- 令和6年度の問A・問Bの形で、最後まで埋まった工程管理の例文が見たい
- 問Aと問B、自分の経験だとどっちが書きやすいのか決められない
- 「施設等が運用中」って、改修工事なら全部当てはまるの?
- 「狭い空間」ってどのくらい狭ければいい?電気室?EPS?
- 工程管理上の「問題」と「その理由」、何を分けて書けばいいのか分からない
- 対策が問題ごとに2つ、計4つ。どうしても似たような対策になる
- 機器の納期遅れって、工程の問題として書いていいの?
- 停電できる時間が短い、は工程の話?安全の話?
- 手元の例文が「〜したので工期内に完了した」で終わっている。このままでいい?
- 工事概要を書く欄が無いなら、工事名や規模はどこに書くの?
上記の様な悩みを解決します。
この記事には、令和6年度の問A・問Bの形で1本ずつ、令和4年度の1−2の形で1本、合計3本の工程管理の経験記述例文を載せました。3本とも問題と理由を2つ、対策を問題ごとに2つ立て、12個の対策が例文の中で重複しないように書き分けています。
1級電気の工程管理の例文は、見つかっても工事概要から書き始める過去形の答案だったり、全資格で使い回せる短い部品の寄せ集めだったりして、令和6年度の「施設等が運用中」「狭い空間で機器を据え付ける」という場面にそのまま合わせた答案は少ないんですよね。今回は出題された年度と問題文の形といった基本を押さえた上で、例文集が素通りしがちな「3本・6組の問題と理由を並べ、理由の側に何を置いたかを比べた表」や「附帯工事・品質・安全の話を例文のどこから外したか」にも踏み込み、現場を回す側の目線でまとめました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、第一次検定を通過して、これから工程管理の答案を初めて組むという方でも読み進めやすいかなと思います。
それではいってみましょう!
例文は3本|令和6年度の問A・問Bで1本ずつ、令和4年度の1−2の形で1本
3本の例文が、どの年度の問題文に合わせたものかを先に表で示します。例文1・2は令和6年度の問題1、例文3は令和4年度の問題1−2の形です。書き出し・時制・対策の語尾が年度で違うので、例文ごとに表の右3列に合わせて書き分けています(令和4年度・令和6年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1)。
| 例文 | 合わせた問題文 | 答案の書き出し | 問題の時制 | 対策の語尾 |
|---|---|---|---|---|
| 例文1 | 令和6年度 問題1 問A | 場面の中身から(工事概要の欄なし) | 発生が予想される | とるべき対策(〜する・〜しておく) |
| 例文2 | 令和6年度 問題1 問B | 場面の中身から(工事概要の欄なし) | 発生が予想される | とるべき対策(〜する・〜しておく) |
| 例文3 | 令和4年度 問題1−2 | 1−1の工事概要⑴〜⑹ | 発生した又は発生すると予想した | とった対策(〜した) |
経験記述の問題1で工程管理が問われたのは、令和元年度(問題1−2)・令和3年度(問題1−3)・令和4年度(問題1−2)・令和6年度(問題1)の4回です。令和2年度・令和5年度・令和7年度の問題1は安全管理でした(令和元年度・令和2年度 1級電気工事施工管理技術検定試験 実地試験問題 問題1/令和3年度〜令和7年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1)。直近の令和7年度の問題1は、問A・問Bとも墜落災害又は飛来落下災害を書かせる設問で、工程管理ではありません(令和7年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1)。
個数の指定も年度で違います。令和元年度・令和4年度・令和6年度は「問題とその理由を2つ」で、対策は令和元年度・令和4年度が「対策を問題ごとに2つ」、令和6年度が「対策をその問題ごとに2つ」でした。令和3年度の問題1−3だけは個数が書かれておらず、「この問題を防止するためにあなたがとった対策を具体的に記述しなさい。」と単数で受けていました(令和3年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1−3)。例文3は2つの形で書いたので、令和3年度の形に当てはめて読むなら、問題1つとその対策の組を取り出して見てください。
