- 変成シリコンってどういう材料?
- 普通のシリコンと何が違うの?
- どこで使うの?
- ウレタンシーリングとどう使い分ける?
- 上から塗装ってできる?
- 打ち替えるとき、古いやつの上から打てる?
上記の様な悩みを解決します。
「変成シリコン」は、サッシ周り・外壁目地・水回り・電線管貫通部など、現場の至るところで使われるシーリング材です。「変成シリコン」「シリコン」「ウレタン」「アクリル」と種類が多く、使い分けを間違えると剥がれ・ひび割れ・汚染(汚れ付着)の原因になります。設計図書で「変成シリコン使用」と指定されている部位の意味を理解しておくと、現場で代替品を使う事故が減ります。電気施工管理として、ケーブル貫通部の防火シール(フィブロックなど)と一般シーリングの使い分けも要注意。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
変成シリコンとは?
変成シリコンとは、結論「ポリエーテル系またはポリウレタン系の主剤に、シリコン由来の架橋成分を組み合わせたシーリング材のこと」です。
正式名称は「変成シリコーン系シーリング材」。JIS A 5758(建築用シーリング材)では「MS-2」「MS-1」のクラス分けが定められています。「変成」とは「変化させた」という意味で、純シリコンの特性を改良してシーリング材として使いやすくしたもの、と理解するとわかりやすい。
主な特徴は以下の通り。
- 弾性・耐候性に優れる
- 主成分はシリコンではなくポリエーテル系(混乱しがち)
- 上から塗装が可能(純シリコンは不可)
- 周辺の被着体や仕上げを汚染しにくい
- 1液型・2液型の両方が市販されている
- 価格は純シリコンより少し高い、ウレタンより少し高い
要するに「シリコンの長所(耐候性・弾性)と、塗装可能性・低汚染性を両立した、現場で使い勝手の良いシーリング材」です。
変成シリコンとシリコンの違い
これが一番混乱するポイント。整理しておきましょう。
| 項目 | 変成シリコン | (純) シリコン |
|---|---|---|
| 主成分 | ポリエーテル系(変性ポリマー) | シリコーン系 |
| 上塗り塗装 | ◎ 可能 | × 不可(はじく) |
| 周囲の汚染 | 少ない | 多い(油分でガラス等を汚染) |
| 耐候性 | 良い | 非常に良い |
| 弾性 | 良い | 非常に良い |
| 耐水性 | 良い | 非常に良い |
| 価格 | やや高い | 安い |
| 主用途 | 外壁目地、サッシ周り、塗装下地 | 水回り(浴槽、洗面)、ガラス目地 |
純シリコンの致命的な弱点:上塗り不可
純シリコンの表面は、塗料がほとんど付着しません。塗装するとはじいて、ぼろぼろ剥がれます。なので「外壁目地に純シリコンを打って、その上から塗装」は絶対NG。これを知らずに使うと、塗装の手戻りで現場が大混乱します。
純シリコンの隠れた問題:油分の汚染
純シリコンの主成分(シリコーンオイル)が、周囲の被着体表面に染み出します。ガラスや金属、外壁石材を汚染し、その後の塗装・接着・シール打ち替えに悪影響。これが「ノンブリードタイプ」(ブリード=染み出し対策品)が一般化した背景です。
変成シリコンの優位性
変成シリコンは「主成分がシリコンではない」ので、上記2つの問題がない。塗装でき、汚染も少ない。だから建築の外壁目地、サッシ周り、屋根の防水納まりで標準採用されています。
変成シリコンの用途と特徴
部位別にどこで使うかを整理します。
外壁目地(一般部位)
- ALCパネル・押出成形セメント板(ECP)の目地
- サイディング目地
- 外壁の打ち継ぎ部
- 上から塗装することが多いので、変成シリコンを選定
サッシ・建具周り
- サッシ枠(アルミサッシ)と外壁の取り合い
- 玄関ドア・通用口の枠周り
- ガラリ周りのシール
屋根・防水との取り合い
- パラペット笠木の継ぎ目
- 屋根貫通部(電気・設備)の防水シール
- ドレン周辺の二次防水
内装の取り合い
- 巾木と床の隙間
- 天井点検口枠の周り
- ボード継ぎ目の補強シール
電気・設備の貫通シール
電線管(厚鋼G管、薄鋼C管、PF・CD管)が外壁・床を貫通する部分の二次シール。
ただし、「防火区画貫通部」では変成シリコンだけでは法令上不十分で、フィブロックなど耐火材料での処理が必要です。防火区画貫通処理の解説で、耐火シールと一般シールの使い分けを必ず確認。
変成シリコンが向かない用途
- 浴槽・洗面台などの水回りの防カビ用途(→純シリコン)
- 完全水中での恒久シール(→専用シーラント)
- 高温高圧下の機械的シール(→工業用シーラント)
- ガラス間の構造シール(SSG構法)(→専用構造シリコン)
変成シリコンの施工方法
施工フロー
- 被着体の清掃:油分・ホコリ・水分を除去(重要)
- マスキングテープ貼り:仕上がり線を整える
- プライマー塗布:被着体ごとに指定のプライマーを塗る
- バックアップ材設置:3面接着を防ぐため、目地底にバックアップ材
- シーリング打設:コーキングガンで目地に充填
