第二種電気工事士の参考書、公式版はなし。旧版と冊数の落とし穴

  • 本屋にもAmazonにも本が多すぎて、どれが定番なのか分からない
  • テキストと過去問集、本当に両方買わないといけないのか
  • 結局、学科と技能で何冊そろえれば足りるのか
  • 去年の版が家にある。これで受けても大丈夫なのか
  • 中古で安く済ませたいが、どこまで古いと危ないのか
  • CBTで申し込むつもりだが、紙の試験向けの本でいいのか
  • 過去問は何年分やれば足りるのか
  • どのサイトもランキングの1位が同じで、選んだ理由が書いていない

上記の様な悩みを解決します。

第二種電気工事士の参考書は、学科用と技能用で役割が分かれていて、1冊で全部をまかなう作りにはなっていません。ところが探し始めると、まず公式の指定テキストを見つけようとして手が止まるんですよね。試験を実施している電気技術者試験センターは、よくあるご質問の(12)で「試験センターでは、参考書は発刊しておりません。また、他社の推薦や紹介もしておりません。」と回答していて(一般財団法人 電気技術者試験センター よくあるご質問(12)・2026-08-28確認)、公式版という選択肢はそもそも存在しません。裏を返せば、どのランキングの1位も各サイトの主観だということです。今回は何冊必要か、学科と技能の分け方、過去問の年数、予算といった基本を押さえた上で、書名を並べるだけの記事では触れられない「公式テキストは存在しないという前提」「令和9年度から学科が原則CBT方式に移ること」「試験センターの過去問は許諾も使用料も不要で誰でも使えること」まで、施工管理の目線で整理しました。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、これから独学を始める方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

公式の指定テキストは存在しない|試験センターが明言していること

結論から書くと、第二種電気工事士には「これを使いなさい」と試験機関が指定した参考書がありません。電気技術者試験センターはよくあるご質問の(12)で「試験センターでは、参考書は発刊しておりません。また、他社の推薦や紹介もしておりません。」と回答しています(一般財団法人 電気技術者試験センター よくあるご質問(12)・2026-08-28確認)。自分たちは出していない、かつ他社の本も推薦・紹介していない、という二重の言い方になっているところがポイントです。

この一文が分かると、本選びで迷う理由の半分は消えます。公式テキストが無いのだから、どのサイトのランキングも「公式に近い順」ではありません。1位に置かれている本は、その記事を書いた人が良いと考えた本であって、それ以上でも以下でもない。だから記事をいくつ読み比べても、選んだ理由が書いていなければ順位に情報量はありません。当サイトも全冊を検証したわけではないので、この記事では「この本が1位」という書き方はしないと決めています。

では何を物差しにするか。指定テキストが無い代わりに、試験センターは試験の側の条件を細かく公表しています。本を当てにいくのではなく、この公表内容に本を当てるほうが早いです。判断材料になるものを並べると、次のとおりです(いずれも一般財団法人 電気技術者試験センターの公表内容。2026-08-28確認)。

  • 学科試験の出題範囲となる7つの科目と、出題数・試験時間という枠組み
  • 学科試験の合格基準点と、技能試験は作品に欠陥がないことという合格基準
  • 出題方針(過去の問題をどう扱い、どこを変えると言っているか)
  • その年度の技能試験の候補問題13問
  • 平成21年度実施分から公表されている過去の試験問題と解答

センター自身のスタンスも同じ方向を向いています。よくあるご質問の(11)では、難易度について「難易度の感じ方には個人差があります。」としたうえで「そこから過去の問題を確認して、ご自身に対する難易度を判断する際の参考にご活用ください。」と案内しています(同 よくあるご質問(11)・2026-08-28確認)。難しいかどうかも、他人の評価ではなく過去問を見て自分で判断してくれ、という回答です。本選びも同じ構えでいい、と読み替えられます。

この前提は、本の帯や商品ページの読み方にもそのまま効きます。センター自身が他社の推薦も紹介もしていないと言っている以上、「試験センター推奨」「公認」にあたる立場の本は存在しません。帯に並ぶのは出版社側の言葉であって、試験機関のお墨付きではない。同じ理由で、シリーズの知名度も累計発行部数も、自分が詰まる科目に強いかどうかとは無関係です。

