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設計基準強度とは?Fc、品質基準強度、呼び強度との違い、計算など

  • 設計基準強度ってなに?
  • Fcってどういう意味?
  • 品質基準強度との違いは?
  • 呼び強度ってまた別の話なの?
  • なんで複数の強度が出てくるの?
  • 現場ではどの数字を見ればいい?

上記の様な悩みを解決します。

「設計基準強度(Fc)」は、コンクリート工事をやっていれば毎日のように耳にする数字ですが、似た言葉で「品質基準強度Fq」「呼び強度」「圧縮強度」が出てきて頭が混乱しがち。各強度の関係を一度整理しておくと、生コン発注書・出荷伝票・ミルシートの読み方が一気にクリアになります。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

設計基準強度とは?

設計基準強度とは、結論「構造設計の前提として、コンクリートに要求される圧縮強度の最低値」のことです。

記号は FcF:強度=Force、c:コンクリート=concrete)。日本建築学会のJASS 5(鉄筋コンクリート工事標準仕様書)で定義されています。

ざっくり言うと

ざっくり言うと、構造設計者が「この梁・柱・スラブには、最低でも○○N/mm²のコンクリートを使う」と決めた値、設計図の構造特記仕様書に「Fc=24N/mm²」のように記載される、現場で打つコンクリートはこの値を確実にクリアする品質で発注・施工する、という位置づけ。

単位はN/mm²(ニュートン毎平方ミリメートル)

Fc = 21 N/mm²(旧表記:210 kgf/cm²)
Fc = 24 N/mm²(旧表記:240 kgf/cm²)
Fc = 27 N/mm²
Fc = 30 N/mm²

→ 21、24、27、30、33、36、42、48、60という5刻みまたは3刻みで規格化されています。

なぜ「設計基準」と呼ぶのか

構造計算で梁・柱の断面寸法・配筋量を決めるとき、コンクリートの強度は前提条件として固定する必要があります。「現場で打ってみないと分からない」では設計が成立しないので、設計時に基準として定める値=設計基準強度。

設計基準強度はゴールではなくスタート

「Fc24で発注したから24N/mm²出れば合格」ではありません。Fc24を確実に出すために、生コンプラントは余裕を持った調合で材料を作ります。具体的には、設計基準強度(Fc)→補正→品質基準強度(Fq)→補正→呼び強度→製造ばらつきを考慮→配合強度、という4段階の強度設定で、最終的に現場のコンクリートが必ずFcを上回るように管理されています。

コンクリートそのものの基礎は別記事も参考にしてください。

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設計基準強度(Fc)と品質基準強度(Fq)の違い

ここが最大の混乱ポイント。Fcの上に「Fq」というもう1段階の強度があります。

①設計基準強度(Fc)

設計基準強度(Fc)は、構造的に必要な最低強度、構造計算の前提、主に短期荷重(地震・風)に対する強度、というあたり。

②耐久設計基準強度(Fd)

耐久設計基準強度(Fd)は、建物の長期使用(耐久性)に必要な強度、計画供用期間(短期/標準/長期/超長期)で値が変わる、計画供用期間 標準(65年)でFd=24N/mm²、計画供用期間 長期(100年)でFd=30N/mm²、計画供用期間 超長期(200年)でFd=36N/mm²、というあたり。

③品質基準強度(Fq)

品質基準強度(Fq)は、FcとFdのどちらか大きい方がFqになる、「構造強度」と「耐久強度」のうち高い方を採用、Fq=max(Fc, Fd)、という関係。

例えば

項目
設計基準強度 Fc 21 N/mm²
計画供用期間 長期
耐久設計基準強度 Fd 30 N/mm²
品質基準強度 Fq 30 N/mm²(Fdが大きいので採用)

→ 構造的には21N/mm²でOKでも、長く使うなら30N/mm²が必要、ということ。

Fc>Fdの場合

項目
設計基準強度 Fc 36 N/mm²
計画供用期間 標準
耐久設計基準強度 Fd 24 N/mm²
品質基準強度 Fq 36 N/mm²(Fcが大きいので採用)

→ 高層ビルなどで構造強度が大きく必要な場合、構造側のFcが採用されます。

結論:Fcだけ見ても足りない

設計基準強度(Fc)は構造設計上の値。実際にコンクリートを発注するときの基準は品質基準強度(Fq)を経由した値になります。

設計基準強度と呼び強度の関係

「呼び強度」は生コン業界・JIS A 5308で使われる用語。生コン発注書・出荷伝票に書かれる強度はこれです。

①呼び強度の定義

JIS A 5308「レディーミクストコンクリート」で規定された、生コン工場が保証する圧縮強度。18, 21, 24, 27, 30, 33, 36, 40, 42, 45, 50, 55, 60 N/mm²というラインナップで、普通コンクリートではFc以上の値で指定します。

