電気工事士は電気工事士法にもとづき電気工事の作業に従事するための資格で、電験三種(第三種電気主任技術者)は電気事業法にもとづき、事業用電気工作物の「保安の監督」をする主任技術者になるための資格です。電験三種の免状だけでは、電気工事士法第3条が資格を求める電気工事の作業には従事できませんが、電気工事士試験の学科免除などの道が開けます。
- 電気工事士と電験三種、名前は似ているけど結局なにが違うの?
- 電験三種に受かったら、そのまま電気工事もできるようになる?
- 500kWとか5万ボルトとか、どの数字がどっちの資格の線なのか分からない
- 第一種電気工事士は、試験に受かっても免状がすぐ出ないって本当?
- 電験を持っていると、電気工事士の試験は全部免除になるって聞いたけど?
- 電験三種から、試験を受けずに第一種電気工事士を取る道があるって本当?
- 合格率はどれくらい違う?そもそも同じ物差しで比べていいの?
- 現場で手を動かし続けるか、ビル管理に移るか。どっちを先に取るべき?
上記の様な悩みを解決します。
電気工事士と電験三種は、どちらも電気の国家資格ですが、根拠になっている法律が別で、資格が受け持つ役割も条文の目的の段階で分かれています。「電験三種は上位資格」「電験があれば電気工事士は免除」と短くまとめられがちですが、免除されるのが学科試験だけであることや、免状の交付が条件になっていることは、一言では伝わりにくいところです。今回は法律・扱える設備の線・免状の取り方・試験の数字といった基本を押さえた上で、ひとつずつ条文で追いにくい「電験三種の免状から電気工事士の側で開く3つの道」を、条文の文言で並べて整理しました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、条文を読み慣れていない電気職の方にも追いやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
電気工事士は「工事の作業」、電験三種は「保安の監督」|根拠の法律が別
答えから言うと、電気工事士は電気工事士法、電験三種は電気事業法の資格で、前者は工事の作業をする人の資格、後者は保安の監督をする主任技術者になるための資格です。試験を実施している電気技術者試験センターも、FAQで「電気工事士は「工事・施工」、電気主任技術者は「保守・管理」が主な業務です。」と答えています(電気技術者試験センター「電気工事士の資格概要」・2026年10月12日確認)。
この線は、それぞれの法律の目的の段階で引かれています。電気工事士法 第1条は「この法律は、電気工事の作業に従事する者の資格及び義務を定め、もつて電気工事の欠陥による災害の発生の防止に寄与することを目的とする。」と書いています(電気工事士法 第1条)。対象は「作業に従事する者」です。
一方の電験三種は、電気事業法の主任技術者の制度の中にあります。同法 第43条第1項は「事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるため、主務省令で定めるところにより、主任技術者免状の交付を受けている者のうちから、主任技術者を選任しなければならない。」と定めています(電気事業法 第43条第1項)。義務を負うのは設置者で、免状を持つ人はその設置者に選任されて保安の監督を受け持つ、という組み立てです。この記事で引く条文は、いずれも2026年10月12日時点でe-Gov法令検索に掲載されている現行版です。
電験三種の免状だけでは、第3条の作業には従事できない
電気工事士法 第3条は、資格が無ければ従事してはならない電気工事の作業と、その作業に従事できる人を項ごとに定めています(第4項は、第1項にかかわらず従事できる人を定める項です)。挙げられているのは次の4者です。
- 第1項:第一種電気工事士(自家用電気工作物に係る電気工事の作業)
- 第2項:第一種電気工事士又は第二種電気工事士(一般用電気工作物等に係る電気工事の作業)
- 第3項:特種電気工事資格者(ネオン工事・非常用予備発電装置工事という特殊電気工事)
- 第4項:認定電気工事従事者(簡易電気工事)