だからこの記事では、以降のH2でも書名を1つも挙げていません。挙げる代わりに、試験センターが公表している条件を1つずつ本に当てていきます。何冊必要かは学科と技能の合格基準の違いから、旧版が使えるかは出題方針から、過去問集の比べ方は過去問の使用ルールから、技能の本は候補問題13問から決まる。順位ではなく条件で選べば、書店の棚が入れ替わっても判断が古くなりません。

資格そのものの位置づけや、取ったあとに何ができるようになるのかは、別記事で扱っています。

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僕の見方では、公式版が無いという事実を先に知っているかどうかで、書店に立ったときの動きがまるで変わります。探すものが「正解の1冊」から「自分の条件に合う1冊」に切り替わるからです。

何冊要るのか|学科と技能で本の役割が分かれている

第二種電気工事士の試験は、学科試験と技能試験の2段構えです。問われ方がまったく違うので、本も1冊では足りません。まずこの2つがどう違うのかを押さえます。

学科試験は「試験時間 120分」「出題数 50問 一般問題 30問程度 配線図問題 20問程度」という枠組みで実施されます。ただしセンターのページには「※試験時間、出題数は変更される場合があります。」という但し書きが付いています(一般財団法人 電気技術者試験センター「第二種電気工事士の学科試験のポイント」・2026-08-28確認)。出題範囲は電気工事士法施行令 第八条第一項に基づく科目で、電気に関する基礎理論、配電理論及び配線設計、電気機器・配線器具並びに電気工事用の材料及び工具、電気工事の施工方法、一般用電気工作物等の検査方法、配線図、一般用電気工作物等の保安に関する法令の7つです(同ページ・2026-08-28確認)。

合格の線については、令和8年度 第二種電気工事士 下期試験受験案内 p.9 に「学科試験における合格基準点は、60点とする。」と示されています(同案内・2026-08-28確認)。ここで気をつけたいのは、何点満点なのか、1問あたり何点なのかが、この受験案内にも学科試験のポイントにも示されていない点です。対策記事では満点を決め打ちして「50問のうち何問正解すれば通る」と換算した説明を見かけますが、その換算の土台になる配点は公表されていません。つまり正解数への逆算ができない試験なので、取りこぼしの許容数を先に決めるより、50問を最後まで埋めにいく前提で本を選ぶほうが安全です。

一方の技能試験は、合格基準の立て方からして違います。同じ令和8年度 第二種電気工事士 下期試験受験案内 p.47 には「技能試験における合格基準は、作品に欠陥がないこととする。」とあります(同案内・2026-08-28確認)。点を積み上げて基準を超える試験ではなく、欠陥が一つも無い作品を時間内に仕上げる試験です。学科の勉強と同じ頭で臨むと噛み合いません。

この違いをそのまま本の役割に置き換えると、こうなります。

本の種類 何のための本か 選ぶときに見るところ
学科のテキスト 7科目の内容を読んで理解し、間違いの理由を引くための本 自分が詰まる科目に何ページ割かれているか。式や図の途中が省略されていないか
学科の過去問集 出題のされ方に慣れ、解く速度を上げるための本 解答だけでなく、選択肢を切る理由まで書かれているか
技能の本 候補問題13問の複線図と作業手順を身体に入れるための本 受験する年度の候補問題13問を全問扱っているか

技能側の13問という数は、受験案内に書かれています。「候補問題は、No.1 ~ No.13まであり、一般用電気工作物等の電気工事に係る基本的な作業であって、試験を机上で行うことと使用する材料・工具等を考慮して作成してあります。」(一般財団法人 電気技術者試験センター 令和8年度第二種電気工事士下期試験受験案内 p.11「候補問題の公表及び欠陥の判断基準について」・2026-08-28確認)とあり、毎年その年度ぶんが公表されます。

冊数の基本形は、学科テキスト1冊・学科過去問集1冊・技能の本1冊の合計3冊です。テキストと過去問の両方が要るのかという疑問には、役割が違うから入れ替えが効かない、というのが答えになります。過去問集だけで進めると、解けなかった問題の理由を引く先がなくなる。テキストだけで進めると、50問を120分で処理する感覚が身につかない。順番としては、最初に手元に置くものはこうなります。

  • 学科のテキスト 1冊(7科目の説明を引くための辞書として使う)
  • 学科の過去問集 1冊(出題のされ方と時間配分に慣れる)
  • 技能の本 1冊(受験年度の候補問題13問と複線図を扱っているもの)
  • 技能の材料セットと工具(学科に通ってから用意しても間に合う)

