- 電験三種を取れば転職で本当に有利になるのか、いまひとつ実感がない
- 合格発表のあと、免状の交付までおよそ2ヶ月かかると聞いた。その間は動けないのか
- 求人票の「電験三種必須」と「歓迎」は、どれくらい違うものなのか
- 取っただけで電気主任技術者を名乗れるのか、それとも手続きが要るのか
- 実務経験ゼロで受かった。それでも応募できる求人はあるのか
- 年収はどのくらい上がるのか。具体的な数字が知りたい
- 資格手当はいくら付くのが普通なのか
- 外部委託承認、保安管理業務という言葉が出てくるが、あれはどういう働き方なのか
- ビルメンに行くべきか、プラントに行くべきかで止まっている
- 求人数が多い、人手不足だというのは本当なのか
上記の様な悩みを解決します。
電験三種は、電気事業法が設置者に課している主任技術者の選任義務と、その席に座れる人の範囲を決めている資格です。求人票に並ぶ「必須」という言葉も、会社の好みから出てきたというより、この義務の側から出てきています。多くの解説記事は「電験三種を取れば転職で有利」で終わっていますが、本記事では合格後に免状の交付を待つおよそ2ヶ月のあいだ、転職活動をどう進めておくべきかまで踏み込みます。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、条文を読み慣れていない方にも追いやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
求人票の「電験三種必須」は、電気事業法の選任義務が背景にある
先に向きを揃えておきます。求人票の資格欄に電験三種が並んでいるとき、その募集は「資格を持っている人は有利だから集めたい」という話から出ているとは限りません。設置者の側に、置かないと法令の義務を果たせないという事情があります。求人の出どころを法令の側から見ると、読み方が変わります。
義務そのものは電気事業法にあります。同法 第43条第1項は「事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるため、主務省令で定めるところにより、主任技術者免状の交付を受けている者のうちから、主任技術者を選任しなければならない。」と定めています(電気事業法 第43条第1項/e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/339AC0000000170 ・2026年9月7日確認)。読みどころは2つあります。1つは「選任しなければならない」という語尾で、設置者が選べる規定ではないこと。もう1つは「主任技術者免状の交付を受けている者のうちから」という限定で、母集団があらかじめ絞られていることです。
もっとも、この母集団には例外の定めも置かれています。同条第2項は「自家用電気工作物(小規模事業用電気工作物を除く。)を設置する者は、前項の規定にかかわらず、主務大臣の許可を受けて、主任技術者免状の交付を受けていない者を主任技術者として選任することができる。」としています(同 第43条第2項/同URL・2026年9月7日確認)。許可という手続きを挟めば、免状を持たない人を選任できる場合があるということです。求人票の「必須」と「歓迎」がどういう社内事情で書き分けられているのかは、募集を出した会社にしか分かりません。ただ、免状の有無で扱いが分かれる制度が背景にあること自体は、条文の側から確認できます。
次に、第三種でどこまで監督できるのかを見ておきます。範囲を定めているのは電気事業法施行規則 第56条で、柱書は「法第四十四条第五項の経済産業省令で定める事業用電気工作物の工事、維持及び運用の範囲は、次の表の上欄に掲げる主任技術者免状の種類に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げるとおりとする。」と書いています(電気事業法施行規則 第56条/e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407M50000400077 ・2026年9月7日確認)。免状の種類ごとに表で線が引かれている、という構造です。
その表の三の項に置かれているのが第三種の行で、「三 第三種電気主任技術者免状/電圧五万ボルト未満の事業用電気工作物(出力五千キロワット以上の発電所又は蓄電所を除く。)の工事、維持及び運用(四又は六に掲げるものを除く。)」と書かれています(同 第56条の表 三の項/同URL・2026年9月7日確認)。電圧に五万ボルト未満という上限があり、そこから出力五千キロワット以上の発電所と蓄電所が抜かれている。求人を見るときは、この2つの数字で仕分けができます。
