- 平行ってどういう意味?
- 平行の記号「∥」はどう書くの?
- 垂直と平行の違いがイマイチ分からない
- 「平行筋」「平行接続」って何が平行なの?
- 建築の通り芯と平行ってどういうこと?
- 平行投影と透視投影の違いは?
上記の様な悩みを解決します。
平行とは、結論「2本の直線(または2枚の平面)が、どこまで延長しても交わらない関係」のことです。記号は「∥」(平行記号)。建築の世界では、図面上の通り芯・壁・梁・配筋など、ほぼあらゆるものが「何かと何かの平行関係」で位置決めされています。「X1通りに平行」「主筋に平行に配筋」「矩計図の屋根勾配と平行」など、平行の概念が分かっていないと図面の指示が読み解けません。電気の世界でも「並列接続」のことを「平行接続」と呼ぶ場面があり、用語の幅広さも理解しておきたいところです。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
平行とは?
平行とは、結論「2本の直線(または2つの平面)が、どこまで延長しても交わらない関係」のことです。
英語では parallel。記号は ∥(縦の二本線)。
①数学的な定義
ユークリッド幾何学では、
2直線が同一平面上にあり、どこまで延長しても1点も共有しない場合、
その2直線は「平行」である。
「同一平面上」というのが重要なポイント。3次元空間で「ねじれの位置」(同じ平面に乗っていない2直線)にある場合は、平行とは呼ばないんですね。
②向きが同じ + ずれている
平行な2直線は「向きベクトル(方向ベクトル)が同じか、または逆向き」かつ「同一直線ではない(ずれている)」関係にあります。
直線A:y = 2x + 1(傾き2)
直線B:y = 2x − 3(傾き2、切片だけずれている)
→ AとBは平行
「傾きが同じ」が平行の数学的なシグナル。
③記号 ∥
直線AB ∥ 直線CD
(直線ABと直線CDは平行)
縦に2本線を並べた記号 ∥ が平行を表します。手書きでもCADでも、この記号は共通。CADでは「%%p」のような特殊コマンドではなく、Unicode(U+2225)か、フォントのギリシャ・記号セットから挿入します。
④3次元の場合:直線と平面、平面と平面
| 関係 | 意味 |
|---|---|
| 直線 ∥ 直線 | どこまで延長しても交わらない |
| 直線 ∥ 平面 | 直線と平面が交わらない |
| 平面 ∥ 平面 | 2平面がどこまでも交わらない |
建築で「床と天井は平行」というときは、平面同士の平行のことを指しています。
ベクトルや座標の話はこちらの記事もどうぞ。

平行の記号と数式での書き方
数式やCAD上での平行の表記を整理します。
①数学での記号
ℓ₁ ∥ ℓ₂ (直線ℓ₁とℓ₂は平行)
AB ∥ CD (線分ABと線分CDは平行)
②不平行(平行でない)の記号
ℓ₁ ∦ ℓ₂ (ℓ₁とℓ₂は平行でない)
∦ は ∥ にスラッシュを引いた記号で、「平行でない」を表します。
③ベクトルでの平行条件
2つのベクトル a と b が平行であるための条件は、
a = k · b (kは0でない実数)
「片方が、もう片方の定数倍で表せる」が平行の条件。これは構造力学で部材の方向ベクトルを扱うときの基本ロジック。
④傾きでの平行条件
直線の方程式 y = ax + b、y = cx + d があるとき、
平行条件:a = c
「傾きが等しい」が平行のサイン。
⑤CADの「平行コピー」
AutoCADでも Jw_cad でも、「平行コピー(オフセット)」というコマンドが標準装備。
オフセット距離:500(mm)
基準線:通り芯X1
方向:右側
→ X1から500mm離れた、X1に平行な線が引かれる
施工図を作る上で、このコマンドが使えないと話にならないくらい重要。「通り芯から500オフセットして壁芯」という指示は、まさに平行コピーのことです。
平行と垂直の違い
「平行」と並んで、もうひとつの基本概念が「垂直」。比べて整理します。
①平行(parallel)
記号:∥
向き:同じ向き(または逆向き)
交点:交わらない(または同一直線)
②垂直(perpendicular)
記号:⊥(または ⟂)
向き:直角に交わる
交点:1点で交わる、その点で90°
③直角と垂直の関係
「垂直」と「直角」はほぼ同じ意味で使われますが、厳密には微妙に違う。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 直角 | 角度が90°の状態 |
| 垂直 | 2直線が直角に交わる関係(または鉛直方向) |
「柱は床に垂直」「梁は柱に対して直角」のように使い分けられますが、現場ではほぼ同義で使われています。
④建築での使われ方の対比
| 関係 | 例 |
|---|---|
| 平行 | 床と天井、壁の通り芯と外壁、主筋とスターラップ筋(一部) |
| 垂直 | 柱と床、壁と床、配筋の主筋とスターラップ筋(直角部分) |
| 斜め | 屋根勾配の母屋、ブレース、火打梁 |
日常会話では「90度に交わる」を直角、「まっすぐ立っている」を垂直と呼ぶことが多いですね。
不等号や数値規定の話はこちらの記事もどうぞ。

