- 1級通信の問題1で、安全管理って実際に何回出てるの
- 安全が出た年の問題冊子が3冊しかなくて、準備の手がかりが薄い
- R2・R4の「特に重要と考えた事項」と、R6の「課題」は同じ書き方でいいの
- 「労働者の安全管理」って、わざわざ書いてあるのはなぜ
- 通信工事の安全の課題なんて、高所作業と感電くらいしか思いつかない
- 保護帽や安全帯の話を書いたらダメって聞いたけど、それは問題1の話?
上記の様な悩みを解決します。
安全管理が1級電気通信の問題1で問われたのは、令和2年度の〔設問2〕、令和4年度の〔設問3〕、令和6年度の〔設問1〕の3回です。令和2・4年度は「特に重要と考えた事項」と「とった措置又は対策」を簡潔に書く形で、令和6年度は「施工現場における労働者の安全管理」の課題と「対策内容とその結果」を具体的に書く形に変わりました。
1級電気通信は新しい種目で、安全管理の解説を探しても、1級電気工事の記事や2級電気通信の記事、施工管理全般の一般論を持ってきたものが目に付くんですよね。今回は、出題された年度と設問番号、設問文の新旧の違いを公表された問題冊子そのものから確かめたうえで、他の記事では扱われにくい「R6で安全の設問に足された語を1つずつ拾う読み方」と「問題1と問題4で別々に付いているただし書きの切り分け」まで、施工管理の目線で整理しました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、光ケーブルや構内LAN、基地局の工事が本業で、1級の第二次検定は今回が初めてという方にも読みやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
1級電気通信の問題1で安全管理が出たのはR2・R4・R6の3回
令和元年度から令和7年度までの7年で、1級電気通信の問題1に安全管理が入ったのは、令和2年度・令和4年度・令和6年度の3回です。どれも偶数年で、設問番号は令和2年度が〔設問2〕、令和4年度が〔設問3〕、令和6年度が〔設問1〕と、年ごとに位置が動いています。試験を実施しているのは一般財団法人 全国建設研修センターで、回数は各年度の問題冊子の問題1を並べて数えたものです。
| 年度 | 問題冊子の名称 | 安全管理の設問 | 同じ問題1で組んだ管理項目 |
|---|---|---|---|
| 令和元年度 | 実地試験 | 出題なし | 工程管理・品質管理 |
| 令和2年度 | 実地試験 | 〔設問2〕 | 品質管理(〔設問3〕) |
| 令和3年度 | 第二次検定 | 出題なし | 工程管理・品質管理 |
| 令和4年度 | 第二次検定 | 〔設問3〕 | 工程管理(〔設問2〕) |
| 令和5年度 | 第二次検定 | 出題なし | 工程管理・品質管理 |
| 令和6年度 | 第二次検定 | 〔設問1〕 | 工程管理(〔設問2〕「工期を遵守するための工程管理」) |
| 令和7年度 | 第二次検定 | 出題なし | 施工計画の立案・工事対象物の機器又は装置,材料の品質管理 |
表の出典は、令和元年度・令和2年度 1級電気通信工事施工管理技術検定 実地試験 問題1と、令和3年度〜令和7年度 1級電気通信工事施工管理技術検定 第二次検定 問題1です。令和元・2年度の問題冊子は表紙が「実地試験問題」で、「第二次検定」の名称になったのは令和3年度からなので、同じ1級電気通信でも名前を分けて載せています。
令和2年度は、〔設問1〕で工事の内容を書かせたあとに〔設問2〕が安全管理、〔設問3〕が品質管理という並びでした。令和4年度は〔設問2〕が工程管理で、安全管理はその後ろの〔設問3〕です。令和6年度になると、〔工事概要〕が設問の外に出て、〔設問1〕がいきなり安全管理から始まります(令和2年度 1級電気通信工事施工管理技術検定 実地試験 問題1/令和4年度・令和6年度 同 第二次検定 問題1)。安全管理の組み相手は品質管理が1回、工程管理が2回で、令和6年度は工程管理と同じ工事で書く形でした。