上の等級と比べると線の位置がはっきりします。同じ表の二の項は「二 第二種電気主任技術者免状/電圧十七万ボルト未満の事業用電気工作物の工事、維持及び運用(四又は六に掲げるものを除く。)」、一の項は「一 第一種電気主任技術者免状/事業用電気工作物の工事、維持及び運用(四又は六に掲げるものを除く。)」です(同 第56条の表 一・二の項/同URL・2026年9月7日確認)。三種は五万ボルト未満、二種は十七万ボルト未満、一種は電圧の限定なし。上の等級を取ると別の仕事が増えるというより、監督できる電圧の帯が上に伸びる、と読むほうが条文には近いと思います。なお三つの項に共通して付いている「四又は六に掲げるもの」という括弧書きは、ダム水路とボイラー・タービンの主任技術者が受け持つ範囲を外すためのものです。
電気工事士とどちらが実務で評価されるのか、という比べ方をよく見かけます。これについては、比較の根拠になる公的な資料をこの記事の調査では見つけられませんでした。ここで扱えるのは、電気事業法が求めているのは免状の交付を受けている者からの選任である、という一点だけです。資格そのものの位置づけは、こちらで整理しています。

- 設置者は主任技術者免状の交付を受けている者のうちから主任技術者を選任しなければならない(電気事業法 第43条第1項)
- 自家用電気工作物では、主務大臣の許可を受けて免状を持たない者を選任できる定めもある(同 第43条第2項)
- 監督できる範囲を決めているのは施行規則 第56条の表で、免状の種類ごとに線が引かれている
- 第三種は電圧五万ボルト未満、ただし出力五千キロワット以上の発電所と蓄電所は除かれる(同 第56条の表 三の項)
- 第二種は電圧十七万ボルト未満、第一種は電圧の限定がない(同 第56条の表 一・二の項)
合格した日から働けるわけではない|免状交付までおよそ2ヶ月
ここが、転職のスケジュールにいちばん効いてくるところです。合格発表の日と、主任技術者として選任される日は同じではありません。3つの一次資料を並べると、そのあいだに何が挟まっているのかが見えてきます。
1つ目は免状の交付を定めた条文です。電気事業法 第44条第2項は「主任技術者免状は、次の各号のいずれかに該当する者に対し、経済産業大臣が交付する。」とし、その第二号に「二 前項第一号から第三号までに掲げる種類の主任技術者免状にあつては、電気主任技術者試験に合格した者」を挙げています(電気事業法 第44条第2項/e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/339AC0000000170 ・2026年9月7日確認)。試験に合格した者は、免状の交付を受けられる立場になる。交付する主体は経済産業大臣である。条文はそう書いています。
2つ目は、その交付事務が実際にどこで動いているかです。同法 第44条の二第1項は「経済産業大臣は、政令で定めるところにより、主任技術者免状(前条第一項第一号から第三号までに掲げる種類のものに限る。)に関する事務(…以下「免状交付事務」という。)の全部又は一部を次条第二項の指定試験機関に委託することができる。」としています(同 第44条の二第1項/同URL・2026年9月7日確認)。委託を受けた側の説明が、電気技術者試験センターのページにあります。「電気主任技術者試験に合格された方に対する免状交付事務は、経済産業大臣から委託を受け当試験センターが行っております。免状交付申請書の提出や交付手数料の払い込みは、当試験センター宛となります。試験に合格された方には、当試験センターから郵送する試験結果通知書に、免状交付申請書、免状交付申請要領等を同封いたしますので、免状交付申請書に必要事項を記入のうえ、当試験センターに提出してください。免状が交付されるまでの所要期間は、申請からおよそ2ヶ月となります。」(一般財団法人 電気技術者試験センター「電気主任技術者の免状交付」 https://www.shiken.or.jp/chief/license/ ・2026年9月7日確認)。申請書は結果通知書に同封されて届き、そこから交付までおよそ2ヶ月。合格イコール免状ではなく、申請という行為と待ち時間が挟まります。
3つ目が選任の側です。経済産業省 中国四国産業保安監督部は「電気主任技術者としては、電気主任技術者免状の交付を受けている者であって、当該事業場に勤務し、自家用電気工作物の工事、維持及び運用の保安の監督のできる地位にあるものを選任することが原則となっています。」と説明しています(経済産業省 中国四国産業保安監督部「電気主任技術者選任の方法」 https://www.safety-chugoku.meti.go.jp/electric/appointment-el.html ・2026年9月7日確認)。免状の交付を受けていること、その事業場に勤務していること、保安の監督ができる地位にあること。3つが並んでいます。
