- R7の新しい形で書いた安全管理の例文が見たい
- 安全の例文は電気工事ばかりで、通信工事のものが見つからない
- 交通誘導員の配置のみは除く、なら誘導員は一言も書けない?
- ⑵の「その結果」は、無事故で終わった、でいいの?
- マンホールや天井内の配線も、安全の題材になる?
- 旧形式の「簡潔に」は、どのくらい短くていい?
上記の様な悩みを解決します。
安全管理の例文が少なく感じるのは、2級電気通信の問題1で安全管理が問われた年度が令和元・3・5・7年度の4回に限られ、通信工事の言葉で書かれた作例がそもそも積み上がっていないからです。この記事では令和7年度の形で2本(電柱の光ケーブル張替え/授業中の中学校での放送設備更新)、令和5年度までの形で1本(マンホール間のケーブル引き入れ)を載せました。
3本とも、交通誘導員の配置だけで答えを閉じず、別の課題と組み合わせてあります。年度と設問文は各年度の問題冊子から写し、そのうえで、ほかの例文ではあまり見かけない「交通誘導員を答案に出した例文と出さない例文の線引き」と「⑵の結果を作業日報やKY記録のどこから拾ったか」を、例文の中身に沿って書きました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、工程や品質の答案は用意できたのに、安全の答案だけ手つかずのまま、という方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
R7の〔設問2〕の形で2本、R5までの〔設問〕の形で1本|3本の例文の置き方
2級電気通信の問題1に安全管理の設問があった年度を並べると、令和元年度・令和3年度・令和5年度・令和7年度になります。令和2年度・令和4年度・令和6年度の問題1は工程管理と品質管理の組み合わせで、安全管理の設問はありませんでした(2級電気通信工事施工管理技術検定 問題1。令和元・2年度は実地試験問題、令和3〜7年度は第二次検定試験問題)。
この記事の3本を、4回(当サイトが問題冊子から数えた回数)のうちどの年度の問い方に合わせて書いたかを並べると、次のようになります。
| 年度 | 問題冊子の名称 | 安全管理を問うた設問(組んだ相手) | この記事で合わせた例文 |
|---|---|---|---|
| 令和元年度 | 実地試験問題 | 設問2(相手は品質管理) | 例文3 |
| 令和3年度 | 第二次検定試験問題 | 設問3(相手は工程管理) | 例文3 |
| 令和5年度 | 第二次検定試験問題 | 設問2(相手は品質管理) | 例文3 |
| 令和7年度 | 第二次検定試験問題 | 設問2(相手は工程管理) | 例文1・例文2 |
表の設問番号と組み合わせは、2級電気通信工事施工管理技術検定の各年度の問題1(令和元年度は実地試験問題、令和3・5・7年度は第二次検定試験問題)から写しています。例文3の1本で3つの年度を受け持てるのは、令和元・3・5年度の安全管理の設問が、細かな一句を除いて同じ文だからです。
令和7年度の問題1は、柱書きで「あなたが経験した電気通信工事のうち,「工事の遅延を防止するための工程管理」及び「作業現場の安全管理」に特に留意した工事を1つ選び,〔工事概要〕を記述した上で,次の〔設問1〕及び〔設問2〕についての答えを解答欄に記述しなさい。」と指定しています(令和7年度 2級電気通信工事施工管理技術検定 第二次検定試験問題 問題1)。そのうち安全管理の〔設問2〕の全文は、「〔設問2〕 前記の〔工事概要〕に記述した工事の「作業現場の安全管理」に関して,次の⑴,⑵について具体的に記述しなさい。 ただし,交通誘導員の配置のみに関する記述は除く。 ⑴ 作業現場の安全を確保するための安全管理上の課題 ⑵ 上記⑴の安全管理上の課題に対し実施した具体的な対策内容とその結果」でした(同 問題1〔設問2〕)。例文1と例文2は、この〔工事概要〕と⑴⑵の枠をすべて埋める形で書いています。