令和7年度は問題1から安全管理が外れましたが、令和8年度に何が指定されるかは公表されておらず、偶数年に出てきた並びが続くかどうかもこの表からは言えません。過去問が少ない種目なので、3回分の設問文をどれだけ細かく読めるかが準備の土台になる、と僕は考えています。年度ごとの問題全体の構成は、1級電気通信の過去問を年度順に並べた記事で追えます。
R2・R4の「特に重要と考えた事項」とR6の「課題」|設問文を並べて変わった語を拾う
3回のうち、令和2年度と令和4年度の安全管理の設問は、ほとんど同じ文です。
令和2年度〔設問2〕:「上記工事を施工することにあたり「安全管理」上,あなたが特に重要と考えた事項をあげ,それについてとった措置又は対策を簡潔に記述しなさい。ただし,安全管理については,交通誘導員の配置のみに関する記述は除く。」(令和2年度 1級電気通信工事施工管理技術検定 実地試験 問題1)
令和4年度〔設問3〕:「上記工事を施工することにあたり「安全管理」上,あなたが特に重要と考えた事項をあげ,それについてとった措置又は対策を簡潔に記述しなさい。ただし,交通誘導員の配置のみに関する記述は除く。」(令和4年度 1級電気通信工事施工管理技術検定 第二次検定 問題1)
令和6年度は、問題1の書き出しから変わっています。柱書は「あなたが経験した電気通信工事のうち,「施工現場における労働者の安全管理」及び「工期を遵守するための工程管理」に特に留意した工事を1つ選び,〔工事概要〕を記述した上で,次の〔設問1〕及び〔設問2〕についての答えを解答欄に記述しなさい。」、安全管理の〔設問1〕は「上記の〔工事概要〕に記述した工事の「施工現場における労働者の安全管理」に関して,次の⑴,⑵について具体的に記述しなさい。ただし,交通誘導員の配置のみに関する記述は除く。」で、書く欄は「⑴ 特に留意した安全管理上の課題」と「⑵ 上記⑴の安全管理上の課題に対し実施した具体的な対策内容とその結果」の2つです(令和6年度 1級電気通信工事施工管理技術検定 第二次検定 問題1)。
旧形式と令和6年度の文を頭から順に読み比べると、入れ替わった語は次の4か所に集まります。
「安全管理」に「施工現場における労働者の」が付いた
令和2・4年度はかぎかっこ付きの「安全管理」だけでした。令和6年度は「施工現場における労働者の安全管理」と、場所と対象の2つの修飾が付いています。しかもこの語は、柱書と〔設問1〕の2か所に同じ形で出てきます。誰の安全を書くのかを、設問の側が先に決めた形です。この語をどう読むかは、次の見出しで課題の立て方と一緒に扱います。
「特に重要と考えた事項」が「特に留意した安全管理上の課題」になった
旧形式は「あなたが特に重要と考えた事項をあげ」で、挙げるものは「事項」でした。令和6年度の⑴は「特に留意した安全管理上の課題」です。
見落としやすいのは、「特に留意した」という言い方が柱書にも使われている点です。柱書は「労働者の安全管理」と「工期を遵守するための工程管理」に「特に留意した工事を1つ選び」、⑴は「特に留意した安全管理上の課題」。工事を選ぶ理由と⑴の課題が、同じ「特に留意した」でつながっています。これは僕の読み方ですが、⑴に書く課題は、その工事を「安全に特に留意した工事」と呼べる理由そのものになっていると、柱書と設問の話が一本に通ります。
「とった措置又は対策」が「実施した具体的な対策内容とその結果」になった
旧形式の後半は「それについてとった措置又は対策」でした。令和6年度の⑵は「上記⑴の安全管理上の課題に対し実施した具体的な対策内容とその結果」で、「措置」の語が消え、「とった」が「実施した」に、そして末尾に「その結果」が足されています。