②品質基準強度から呼び強度への補正

品質基準強度(Fq)に温度補正を加えて呼び強度を決定します。

呼び強度 = Fq + 温度補正値(mSn)

③温度補正値(mSn)

打設時期と気温によってコンクリート強度の発現が変わるため、寒い時期は強度に下駄を履かせて発注します。JASS 5で具体的な値が示されています。

平均気温 補正値(一般的な目安)
25℃以上 0 N/mm²(補正なし)
8〜25℃ 0〜3 N/mm²
0〜8℃ 3〜6 N/mm²
0℃以下 6 N/mm² 以上+寒中コンクリート対応

④例:実際の発注計算

具体例として、設計基準強度Fc=24 N/mm²、計画供用期間が標準(65年)、耐久設計基準強度Fd=24 N/mm²、品質基準強度Fq=max(24, 24)=24 N/mm²、打設時期が1月で平均気温5℃、温度補正値3 N/mm²、呼び強度=24+3=27 N/mm²、というかたち。

→ 「Fc24」の構造図に対して、冬場には呼び強度27で発注、というのがプロセス。

設計基準強度と建物用途

設計基準強度(Fc)は、建物の用途・規模・構造方式によっておおまかな目安があります。

①一般的な値

建物用途 設計基準強度 Fc(一般値)
木造住宅の基礎 21 N/mm²
低層RC造(3階建以下) 21〜24 N/mm²
中層RC造(4〜10階) 24〜30 N/mm²
高層RC造(11階〜) 30〜36 N/mm²
超高層RC造(タワーマンション) 42〜60 N/mm²
工場・倉庫 21〜30 N/mm²
寒冷地仕様 +3〜6 N/mm² の補正

②高強度コンクリートの登場

近年は超高層化に伴い、Fc60〜Fc150 の超高強度コンクリートも登場。タワーマンションの低層階柱ではFc100超を使う物件も増えています。

③高強度ほど混和材料が増える

高強度ほど混和材料が増えていきます。Fc24なら普通ポルトランドセメント+通常配合、Fc36なら早強系セメント+AE減水剤、Fc60〜なら高強度コンクリート(混和材+低水セメント比)、Fc100〜なら超高強度コンクリート(シリカフューム等の混和材)、というあたり。

水セメント比は強度を決める最重要指標。詳細は別記事も参考にしてください。

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設計基準強度の試験・確認方法

現場で打ったコンクリートが実際にFcをクリアしているかを試験するのが、コンクリート品質管理の核心です。

①供試体の採取

打設のたびに、コンクリートを採取して円柱供試体(φ100×200mm or φ150×300mm)を作成。1配車の生コンに対し、4週供試体(28日強度試験用)×6本、スランプ試験用×1本、空気量試験用×1本を取るのが基本。

②圧縮強度試験

コンクリートを打設してから4週間(28日)経過した後、供試体を圧縮試験機で潰して破壊強度を測定。

圧縮強度 = 破壊荷重 / 断面積

③合格判定

供試体の圧縮強度が、Fc を上回っているかどうかで合否判定。JASS 5では3本平均と1本最低値の両方で基準があり、3本の平均値≧Fc、各本の最低値≧Fc-3.5 N/mm²(一般的な基準)、という形。

④強度試験の段階

試験時期 目的
1日強度(24時間) 型枠脱型可否の判断
7日強度 早期判断(参考値)
14日強度 中間判断
28日強度(標準) 設計基準強度の合否判定
91日強度 長期管理用(高強度コンクリート)

⑤コア抜き試験

万が一28日強度が出なかった場合や、構造体の現場強度を直接確認したい場合は、実際のコンクリートからコア(直径100mmの円柱)を抜いて試験します。これで実際の構造体強度を確認。

スランプ試験との関係は別記事も参考にしてください。

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設計基準強度と施工管理

施工管理として、設計基準強度を扱う実務上のポイントを整理します。

①生コン発注時の確認

発注書には、呼び強度(21, 24, 27, 30…)、スランプ(15, 18, 21cm等)、粗骨材最大寸法(20mm, 25mm, 40mm)、セメントの種類(普通、早強、低熱、混合)、空気量(4.5±1.5%)、というあたりが記載されます。呼び強度=設計基準強度ではないことを理解してから発注書を作る。

②打設前の確認

打設当日の朝、気温(温度補正値の検算)、配合計画書(Fcと呼び強度のリンク確認)、ミルシート(材料の規格・産地)、というあたりを確認。寒冷期は呼び強度が上がっているか、夏場は熱対策(保温ではなく散水)が織り込まれているかを見ます。