令和5年度の安全管理の設問は「〔設問2〕 上記工事を施工することにあたり「安全管理」上,あなたが特に重要と考えた事項をあげ,それについてとった措置又は対策を簡潔に記述しなさい。 ただし,交通誘導員の配置のみに関する記述は除く。」で、令和3年度の〔設問3〕も同じ文でした(令和3年度・令和5年度 2級電気通信工事施工管理技術検定 第二次検定試験問題 問題1)。例文3はこの形で書き、⑴⑵の区分も「その結果」の欄もありません。
字数や行数の指示は、どの年度の問題1にもありません(令和元年度〜令和7年度 2級電気通信工事施工管理技術検定 問題冊子 問題1)。〔工事概要〕の柱書きは、令和5年度までの「あなたが経験した電気通信工事に関し,次の事項について記述しなさい。」に対し、令和6・7年度は「あなたが経験した電気通信工事に関し,次の事項について解答欄に明確に記述しなさい。」で、「解答欄に明確に」が加わっています(令和元年度・令和5年度・令和6年度・令和7年度 同 問題1)。
令和8年度の第二次検定の問題冊子は確かめられていないので、次に安全管理が出るかどうかは予想しません。令和7年度の表紙には「問題1~問題5は,必須問題ですので必ず全問解答してください。」とあり(令和7年度 同 第二次検定試験問題 表紙)、問題1は必須です。
例文を読む前に1つだけ。令和7年度の〔注意〕には「工事名が工事以外でも,電気通信設備の据付調整が含まれている場合は,実務経験として認められます。ただし,撤去のみの工事は除きます。なお,あなたが経験した工事でないことが判明した場合は失格となります。」とあります(令和7年度 同 第二次検定試験問題 問題1〔注意〕)。3本の工事はすべて架空なので、文章を覚えて写す使い方には向きません。安全管理の設問がどう変わってきたかを年度順に追いたい方は、2級電気通信の安全管理の出題を年度ごとに並べた記事で確かめられます。
例文1|屋外:道路沿いの電柱で光ケーブルを張り替える工事(架空の作例)
1本目は、市道沿いの既設電柱に架かっている光ケーブルを、新しいケーブルに張り替える工事です。以下は架空の作例(当サイト作成)で、模範解答や正解として示すものではありません。工事名から金額、電柱の本数まで、書いてある固有の情報はどれも当サイトがこしらえたもので、実在の工事や組織とは関係がありません。高所作業車の工事は墜落を課題にした例文が多いので、ここでは道路を通る車両・歩行者と、延線中のケーブルやバケット上の材料との接触を課題に据え、横断箇所の夜間作業も入れました。
〔工事概要〕
- ⑴工事名:〇〇市 △△線沿い 通信用光ケーブル張替え工事
- ⑵工事の内容 ①発注者名:A社(電気通信事業者) ②工事場所:〇〇県〇〇市△△町地内 ③工期:令和6年9月2日〜令和6年12月20日 ④請負概算金額:21,600,000円
- ⑵工事の内容 ⑤工事の概要:市道沿いの既設電柱58本に架かる光ケーブル(延長3.4km)を新しいケーブルに張り替え、旧ケーブルを撤去。高所作業車2台による架設、融着接続8か所と接続後の試験。市道を横断する径間が6か所あり、横断径間の延線は交通量の少ない夜間(22時〜翌5時)に実施
- ⑶立場又は役割:元請の現場代理人として、施工管理全般を担当
〔設問2〕の答え
⑴ 本工事は、歩道と車道に面した既設電柱58本で、高所作業車のバケット上から旧ケーブルを外し、新しいケーブルを延線する作業であった。延線の途中でケーブルが径間の中ほどで垂れ下がると、車道を走る車両や歩道の歩行者に触れるおそれがあり、市道を横断する6径間では、ケーブルが車線の真上をまたぐことになる。また、バケット上で外した金物や工具を取り落とすと、真下の歩道に落ちる。そこで、通行する車両・歩行者と、延線中のケーブル・バケット上の材料とが接触しないよう、作業の範囲と時間帯を管理することを安全管理上の課題とした。