「上記⑴の安全管理上の課題に対し」という前置きも新しく入った語です。⑵の対策は⑴の課題に向けたものでなければならない、ということを設問文が明示しています。旧形式の「それについて」でも意味は同じでした。
「簡潔に」が「具体的に」になった
書き方の指示は、令和2・4年度の「簡潔に記述しなさい」から、令和6年度は「具体的に記述しなさい」に替わりました。答案の分量については、どの年度の設問文も行数や字数を指定していないため、書く量がどれだけ増えたかまでは問題冊子から読み取れません。この記事で注目したいのは量よりつなぎ目のほうです。旧形式は「事項をあげ,それについてとった措置又は対策を」と1つの文の中で事項と措置が続いていたので、「それについて」の一語で両者のつながりが自然に保たれていました。令和6年度は欄が⑴と⑵に分かれ、⑵の頭に「上記⑴の安全管理上の課題に対し」が置かれています。1文で済んでいたつながりを、欄をまたいで言い直す形になったということです。僕は、⑵の書き出しで⑴の課題を短く受け直してから対策に入ると、この前置きに沿った答案になると考えています。
対策はいくつ書けばいいのか、という点も、令和6年度の⑵は「具体的な対策内容」としか書いておらず、個数の指定は見当たりません(令和6年度 1級電気通信工事施工管理技術検定 第二次検定 問題1)。僕としては、個数を揃えることより、⑴の課題に向けて実施したことだけを⑵に置くほうを優先したいところです。課題とつながらない対策を数合わせで足すと、「上記⑴の安全管理上の課題に対し」という前置きから外れてしまいます。
「労働者の安全管理」の課題を、通信工事の作業から立てる
令和6年度の設問が「施工現場における労働者の安全管理」と書いている以上、⑴の課題の主語は、現場で作業する人に置くのが素直な読み方です(令和6年度 1級電気通信工事施工管理技術検定 第二次検定 問題1)。令和2・4年度の「安全管理」には「労働者の」の語が無かったので、旧形式向けに書かれた例文の中には、通行人や近隣への配慮を中心に据えたものも混ざっているはずです。
通行人の安全を書いたらダメなのか、という点について、問題冊子に言えることは「令和6年度の設問文は『労働者の安全管理』と書いている」ところまでです。採点でどう扱われるかは公表されていません。そのうえで僕は、道路に面した現場の話を書くときも、課題の中心は作業員の側に置き、通行する車両や人との関係は、作業員が危なくなる条件の1つとして書くほうが、設問の語と噛み合うと考えています。
では、作業員の危険をどこから拾うか。高所と感電しか浮かばないときは、危険の種類から考えるのをいったんやめて、自分の工事の流れを作業に分解するところから始めると、材料が出てきます。
手順1:工事を、日ごとの作業に分けて書き出す
工事名や工事概要の単位ではなく、「その日に作業員が何をしていたか」の単位まで下ろします。搬入、揚重、墜落防止の養生、配管、通線、機器の据付、接続、試験、既設の撤去や切替、といった具合です。通信工事は一つひとつの作業が細かく、同じ日に場所の違う作業が並ぶことも多いので、ここで粒をそろえておくと後が楽になります。
手順2:作業ごとに、作業員がどこに身を置き、何に近づくかを書く
同じ「通線」でも、天井内に頭を入れるのか、床の開口の脇に立つのか、マンホールの中に入るのかで、危険はまったく変わります。作業ごとに、足元の高さ、開口や端部、稼働中の電源や設備、吊り荷や車両、狭い場所や空気の状態といった、作業員の体が近づくものを書き足していきます。
手順3:いつもの段取りでは足りなかった作業を1つ選ぶ
書き出した作業のうち、その現場の条件のせいで、普段の段取りのままでは危ないと判断して手を加えたものを1つ選びます。これが柱書と⑴に出てくる「特に留意した」に当たる、と僕は読んでいます。どの現場でも同じようにやっている作業は、手を加えた事実が無いので⑵が書きにくくなります。
手順4:誰が・どの作業で・どんな条件のために・何の危険か、を1文にする