ミルシートの読み方は別記事も参考にしてください。

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③受入検査

生コン到着時、スランプ試験、空気量試験、塩化物含有量試験、温度測定、を実施。基準値内に収まっているかを試験記録に残します。

④打設中の管理

打設中の管理は、連続打設の段取り(コールドジョイント防止)、締固め(バイブレータ)、高さ制限(落下防止)、養生計画(湿潤養生・温度管理)、というあたり。

打設方法の詳細は別記事も参考にしてください。

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⑤マスコン対策

大断面(厚さ80cm以上)のコンクリートでは、内部発熱で温度ひび割れが出やすい。低発熱型セメントFc値の見直しで対応します。

マスコンの詳細は別記事も参考にしてください。

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⑥試験結果の管理

28日試験の結果が出るまで打設後1ヶ月。万が一基準値を割ったらコア抜き試験 → 構造設計者と協議 → 補強または撤去という流れになるので、1配車ごとに供試体を確実に採取・養生するのが大原則。

⑦現場でやらかしがちなパターン

ある中規模RC造マンションで、冬場(1月)の柱打設で温度補正を入れ忘れて呼び強度Fc24のまま発注した事例を見たことがあります。28日強度の試験では辛うじてFcを満たしましたが、標準偏差を含めた管理基準は割りそうで、結果的に補正なしの呼び強度では2配車目以降の打設をストップして配合変更でしのぎました。「呼び強度=Fc」と思い込んでいると、こういう判断ミスをします。

コンクリートの種類別の使い分けは別記事も参考にしてください。

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設計基準強度に関する注意点

最後に、現場で誤解しやすいポイントを整理します。

①「Fc=呼び強度」ではない

最も多い誤解。Fcは構造設計上の値、呼び強度は生コン発注時の値で、温度補正の分だけ呼び強度が高くなります。

②試験結果の本数を間違えない

供試体の本数は1配車ごと。100m³の打設なら約14配車(7m³/配車)→ 約14セット。コストはかかるが、後で省略できないポイント。

③強度が出ても安心ではない

28日強度がギリギリFcを満たしていても、ばらつき(標準偏差)が大きいと長期的にリスクあり。傾向管理が大事。

④温度補正値の地域差

東京と札幌、沖縄と東京で、同じ1月でも温度補正値は変わります。現場の地域別の気象データで算定する。

⑤打設方法による強度低下

正しく材料を発注しても、打設時の不適切な作業(過大スランプ・水増し・締固め不足)で強度が出ないことも。

⑥Fcと耐久性は別物

Fcが高くても、かぶり厚さが薄いと耐久性は確保できません。耐久性は「Fd(耐久設計基準強度)」と「かぶり厚さ」の組み合わせで決まります。

⑦既存建物のFc

リニューアル工事で既存建物のコンクリート強度を確認するときは、コア抜き試験で実際の強度を測定。施工当時のFc値は参考程度に。

ワーカビリティとの関係は別記事も参考にしてください。

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設計基準強度に関する情報まとめ

最後に、設計基準強度の重要ポイントを整理します。

  • 設計基準強度(Fc)とは:構造設計の前提となるコンクリートの圧縮強度の最低値。記号Fc、単位N/mm²
  • 品質基準強度(Fq)との違い:FqはFcと耐久設計基準強度(Fd)のうち大きい方。耐久性も加味した実用上の基準
  • 呼び強度との関係:Fq+温度補正値(mSn)=呼び強度。冬場は3〜6N/mm²の上乗せが普通
  • 規格値:21, 24, 27, 30, 33, 36, 42, 48, 60 N/mm²。建物用途・規模で目安が変わる
  • 試験方法:1配車ごとに円柱供試体を採取し、28日強度で合否判定。3本平均でFc以上が基準
  • 施工管理視点:発注書での確認、温度補正の検算、受入検査、打設管理、供試体管理、コア抜きでの確認
  • 注意点:Fc≠呼び強度、温度補正の地域差、打設品質、かぶり厚さとの組み合わせ

以上が設計基準強度に関する情報のまとめです。

設計基準強度(Fc)は構造設計のスタート地点で、そこから品質基準強度→呼び強度→配合強度→現場強度と段階的に補正・余裕を積み増した最終形がコンクリートとして打設されます。「Fcはゴールではなくスタート」「Fcを確実に出すために生コンプラントは下駄を履かせている」という構造を理解しておくと、配合計画書・出荷伝票・試験成績表のすべてが立体的に見えてきます。一通り設計基準強度の基礎知識は理解できたと思います。

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