学科と技能を1冊にまとめた本もあります。これを否定するつもりはありませんが、同じ判型・同じページ数なら、片方に割けるページは当然減ります。判断するなら目次を開いて、技能の候補問題13問に何ページ使われているかを、前後の見出しのページ番号の差で数えてみてください。13問を扱っていても、1問あたり見開き1つで流している本と、複線図から結線まで段階を追っている本では、同じ「13問対応」でも中身が違います。

なお、学科の段階でも複線図は避けて通れません。配線図問題が20問程度出る枠組みなので(前掲「第二種電気工事士の学科試験のポイント」・2026-08-28確認)、技能に入ってから複線図を覚え始めるのでは順番として遅くなります。複線図の描き方はこちらにまとめています。

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正直なところ、3冊という数字より「学科の本と技能の本は別物」という理解のほうが大事です。ここが混ざっていると、技能の本を早く買いすぎて、候補問題が公表される前の版を掴むことになります。

旧版・中古が使えるかは、試験センターの出題方針の一文で決まる

去年の版が家にある、あるいは中古で安く済ませたい。この判断は、感覚ではなく試験センターが公表している出題方針を読めば決まります。令和8年度 第二種電気工事士 下期試験受験案内 p.9「出題する試験問題について(出題方針)」には、次の2つが書かれています(同案内・2026-08-28確認)。

> これまで学科試験においては、…良質な問題が多数出題されてきました。試験に際しては、これらの問題を活用し、積極的に出題する方針とします。(問題文、選択肢、数値、用語等を見直し、…所要の変更を行う場合があります。)

> なお、電気工事の現場において新たに導入された機器・器具、工具や新技術・施工方法等、電気工事士が身に付けておくべき、新たな問題も出題をしていきます。

前半だけを読むと「過去問がそのまま出るなら旧版でいい」と考えたくなりますが、危ないのは後半です。新しく現場に入ってきた機器・器具・工具、新しい工法が出題対象だと明言されています。オームの法則や配線設計の理屈は版が変わっても動きませんが、材料・工具・施工方法の章と、法令の章は動きます。旧版のリスクは「過去問が古いこと」ではなく、「新しく入ってきたものが載っていないこと」だと考えたほうが実態に合います。

もう一つ、旧版が構造的に持っていない情報があります。令和9年度からの学科試験のCBT方式への原則化です。これはセンターが令和8年4月8日に「電気工事士学科試験(一種、二種)のCBT方式への移行について(令和9年度~)」として公表したもので、それ以前に作られた本には当然書かれていません(同公表・2026-08-28確認)。技能の本も同じで、候補問題13問はその年度ごとに公表されるため、前年度版は前年度の13問を扱っています。

奥付を見れば、手元の1冊が使えるかどうかは数分で判断できます。

  • 奥付の発行年月と「第◯版 第◯刷」を見る。刷が増えただけか、版が上がったのかを区別する
  • 表紙や帯の年度表記が、自分が受験する年度と合っているか
  • 技能の本は、扱っている候補問題13問が受験年度に公表された分かどうか
  • 目次で「電気工事の施工方法」「保安に関する法令」の章が改訂されているかを見る

中古を使うなら、学科のテキストのうち基礎理論・配電理論の部分は比較的動きが小さい領域です。逆に、技能の本の旧版だけは避けたほうが無難です。候補問題が変わっていれば、練習した13問と本番の13問が一致しません。ここは数千円の節約と引き換えにするには重い部分だと僕は考えています。

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  • どのシリーズも良さそうに見えて、レビューを読んでも決められない
  • テキストと過去問、本当に両方買う必要があるのか分からない
  • 去年の版が家にあるが、そのまま使っていいのか判断できない

見るのは3点です。①最新年度の版か(試験センターは出題方針で「問題文、選択肢、数値、用語等を見直し、最新の知識や応用・判断力等を適切に問うための所要の変更を行う場合があります。」と公表しています)②CBT方式に触れているか(令和9年度から学科は原則CBT方式に移ります)③過去問が何年度分載っているか(試験センターの公表分は平成21年度実施分から令和8年度上期まで)。この3点で絞れば、書名を覚えていなくても検索結果から自分で選べます。

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過去問集がどれも似て見える理由|転載が許諾も使用料も不要という構造