選んだ作業を、⑴の課題の文に組み立てます。「高所作業の安全確保」のような危険の分類名で止めず、作業と条件と危険を1文に入れるのがポイントです。
ここからは架空の例で、実在の工事や発注者とは関係ありません。事務所ビルの改修で、稼働中のフロアの天井内に光ケーブルとLANケーブルを敷設替えした工事を考えます。
- 作業の分解:既設ケーブルの撤去、天井点検口からの通線、天井内のラック上での整線、フロア側での機器の据付と接続、試験
- 作業員が近づくもの:脚立の上での天井内作業、天井内を並走する既設の電源ケーブル、昼間は執務中のフロア
- 普段と違った条件:既設の電源ケーブルが止められず、通線ルートのすぐ脇を通っていた
- 課題の文:天井内で既設の電源ケーブルに近接して通線する作業で、脚立上の作業員が電源ケーブルに触れて感電することを防ぐ
この例は、試験で出題された作業名とも重なります。1級電気通信の問題4の選択欄には、令和元年度に「低圧活線近接作業」と「脚立作業」、令和4年度に「脚立作業」、令和6年度に「停電作業」が並んでいました(令和元年度 1級電気通信工事施工管理技術検定 実地試験 問題4/令和4年度・令和6年度 同 第二次検定 問題4)。自分の工事から立てた課題が、試験の側の作業名と重なっていれば、通信工事の安全として筋の外れた題材ではないことの目安になります。ただ、選択欄は入口ではなく答え合わせに使うくらいがちょうどよく、課題はあくまで自分の工事の作業から起こすほうが、〔工事概要〕とずれません。
光ファイバの工事で安全が書けるのか、という心配もよく聞きます。融着接続の現場なら、切断したファイバの細かい破片が作業員の手や目に入る危険、試験で光源を扱うときに光を直接のぞき込む危険が、作業員の体に近いところにあります。基地局の鉄塔作業も、自分が施工管理として関わった工事なら題材になり得ます。この場合も、鉄塔という場所の名前ではなく、昇降、アンテナの揚重、既設の無線設備の近くでの作業、と作業の単位まで下ろしてから課題を探すと、書く中身が具体的になります。
「対策内容とその結果」の結果に書くもの・書かないもの
令和6年度の⑵は「上記⑴の安全管理上の課題に対し実施した具体的な対策内容とその結果」で、同じ年の工程管理の〔設問2〕の⑵も「実施した具体的な対策内容とその結果」でした(令和6年度 1級電気通信工事施工管理技術検定 第二次検定 問題1)。令和7年度は安全管理が出ていませんが、施工計画の立案の〔設問1〕の⑵は「実施した具体的な対策内容とその評価」で、結びの語が「結果」から「評価」に替わっています(令和7年度 同 第二次検定 問題1)。次に安全管理が指定される年に結びが「結果」と「評価」のどちらになるかは、今の時点では読めません。両者の意味の差は、1級電気通信の品質管理の経験記述で「結果」と「評価」を分けて扱った記事に譲り、ここでは安全の答案に絞ります。
安全の「結果」で難しいのは、うまくいった安全ほど「何も起きなかった」になってしまうことです。設問文は「その結果」と書くだけで中身を定めておらず、どう採点するかも試験の側から示されていないため、何を書けば正解かは断定できません。そのうえで、安全の結果として書ける事実は、次のように作業や人の動きの側に出てくることが多いと僕は考えています。
- 作業のやり方が変わった:対策の後、⑴に書いた作業の手順や作業員の立ち位置がどう変わったか
- 決めたことが守られたかを確かめた:立入りの範囲や作業の順番を、作業中の巡視や終業時の確認でどう確かめたか
- 途中で直した:対策を始めてから足りない点が見つかり、どこをどう変えたか
- 次の作業に持ち越した:同じ工事の後半や、同じ条件の別の作業に同じ段取りを当てはめたか
たとえば先ほどの架空の例なら、「通線の前に電源ケーブルの位置を天井点検口ごとに確認して印を付け、脚立の位置と通線の順番をその日の朝に決めた」が対策内容で、「作業員が電源ケーブルの脇に手を入れる場面が、印を付けた点検口の前後に限られ、通線はケーブルに触れずに終えた」が結果の一文になります。この例の結果は、上の4種のうち「作業のやり方が変わった」に当たります。