令和6年度の問A・問Bの文は、次のとおりです。原本の改行に合わせて区切っています。
(問A) あなたの電気工事の経験を踏まえ,施設等※が運用中でその制約を受ける電気工事において,施工中に発生が予想される工程管理上の問題とその理由を2つあげなさい。
その上で,これらの問題を防止するため,あなたがとるべき対策をその問題ごとに2つ具体的に記述しなさい。
ただし,対策の内容は重複しないこと。
※施設等の例:建物,送配電線路,通信線路,鉄道,道路,水路,管路,共同溝等
(問B) あなたの電気工事の経験を踏まえ,狭い空間で機器を据え付ける作業を行う電気工事において,施工中に発生が予想される工程管理上の問題とその理由を2つあげなさい。
その上で,これらの問題を防止するため,あなたがとるべき対策をその問題ごとに2つ具体的に記述しなさい。
ただし,対策の内容は重複しないこと。
出典は、令和6年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1 問A・問Bです。令和6年度の問題1には、令和5年度までにあった工事名・工事場所などを書く欄がありません(令和6年度 同 問題1)。工事名や規模をどこに書くのか、という迷いへの答えとして、例文1・2では工事の中身(何を更新するのか、どこに据え付けるのか)を、問題の文の主語の側に入れました。欄が無くても、何の工事の話なのかは問題の1文目で読み手に伝わります。
次に工程が問題1に来るのはいつか、という点は、この記事では答えを出しません。照合できた問題冊子は令和元年度から令和7年度までで、令和8年度の問題冊子は照合の範囲に入っていないからです。4回の出題の並びから次の年を読む材料も、問題冊子そのものには書かれていません。
例文1|問A:運用中の事務所ビルで受変電設備を更新する(架空の作例)
ここから先の例文は、すべて当サイトが作った架空の作例です。模範解答や正解として示すものではなく、実在の建物・発注者・会社とは関係ありません。例文には、日数や台数といった数字をあえて入れていません。数字は自分の工事の記録から入れるものなので、例文の数字をそのまま写すことがないようにしました。
場面は、テナントが入居して営業を続けている事務所ビルで、屋内の受変電設備(高圧受電盤・変圧器・低圧配電盤)を新しいものへ更新する電気工事です。ビルは工事の間も止まらず、受変電設備を全停電できるのはビル側が決めた休日の限られた時間帯だけ、という想定にしました。問Aの施設等の例の先頭が「建物」なので、運用中の建物の改修は、問Aのいちばん素直な題材になります(令和6年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1 問A)。
問題1:全停電の時間帯に切替えが収まらず、受電の再開と後の工程がずれる
(問題)受変電設備を新設側へ切り替える作業が、ビル側が認めた全停電の時間帯の中で終わらず、切替えと受電の試験が次の停電日まで持ち越され、その後の低圧幹線の接続替えと各階の送電が予定より遅れることが予想される。
(理由)ビルは運用中で、全停電の日時はテナントの営業に合わせてビル側が決めるため、工事側の都合で停電日を追加したり停電時間を延ばしたりできないからである。
(とるべき対策1)停電時間内に行う作業を、取外し・接続・絶縁の確認・送電の手順ごとに所要時間を見積もって停電作業工程表にまとめ、着工前にビルの施設管理者と読み合わせて、停電日と時間帯を工程表の固定日として確定しておく。
(とるべき対策2)新しい受変電設備は既設設備の脇に先行して据え付け、二次側の配線を端末の処理まで停電日の前に終えておき、停電中に残る作業を既設からの接続替えと送電前の試験だけに絞る。
問題2:共用部の使用時間が限られ、新しい機器の搬入が据付けの予定日に間に合わない