書店で過去問集を3冊並べて開いても、載っている問題が同じで違いが分からない。これは気のせいではなく、制度がそうなっているからです。

試験センターは過去の試験問題の使用について「当センターで公表している過去の試験問題の使用については、許諾や使用料は必要ありません。」と明記しています。使用目的についても「教育目的など…公表されている過去問題を問題集やテキストに使用される際、許諾および使用料の必要はありません。」とあり、条件として「出典の明記 出典を以下のように明記してください。(年度、期、試験区分等)」「問題の一部を改変している場合、その旨も明記してください。」の2つが示されています(一般財団法人 電気技術者試験センター「第二種電気工事士試験の問題と解答」・2026-08-28確認)。

つまり、どの出版社も同じ過去問を自由に載せられます。問題文が同じなのは各社が真似をしているからではなく、同じ一次資料を使っているから。ここが分かると、過去問集の比べ方が変わります。問題文で差はつかないので、見るべきは問題の周りにあるもの、すなわち解説・並べ方・収録範囲の3つだけです。

何年分やればいいか、という疑問についても答え方が変わります。センターは「◯年分を公開しています」という言い方をしていません。公表されている試験問題をたどると、最も古いものが「2009年6月7日(日)実施 平成21年度第二種電気工事士筆記試験」で、最も新しいものが令和8年度上期です(同ページ・2026-08-28確認)。年数の指定は無いので、どこまで遡るかは自分で決める話になります。前の章で見た出題方針が「これらの問題を活用し、積極的に出題する方針とします」と言っている以上、直近の年度を厚く、遡るほど薄く、という配分が理屈に合います。

無料のサイトやアプリだけで足りるのか、という疑問もここで解けます。問題と解答そのものは、センターのページから誰でも取れます。有料の本で買っているのは問題ではなく、解説と並べ方です。過去問集を比べるときに見るのは、次の4点で足ります。

  • 収録が年度別か分野別か(自分がどちらの回し方をするかで決める)
  • 正解の解説だけでなく、他の選択肢を切る理由まで書かれているか
  • どこまで遡って収録しているか(直近が厚いか、古い年度まで薄く広げているか)
  • 出典が年度・期・試験区分の形で明記されているか。改変がある場合その旨が書かれているか

4つ目は地味ですが効きます。出典の書き方はセンターが条件として指定している事項なので、そこがきちんとしている本は、少なくとも一次資料の扱いが雑ではないと判断できます。

CBTで受けるなら、本の選び方も変わる

CBTで申し込むつもりだが、筆記方式向けに書かれた本でいいのか。これは近い将来ほぼ全員に関係する話になります。

センターは令和8年4月8日の公表で「電気工事士試験一種・二種学科試験につきまして、令和9年度(2027年度)より原則として(※)CBT 方式…に移行することといたしました」としています。※の中身は「災害等で通信ネットワーク障害等など CBT 方式での試験が実施出来ない場合、必要に応じて PBT 方式で実施してまいります。」という留保で、筆記方式が完全に無くなると書かれているわけではありません。同じ資料の表では、第二種は令和9年度以降、上期・下期ともCBTと示されています(同公表・2026-08-28確認)。令和8年度の時点では、上期が学科CBT 4月23日〜6月7日と学科筆記 5月24日、下期が学科CBT 9月24日〜11月8日と学科筆記 10月25日という並びで、両方式が用意されている状態です(同センター「第二種電気工事士試験」試験日程・2026-08-28確認)。

CBTには、本の選び方に直結する性質が2つあります。令和8年度 第二種電気工事士 下期試験受験案内 p.46 には「学科試験(CBT方式)では、試験問題・解答は非公開です」とあり、試験終了後にその場で確認できるのは正答数だけだと案内されています(同案内・2026-08-28確認)。問題を持ち帰れず、どこを間違えたのかも分かりません。筆記方式なら試験後に問題冊子を見ながら自己採点や振り返りができますが、CBTではそれができない。だから、本番までに間違いの理由を潰しきっておく必要があります。解説が「正解はロ」の一行で終わる本は、CBT前提だと相性が悪いです。

もう一つは、画面上で図を読むことです。配線図問題は20問程度あり、使われる図記号については「試験問題に使用する図記号は、原則として次のJIS規格によります。」として、電気用図記号のJIS C 0617シリーズ、構内電気設備用図記号のJIS C 0303:2000、量記号・単位記号のJIS Z 8000シリーズが挙げられています(同センター「第二種電気工事士の学科試験のポイント」注2・2026-08-28確認)。紙に線を引きながら読む前提の解き方だけで練習していると、画面で読む段になって手が止まりかねません。図記号そのものを見た瞬間に判別できる状態まで持っていくほうが安全です。