ここに電気主任技術者免状は挙がっていません。電気工事士法の本則・附則の条文には「主任技術者」という語そのものが出てきません(e-Gov掲載の2025年6月1日施行版で確認)。確認した範囲は電気工事士法・同施行令・同施行規則と電気事業法・同施行規則(2026年10月12日時点)で、この範囲に、電験の免状を電気工事の作業に従事できる根拠として置いた規定は見当たりませんでした。ですから、電験三種の免状だけでは、電気工事士法第3条が資格を求める電気工事の作業には従事できない、というのが条文から読めることです。
この言い方に限定を付けているのには理由があります。電気工事士法でいう電気工事からは政令で定める軽微な工事が除かれ(電気工事士法 第2条第3項)、第3条の第1項から第3項でも、保安上支障がないと認められる作業で経済産業省令に定めるものは除かれています。こうした軽微な工事・軽微な作業は、もともと電気工事士の免状が無くても行える範囲です。どの作業がそれに当たるのかは、第二種電気工事士の作業範囲と軽微な作業の列挙に条文の順で並べてあります。
もう1つ区別しておきたいのが、第4項の認定電気工事従事者です。後で見るとおり、電験の免状を持つ人には認定電気工事従事者の認定証を得る道があります。ただ、その場合でも作業の根拠になるのは認定証(電気工事士法 第3条第4項)で、電験の免状そのものではありません。
施工管理の立場から見た「作業の資格」と「管理の資格」の分かれ方は、電気工事を決める2つの法律と資格の分担で整理しています。
扱える設備の線|電気工事士は「一般用電気工作物等」と「自家用電気工作物」、電験三種は5万ボルト未満
結論として、電気工事士の線は「一般用電気工作物等」と「自家用電気工作物」という電気工作物の区分で引かれ、電験三種の線は電圧5万ボルト未満という数字と発電所・蓄電所の出力で引かれています。物差しの種類そのものが違うので、同じ1本の目盛りの上に並べることはできません。
| 資格 | 根拠 | 条文が定める範囲 |
|---|---|---|
| 第二種電気工事士 | 電気工事士法 第3条第2項 | 一般用電気工作物等に係る電気工事の作業 |
| 第一種電気工事士 | 電気工事士法 第3条第1項・第2項 | 自家用電気工作物に係る電気工事の作業(第1項)と、一般用電気工作物等に係る電気工事の作業(第2項) |
| 第三種電気主任技術者 | 電気事業法施行規則 第56条の表 | 「電圧五万ボルト未満の事業用電気工作物(出力五千キロワット以上の発電所又は蓄電所を除く。)の工事、維持及び運用」(後ろの括弧書きは省略) |
第一種の行に第2項が入っているのは、第2項が「第一種電気工事士又は第二種電気工事士免状の交付を受けている者」と書いているからです。第一種を持っていれば、一般用電気工作物等の作業にも従事できます。電気技術者試験センターも、第一種電気工事士が従事できる作業を「一般用電気工作物等及び自家用電気工作物(最大電力500kW未満の需要設備に限る。)の電気工事の作業」、第二種電気工事士が従事できる作業を「一般用電気工作物等の電気工事の作業」と説明しています(電気技術者試験センター「電気工事士の資格概要」・2026年10月12日確認)。
「500kW未満」は、自家用電気工作物の定義から来ている
試験センターの説明に出てくる「最大電力500kW未満」は、第3条に書かれた数字ではありません。出どころは電気工事士法 第2条第2項の「自家用電気工作物」の定義で、ここで「最大電力五百キロワット以上の需要設備」が発電所・変電所などとともに定義から除かれています(電気工事士法 第2条第2項)。除かれた結果として、電気工事士法の自家用電気工作物に入る需要設備が500kW未満になる、という順番です。500kW以上の設備を誰がどう扱うのかは、この定義の外の話になります。定義の読み方の細部は第二種でできることの記事の自家用の節に譲ります。
電験三種の線は「5万ボルト未満」と「5千キロワット以上の発電所・蓄電所」
電験三種の範囲は電気事業法施行規則 第56条の表で、免状の種類ごとに決められています。第三種の行は上の表のとおりで、電圧が五万ボルト未満であることと、その中でも出力が五千キロワット以上の発電所又は蓄電所は外れること、の2点が線になります。試験センターの試験概要も、第三種の試験を「電圧5万ボルト未満の事業用電気工作物の主任技術者として必要な知識について、次の方法・内容により学科試験を行います。」と書き出しています(電気技術者試験センター「第三種電気主任技術者の試験概要」・2026年10月12日確認)。