(問題)新しい変圧器や盤を電気室へ運び込む搬入が、テナントの営業時間を避けた夜間・休日にしか行えず、予定の日に搬入できないと、電気室での据付けと二次側の配線が後ろへずれることが予想される。
(理由)搬入に使う共用の通路・荷物用の昇降設備・荷さばきの場所は、運用中のビルの管理規則で使える時間が決まっており、工事の工程に合わせて昼間の使用を増やせないからである。
(とるべき対策1)搬入の日時・通る経路・使う昇降設備の予約を、機器ごとに搬入日より前にビル管理者と取り決めて書面に残し、その日を全体工程表の搬入日として記入して、関係する業者にも同じ日を周知する。
(とるべき対策2)機器の製作図の承認を前倒しして工場の出荷日を搬入日から逆算して決め、出荷前に工場で行う検査も済ませておき、搬入日に機器がそろわない事態を防ぐ。
問Aの与条件は「施設等が運用中」だけでなく、その後ろに「その制約を受ける」と続いています(令和6年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1 問A)。改修工事なら全部当てはまるのか、という問いに対しては、この後半が答えになります。運用中の建物で工事をしていても、答案の中で「運用中だから何が縛られるのか」を言えなければ、問Aの場面に答えたことにはなりにくい。例文1では、問題1で停電日、問題2で共用部の使用時間と、運用中のビルが工事側から取り上げるものを1つずつ理由に書きました。
停電できる時間が短いのは工程の話なのか安全の話なのか、という迷いも、例文1の問題1が1つの答えです。停電時間の短さを「作業が終わらず後の工程がずれる」という遅れにつなげれば、工程管理上の問題として書けます。同じ停電の場面でも、作業者の感電を心配する向きに書いた途端に安全管理の答案になるので、例文1の問題1には感電の話を1語も入れていません。
4つの対策は、問題1の側が「停電の中身を決めておく」「停電の中身を減らしておく」、問題2の側が「搬入の日を決めておく」「その日に機器をそろえておく」という組にしてあります。停電日の協議と搬入日の協議はどちらも施設管理者との取り決めですが、決める対象(停電の日時と、共用部の使用)が違うので、4つの中で同じ手の言い換えにはなっていません。
語尾にも触れておきます。例文1の対策は「確定しておく」「絞る」「周知する」「防ぐ」と、どれもこれから行う形で終えました。令和6年度の問Aは「あなたがとるべき対策」を求めているので(令和6年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1 問A)、「確定した」「絞った」のような済んだ形で終えると、問いの形と答案の形がずれて読まれます。4つの対策を、それぞれがどの時点で打つ手なのかで並べ直すと、問題1の対策1は着工前、対策2は停電日の前、問題2の対策1は搬入日の前、対策2は工場の出荷前です。停電日と搬入日は、どちらもビル側が決めた日付です。その日付の手前のどこに手を置くかを1つずつずらしておくと、4つの対策は同じ時点に集まらず、中身の上でも重なりにくくなります。
例文2|問B:既設の電気室とEPSに盤を据え付ける(架空の作例)
2本目は問Bの例文で、これも架空の作例です。場面は、既設の工場の事務棟を改修する電気工事で、既設の電気室に低圧配電盤を増設し、各階のEPS(電気配線用のパイプシャフト)にある分電盤を新しいものへ取り替える、という想定にしました。電気室には運転を続ける既設の盤が並び、EPSは扉の内側に給排水や空調の縦管も通っている、という条件です。
「狭い空間」がどのくらい狭ければよいのかについては、問題文に寸法の基準は書かれていません。問Bの場面は「狭い空間で機器を据え付ける作業を行う電気工事」とだけ書かれています(令和6年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1 問B)。そこで例文2では、何が狭いのか(既設の盤の間の通路、電気室の天井の高さ、EPSの奥行き)を答案の中で具体的に名指しし、その狭さから工程上の問題が生まれる筋道を書きました。電気室もEPSも題材になりえますが、狭さを1語で済ませずに寸法の出どころまで書くのが、問Bを選んだ答案らしさだと僕は考えています。