⑵ 作業帯は電柱ごとに、バケットの真下と延線するケーブルの下になる範囲をカラーコーンとコーンバーで区切り、材料と工具は作業帯の中にだけ置くことにした。延線は、径間ごとに延線用の滑車を電柱へ取り付けてケーブルを高い位置で送り、ドラム側と引き側の2か所で張り具合を見ながら引いた。ドラム側と引き側の合図は無線機に限り、使う言葉を「引け」「止め」「戻せ」の3語に決めて、毎朝のKYで読み合わせた。横断径間6か所の延線は夜間に回し、作業前に投光器で延線経路と作業帯を照らしたうえで、ケーブルが車線をまたぐ間は、作業帯の両端に置いた交通誘導員が引き側からの無線の合図を受けて車両を止める段取りとした。バケット上の工具には落下防止のひもを付け、外した旧ケーブルの金物はバケット内の袋に入れて、地上へは袋ごと降ろした。
その結果、作業日報とKY記録を見返すと、延線中のケーブルが路面や車両に触れた記録は工期を通して0件だった。一方、10月8日の昼間作業では、コーンの切れ目から歩行者1名が作業帯に入りかけたことがKY記録のヒヤリハット欄に残っており、翌日から歩道側の作業帯の出入口に見張り1名を置いた。それ以降、同じ種類の記録は無い。横断径間6か所の延線は予定していた夜間4回で終わり、12月13日に旧ケーブルの撤去まで完了した。
この例文で決めたこと
例文1は、⑤に「市道を横断する径間が6か所」と書いたところから組み立てています。この一句があるので、⑴で「車線の真上をまたぐ」と書く理由ができ、⑵ではその6径間だけを夜間に回す段取りへつながります。題材の工事に、その現場だけの条件が⑤に書けるかどうかが、墜落以外の課題を立てられるかの分かれ目になる、と僕は見ています。
⑴の最後を「〜を管理することを安全管理上の課題とした」で閉じたのは、⑴の問いが「作業現場の安全を確保するための安全管理上の課題」で、危険の名前そのものより、その危険に対して何を管理するのかまで求めているように読めたからです。例文1では、危険の場面を3つ(ケーブルの垂れ下がり、車線の真上をまたぐ横断径間、バケットからの落下)書いたあとで、管理する対象を「作業の範囲と時間帯」の2つにまとめました。こうしておくと、⑵の手立ても、範囲を区切る話(作業帯・滑車・落下防止)と、時間帯を選ぶ話(夜間の横断径間)の2つの束に分けて書けます。
夜間作業は、「夜だから暗くて危ない」と危険として書くより、なぜ夜に回したのかを先に書くほうが、答案の筋が通ります。例文1では、横断径間は交通量の少ない夜間に回す、という判断が⑤に入っていて、そのうえで夜の作業で足りなくなるもの(明るさと、車両を止める合図)を⑵で補う順にしました。自分の工事で夜間作業があったなら、夜に回した理由と、夜だけ追加した手立てを1つずつ思い出してみてください。
例文2|屋内:授業を続けている中学校で放送設備を更新する工事(架空の作例)
2本目は、授業を続けている中学校の校舎で、放送設備のスピーカーと天井内の配線を取り替える工事です。これも架空の作例(当サイト作成)で、模範解答や正解ではありません。学校名も工期も台数も、実在のものではありません。校舎の中の工事は「生徒が近くにいるので注意した」で課題がぼやけやすいので、天井の上の見えない場所と、脚立の上の姿勢という2つの具体的な場面に絞りました。二次下請として施工した想定にしています。
〔工事概要〕
- ⑴工事名:〇〇中学校 校舎 放送設備更新工事
- ⑵工事の内容 ①発注者名:C社(一次下請業者) ②工事場所:〇〇県〇〇市 ③工期:令和6年10月7日〜令和6年12月13日 ④請負概算金額:5,900,000円