CBTを前提に本を見るなら、確認するのは次の4点です。

  • CBT方式に触れている版か。方式の説明が筆記だけになっていないか
  • 選択肢ごとに切る理由が書かれているか(試験後に問題を見返せないため)
  • 配線図問題の図記号が、JIS規格の表記でまとめて載っているか
  • 直近の年度の過去問まで収録されているか

このあたりは、書店で目次と巻頭の試験概要ページを2分見れば判別できます。逆に言うと、方式の説明が古いまま残っている本は、他の情報も更新されていない可能性が高いという目印になります。

技能の本は「候補問題13問への対応」で絞る

技能の参考書は、学科ほど迷う必要がありません。基準がはっきりしているからです。

技能試験の問題は、あらかじめ公表される候補問題13問の中から出ます。令和8年度については令和8年1月16日に公表され、「令和8年度の技能試験問題は,次のNo.1~No.13の配線図の中から出題します。ただし,配線図,施工条件等の詳細については,試験問題に明記します。なお,試験時間は,すべての問題について40分の予定です。」と示されています(一般財団法人 電気技術者試験センター「令和8年度第二種電気工事士技能試験候補問題の公表について」・2026-08-28確認)。上期と下期で候補問題が入れ替わることもありません。よくあるご質問の(50)に「なお、候補問題は、上期試験・下期試験ともに同じ内容となります。」とあります(同・2026-08-28確認)。

つまり、本に求める仕事は「13問すべてを、40分で仕上げられる手順に落としてあること」の一点に絞れます。13問のうち3問しか工程写真が付いていない本は、残り10問を自分で組み立てることになります。

合否の見方も明確です。「合否は,作品の欠陥の有無の判定結果に基づき決定されます。欠陥のない作品が合格となりますので…」とされていて(同センター「電気工事士技能試験の概要と注意すべきポイント」令和8年3月 p.3・2026-08-28確認)、その欠陥は別途「電気工事士技能試験(第一種・第二種)欠陥の判断基準」として公表されています。大項目は12あり、内訳は次のとおりです(同・2026-08-28確認)。

  • 未完成のもの/配置、寸法、接続方法等の相違/誤接続、誤結線のもの
  • 電線の色別、配線器具の極性が施工条件に相違したもの/電線の損傷
  • リングスリーブ(E形)による圧着接続部分/差込形コネクタによる差込接続部分
  • 器具への結線部分/金属管工事部分/合成樹脂製可とう電線管工事部分
  • 取付枠部分/その他

技能の本を選ぶときは、この12項目に本の内容が対応しているかを見ます。特に差込形コネクタ、器具への結線、金属管工事、取付枠の4つは候補問題13問の作業と直結するところなので、ここを扱っていない本だと、練習しても自分の作品を判定できません。作業手順だけが載っていて、どういう状態が欠陥になるのかが書かれていない本も同じです。自分の作品を自分で判定できる状態にするのが技能対策の中身なので、○×の判断がつく写真や図があるかどうかは大きい差になります。

工具についても制約があります。「電気工事士技能試験では「電動工具」は使用できません!」と明記されており、電動工具以外の工具は使えるものの、改造した工具や自作した工具は禁止です(同「電気工事士技能試験の概要と注意すべきポイント」令和8年3月 p.4・2026-08-28確認)。本に載っている工具の一覧が、この条件に沿っているかも確認しておきたいところです。

実際の作業手順と候補問題の中身はこちらが詳しいです。

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何にいくらかけるか|本・材料・講座の順番

最後に、お金の配り方です。本より材料セットに先に金をかけるべきか、講座まで手を出すべきか。ここは順番を決めてしまえば迷いません。

まず確実にかかるのが受験手数料です。「受験手数料 インターネット申込み …11,100 円(非課税)/郵送で書⾯の申込み 12,500 円(非課税)」と公表されています(一般財団法人 電気技術者試験センター「第二種電気工事士試験」令和8年度 試験日程・2026-08-28確認)。ネット申込みのほうが1,400円安い計算になります。受験資格については、よくあるご質問の(1)に「受験資格はありません。年齢や国籍を問わず、どなたでも受験ができます。」とあります(同・2026-08-28確認)。実務経験も学歴も要らないので、学科の勉強を始めるまでにかかるのは書籍代と手数料だけです。