問題1:電気室に運搬の機械が入らず、1日に据え付けられる盤の面数が限られる
(問題)増設する低圧配電盤を電気室の中で据付け位置まで動かす作業が人力に頼ることになり、1日に据え付けられる盤の面数が限られて据付けの期間が延び、盤への幹線の接続と送電の試験の開始も後ろへずれることが予想される。
(理由)電気室には運転を続ける既設の盤が並び、天井も低いため、揚重や運搬に使う機械を電気室の中へ入れて使うことができず、盤は人力で少しずつ移動させるしかないからである。
(とるべき対策1)盤を据え付ける架台(チャンネルベース)とアンカーを、盤が届く前に据付け位置へ先に取り付けておき、据付けの当日は盤を架台に載せて固定するだけで済むようにする。
(とるべき対策2)盤ごとの移動の順と1日に据え付ける面数を工程表に書き込み、移動に使う道具と床の養生材は前日までに電気室の脇にそろえておく。
問題2:EPSに合わせた特注寸法の分電盤が、据付けの予定日までに届かない
(問題)各階のEPSに収める分電盤が、扉の内側の寸法と奥行きに合わせた特注の寸法になるため製作に時間がかかり、据付けの予定日までに盤が現場に届かず、後に続く幹線の接続と各階の送電の切替えが止まることが予想される。
(理由)EPSは奥行きが浅く、縦管との離れも小さいため、標準の寸法の盤では収まらず、現場で内寸を測り終えるまで盤の寸法が決まらないので、製作に取りかかる時期がその分だけ遅くなるからである。
(とるべき対策1)各階EPSの内寸の実測を着工直後の最初の作業に置き、実測結果を盤の承認図にすぐ反映させて、製作図の承認を工程表の上で前倒しする。
(とるべき対策2)盤が届くまでの間に、EPS内の幹線の敷設と端末の処理を先に済ませる順序で工程を組み、盤が届いた後は据付けと接続だけで送電の切替えに進めるようにしておく。
機器の納期遅れを工程の問題として書いてよいか、という迷いには、例文2の問題2を見てください。納期そのものはメーカーの事情ですが、例文では「EPSが狭いから特注寸法になる」「寸法が決まるまで製作に入れない」と、納期が延びる原因を問Bの場面から引き出しています。場面と関係なく「メーカーの納期が遅れた」と書くと、狭い空間で据え付ける工事を選んだ意味が答案から消えてしまうので、納期は場面の結果として書くのがおすすめです。
例文2の2つの問題は、どちらも据付けにかかわる遅れですが、遅れ方が違います。問題1は盤は現場にあるのに1日に進む面数が少なく期間が延びる遅れ、問題2は据え付ける盤そのものが予定日に届かない遅れです。理由の側も、問題1は既設の盤と低い天井のせいで機械が使えないという電気室の事情、問題2はEPSの奥行きと縦管のせいで寸法が決まらないという別の空間の事情に分けました。4つの対策も、問題1は架台の先付けと移動の段取り、問題2は実測の前倒しと幹線の先行と、手を打つ相手がずれています。
EPSには給排水や空調の縦管も通っていますが、例文2ではその工事を問題の主語にしていません。縦管は、EPSの寸法が小さくなる理由として出てくるだけです。他の設備の工事をどこまで答案に入れるかは、後の節で線引きを整理します。
問Aと問Bのどちらを選ぶか決められない、という迷いには、例文1と例文2の題材を見比べると手がかりがあります。例文1も、電気室に変圧器や盤を据え付ける工事で、例文2も、運転を続ける既設の盤がある電気室での工事です。題材だけを見れば、どちらの例文も問A・問Bの両方に寄せて書けてしまいます。2本の理由の文を並べると、工程を縛った相手の種類が違います。例文1で縛っているのは、停電の日時を決めるビル側と、共用部の使い方を決める管理規則で、どちらも施設を運用している人の決めごとです。例文2で縛っているのは、動かせない既設の盤、低い天井、EPSの奥行きと縦管で、どれもその場所に置かれた物です。問題文には問A・問Bを選ぶ基準が書かれていないので(令和6年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1)、自分の工事で工程を止めたものを思い出し、それが話し合って日取りを決める相手(施設の管理者や運用の担当)だったなら問A、話し合っても動かない物だったなら問B、という見分け方が、この2本から引き出せる材料だと僕は考えています。