書かないほうがよいのは、自分や作業員の意識を持ち上げるだけの言葉です。「安全意識が高まった」「作業員の士気が上がった」は、何が起きたかを読み手が確かめようがありません。また、記憶に無い件数や日数を結果らしく見せるために書き足すのも避けてください。答案の題材は自分の携わった工事そのものなので、記憶に無い数字で具体性を足すのは筋が違います。
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問題1で安全管理が出たのは3回分しかない中で、課題の立て方や結果の書き方を一人で固めていくのは手探りになりがちです。受験対策講座という選択肢があることも、知っておくと準備の組み立てが考えやすくなります。
- 旧形式の例文しか手元に無く、R6の「課題」の形に直せているか自信が無い
- 問題4の答えと問題1の対策が、同じ話になっている気がする
- 「その結果」の一文が、毎回「事故は無かった」で終わってしまう
ただし書きは問題1と問題4で別物|交通誘導員と、保護帽・墜落制止用器具
1級電気通信の問題冊子には、安全を書かせる問題が2つあります。1つは安全管理が指定された年の問題1、もう1つは毎年出ている問題4です。問題4は7年とも、選択欄から「2つ選び」、労働災害防止対策を書かせる問題でした。選ぶものは多くの年が「作業」で、令和2年度だけ「作業等」です(令和元年度・令和2年度 1級電気通信工事施工管理技術検定 実地試験 問題4/令和3年度〜令和7年度 同 第二次検定 問題4)。そして問題冊子には毎年「問題1〜問題6は,必須問題ですので必ず全問題を解答してください。」とあるので、令和2・4・6年度の受検者は、1回の試験で問題1と問題4の両方に安全を書いています(各年度の同 問題冊子)。
保護帽や安全帯の話を書いたらダメ、という噂は、この2つの問題のただし書きが混ざって伝わっているところがあります。
問題1のただし書きは、交通誘導員の配置
問題1の安全管理の設問に付いていたのは、交通誘導員についての一文です。令和2年度は「ただし,安全管理については,交通誘導員の配置のみに関する記述は除く。」、令和4年度と令和6年度は「ただし,交通誘導員の配置のみに関する記述は除く。」でした(令和2年度 1級電気通信工事施工管理技術検定 実地試験 問題1/令和4年度・令和6年度 同 第二次検定 問題1)。3回で違うのは、令和2年度だけ「安全管理については,」が入っている点です。保護帽や墜落制止用器具に触れたただし書きは、問題1の3回には付いていません。
問題4のただし書きは、保護帽と墜落制止用器具の着用
問題4のただし書きは、年度によって文言が少しずつ違います。
- 令和元年度:「保護帽及び安全帯(墜落制止用器具)の着用の記述は除くものとする」
- 令和2年度:ただし書きなし
- 令和3年度・令和4年度:「保安帽及び安全帯(墜落制止用器具)の着用に関する記述は除くものとする」
- 令和5年度・令和7年度:「保安帽及び墜落制止用器具の着用に関する記述は除くものとする」
- 令和6年度:「保護帽及び墜落制止用器具の着用のみに関する記述は除くものとする」
出典は、令和元年度・令和2年度 1級電気通信工事施工管理技術検定 実地試験 問題4と、令和3年度〜令和7年度 同 第二次検定 問題4です。ただし書きが無かった令和2年度は、問題4が「作業等」を選ぶ形で、選択欄に「熱中症予防」のような項目も並んでいた年です(令和2年度 同 実地試験 問題4)。ただし書きを置かなかった理由は問題冊子に書かれていません。