- ⑵工事の内容 ⑤工事の概要:授業を続けている中学校の校舎(3階建て)で、放送設備の増幅器を更新して据付と調整を行い、普通教室・特別教室・廊下のスピーカー計46台を取り替え、天井内のスピーカーケーブルを新しいルートに張り替える。通線は各階の天井点検口(計30か所)から行い、授業時間中は生徒のいない特別教室と区切った廊下の範囲、普通教室は放課後に作業
- ⑶立場又は役割:二次下請業者の現場責任者として、施工と安全の管理を担当
〔設問2〕の答え
⑴ 本工事は、授業を続けている校舎で、脚立に乗って天井点検口から天井内へスピーカーケーブルを通す作業を、30か所の点検口で繰り返すものであった。天井内には照明や空調機器の既設の電源ケーブルが通っており、点検口から手の届かない先へ通線用のワイヤを送り込むとき、目の届かない位置で既設の電源ケーブルや器具の端子に触れるおそれがあった。また、脚立の上で天井内をのぞき込みながら腕を伸ばす姿勢になるため、体が脚立の外へ出て転落するおそれもあった。そこで、天井内の見えない位置での感電と、脚立上の無理な姿勢による転落を防ぐことを安全管理上の課題とした。
⑵ 着工前に30か所の点検口をすべて開けて天井内を確かめ、既設の電源ケーブルと照明器具の位置を天井伏図に色を分けて書き込み、スピーカーケーブルの新しいルートと交わる箇所を洗い出した。交わる箇所は、学校の事務室の担当者と電気設備の保守業者、C社を交えた打合せで、生徒の下校後に通線する時間帯だけ該当する照明回路を切ってもらう段取りを決め、切る回路と時刻を打合せ記録に残した。脚立作業は2人1組とし、1人は脚立の下で脚立を押さえ、休み時間に廊下を通る生徒に声をかける役に固定した。点検口から奥までの距離が長いルートは、脚立を点検口の真下から動かさずに済むよう、隣の点検口の側からワイヤを受け取りに行く通し方に変え、腕を伸ばさずに通せるようにした。保護帽と絶縁性の手袋は作業開始時に2人で互いに確かめ、ここまでの段取りを作業手順書にまとめて、毎朝の打合せで読み合わせた。
その結果、天井伏図への書き込みで、新しいルートと既設の電源ケーブルが交わる箇所が30か所のうち6か所あると分かり、そのうち2か所はルートを隣の天井区画へ移した。残る4か所は、打合せ記録のとおり照明回路を切った時間帯に通線し、回路を切ったのは延べ7回、いずれも生徒の下校後に収まった。点検表には脚立の設置確認が作業した38日間すべてで記入されており、脚立の下の担当者が休み時間の生徒の通行で作業を止めた回数は、作業日報に19回残っている。
この例文で決めたこと
授業を続けている校舎の工事は、危険の中身が「生徒が近くにいる」に寄りがちで、それだけでは課題の文が短く終わってしまいます。例文2では、⑤に「天井点検口(計30か所)」と、授業時間中と放課後で作業する場所を分けたことを書いておき、⑴ではそこから、点検口の先の見えない場所と、脚立の上の姿勢という2つの場面を引き出しました。例文1が道路を通る人の側を課題にしたのに対し、例文2は作業する人の側を課題にしています。
例文2で触れるおそれがあるのは、自分たちが通すスピーカーケーブルではなく、天井内を先に通っている照明や空調の電源側で、その回路を管理しているのは学校と保守業者です。他者が管理する回路なので、⑵には管理者との打合せ(どの回路を、どの時間帯に切るか)が入ってきます。
保護帽や手袋の話は、⑵の最後に1文だけ置きました。⑴の2つの場面と⑵の4つの段取りは、見えない位置での感電には天井伏図への書き込みと回路を切る時間帯の打合せ、脚立上の無理な姿勢には2人1組の役割と隣の点検口からワイヤを受け取りに行く通し方、という2つずつの対応になっています。