例文3|令和4年度の1−2の形:新築の事務所ビルの電気設備工事(架空の作例)
3本目は、令和4年度の問題1の形に合わせた例文です。令和4年度は、まず1−1で「経験した電気工事について,次の事項を記述しなさい。」として工事概要の⑴〜⑹を書かせ、そのあと1−2で工程管理を問う形でした(令和4年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1)。1−2の文は次のとおりで、原本では「ただし,」の前で改行されています。
1-2 上記の電気工事の現場において,施工中に発生した又は発生すると予想した工程管理上の問題とその理由を2つあげ,これらの問題を防止するために,あなたがとった対策を問題ごとに2つ具体的に記述しなさい。
ただし,対策の内容は重複しないこと。
出典は令和4年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1−2です。令和元年度の1−2もほぼ同じ文で、違いは「発生すると予想した」が「発生があると予想した」になっている1か所だけです(令和元年度 1級電気工事施工管理技術検定試験 実地試験問題 問題1−2)。例文3は、令和元年度の形の答案としても読めます。
令和6年度の形の答案を2本用意したうえで、この旧い形の例文も持っておく理由は、問題文の形が年度で動いてきたからです。令和6年度に問A・問Bの形が入り、令和7年度は安全管理で同じ問A・問Bの形が続きましたが(令和6年度・令和7年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1)、次の年も同じ形だと示す記載は問題冊子にありません。それに、自分の工事を工事概要の⑴〜⑹に書き出してみる作業は、令和6年度の形で書くときにも、題材の工事を思い出す手がかりになります。
以下も架空の作例で、工事名や場所は伏せ字にしています。1−1の記入項目の名前は、令和4年度の問題冊子の表記に合わせました(令和4年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1−1)。
| 1−1の項目 | 例文3の記入内容(架空) |
|---|---|
| ⑴ 工事名 | ◯◯ビル新築工事のうち電気設備工事 |
| ⑵ 工事場所 | ◯◯県◯◯市 |
| ⑶ 電気工事の概要 (ア) 請負金額(概略の額) | 約◯億円 |
| ⑶ 電気工事の概要 (イ) 概要 | 鉄骨造・地上◯階の事務所ビル。受変電設備、幹線設備、動力設備、電灯コンセント設備の新設 |
| ⑷ 工期 | 令和◯年◯月〜令和◯年◯月 |
| ⑸ この電気工事でのあなたの立場 | 一次下請の電気工事会社の現場代理人 |
| ⑹ あなたが担当した業務の内容 | 電気設備工事の施工管理(工程・品質・安全・原価)と、設備業者・建築側との調整 |
問題1(発生すると予想した):天井内の取り合いで、幹線ケーブルラックの取付けが後回しになる
(問題)各階の天井内で、空調ダクトや配管の取付けと電気の幹線ケーブルラックの取付けが同じ時期に重なり、ラックが後回しになって幹線の敷設が遅れ、各階の受電が予定日に間に合わなくなると予想した。
(理由)天井内の限られた高さは先に取り付けた職種が使ってしまい、残りの位置に合わせてラックの高さと経路を決め直すことになると、そのたびに電気側の作業が止まるからである。
(とった対策1)着工の段階で設備業者と天井内の総合図を作り、ラックの高さと経路を他の設備より先に確定させて、各階の施工図に反映した。
(とった対策2)各階の天井内の作業順序をラックの取付けを先行させる形で全体工程表に入れ、週ごとの工程会議でその階の進み具合を関係業者と確認した。
問題2(発生した):変圧器の容量が決まらず、受変電設備の製作承認が遅れた
(問題)施工中に建物の負荷の見直しが入り、変圧器の容量が確定しないまま受変電設備の製作承認が遅れ、受電予定日までに据付けと試験が終わらないおそれが生じた。