7年の中で、令和6年度だけが「着用のみに関する」と「のみ」の入った言い方です。ただし書きのある他の年は「着用の記述」または「着用に関する記述」を除く形でした。同じ令和6年度の問題1のただし書きも「交通誘導員の配置のみに関する記述は除く」で、この年は問題1と問題4の両方のただし書きが「〜のみに関する記述」という同じ組み立てになっています(令和6年度 同 第二次検定 問題1・問題4)。「のみ」が付くかどうかで採点の扱いがどう変わるかは公表されていないので、ここは文言の違いとして押さえるにとどめます。答案を書く側としては、年度を問わず、保護帽や墜落制止用器具の着用を対策の中心に置かない形で準備しておけば、どの言い方の年に当たっても困りません。
問題1と問題4で同じ作業の話を使ってよいか
問題4で選んだ作業と同じ作業を問題1の安全管理でも書いてよいか、という点は、問題冊子にそれを禁じる文言は見当たりません。ただ、2つの問題は書かせているものが違います。問題4は選択欄の作業(令和2年度は作業等)について、令和元・3・4年度は「労働安全衛生法令」に、令和2年度は「労働安全衛生法令」等に、令和5年度以降は「労働安全衛生法」に沿った労働災害防止対策を書かせる問題でした(令和元年度・令和2年度 同 実地試験 問題4/令和3年度〜令和7年度 同 第二次検定 問題4)。問題1は、自分が〔工事概要〕に書いた工事で、何に特に留意し、何を実施し、どうなったかです。
僕の考えでは、同じ作業を扱っても、問題4では法令に沿った一般的な対策を、問題1ではその現場の条件と自分が実施したことを、と書く中身が分かれていれば重なりは気になりません。反対に、問題1の⑵に法令の一般論を並べてしまうと、問題4の答えを問題1に書き写したような答案になり、「実施した具体的な対策内容」から離れていきます。
交通誘導員が出てくる現場の書き方は、2級電気通信の安全管理を年度順に整理した記事で扱っています。
工事の選び方|R6の「特に留意した工事」と、撤去のみ・二次下請の注意
令和元年度から令和5年度までの問題1の柱書は、「あなたが経験した電気通信工事のうちから,代表的な工事を1つ選び,次の〔設問1〕から〔設問3〕の答えを解答欄に記述しなさい。」でした(令和元年度・令和2年度 1級電気通信工事施工管理技術検定 実地試験 問題1/令和3年度〜令和5年度 同 第二次検定 問題1)。令和6年度は、先に見たとおり「「施工現場における労働者の安全管理」及び「工期を遵守するための工程管理」に特に留意した工事を1つ選び」です(令和6年度 同 第二次検定 問題1)。令和6年度は並び順にも特徴があり、〔工事概要〕のすぐ後の〔設問1〕が安全管理、その次の〔設問2〕が工程管理でした(令和6年度 同 第二次検定 問題1)。つまり、工事を1つ選んで〔工事概要〕を書いたら、最初に向き合うのが安全の課題です。僕は、この並びの年に当たったときに備えて、題材の工事を決める段階で、先に安全の⑴が1文で言えるかを確かめ、そのうえで同じ工事から工期の話も出せるかを見ておくのがよいと考えています。
工程と安全を同じ工事で書くと同じ出来事を書いてしまいそう、という心配については、工程側の課題の立て方と、同じ作業を工程側と安全側で書き分ける例を1級電気通信の工程管理の経験記述を扱った記事にまとめています。安全の側で押さえておきたいのは、上で見た「労働者の」の語です。工程側は工期、安全側は作業する人、と設問の語が視点をすでに分けてくれているので、同じ作業を題材にしても、安全の欄では作業員の体の周りの話に寄せれば重なりは減ります。
撤去ばかり担当していた時期の工事を題材にしてよいかは、令和6年度の〔注意〕にある次の文で判断できます。
「工事名が工事以外でも,電気通信設備の据付調整が含まれている場合は,経験した工事として認められます。ただし,撤去のみの工事は除きます。なお,あなたが経験した工事でないことが判明した場合は失格となります。」(令和6年度 1級電気通信工事施工管理技術検定 第二次検定 問題1)
