備があったとき自分で項目を追記したり質疑書(RFI)を出したりすることがあります。簡易な作成手順も押さえておきましょう。
作成手順と項目
作成手順の基本は次の通り。
- 平面図と建具のキープランを用意
- キープランの建具記号を順番に拾い出して建具リストを作る
- 各建具の仕様(種類・材質・寸法・仕上げ)を確定
- ガラスの仕様、金物の仕様を確定
- 防火・気密・遮音などの特殊性能を記載
- 建具表のレイアウト(縦位置・横位置)を整える
- 特記事項欄で個別の指示を補足
作成時に押さえておきたい項目は、建具記号(AD-1, WD-2…)、種類(ドア・引戸・サッシ等)、W×H寸法(面木・有効)、材質・仕上げ、ガラス(厚み・種類)、金物リスト、防火認定番号(必要時)、数量、設置階・室名、特記事項、というあたり。
実務でよくある追加項目
実務でよくある追加項目は、バリアフリー仕様の有無、自動ドアセンサーの種類、電気錠(オートロック)の有無、防音性能(透過損失)、気密等級、結露防止対策(断熱サッシ等)、というあたり。これらの細かい性能を建具表で抜け漏れなく整理できているかが、設計図書としての完成度を左右します。施工要領書との連携も忘れずに。建具の取り付け要領は施工要領書側に記載されることが多いです。

建具表に関する情報まとめ
- 建具表とは:建物の建具を一覧化した仕様一覧表
- 記載内容:建具記号、種類、寸法、材質、ガラス、金物、数量、特記事項など
- 記号の例:AD(アルミドア)、SD(スチールドア)、WD(ウッドドア)、AW(アルミウィンドウ)等
- キープランとの違い:建具表=仕様、キープラン=位置(カタログと地図の関係)
- 寸法表記:面木寸法(壁開口寸)と有効寸法(通れる寸)の使い分け
- ガラス表記:FL(フロート)、TG(強化)、LH(合わせ)、IG(複層)など
- 施工管理のチェック:数量・寸法・防火認定・金物・色番の整合確認
- 搬入時の必須作業:建具に貼られた品番表示と建具表の照合
以上が建具表に関する情報のまとめです。
建具表は「仕様書類」と「現場の取り付け作業」をつなぐハブになる書類。設計者が時間をかけて整理した内容を施工管理が読み解いて、現場で発注・搬入・取り付け・検査に使う、というフローで生きる書類です。「建具表とキープランをセットで読む」「特記事項を読み飛ばさない」の2点を意識しておくだけで、建具周りのトラブル発生率はかなり下げられるかなと思います。
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