注意したいのは、「一般用は電気工事士、事業用は電験」と対にして覚えると、ずれが出ることです。電気工事士法 第2条第1項は、「一般用電気工作物等」を、一般用電気工作物に小規模事業用電気工作物を加えたものとして定義しています。名前に「事業用」と付く小規模事業用電気工作物も、電気工事士法の側では一般用電気工作物等の作業として第二種の範囲に入ってくるわけです。2つの法律の区分は、片方の残りがもう片方、という関係にはなっていません。
設置者が主任技術者を選任しなければならない義務と、自家用電気工作物(小規模事業用電気工作物を除く)について、許可を受けて免状を持たない人を選任できる第43条第2項の定めは、求人の読み方と合わせて電験三種の転職で見落としやすい選任と免状交付の話にまとめています。電気主任技術者という資格そのものの全体像は電気主任技術者の解説が入口になります。
免状の取り方|第一種電気工事士だけ、試験合格に実務経験が加わる
先に答えると、第二種電気工事士は試験に合格すれば免状の交付を受けられ、第一種電気工事士は、試験で取る場合、試験合格に加えて実務の経験が要ります。電験三種は、電気事業法 第44条第2項で「電気主任技術者試験に合格した者」が免状の交付対象として独立の号に置かれています。
電気工事士の免状は都道府県知事が交付する
電気工事士免状は、第一種・第二種とも「都道府県知事が交付する。」と定められています(電気工事士法 第4条第2項)。第二種は第4条第4項で、第1号に「第二種電気工事士試験に合格した者」が挙げられています(電気工事士法 第4条第4項第1号)。
第一種は条件が1つ増えます。第4条第3項第1号は「第一種電気工事士試験に合格し、かつ、経済産業省令で定める電気に関する工事に関し経済産業省令で定める実務の経験を有する者」と書いており、その年数は施行規則で「法第四条第三項第一号の経済産業省令で定める実務の経験は、三年以上の従事とする。」と決められています(電気工事士法 第4条第3項第1号/同法施行規則 第2条の4第2項)。試験に受かっても、3年以上の実務経験がそろうまで第一種の免状は出ない、ということです。
ただし、この3年は合格した後から数え始めるものではありません。試験センターは、実務経験について「試験合格以前の実務経験も対象」と書き、合格の時点で第二種電気工事士として必要な実務経験を満たしていれば、すぐに都道府県知事へ申請できると案内しています(電気技術者試験センター「電気工事士の免状交付」・2026年10月12日確認)。
電験三種の免状は経済産業大臣が交付する
電験の側は、電気事業法 第44条第2項が「主任技術者免状は、次の各号のいずれかに該当する者に対し、経済産業大臣が交付する。」とし、第1号に「主任技術者免状の種類ごとに経済産業省令で定める学歴又は資格及び実務の経験を有する者」、第2号に「前項第一号から第三号までに掲げる種類の主任技術者免状にあつては、電気主任技術者試験に合格した者」を置いています(電気事業法 第44条第2項)。「実務の経験」という語が出てくるのは第1号だけで、試験合格者の第2号にはこの語がありません。試験センターの電験三種のページには、免状交付に実務経験が要るか要らないかを明記した文は見つかりませんでした(2026年10月12日確認)。ここで言えるのは、条文の号の組み立てがこうなっている、というところまでです。申請から交付までにかかる期間は、電験三種の合格から免状交付までの流れで扱っています。
電験三種は4科目の科目合格制
電験三種の試験は「理論」「電力」「機械」「法規」の4科目です(電気技術者試験センター「第三種電気主任技術者の試験概要」・2026年10月12日確認)。試験センターは「第一種と第二種試験は、一次試験と二次試験があり、第三種試験は、一次試験のみです。」とし(同「電気主任技術者の資格概要」・2026年10月12日確認)、科目合格については「試験は科目ごとに合否が決定され、4科目すべてに合格すれば第三種電気主任技術者試験が合格となります。また、4科目中、一部の科目だけ合格した場合は、「科目合格」となり、最初に合格した試験以降、その申請により最大で連続して5回まで当該科目の試験が免除されます。」と書いています(同「第三種電気主任技術者の試験概要」・2026年10月12日確認)。