令和元年度〜令和5年度の同じ注意書きは「代表的な工事の工事名が工事以外でも,」で始まり「実務経験として認められます。」、令和7年度は「工事名が工事以外でも,」で始まり「実務経験として認められます。」で、令和6年度だけ「経験した工事として認められます。」でした(令和元年度・令和2年度 同 実地試験 問題1/令和3年度〜令和7年度 同 第二次検定 問題1)。言い回しの差は小さく見えますが、令和6年度の注意書きだけが「実務経験」ではなく「経験した工事」として認めるかどうかの書き方になっています。僕はこれを、題材は据付調整を含む「工事」として扱えるかどうかで見られる、という読み方をしています(あくまで推測で、問題冊子に理由は書かれていません)。その読み方に立つなら、撤去と新設が同じ工事に入っている場合、安全の課題も撤去の場面より据付調整に近い作業から拾っておくほうが、題材としての説明がしやすいはずです。最後の一文のとおり、経験していない工事を書くことは失格の対象と明記されています。
二次下請で入った工事の発注者名については、問題1の〔注意〕に次の文があります。
「「経験した電気通信工事」は,あなたが工事請負者の技術者の場合は,あなたの所属会社が受注した工事内容について記述してください。従って,あなたの所属会社が二次下請業者の場合は,発注者名は一次下請業者名となります。なお,あなたの所属が発注機関の場合の発注者名は,所属機関名となります。」(令和6年度 1級電気通信工事施工管理技術検定 第二次検定 問題1〔注意〕。令和元年度〜令和7年度で同じ文言)
通信建設の現場では、元請の下に一次・二次と重なって入ることがあるので、発注者名の欄には、元請や最終的な施主ではなく、自分の会社が受注した相手の名前が入ることになります。安全の答案との関係でいえば、「あなたの所属会社が受注した工事内容について記述してください」とある以上、⑵に書く対策内容も、自分の会社が受け持った範囲の作業で実施したことに絞っておくと、〔工事概要〕との食い違いを防げます。
1級電気通信工事施工管理技士の経験記述(安全管理)に関する情報まとめ
- 安全管理が出た年:問題1では令和2年度〔設問2〕・令和4年度〔設問3〕・令和6年度〔設問1〕の3回。令和元・2年度は実地試験、令和3年度以降は第二次検定で、令和8年度の指定は公表されていない
- 設問文の変化:「安全管理」が「施工現場における労働者の安全管理」に、「特に重要と考えた事項」が「特に留意した安全管理上の課題」に、「とった措置又は対策」が「実施した具体的な対策内容とその結果」に、「簡潔に」が「具体的に」に替わった
- 課題の立て方:工事を日ごとの作業に分け、作業員が近づくものを書き出し、いつもの段取りでは足りなかった作業を1つ選んで、作業・条件・危険を1文にする
- 結果の書き方:令和6年度は「結果」、令和7年度の施工計画の立案は「評価」。安全の結果は作業のやり方や人の動きの変化として書き、意識や士気の言葉と覚えていない数字は書かない
- ただし書き:問題1は交通誘導員の配置、問題4は保護帽・墜落制止用器具の着用。問題4は令和2年度に無く、令和6年度だけ「着用のみに関する」
- 工事の選び方:令和6年度は安全と工程の両方に留意した工事を1つ選ぶ形。撤去のみの工事は除かれ、二次下請なら発注者名は一次下請業者名
以上が1級電気通信工事施工管理技士の経験記述(安全管理)に関する情報のまとめです。
3回分しかない設問文でも、年度ごとに付いた修飾語とただし書きの一語一語は、何を書かせたいのかをかなりはっきり示しています。試験当日に問題1を開いたら、書き始める前に、安全の設問に付いた修飾語(令和6年度なら「施工現場における労働者の」)と、結びの語が「結果」か「評価」か、ただし書きに「のみ」が入っているかの3か所に線を引いてみてください。準備してきた工事の話を、その3か所に合わせて組み替えるだけで、年度の形が変わっても答案の芯はぶれずに済むはずです。