順番を決める根拠は日程にあります。令和8年度上期は、学科CBTが4月23日〜6月7日、学科筆記が5月24日で、技能は7月18日または7月19日。下期は学科CBTが9月24日〜11月8日、学科筆記が10月25日で、技能は12月12日または12月13日という並びです(同 令和8年度 試験日程・2026-08-28確認)。学科と技能のあいだに1か月以上あります。上期・下期のどちらの並びでもここは変わりません。材料セットを学科の前に買っても、その期間は箱のまま置いておくだけです。

お金を出す順番はこうなります。

  • 学科のテキストと過去問集(受験を決めた時点で買う)
  • 受験手数料(インターネット申込みのほうが安い)
  • 技能の本と材料セット、工具(学科の手応えを見てから)
  • 講座(独学で同じところに何度も止まると分かってから)

学科試験が免除になる人は、この配分ごと変わります。免除の対象には、前回または前々回の学科試験に合格した方(証明書類も不要)、高等学校またはそれと同等以上の学校で経済産業省令で定める電気工学の課程を修めて卒業した方、電気主任技術者免状の取得者が含まれます(同センター「第二種電気工事士の試験概要」および電気工事士法施行令 第九条・2026-08-28確認)。当てはまるなら学科の本を買わずに技能へ全額回せます。

上位資格まで見据えて本を選びたい人は、第一種との違いを先に見比べておくと予算計画が立てやすくなります。

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個人的には、買ったのに開かないまま終わる原因は本の選び間違いではなく、買う順番の間違いだと思っています。学科に受かる前に材料セットまで一気に買うと、机の上に「まだ触れないもの」が積み上がって、それ自体が手を止める理由になります。

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  • 技能試験の合格基準は「作品に欠陥がないこと」で、点を積み上げる試験ではない
  • 候補問題13問はその年度ごとに公表され、試験時間はすべての問題について40分の予定とされている
  • 学科と技能のあいだは1か月以上あくので、材料をそろえるのは学科の手応えを見てからで間に合う

13問を通しで練習すると電線と器具の消費量が読めないので、必要な材料がまとまったセットを使う方法もあります。何がどれだけ入っているかだけ先に見ておくと、学科が終わってから慌てずに済みます。

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第二種電気工事士の参考書選びに関する情報まとめ

  • 公式の指定テキスト:存在しない。試験センターは発刊も他社の推薦・紹介もしていないので、どのランキングも各サイトの主観として読む
  • 必要な冊数:学科テキスト1冊・学科過去問集1冊・技能の本1冊が基本形。学科と技能は合格基準の立て方から違うので、本の役割も入れ替えが効かない
  • 旧版と中古:判断材料は出題方針。新しく現場に入った機器・工具・工法が出題対象なので、材料・工具・施工方法と法令の章が古い本は避ける。技能の旧版は候補問題が変わるため特に危ない
  • 過去問集:転載に許諾も使用料も要らない構造なので問題文で差はつかない。見るのは解説・並べ方・収録範囲の3つ
  • 過去問の年数:公表分は平成21年度実施分から令和8年度上期まで。年数の指定は無いので、直近を厚く遡るほど薄く配分する
  • CBT:令和9年度から学科は原則CBT方式へ。問題と解答が非公開で振り返れないため、選択肢を切る理由まで書かれた本を選ぶ
  • 技能の本:その年度の候補問題13問を全問扱い、公表されている欠陥の判断基準12項目に照らして自分で判定できる作りかを見る
  • 費用の順番:学科の本→受験手数料(ネット申込み11,100円・書面12,500円、いずれも非課税)→技能の材料と工具→講座

以上が第二種電気工事士の参考書選びに関する情報のまとめです。

この記事で書名を1冊も挙げなかったのは、公式版が無い以上、順位をつけた時点でそれが当サイトの主観になるからです。代わりに残したのは、書店やAmazonの検索結果を開いたまま自分で判定できる基準のほうです。奥付の年、候補問題13問の年度、選択肢を切る理由が書かれているか。この3つを確かめれば、どのシリーズを手に取っても外れにくくなります。今日決めきりたいなら、まず学科のテキストと過去問集の2冊だけを買って、技能の本は学科の手応えを見てから足す。この形が、独学で止まりにくい買い方だと考えています。

第二種に受かったあと、電気の資格をもう一段上げるつもりなら、次に狙う試験の本の選び方はこちらで整理しています。

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