この3つを並べて読むと、こうなります。選任の入口は「免状の交付を受けている者」であり(第43条第1項)、免状は試験の合格者に対して交付されるもので(第44条第2項)、その交付には申請からおよそ2ヶ月かかる(試験センター)。合格した瞬間に選任の要件が揃うわけではない、と読めるのはこの並びからです。当サイトの読みではなく、3本の資料がそれぞれ書いていることを重ねただけの話になります。手数料の額や申請の細かい様式は今回確認していないので、実際の手続きは試験センターの案内で確かめてください。
実務経験がゼロでも応募できるのかという問いについては、この記事で確認した条文の範囲では断定できません。選任の原則として挙げられているのは、上に引いたとおり免状・勤務・地位の3点です。実務経験の数え方そのものはこちらにまとめています。

- 免状は経済産業大臣が交付し、試験に合格した者が交付を受けられる者として挙げられている(電気事業法 第44条第2項)
- 交付事務は指定試験機関に委託でき(同 第44条の二第1項)、実際に電気技術者試験センターが行っている
- 申請書は試験結果通知書に同封され、交付までの所要期間は申請からおよそ2ヶ月(同センター)
- 選任の原則は、免状の交付を受け、当該事業場に勤務し、保安の監督のできる地位にある者(中国四国産業保安監督部)
- 合格発表から選任までには、申請と交付待ちという時間が挟まる
主任技術者を置かない事業場がある|外部委託承認という仕組み
求人を眺めていると、電気主任技術者の募集がビルや工場そのものではなく、保安管理を請け負う会社から出ていることに気づくと思います。その背景にある制度が、施行規則の側に用意されています。ここは条文の数字がそのまま求人の景色とつながる場所なので、少し丁寧に見ます。
根拠は電気事業法施行規則 第52条第2項です。条文は「次の各号のいずれかに掲げる自家用電気工作物に係る当該各号に定める事業場のうち、当該自家用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督に係る業務(以下「保安管理業務」という。)を委託する契約…が次条に規定する要件に該当する者と締結されているものであって、保安上支障がないものとして経済産業大臣…の承認を受けたもの…については、同項の規定にかかわらず、電気主任技術者を選任しないことができる。」と定めています(電気事業法施行規則 第52条第2項/e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407M50000400077 ・2026年9月7日確認)。冒頭の「次の各号のいずれかに掲げる」を落として読まないでください。どんな自家用電気工作物でも選任が要らなくなるという話ではなく、各号に並べられたものに限った定めです。
では、その各号に何が並んでいるのか。第四号は「四 電圧七千ボルト以下で受電する需要設備 前項の表第三号又は第六号の事業場」です(同 第52条第2項第四号/同URL・2026年9月7日確認)。第一号は「一 出力五千キロワット未満の太陽電池発電所又は蓄電所であって電圧七千ボルト以下で連系等をするもの 前項の表第三号又は第六号の事業場」(同 第一号)、第二号は「二 出力二千キロワット未満の発電所(水力発電所、火力発電所及び風力発電所に限る。)であって電圧七千ボルト以下で連系等をするもの 前項の表第一号、第二号又は第六号の事業場」(同 第二号)、第三号は「三 出力千キロワット未満の発電所(前二号に掲げるものを除く。)であって電圧七千ボルト以下で連系等をするもの 前項の表第三号又は第六号の事業場」(同 第三号)、第五号は「五 電圧六百ボルト以下の配電線路 当該配電線路を管理する事業場」(同 第五号)と続きます(いずれも同URL・2026年9月7日確認)。
数字を横に並べると、境目が見えてきます。受電が七千ボルト以下という線が、需要設備にも各発電所の連系等にも共通で引かれていて、そこに出力の線が種類ごとに重ねられている。太陽電池発電所と蓄電所は五千キロワット未満、水力・火力・風力は二千キロワット未満、それ以外の発電所は千キロワット未満です。配電線路だけは電圧六百ボルト以下という別の線になっています(いずれも前掲 電気事業法施行規則 第52条第2項各号/https://laws.e-gov.go.jp/law/407M50000400077 ・2026年9月7日確認)。なお、各号の後ろに付いている事業場の指定は号ごとに揃っていません。第一号・第三号・第四号が「前項の表第三号又は第六号の事業場」であるのに対し、第二号だけは「前項の表第一号、第二号又は第六号の事業場」で、第五号は「当該配電線路を管理する事業場」です。自分の勤務先や応募先が該当するかを見るときは、号ごとに読む必要があります。