- ヘラ仕上げ:表面を滑らかにヘラで均す
- マスキングテープ除去:シーリングが固まる前に剥がす
- 養生:硬化時間(1液型は数日、2液型は1日)を確保
プライマーの重要性
変成シリコンは多くの被着体に対応できるシーラントですが、プライマーを塗布しないと密着不良で剥がれます。被着体(コンクリート、金属、ガラス、ALC、サイディング)ごとにメーカー指定のプライマーが違うので、必ずカタログを確認。
1液型 vs 2液型
| 項目 | 1液型 | 2液型 |
|---|---|---|
| 取扱い | 簡単(カートリッジに装填) | 機械練り必要 |
| 硬化時間 | 数日(湿度依存) | 1日(化学反応) |
| 使える量 | 少量(小規模) | 大量(外壁全周など大規模) |
| 価格 | やや高い | やや安い |
| 用途 | 内装、小規模補修 | 外壁、大規模新築 |
打ち継ぎ・打ち替え時の注意
打ち替え時は、
- 旧シーリングをカッターで切除
- 切除後の溝を清掃(油分残留を完全除去)
- プライマーを塗布
- 新規シーリングを打設
旧シーリング(特に純シリコン)の上に変成シリコンを重ね打ちしても、密着しません。「旧材の完全除去 → プライマー → 新材」が原則。これを省略すると、数年で剥離します。
主要メーカーと代表的な型番
国内主要メーカーと変成シリコン製品の例。
| メーカー | 代表製品 |
|---|---|
| サンスター技研 | ペンギンシール MS2500、ペンギンシール 2570 |
| セメダイン | POSシール、変成シリコン LM |
| コニシ | ボンド ビューティーシール、ボンド変成シリコンコーク |
| サンライズMSI | ハマタイト スーパー I(旧)、SC-MS3 |
| AGCポリマー建材 | サラセーヌ シリーズ |
カタログでは「変成シリコーン系(MS)」と書かれた商品を選ぶ。「シリコーン系」だけ書かれているものは純シリコンなので、設計図書で「変成」指定がある場合は要確認。
上塗り塗料との相性
変成シリコンは塗装可能ですが、塗料との相性があります。指定塗料系統との適合性をシーラントメーカーが事前検証している製品を選ぶと安心。アクリル系・ウレタン系・シリコン系塗料での試験結果がカタログに記載されています。
変成シリコンの注意点(施工管理視点)
①設計図書の指定を尊重
設計図書で「変成シリコン MS-2」と指定されているのに、価格の都合で「ウレタンに代えていいですか」と聞きたくなる場面がありますが、外壁目地や塗装下地の指定は、塗装との相性・耐候性の根拠があってのもの。代替する場合は必ず設計者の承認を取る。
②被着体とプライマー
被着体(金属、ALC、ガラス、コンクリート)ごとにプライマーが違います。「すべての被着体に同じプライマー」を使うと密着不良になるので、要領書での指定を確認。
③打設後の表面処理
ヘラ仕上げのとき、水を使うと表面がムラになります。乾いたヘラで滑らかに均すのが基本。雨天時は内部硬化が遅れるので、養生をしっかり。
④電気・設備の防火区画貫通部に注意
電線管・ケーブル貫通の防火区画では、変成シリコンだけでは法令を満たしません。フィブロック・耐火パテ・耐火二液パテで一次処理を行い、必要に応じて二次に変成シリコンを併用。「シーラントだけ打って終わり」では不適合。
⑤打ち継ぎ時の旧材除去
打ち替え時、旧シーラントの完全除去が命。中途半端に剥がすと、新規が密着せずに浮いてきます。カッター・スクレーパーでしっかり除去。
⑥硬化前の汚染防止
打設後、ヘラ仕上げまでの間は埃・小石・ゴミの付着に注意。風の強い日の打設は避け、養生テープで仕上げ部周辺を保護。
変成シリコンに関する情報まとめ
- 変成シリコンとは:ポリエーテル系主剤+シリコン架橋成分のシーリング材(JIS A 5758)
- 純シリコンとの違い:主成分が違い、上塗り塗装可能、周囲を汚染しにくい
- 用途:外壁目地、サッシ周り、屋根防水納まり、内装取り合い、電気貫通の二次シール
- 向かない用途:水回りの防カビ、構造シール、防火区画貫通の一次処理
- 施工フロー:清掃→マスキング→プライマー→バックアップ→打設→ヘラ仕上げ→マスキング除去
- 1液型・2液型:内装小規模は1液、外壁大規模は2液が多い
- 主要メーカー:サンスター技研、セメダイン、コニシ、サンライズMSI、AGCポリマー建材
- 注意点:設計指定の遵守、プライマー、旧材除去、防火区画への適用、硬化前の汚染防止
以上が変成シリコンに関する情報のまとめです。
シーリング材の使い分けは、外壁・サッシ・屋根・電気貫通部とすべての工事で出てくる地味だけど大事なテーマ。変成シリコンは「塗装下地として使えるシーラント」という強みがあるので、外壁目地・サッシ周りでは標準採用される定番です。被着体ごとのプライマー、防火区画への注意、旧材の完全除去、この3つを押さえておけば現場での失敗が激減します。一通り基礎知識は理解できたと思います。
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