(理由)テナントの設備計画の変更に伴って負荷の集計がやり直しになり、変圧器の容量が決まるまで受変電設備の製作図全体の承認が止まっていたからである。
(とった対策1)容量の変更に影響しない高圧受電盤の部分を切り分けて先に承認を受け、その部分の製作を先行させた。
(とった対策2)受電予定日から逆算した変圧器の承認期限を発注者・設計者と協議して取り決め、その期限を全体工程表に記入して関係者に配った。
例文3では、2つの問題の時制をわざと分けました。問題1は「予想した」、問題2は「発生した」です。令和4年度の問題文は「施工中に発生した又は発生すると予想した」で、どちらで書いても問題文の範囲に入ります(令和4年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1−2)。一方、令和6年度の問A・問Bは「施工中に発生が予想される」だけで、「発生した」が選べる言い方ではありません(令和6年度 同 問題1)。例文3の問題2のように実際に起きた遅れを書いた答案は、令和6年度の形へ移すときに、起きる前の書き方へ直す必要が出てきます。
例文3の4つの対策も、同じ例文の中で重ならないようにしてあります。問題1の側は「総合図でラックの位置を先に決めた」「工程表で作業順序を先行させた」で、決めた場所が図面と工程表に分かれています。問題2の側は「影響しない部分を切り分けて先に承認を受けた」「承認の期限を取り決めた」で、一方は製作を先に進める手、もう一方は承認の遅れそのものに期限を付ける手です。4つとも、関係者と何かを取り決める点では似ていますが、取り決めた中身(天井内の位置、作業の順序、承認の範囲、承認の期限)が1つずつ違います。
手元の例文が「〜したので工期内に完了した」で終わっている場合も、ここで確かめておきます。令和4年度の1−2が求めているのは、問題とその理由、そして「これらの問題を防止するために,あなたがとった対策」です(令和4年度 同 問題1−2)。結果の報告は問題文が求めた項目に入っていないので、例文3の対策は、何をしたかを書いた時点で文を終えています。工期内に終わったという一文を足すかどうかより、対策の中身が「防止するため」の手になっているかの方に、字数を使いたいところです。
形式が令和6年度でどう変わったかを年度ごとに追いたい方は、1級電気の経験記述の形式の変わり方で問題1の移り変わりを整理しています。
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【PR】経験記述の書き方を独学で仕上げる不安には、受験対策講座という選択肢もある
この記事の例文をなぞるだけでは、自分の現場の状況に置き換えたときに同じ形で書けるとは限りません。独学サポート事務局の受験対策講座という選択肢もあります。
- 対策4つを重複させずに組み立てる考え方を、独学で身につけたい
- 自分の現場の記録を、どこから経験記述に拾えばいいか迷っている
- 工程管理上の問題を、安全や品質の話と混ぜずに書き分けたい
「問題」と「理由」を1文ずつ分けて書く|3本の6組で理由に置いたもの
工程管理上の「問題」と「その理由」で何を分けて書けばいいのか。3本の例文では、問題の文には「どの電気の作業が、何のせいで、どう遅れるか」を書き、理由の文には「なぜこの現場だとそれが避けにくいのか」を書く、という分け方で統一しました。問題文は、問題とその理由を「2つあげ」と組にして求めているので(令和6年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1 問A・問B)、1組の中で2つの文が同じことを言い直していると、組の片方が空いているように読まれかねません。
6組を1つの表に並べました。表の文は例文を短く言い直したもので、どれも架空の作例です。右の列が、理由の側に何を置いたかの分類です。
| 例文と問題 | 問題の文(何がどう遅れるか) | 理由の文(なぜ避けにくいか) | 理由に置いたもの |
|---|---|---|---|
| 例文1 問題1 | 停電の時間帯に切替えが収まらず、送電が遅れる | 停電の日時はビル側が決め、工事側で増やせない | 運用側の制約(時間) |