ここから先は当サイトの読みとして書きます。条文が定めているのは「選任しないことができる」場合であって、求人がどの業種に集まるかを説明した規定ではありません。ただ、承認を受けた委託契約があれば自前で選任しなくてよい事業場が制度として用意されている以上、その受け皿になる側に人の需要が生まれる構造にはなっています。求人を見るときに、募集元が設備を持っている会社なのか、保安管理業務を受託する会社なのかを分けて見ると、仕事の中身の違いが手前で分かります。実際の運用の言葉としては、中国四国産業保安監督部のページが選任の原則を先に置いたうえで委託の方法を説明しています(前掲・2026年9月7日確認)。
独立して保安管理をやる道についても、ここで線を引いておきます。条文は委託先を「次条に規定する要件に該当する者」と指しているだけで、その要件の中身は今回確認していません。収入や案件の数についても一次資料を持っていないので、この記事では書きません。書けるのは、承認を受けた委託契約という受け皿が制度上あるところまでです。働き方の中身を先に知りたいなら、こちらが詳しいです。

- 施行規則 第52条第2項は、承認を受けた委託契約がある場合に電気主任技術者を選任しないことができると定めている
- 対象は各号に掲げられたものに限られ、第四号は電圧七千ボルト以下で受電する需要設備
- 発電所側は太陽電池・蓄電所が五千キロワット未満、水力・火力・風力が二千キロワット未満、その他が千キロワット未満
- 第五号は電圧六百ボルト以下の配電線路で、電圧の線だけが引かれている
- 求人が受託会社に集まる理由をこの条文が説明しているわけではない(そこは当サイトの読み)
「電験三種の平均年収」という数字には、出どころがない
年収の話に入ります。結論を先に置くと、電気主任技術者だけを集計した公的な統計を、この記事の調査では見つけられませんでした。数字が無いのではなく、その職業だけを数えた数字が無い、という意味です。
厚生労働省の職業情報提供サイト job tag を当たると、電気主任技術者という単独の職業ページは存在せず、最も近いのは関連資格として電気主任技術者を挙げている「電気技術者」のページでした(厚生労働省 job tag「電気技術者-職業詳細」 https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/272 ・2026年9月7日確認)。このページの統計データ欄には「賃金(年収) 全国 703.9 万円」とあり、出典は令和7年賃金構造基本統計調査の結果を加工して作成したものと記されています(同ページ・2026年9月7日確認)。ここで大事なのは、同じページに公表元自身の断りが置かれていることです。「※「統計データ」は、必ずしもその職業のみの統計データを表しているものではありません」(同ページの注記・2026年9月7日確認)。703.9万円は「電気技術者」という分類の値であって、電験三種を持つ人の年収として読める数字ではありません。
分類の広さは、ページの前書きからも読み取れます。同ページは統計データ欄の前に「電気技術者が属する主な職業分類(厚生労働省編職業分類の「電気・電子・電気通信開発技術者(通信ネットワークを除く)」等)に対応する統計情報です。」と置いています(同ページ・2026年9月7日確認)。開発技術者を含む分類の数字だということです。同じ欄には「年齢 全国 42.1 歳」「労働時間 全国 159 時間」(いずれも令和7年賃金構造基本統計調査)、「求人賃金(月額) 全国 31.5 万円」「有効求人倍率 全国 2.43」(いずれも令和7年度)、「就業者数 全国 305,190 人」(令和2年国勢調査)が並びます(同ページ・2026年9月7日確認)。いずれも「電気技術者」の値であり、上の注記が同じページに付いたままの数字です。年度のラベルも落とさないでください。同じページの月別の表には別の月の数字が並んでいて、混ざると意味が変わります。
そのうえで、資格手当がいくら付くのが普通か、という問いへの答えを持ち合わせていないことも書いておきます。相場を示した一次資料を確認できていないので、この記事では額を書きません。求人数についても同じです。上に引いた有効求人倍率は「電気技術者」の令和7年度の値で、電験三種の求人がどれだけあるかを表した数字ではありません。