次の電験三種は、令和8年度下期です。電気技術者試験センターの案内(2026年10月12日確認)では次の日程になっています。
- 申込:2026年11月9日10時〜11月26日17時
- CBT方式:2027年2月4日〜2月28日
- 筆記方式:2027年3月21日
電験三種の免状を持つと、電気工事士の側で開く道が3つある
結論から言うと、電験三種の免状の交付を受けた人には、①電気工事士試験の学科試験の免除、②実務5年以上で第一種電気工事士の免状につながる都道府県知事の認定、③実務3年以上または講習の修了で認定電気工事従事者の認定、という3つの道が条文に用意されています。試験センターも、電気主任技術者が「実務経験等だけで」取得できる電気工事関係の資格として、第一種電気工事士と認定電気工事従事者を挙げています(電気技術者試験センター「電気主任技術者の資格概要」・2026年10月12日確認)。ここが「電験があれば電気工事士は免除」という一言では片付かないところなので、3つを分けて見ていきます。
- 学科試験の免除:根拠は電気工事士法施行令 第9条。対象は免状の交付を受けている者で、免除されるのは学科試験
- 第一種電気工事士の認定:根拠は同法施行規則 第2条の5第1号。免状の交付を受けた後、実務5年以上。認定するのは都道府県知事
- 認定電気工事従事者の認定:根拠は同法施行規則 第4条の2第2項第3号。免状の交付を受けた後、実務3年以上か認定講習の修了。認定するのは経済産業大臣
道1|学科試験の免除(技能試験は残る)
電気工事士法施行令 第9条第1項は「電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第四十四条第一項第一号の第一種電気主任技術者免状、同項第二号の第二種電気主任技術者免状若しくは同項第三号の第三種電気主任技術者免状の交付を受けている者又は旧電気事業主任技術者資格検定規則(昭和七年逓信省令第五十四号)により電気事業主任技術者の資格を有する者に対しては、その申請により、第一種電気工事士試験の学科試験を免除する。」と定めています(電気工事士法施行令 第9条第1項)。第二種についても、同条第2項第4号に同じ免状の交付を受けている者が挙がっています(同 第9条第2項第4号)。
ここで押さえる点は2つです。まず、条文の対象が「免状の交付を受けている者」であることです。電験三種の4科目に合格しただけで、まだ免状の交付を受けていない段階は、この文言には当たりません。試験センターも、第一種の学科試験免除の必要書類として「電気主任技術者免状」の複写を挙げています(電気技術者試験センター「第一種電気工事士の試験概要」・2026年10月12日確認)。
次に、条文が免除するのは「学科試験」だという点です。技能試験については、試験センターが第一種の試験概要で、受けられるのは「学科試験の合格者又は学科試験免除者」だと書いています(同上)。学科を免除された人も、技能試験は受けることになります。
道2|実務5年以上で、第一種電気工事士の認定
第一種電気工事士の免状は、試験ルートとは別に、第4条第3項第2号の「経済産業省令で定めるところにより、前号に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有していると都道府県知事が認定した者」としても交付を受けられます(電気工事士法 第4条第3項第2号)。その認定の基準の1つが、電気主任技術者免状を持つ人です。施行規則 第2条の5第1号は、電気主任技術者免状の交付を受けている者で「電気主任技術者免状の交付を受けた後又は電気事業主任技術者となつた後、電気工作物の工事、維持又は運用に関する実務に五年以上従事していたもの」を挙げています(電気工事士法施行規則 第2条の5第1号)。
試験センターの言い方では「電気主任技術者免状の取得者で、免状取得後5年以上電気工作物の工事、維持または運用に関する実務に従事していた方」です(電気技術者試験センター「電気工事士の免状交付」・2026年10月12日確認)。5年の数え始めは免状の交付を受けた後で、試験に合格した日ではありません。第一種そのものの試験や仕事については第一種電気工事士の解説にまとめています。
道3|実務3年以上か講習で、認定電気工事従事者