建築での「平行」の使われ方
施工管理者が日常的に出会う「平行」のシーンを整理します。
①通り芯と壁・梁の平行関係
建築図面の根幹は、X1〜Xn、Y1〜Yn の 通り芯(基準線)。図面上のあらゆる要素は、通り芯と平行か直交かで位置決めされます。
X1通り:南北方向の基準線
X2通り:X1に平行(一定間隔)
壁W1:X1通りに平行、X1から1,500mm内側
「通り芯と平行」と書かれていたら、その方向に向きが揃っている、と読みます。
②平行筋(並列配筋)
スラブや壁の配筋で、複数の鉄筋を等間隔で平行に並べることを「平行筋」と呼ぶことがあります。
D13 @150 平行配筋
→ D13 の鉄筋を、150mm間隔で平行に並べる配筋
「シングル配筋」「ダブル配筋」と呼ばれる配筋は、上下2段の鉄筋がそれぞれ平行に並んで構成されています。
③平行四辺形と建築形状
建築の意匠で、平行四辺形(パラレログラム)状の形状を持つ建物・空間が出てくることがあります。
- 屋根の片流れ:1枚の平面屋根が壁面に対して斜めに平行
- 平行四辺形プラン:意匠的に矩形ではなく菱形・斜めグリッドにする計画
④電気の「並列接続」≒「平行接続」
電気回路では、複数の素子を並べてつなぐ「並列接続」のことを、現場で「平行接続」と呼ぶことがあります。
電池3本を並列に並べてつなぐ
→ 電圧は同じ、容量3倍
ここでは「回路図上で並べて並んでいる」イメージから「平行」と呼ばれているんですね。厳密な数学用語ではないですが、現場の慣用として覚えておくと混乱しなくて済みます。
⑤地形での「等高線と平行」
土地の地形図で、等高線に対して平行な道路は勾配が緩やか、等高線に直交する道路は勾配が急、というのが基本ルール。造成計画や排水計画で、等高線との平行関係は地味に重要なポイントです。
平面図や寸法の話はこちらの記事もどうぞ。

平行投影と建築図学
建築図面で「平行」が一番劇的に効いてくるのが、投影法の世界です。
①平行投影 vs 透視投影
| 投影法 | 投影線の関係 | 用途 |
|---|---|---|
| 平行投影 | 投影線が互いに平行(無限遠点に視点) | 平面図、立面図、断面図、アクソノメトリック |
| 透視投影 | 投影線が1点(視点)に集まる | パース、外観イメージ図 |
建築図面(意匠図・施工図)の大半は平行投影で描かれます。なぜなら、平行投影は寸法が正確に測れるから。透視投影だと遠くの物が小さく描かれてしまうので、寸法の信頼性がない。
②平行投影の代表的な投影図
- 平面図:上から下に向かう垂直方向の平行投影
- 立面図:水平方向の平行投影(東立面・西立面など)
- 断面図:垂直面で切った後の水平投影
- アクソノメトリック図:斜め方向の平行投影で立体感を出す
③1分の1精度を保証するのが平行投影
施工図はすべて「1/100スケールで描かれた1m」が「実物の1m」と1対1対応します。これは投影線が平行だからこそ成立する関係。
④投影方向と物体の関係
平行投影では「物体の面が投影面と平行な部分」だけが、実寸通りに見えます。
- 床(水平面)を真上から見た平面図 → 床は実寸通り
- 壁(鉛直面)を真横から見た立面図 → 壁は実寸通り
- 屋根(傾斜面)を真上から見た屋根伏図 → 屋根は短く見える(投影面に平行でないため)
「屋根の実寸を正しく描くなら、屋根の傾斜と平行な視線で投影する」必要があり、これを 真の屋根面の図 または 展開図 と呼びます。
[talk words=’現場で「Y2通りの内側に、Y2に平行に間仕切り壁を200ミリ離して」と指示を受けて、墨出しのときに「これX2と平行ね」とうっかり言ってしまったら、職人さんが本当にX2に平行に墨を出してしまって、平面プランが90°回ってしまったという冷や汗のミスがありました。X方向とY方向の通り芯は90°違うので、平行と言われたときに「どの基準線に対して」を取り違えると壁が直交方向に立ち上がってしまう。「平行」という言葉は基準が明示されていないと意味が変わるので、必ず「○通りに平行」と通り名と一緒に伝えるべし、という教訓です。’ name=”” avatarimg=”https://seko-kanri.com/wp-content/uploads/2020/02/c-run.png” avatarsize=70 avatarbdcolor=#d0d0d0 avatarbdwidth=1 bdcolor=#d0d0d0]
立面図や図面の種類の話はこちらの記事もどうぞ。

平行に関する情報まとめ
- 平行とは:2直線・2平面が、どこまで延長しても交わらない関係
- 記号:∥(平行記号)、不平行は ∦
- 英語:parallel
- 数学的条件:傾きが等しい、ベクトルが定数倍の関係
- 垂直との違い:平行は交わらない、垂直は90°で交わる
- 建築での出方:通り芯と壁・梁の平行配置、平行筋(並列配筋)、平行四辺形プラン
- 電気での慣用:「平行接続」≒「並列接続」
- 投影法:平行投影は寸法が正確、透視投影はパース用
- 平面図・立面図・断面図はすべて平行投影で描かれる
以上が平行に関する情報のまとめです。
一通り平行の基礎知識は理解できたかなと思います。「平行」という単語そのものは小学校で習うほど基礎的ですが、建築の現場で出てくる平行は「何に対して平行か(基準)」の指定とセットでないと意味が定まりません。「Y2通りに平行に」「主筋に平行に」のように、必ず基準を明示する習慣をつけると、施工指示の精度が一段階上がります。基準の取り違えは即、墨出しのやり直しや躯体の組み直しに繋がるので、ここはあえて口を出して詰めておきたい部分です。
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