例文2には、脚立の高さも天井の高さも数字で書いていません。高さは、作業日報にも点検表にも残っていないことが多い数字で、思い出して書くと記録との裏付けが取れなくなるからです。自分の工事で高さを入れたいなら、施工計画書や図面に残っている天井高さのように、後から確かめられる数字だけを使ってください。数字が無くても、「天井内をのぞき込みながら腕を伸ばす姿勢」のように、身体の状態を書けば危険の場面は十分に伝わります。
発注者名を「C社(一次下請業者)」としたのは、工事概要の〔注意〕に「従って,あなたの所属会社が二次下請業者の場合は,発注者名は一次下請業者名となります。」とあるためです(令和7年度 2級電気通信工事施工管理技術検定 第二次検定試験問題 問題1〔工事概要〕〔注意〕)。同じ〔注意〕は、令和5年度までの問題では〔設問1〕の中に同じ文で置かれていました(令和元年度 同 実地試験問題 問題1/令和5年度 同 第二次検定試験問題 問題1)。1級の問題文で安全管理の課題がどう問われているかも並べて見たい方には、1級電気通信の安全管理の経験記述の記事があります。
令和7年度の形で例文2の工事を使うなら、〔設問1〕の工程管理は、天井内の話と切り離して、授業に支障の出ない範囲で30か所の点検口の作業をどう割り振ったか、という教室の順番と日程の材料で組むことになります。照明回路を切れるのが下校後に限られた、という事情は安全側の結果に置いたので、工程側で同じ事情を理由に使うと、2つの設問が同じ話に見えてしまいます。工程側の課題の拾い方は、2級電気通信で工程管理を問われたときの書き方をまとめた記事が同じ資格の問題文をもとにしています。
例文3|R5までの形:地下の管路・マンホールでのケーブル敷設(架空の作例)
3本目は、令和元・3・5年度の問い方で書いた例文です。題材は、既設の地下管路にマンホール間でケーブルを引き入れる工事にしました。これも架空の作例(当サイト作成)で、模範解答や正解ではありません。管路の延長やマンホールの数を含め、実在の工事とは関係がありません。旧形式では、工事概要そのものが〔設問1〕で、令和5年度の〔設問1〕は「あなたが経験した電気通信工事に関し,次の事項について記述しなさい。」、⑤の欄の名前は「工事の概要」ではなく「工事概要」でした(令和5年度 2級電気通信工事施工管理技術検定 第二次検定試験問題 問題1)。
〔設問1〕工事概要
- ⑴工事名:△△町 □□地区 地下管路 通信ケーブル敷設工事
- ⑵工事の内容 ①発注者名:△△町 ②工事場所:〇〇県△△町□□地区 ③工期:令和4年10月3日〜令和5年2月24日 ④請負概算金額:14,300,000円
- ⑵工事の内容 ⑤工事概要:既設の地下管路(延長1.6km)へ、マンホール11か所の間の10区間で通信ケーブルを引き入れ、マンホール内で接続と試験を行う。引き入れは地上に据えたウインチでけん引
- ⑶立場又は役割:元請の現場代理人として、施工管理全般を担当
〔設問2〕の答え
特に重要と考えた事項は、ウインチでケーブルを引き入れる間、地上の操作者とマンホール内の作業員との合図が食い違い、マンホール内の作業員がけん引中のロープやケーブルに巻き込まれることを防ぐことである。
とった措置又は対策として、合図は無線機に一本化し、言葉を「巻け」「止め」の2語に限った。けん引中はマンホール内の作業員を管口の正面から外れた位置に立たせ、区間ごとに、けん引を始める前に地上とマンホール内で合図の試しを行った。
この例文で決めたこと
マンホールと地下管路の工事は、安全の題材として十分に使えます。ただ、地上とマンホールの中で人が分かれ、お互いの姿が見えない、というこの工事ならではの条件を⑤に書いておかないと、事項が一般論になります。例文3の⑤に「地上に据えたウインチでけん引」と入れたのは、事項の「地上の操作者とマンホール内の作業員」という2つの立場を、工事概要の側で先に登場させておくためです。