| 例文1 問題2 | 機器の搬入が遅れ、据付けと配線がずれる | 共用部の使用時間が管理規則で決まっている | 運用側の制約(共用部) |
| 例文2 問題1 | 盤を人力で動かすため、据付けの期間が延びる | 既設の盤と低い天井で、運搬の機械が使えない | 据付空間(運搬の手段) |
| 例文2 問題2 | 特注寸法の盤が据付けの予定日に届かない | EPSの内寸を測るまで盤の寸法が決まらない | 据付空間が生む納期 |
| 例文3 問題1 | ラックが後回しになり、幹線の敷設が遅れる | 天井内の高さを先に取り付けた職種が使う | 他工程との取り合い |
| 例文3 問題2 | 製作承認が遅れ、据付けと試験が終わらない | 負荷の見直しで変圧器の容量が決まらない | 設計変更が生む納期 |
表を横に読むと、問題の文はどれも電気の作業(切替え・据付け・配線・敷設・試験)が主語で、「遅れる」「延びる」「届かない」「終わらない」で終わっています。理由の文の方は、どれも電気の作業そのものではなく、その作業を外から縛っているもの(ビルの運用、既設の盤と天井、EPSの寸法、他の職種、設計の変更)が主語です。右の列を例文ごとに縦に見ると、例文1は時間と共用部、例文2は運搬の手段と納期、例文3は取り合いと設計変更で、同じ例文の中の2組が同じ分類に入っている箇所は1つもありません。2組が別々の問題として読めるのは、文の書き方より先に、理由に置いたものの種類が分かれているからです。
この分け方が崩れやすいのは、理由の文が問題の文の前半を繰り返してしまう形です。例文1の題材で言えば、「停電時間が短く、切替え作業が遅れるおそれがある」という問題に「停電できる時間が短いため」という理由を付けた組がそれに当たります(架空の例です)。理由を読んでも、なぜこの現場では停電時間が短いのか、つまりビルが運用中で停電の日時をビル側が握っている、という事情が出てきません。問Aの「運用中でその制約を受ける」という場面の語に答えたかどうかは、まさにこの理由の文で読まれるところなので、例文1の問題1では、理由の文を丸ごと場面の事情に充て、遅れの広がり(受電の再開と各階の送電)は問題の文の側へ寄せました。
安全や品質の話が混ざって「工程管理上の問題」になっていないと読まれそう、という心配にも、この表の問題の列が目安になります。問題の文の終わりが「遅れる」「届かない」「間に合わない」ではなく、「感電するおそれがある」「仕上がりが損なわれる」で終わっていたら、それは工程ではなく安全や品質の問題の書き方です。もう1つの点検として、自分の答案の2組を、この表の右の列に書き込んでみてください。感電の心配や仕上がりの心配を理由にしていた組は、運用側の制約・据付空間・他工程・納期のどの分類にも入らず、欄が空いたままになります。2組とも同じ分類に入ったときは、2つ目の組が1つ目と同じ事情を言い直していないかを見直すところです。
自分の現場に置き換えるときに何から拾えばいいか、についても表の右列が使えます。自分の工事で「電気の外から作業を縛っていたもの」を、運用側の制約・据付空間・他工程・納期の4つの見出しで思い出してみると、理由の文の材料が先にそろいます。理由の材料が決まれば、それに縛られて遅れる電気の作業は、たいてい自分の記録の中にあります。
附帯工事・品質・安全を工程の問題に混ぜないための線引き
令和6年度の問題1の冒頭には、問A・問Bのどちらにもかかる一文があります。原本の改行に合わせて引用します。
問題1.次の問A又は問Bのどちらかを選択して答えなさい。
ただし,解答は電気工事に附帯する工事を主体に記述しないこと。
引用元は令和6年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1で、問A・問Bの本文より前に置かれています。問題文が求めているのは「主体に記述しないこと」までで、附帯する工事に触れた答案をどう扱うかは問題冊子に書かれていません。そのため、この記事では「触れたらどうなるか」ではなく、例文の中で附帯する工事をどの位置に置いたかを示します。
3本の例文から外したもの、理由の側にだけ残したものを並べると、次のとおりです。