3つ目は、自家用電気工作物のうち簡易電気工事に限って作業できる認定電気工事従事者です。認定の基準を定めた施行規則 第4条の2第2項は、第3号に「電気主任技術者免状の交付を受けている者又は電気事業主任技術者であつて、電気主任技術者免状の交付を受けた後又は電気事業主任技術者となつた後、電気工作物の工事、維持若しくは運用に関し三年以上の実務の経験を有し、又は認定電気工事従事者認定講習の課程を修了したもの」を挙げています(電気工事士法施行規則 第4条の2第2項第3号)。こちらも起算点は免状の交付を受けた後で、実務経験の代わりに認定講習の修了でもよい、という二択になっています。
認定するのは経済産業大臣で、認定証は「簡易電気工事について必要な知識及び技能を有していると経済産業大臣が認定した者でなければ、その交付を受けることができない。」とされています(電気工事士法 第4条の2第4項)。申請書の提出先は産業保安監督部長です(同法施行規則 第5条の2第2項)。道2の第一種の認定が都道府県知事なのに対して、こちらは国の側の手続きになります。
作業できる範囲の簡易電気工事は「電圧六百ボルト以下で使用する自家用電気工作物に係る電気工事(電線路に係るものを除く。)」です(電気工事士法施行規則 第2条の3)。電線路の工事は含まれません。第二種電気工事士から同じ認定証を目指す道もあり、その比較は第二種でできることと自家用の例外の側で扱っています。
試験の数字|令和7年度の結果で並べる
先に答えると、令和7年度の合計で見ると、電験三種の合格率(算出値)は約13.0%、第一種電気工事士の技能試験は約58.1%、第二種電気工事士の技能試験は約71.8%です。ただし3つの数字は数えている段階が違うので、この並びをそのまま難易度の順位として読むことはできません。
| 試験(令和7年度の合計) | 数えている段階 | 受験者 | 合格者 | 合格率(算出値) |
|---|---|---|---|---|
| 電験三種 | 4科目すべての合格 | 48,942人 | 6,365人 | 約13.0% |
| 第一種電気工事士 技能試験 | 学科合格者・学科免除者が受けた技能試験 | 28,403人 | 16,509人 | 約58.1% |
| 第二種電気工事士 技能試験 | 学科合格者・学科免除者が受けた技能試験 | 99,610人 | 71,471人 | 約71.8% |
出典は電気技術者試験センターの「試験結果と推移」の各表(第三種電気主任技術者=更新:令和8年4月、第一種電気工事士=更新:令和8年7月、第二種電気工事士=更新:令和8年8月・いずれも2026年10月12日確認)で、合格率の列は表に無いため、合格者を受験者で割って計算しています。
数字の中身の違いを確認しておきます。電験三種の受験者は、試験センターの注で「注)受験者数は、1科目でも出席した方の合計」とされていて、合格者は4科目すべてに合格した人です(同「第三種電気主任技術者試験の試験結果と推移」)。試験センターの発表(2026年4月17日)では、令和7年度上期の合格率が12.9%、下期が13.1%とされています。約13.0%は上期と下期を足した合計の受験者48,942人と合格者6,365人から計算した値です。同じ令和7年度の合計で、4科目合格に届かず一部の科目だけ合格した科目合格者は13,539人います。
電気工事士の技能試験の数字は、学科試験に合格した人と学科免除者が受けた技能試験の結果で、学科から受けた全員が最後まで通った割合ではありません。学科のほうを同じ令和7年度の計で計算すると、第一種は受験者36,154人のうち合格者20,735人で約57.4%、第二種は受験者139,087人のうち合格者78,711人で約56.6%です(いずれも算出値)。
令和8年度は、電気工事士の上期の結果がすでに表に入っています。第一種の技能試験は受験者12,514人・合格者7,019人、第二種の技能試験は受験者58,393人・合格者42,875人で、第二種の技能の合格率を計算すると約73.4%です(算出値)。電験三種の令和8年度上期は、試験センターの推移表とプレス発表には、2026年10月12日時点で数字がまだ載っていません。試験センターの変更通知(令和8年9月1日付)では、結果通知書の発送が10月19日(月)とされています。