僕がここで言いたいのは、数字を出すな、ということではありません。数字を見たときに、それが誰を数えた数字なのかを一緒に確かめる癖をつけたほうが、面接や条件交渉で足を取られにくいということです。年収の数字が並んでいるページを開いたら、その値の出典と、対象になっている職業分類の名前を先に探してみてください。
- 電気主任技術者だけを集計した公的な職業ページは見つからなかった
- job tag にあるのは関連資格として電気主任技術者を挙げる「電気技術者」のページ
- 同ページの年収703.9万円は「電気技術者」の値で、令和7年賃金構造基本統計調査を加工したもの
- 同じページに「必ずしもその職業のみの統計データを表しているものではありません」という注記がある
- 資格手当の相場と電験三種の求人数については、一次資料が無いのでこの記事では扱わない
直近4回の合格率|令和6年度と令和7年度で数字が動いている
有利かどうかの判断材料として、直近の合格率を実施回ごとに並べておきます。上期と下期が別の試験として集計されている点に注意してください。
令和6年度上期は「受験者は 25,416 人(CBT 方式 7,633 人、筆記方式 17,783 人)で、受験率は 77.8%でした。4科目合格者は 4,064 人で、合格率は 16.0%でした。」と公表されています(電気技術者試験センター「令和6年度第三種電気主任技術者上期試験の結果について」令和6年9月30日付 https://www.shiken.or.jp/ecee-overview/news/upload/159R6denkenT01kekka.pdf ・2026年9月7日確認)。令和6年度下期は、令和7年度上期の発表資料に載っている推移表に「令和 6 年度下期 24,547 4,117 16.8」と記載されています(同センター「令和7年度第三種電気主任技術者上期試験の結果について」令和7年10月14日付の推移表 https://www.shiken.or.jp/ecee-overview/news/upload/160R7denkenT01kekka.pdf ・2026年9月7日確認)。左から受験者数、合格者数、合格率です。
令和7年度に入ると数字が動きます。上期は「受験者は 24,766 人(CBT 方式 9,503 人、筆記方式 15,263 人)で、受験率は 76.6%でした。4科目合格者は 3,201 人で、合格率は 12.9%でした。」(同センター 令和7年度上期の発表 https://www.shiken.or.jp/ecee-overview/news/upload/160R7denkenT01kekka.pdf ・2026年9月7日確認)、下期は「受験者は 24,176 人(CBT 方式 9,516 人、筆記方式 14,660 人)で、受験率は 70.7%でした。4科目合格者は 3,164 人で、合格率は 13.1%でした。」(同センター「令和7年度第三種電気主任技術者下期試験の結果について」令和8年4月17日付 https://www.shiken.or.jp/ecee-overview/press/upload/011R7denkenT02kekka.pdf ・2026年9月7日確認)です。
4回を並べると16.0%、16.8%、12.9%、13.1%となり、令和7年度の2回は令和6年度の2回より低い位置にあります。ただし、当サイトが確認したのはこの4回分だけです。4回で難化したと言い切ることはできませんし、この記事ではその判断をしません。転職の材料として使うなら、合格率の上下より、上の章で見た第56条の表のほうが効きます。二種・一種まで取らないと頭打ちなのかという問いも、報酬の話ではなく監督できる電圧の帯が変わる話として見ると、自分の行き先に必要かどうかを判断しやすくなります。学習量の目安はこちらで扱っています。

- 令和6年度上期は受験者25,416人、4科目合格者4,064人、合格率16.0%(電気技術者試験センター 令和6年9月30日付の発表資料)
- 令和6年度下期は受験者24,547人、合格者4,117人、合格率16.8%(同センター 令和7年10月14日付の発表資料の推移表)
- 令和7年度上期は受験者24,766人、4科目合格者3,201人、合格率12.9%(同センター 令和7年10月14日付の発表資料)
- 令和7年度下期は受験者24,176人、4科目合格者3,164人、合格率13.1%(同センター 令和8年4月17日付の発表資料)