- 例文1:受変電設備の更新に伴う機器の基礎や、電気室の内装の手直しは、問題にも理由にも書いていない。問題の主語は切替え・搬入・据付けといった電気の作業だけにした
- 例文2:EPSを通る給排水や空調の縦管は、EPSの寸法が小さくなる理由としてだけ登場させ、縦管の工事の遅れは問題にしていない
- 例文3:空調ダクトや配管の取付けは、ラックが後回しになる理由の側に置き、遅れる作業は幹線の敷設という電気の作業にした
- 3本とも:停電中の感電、搬入中の挟まれや転倒など、作業者の災害につながる話は1つも入れていない
他業者との輻輳は、品質の問題とかぶらないかという心配もあると思います。令和6年度は、問題2が品質管理の設問で、場面は「関連工事と輻輳する電気工事において」でした。問題2の文にも、問題1と同じ「ただし,解答は電気工事に附帯する工事を主体に記述しないこと。」が付いています(令和6年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題2)。例文3の問題1は他の設備との取り合いを扱っていますが、例文3の問題1で天井内の取り合いについて書いたのは、ラックの高さと経路がどの順番で決まるか、までです。ダクトや配管とラックの離れ、取付けの後にラックへ付く傷の話を足すと、そこからは品質の答案の材料になるので、例文3には足していません。品質の設問の出題位置を年度ごとに追うなら、1級電気の品質管理の経験記述で並べています。
安全の話は、令和6年度では問題3に別に立っていました。問題3は「電気工事に関する次の作業の中から2つ選び,」で始まり、選ぶ作業として高所作業車での作業・高圧停電作業・酸素欠乏危険場所での作業・建設機械による掘削作業が並んでいます(令和6年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題3)。例文1の停電の場面は、高圧停電作業の感電の心配に寄せて書けば問題3の材料にもなる題材です。だからこそ問題1の答案では停電を「時間の制約」としてだけ扱い、感電の話は問題3の側に取っておく、という分け方にしました。
安全管理の例文を同じように3本並べた記事もあります。令和7年度の形で墜落と飛来落下を書いたものなので、工程の答案と材料を取り合わないかを確かめるなら、1級電気の安全管理の例文3本と見比べてみてください。
工程管理の例文3本で確かめたこと
- 例文の形:令和6年度の問A・問Bで1本ずつ、令和4年度の問題1−2の形で1本。経験記述の問題1で工程管理が問われたのは令和元・3・4・6年度で、令和3年度だけ個数の指定が無かった
- 例文1(問A):運用中の事務所ビルの受変電設備の更新。停電日と共用部の使用時間という、運用中のビルが工事側から取り上げるものを理由に置いた
- 例文2(問B):既設の電気室とEPSへの盤の据付け。人力でしか動かせず期間が延びる遅れと、特注寸法で盤が届かない遅れに分け、納期は狭い空間の結果として書いた
- 例文3(令和4年度の形):新築の事務所ビル。問題1を「予想した」、問題2を「発生した」で書き分け、対策は「とった」で終えた
- 問題と理由の分け方:問題は電気の作業が主語で、理由は電気の外から作業を縛るものが主語。同じ例文の2組は、理由に置いたものの分類が重ならない
- 混ぜないための線引き:例文1は機器の基礎と電気室の内装を書かず、例文2は縦管をEPSの寸法が小さくなる理由に、例文3は空調ダクトと配管をラックが後回しになる理由に置いた。品質は令和6年度の問題2、安全は問題3の側に取っておいた
以上が1級電気工事施工管理技士の工程管理の例文3本のまとめです。
3本を書いてみて改めて感じたのは、工程管理の答案で差が付きやすいのは対策の数よりも理由の1文だということです。理由の文に「この現場だから避けにくい事情」が書けていれば、その事情を前もって外す手として、対策は自然に2つ出てきます。自分の答案を組むときは、例文の文面よりも、理由の文に何を置いたかの方を持ち帰ってもらえたらと思います。
工程管理の問題文そのものを4回分並べて読み比べたいときは1級電気の工程管理の経験記述の出題と問い方に、形式の変更点の全体像は1級電気の経験記述の変わり方にまとめています。