僕は、科目合格制の試験と、学科と技能の2段の試験を、1本の合格率で上下に並べることにはあまり意味が無いと考えています。比べるなら、自分がどの段階で止まりそうかを試験ごとに見るほうが役に立ちます。それぞれの試験の中身は電験三種の試験の解説と第二種電気工事士の試験の解説で確認できます。
どちらを先に取るか|仕事の行き先で決める
答えは、次に就きたい仕事が「工事の作業」か「保安の監督」かで決まる、というのが僕の考えです。2つの資格は条文の目的からして受け持つ役割が違うので、どちらが上という順番ではなく、行き先に近いほうから取るのが筋だと考えています。
- 現場で手を動かす仕事を続けるなら:第二種電気工事士から入り、自家用電気工作物の作業まで広げたくなった時点で第一種へ進む順番が、第3条の範囲の広がり方にそのまま沿っています
- 保安・ビル管理の仕事に移るなら:電験三種から入るのが近道だと考えています。前の章の3つの道は、それぞれの条件(学科免除は免状の交付、あとの2つは実務5年以上/実務3年以上か講習)を満たせば工事の側にも開きます
- 両方を視野に入れているなら:電験三種の免状を先に受けておくと、第一種・第二種のどちらの電気工事士試験でも学科試験の免除を申請できる順番になります(電気工事士法施行令 第9条第1項・第2項第4号)
3つ目は事実として押さえておきたい点です。電験を先に取ってから電気工事士を受ける順番なら、条文上、学科の免除が効きます。ただし免除の対象は免状の交付を受けている者で、試験の合格だけでは足りません。合格から交付の申請までを、受けたい電気工事士試験の申込に間に合うように組むことになります。
第二種電気工事士を持って現場にいる人が電験三種へ進む場合は、4科目を科目合格制で積み上げていく試験の形が効いてきます。仕事と並行しながら、科目を数回に分けて取りにいく計画を立てやすい試験だと僕は考えています。
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【PR】電気系の資格を次に何から取るか迷っている方へ
電気工事士と電験三種のどちらを先にするかは、行き先の仕事で変わります。電験三種側から学ぶ道を考えているなら、能センの電気系資格の講座がどの範囲を扱っているかは、公式ページで確かめられます。
- 第二種電気工事士を持っていて、次の資格を選びかねている
- 現場の作業からビル管理や保安の仕事へ移ることも考えている
- 電験三種の科目をひとりで進める自信がまだ持てない
電気工事士と電験三種の違いに関する情報まとめ
- 法律と役割:電気工事士は電気工事士法の「作業に従事する者」の資格、電験三種は電気事業法の保安の監督をする主任技術者の資格。電験の免状だけでは第3条が資格を求める作業には従事できない
- 扱える設備の線:電気工事士は一般用電気工作物等と自家用電気工作物の区分、電験三種は電圧五万ボルト未満(出力五千キロワット以上の発電所又は蓄電所を除く)。500kWは自家用電気工作物の定義から来る数字
- 免状の取り方:第二種は試験合格、第一種は試験で取る場合、試験合格と3年以上の実務経験(合格前の実務も対象)。電験三種は第44条第2項第2号の試験合格者の号
- 電験から開く3つの道:学科試験の免除、免状交付後5年以上の実務で第一種の認定、免状交付後3年以上の実務か講習で認定電気工事従事者
- 試験の数字:令和7年度合計で電験三種約13.0%、第一種技能約58.1%、第二種技能約71.8%(いずれも算出値)。数えている段階が違うので順位にはしない
- どちらを先に:工事の作業を続けるなら第二種から、保安・ビル管理へ移るなら電験三種から。両方なら電験の免状を先に受けると学科免除が効く
以上が電気工事士と電験三種の違いに関する情報のまとめです。
2つの資格は、片方がもう片方の上にあるのではなく、別の法律で別の役割を受け持っています。次の一手としては、まず自分がこの先「作業する側」と「監督する側」のどちらにいたいかを決め、そのうえで電験三種の令和8年度下期(申込は2026年11月9日から)を受けるか、電気工事士の試験日程を確認するかを選ぶのが、遠回りの少ない順番だと考えています。電験の免状を取った後の働き方は電験三種の求人と免状交付までの段取り、電気工事士を軸に進む場合は第二種電気工事士の始め方から読み進めてみてください。