- 確認したのは4回分だけなので、傾向として一般化できるとは考えていない
免状の交付を待つあいだに、条件を並べておく
最後に、動く順番の話をします。ここまでで分かったことを時間軸に置き直すと、合格発表のあとには免状の交付申請と、およそ2ヶ月の待ち時間があります。この期間は何もできない空白ではなく、条件を並べて比べるのに使える時間です。
やることは3つに整理できます。1つ目は、応募先が自前で主任技術者を選任している事業場なのか、保安管理業務の委託を受ける側なのかを分けること。2つ目は、その事業場の電圧と出力が第三種の範囲に収まっているかを見ること。第56条の表の五万ボルト未満という線と、出力五千キロワット以上の発電所・蓄電所という除外は、求人票の設備の説明から当たりを付けられます。3つ目が、選任の原則として挙げられていた勤務と地位の条件を、実際の配属で満たせるのかを面接で確かめることです。科目合格の状態で動くべきかという問いについては、科目合格の扱いを今回確認していないので、この記事では踏み込みません。
施工管理の側から保安の側へ動けるのかという問いも、選任の原則の3点に落とせます。選任の原則として挙げられているのは免状の交付を受けていること、当該事業場に勤務していること、保安の監督のできる地位にあることの3つで、前職が施工管理かどうかを条件にした記載は今回確認した資料には出てきませんでした(前掲 中国四国産業保安監督部「電気主任技術者選任の方法」・2026年9月7日確認)。移れるかどうかを一般論で断言できる材料は持っていないので、配属先でこの3つを満たせるのかを面接で確かめる、という形に置き換えて考えるのが実際的だと思います。
転職エージェントの選び方についても、電気系に強い会社を名指しできる材料は持っていません。この記事で言えるのは、選任の要件と交付のスケジュールを先に自分の中で固めておくと、どのサービスを使うにせよ、条件の聞き方が具体的になるということです。
免状交付までのおよそ2ヶ月という期間や、外部委託契約が結ばれている事業場では主任技術者として選任されないケースがあることを踏まえると、応募のタイミングや求人の選び方をどう組み立てるかが実務上の課題になります。聞き方を固めたうえで、どのサービスを使うかを選ぶという順番です。当サイトには、施工管理の人が使う前提で転職サービス3社を状況別に整理した記事があります。電気主任技術者の求人に特化した比較ではありませんが、条件の並べ方の型としては流用できます。

- 交付待ちのおよそ2ヶ月は、条件を比べる時間として使える
- 募集元が設備を持つ側か、保安管理業務を受託する側かをまず分ける
- 事業場の電圧と出力が第三種の範囲に収まるかを、第56条の表の線で当たる
- 勤務と保安の監督のできる地位という選任の原則を、配属の話として面接で確かめる
- 施工管理から保安の側へ動けるかも、前職ではなくこの3点を満たせるかで考える
- 科目合格の扱いとエージェントの優劣は、一次資料が無いのでここでは判断しない
電験三種の求人・転職に関する情報まとめ
- 求人の背景:設置者は免状の交付を受けている者のうちから主任技術者を選任する義務があり、第三種の範囲は電圧五万ボルト未満(電気事業法 第43条第1項/施行規則 第56条)
- 交付までの空白:免状は経済産業大臣が交付し、事務を受託した試験センターは交付までおよそ2ヶ月と案内している
- 外部委託承認:承認を受けた委託契約があれば選任しないことができる事業場があり、受電七千ボルト以下などの線が号ごとに引かれている(電気事業法施行規則 第52条第2項各号)
- 年収の数字:公的統計に電気主任技術者単独の集計は見つからず、厚生労働省 job tag の703.9万円は「電気技術者」の値で注記付き
- 直近4回の合格率:16.0%、16.8%、12.9%、13.1%(いずれも電気技術者試験センターの発表資料)。4回分だけなので傾向とは言わない
- 動く順番:交付を待つあいだに、募集元の立場と設備の電圧・出力、配属の条件を並べておく
以上が電験三種の求人・転職に関する情報のまとめです。
合格通知を受け取ったら、まず開くのは求人サイトの検索画面ではなく、試験結果通知書に同封されてくる免状交付申請書のほうだと思っています。申請を先に出してしまえば、およそ2ヶ月の待ち時間は勝手に進みます。その間に、気になっている募集が自前で選任する側なのか受託する側なのか、設備の電圧と出力が第三種の範囲に収まるのかを並べておく。免状が届いたときに動き出せる状態を作っておくのが、いちばん取りこぼしの少ない順番ではないでしょうか。試験そのものの全体像はこちらから確認できます。