マンホールの工事には、ほかにも取り上げられる危険があります。入る前の酸素濃度の測定や換気も欠かせない措置ですが、例文3では合図の食い違いに絞りました。それを選んだのは、地上とマンホールの中という2つの持ち場があるこの工事でしか起きない危険で、しかも措置が「言葉を2語に限る」「立ち位置を決める」「けん引前に試す」と、施工管理の側で決められる段取りとして書けるからです。題材の工事で危険を1つ選ぶときは、自分の立場で決めたことが措置として書けるものを選ぶと、2文に畳んでも中身が残ります。
「簡潔に」の指示に合わせて、事項は1文、措置又は対策は2文にしました。例文1・2の⑵と比べると、夜間の段取りや打合せ記録のような細部を落とし、合図の決め方と立ち位置という2つの手立てだけを残しています。何行書くべきかは問題冊子に指示が無いので(令和元年度〜令和5年度 2級電気通信工事施工管理技術検定 問題冊子 問題1)、この長さも目安ではなく、旧形式の答えがどのくらいまで畳めるかを見るための1例です。
旧形式の年度は、安全管理と組む相手が年によって違いました。令和5年度は〔設問3〕が品質管理で「上記工事を施工することにあたり「品質管理」上,あなたが特に重要と考えた事項をあげ,それについてとった措置又は対策を簡潔に記述しなさい。」、令和3年度は〔設問2〕が工程管理でした(令和3年度・令和5年度 同 第二次検定試験問題 問題1)。例文3の工事で品質管理も書くなら、ケーブルの引き入れの話は安全側に置き、品質側は接続と試験のほうから材料を取ると、同じ工事でも2つの答えがかぶりません。
旧形式の「事項」と令和7年度の「課題」の書き分けは、同じ工事で書き比べると見えやすくなります。例文3の工事を令和7年度の⑴で書くなら、たとえば「本工事は、マンホール11か所の間の10区間で、地上に据えたウインチでケーブルを引き入れる作業であった。けん引中は地上の操作者からマンホールの中が見えず、マンホール内の作業員からもウインチの動きが見えないため、合図が食い違うと、作業員がけん引中のロープやケーブルに巻き込まれるおそれがあった。そこで、地上とマンホール内の合図を確実に通じさせ、けん引中の作業員の立ち位置を管理することを安全管理上の課題とした。」となります。事項の1文と比べると、⑤の「10区間」「ウインチ」がもう一度出てきて、なぜ合図が食い違うのか(お互いの動きが見えない)という条件と、何を管理するのか(合図と立ち位置)が加わっています。
令和元年度の形で書く場合も、例文3の骨組みはそのまま使えます。令和元年度の安全管理の設問は〔設問2〕で、ただし書きが「ただし,安全管理については,交通誘導員の配置のみに関する記述は除く。」と一句長いほかは、令和5年度と同じ「特に重要と考えた事項をあげ,それについてとった措置又は対策を簡潔に記述しなさい。」の形でした(令和元年度 2級電気通信工事施工管理技術検定 実地試験問題 問題1)。なお令和元年度の〔注意〕には、令和2年度以降にある「撤去のみの工事は除きます。」の一文がありません(同 問題1〔注意〕)。
例文3には、例文1・2にあった「その結果」の段落がありません。旧形式の設問が結果を求めていなかったためで、書き漏らしではありません。令和7年度の形で同じ工事を書くとしたら、結果の文に何を持ってくるかは、次の次の節で例文1・2と並べて扱います。
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【PR】誘導員の除外を避けても、保護具の話だけで終わっていないか
安全管理の例文が3本そろっても、次に品質や工程が出たときの材料まで独学だけで揃えるのは負担が大きいものです。独学サポート事務局の受験対策講座という選択肢もあります。
- 交通誘導員の配置のみを除いた後、何を課題にすればいいか迷う
- 保護具の着用の話だけで対策が終わってしまう
- 工程管理と安全管理を同じ工事で書くと材料が足りなくなる
交通誘導員の除外を、3本でどう避けたか|誘導員を書くなら何と組にしたか
令和7年度の〔設問2〕には、柱書きの「具体的に記述しなさい。」と⑴の間に、「ただし,交通誘導員の配置のみに関する記述は除く。」という一文が入っています(令和7年度 2級電気通信工事施工管理技術検定 第二次検定試験問題 問題1〔設問2〕)。旧形式の年度にも同じ趣旨の一文があり、令和元年度は「ただし,安全管理については,交通誘導員の配置のみに関する記述は除く。」、令和3年度と令和5年度は「ただし,交通誘導員の配置のみに関する記述は除く。」でした(令和元年度 同 実地試験問題 問題1〔設問2〕/令和3年度 同 第二次検定試験問題 問題1〔設問3〕/令和5年度 同 問題1〔設問2〕)。
「配置のみ」の「のみ」をどう読むかは、安全管理の設問文を年度ごとに並べた記事に譲り、ここでは3本の例文で誘導員をどう扱ったかだけを見ていきます。
3本のうち、誘導員が出てくるのは例文1だけです。例文1の⑵では、誘導員は横断径間の延線で「引き側からの無線の合図を受けて車両を止める」役として出てきます。車両を止めるタイミングを決めているのは、延線の張り具合を見ている引き側で、誘導員はその合図を受ける側です。例文1の⑴に書いた危険3つと、⑵で当てた手立てを並べると次のようになります。
- 径間の中ほどでケーブルが垂れ下がる:延線用の滑車で高い位置を送り、ドラム側と引き側の2か所で張り具合を見た
- 横断径間で車線の真上をまたぐ:夜間に回し、投光器で経路を照らし、引き側の合図を受けて車両を止めた
- バケット上の工具や金物を取り落とす:工具に落下防止のひもを付け、外した金物は袋に入れて袋ごと降ろした
誘導員が出てくるのは2つ目の最後の一句だけで、そこを外しても、夜間に回したことと投光器が残り、3つの危険のどれも受け皿を失いません。僕は、ただし書きに当たるかどうかを気にするより、⑴に書いた危険の数だけ⑵に手立てが並んでいるかを数えるほうが、誘導員の扱いで迷わずに済むと考えています。
例文2と例文3には、誘導員は出てきません。例文2は校舎の中の工事で、休み時間に廊下を通る生徒に声をかける役を置いていますが、これは脚立を押さえる作業員が兼ねる役で、交通誘導員ではありません。例文3は、事項をマンホールの中の作業員の側に置いたので、道路の通行を答案で扱う必要がそもそもありませんでした。
第三者(通行人や車両)の安全と、作業員自身の安全のどちらを課題にするべきか、という迷いについては、令和7年度の⑴の語は「作業現場の安全を確保するための安全管理上の課題」で、誰の安全かを限る言葉は入っていません(令和7年度 同 第二次検定試験問題 問題1〔設問2〕)。この記事でも、例文1は道路を通る人の側、例文2と例文3は作業員の側を課題にしました。どちらを選ぶかは、⑤に書ける条件がどちらに多いかで決めるのが自然だと思います。第三者の側を選ぶなら、誘導員以外の手立てが⑴の危険の数だけ書けるかを先に確かめておくと安心です。
⑵の「その結果」を、作業記録から拾える事実で書く|3本の結果の書き分け
令和7年度の⑵は「上記⑴の安全管理上の課題に対し実施した具体的な対策内容とその結果」で、結果に何を書くかまでは問題文に書かれていません(令和7年度 2級電気通信工事施工管理技術検定 第二次検定試験問題 問題1〔設問2〕)。3本の結果と、拾った記録は次のとおりです。
- 例文1(電柱の光ケーブル張替え):作業日報とKY記録から、延線中のケーブルが路面や車両に触れた記録0件、10月8日のヒヤリハット1件と翌日からの見張りの追加、横断径間の延線を夜間4回で終えたこと、12月13日の撤去完了を拾った
- 例文2(授業中の中学校の放送設備更新):天井伏図への書き込みから交わる箇所6か所とルート変更2か所、打合せ記録から照明回路を切った延べ7回と時間帯、点検表と作業日報から脚立の設置確認38日分と作業を止めた19回を拾った
- 例文3(マンホール間のケーブル引き入れ):旧形式なので結果の欄は無いが、令和7年度の形で書くなら、区間ごとの合図の試しを記入したチェック表と、打合せ記録に残る無線機の交換などを拾うことになる
例文3に結果を足すとしたら、たとえば「その結果、10区間すべてで、けん引を始める前の合図の試しをチェック表に記入してから引き入れた。4区間目では、マンホール内から無線の声が聞き取りにくいことが試しの段階で分かり、無線機を交換してからけん引した記録が打合せ記録に残っている。」のような書き方になります。これも架空の工事の話で、数字は作り話です。合図の試しという措置が、実際に1回、けん引の前に食い違いを見つけた、という流れにすると、措置と結果が同じ場面の話として読めます。
3本の例文で、数を「全体のうちいくつ」の形で書いたところは、分母を工事概要の⑤に置いてあります(例文1の「横断径間6か所」、例文2の「天井点検口(計30か所)」、例文3の「10区間」)。自分の答案では、この分母も記憶ではなく施工計画書や図面の径間数・点検口数から取っておくと、結果の「何か所のうち何か所」が記録と食い違いません。
回数を覚えていなければ、数字を入れずに「その日から見張りを1名増やした」のように、何が変わったかだけを書く手もあります。
結果に「うまくいかなかった場面」を入れてよいかについても、問題文は何も言っていません。例文1のヒヤリハットや例文2の作業を止めた19回は、見方によっては減点を心配したくなる材料です。それでも、対策のあとに何が起き、どう動いたかが書かれた結果は、⑴の課題が現場にあったことの裏付けになります。何も起きなかった現場なら、例文2の点検表のように、対策を続けた記録そのものを結果にすれば足ります。
2級電気通信の安全管理、例文3本で書いたことのふり返り
- 例文の本数と形:令和7年度の〔設問2〕(課題/対策内容とその結果)で2本、令和元・3・5年度の形(特に重要と考えた事項/とった措置又は対策)で1本。安全管理が問題1に出たのは令和元・3・5・7年度で、令和8年度の第二次検定は未確認
- 例文1(電柱の光ケーブル張替え):墜落ではなく、道路を通る車両・歩行者と延線中のケーブル・落下物の接触を課題にし、横断径間は夜間に回した
- 例文2(授業中の中学校の放送設備更新):天井内の見えない電源側への接触と、脚立上の姿勢を課題にし、保護具は1文にとどめて段取りを中心に置いた。発注者名は一次下請業者名
- 例文3(マンホール間の引き入れ):地上とマンホール内の合図の食い違いを事項にし、措置又は対策を2文に畳んだ。結果の欄は旧形式には無い
- 交通誘導員:除かれるのは「配置のみに関する記述」。誘導員を出すなら、⑴に書いた危険の数だけ⑵に他の手立てがあるかを確かめる
- その結果:作業日報・KY記録・点検表・打合せ記録から拾い、数の分母は工事概要の⑤に先に置く
以上が、2級電気通信工事施工管理技士の経験記述(安全管理)の例文3本についてのまとめです。
3本を書いてみて、答案の出来を分けるのは文章の上手さより、手元に記録があるかどうかだと感じました。⑴の場面は記憶から書けても、⑵の最後の結果は、作業日報やKY記録を開かないと数も日付も出てきません。試験の前に、安全の答案に使うつもりの工事の作業日報とKY記録を、一度だけ会社から取り寄せておいてください。記録の中に、ヒヤリハットでも打合せでも、書き残された出来事が1つ見つかれば、それが⑵の最後の文の材料になるはずです。
〔工事概要〕の各欄を含めた経験記述の全体像は、2級電気通信の経験記述をまとめた記事で確かめられます。
