- ろう付けってなに?
- はんだ付けと何が違う?
- 銅管以外にも使える?
- どんなろう材を使う?
- 必要な工具は?
- 漏れない接合をするコツは?
上記の様な悩みを解決します。
設備工事で銅管・冷媒管を扱うと必ず出てくるのが「ろう付け」。ハンダ付けと混同されがちですが、温度・強度・気密性が桁違いに高い接合方法です。冷媒配管・給湯管・医療ガス配管など、漏れたら大事故になる配管では機能継手として欠かせない工法です。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
配管のろう付けとは?
配管のろう付けとは、結論「金属製の配管同士を、母材より融点の低い「ろう材」で溶かし接合する工法」のことです。
身近な例で言うと、金継ぎの「銀継ぎ」のようなイメージ。母材(配管)は溶かさず、間に流し込んだろう材だけが溶けて隙間を埋めて接合するのがポイント。
→ ざっくり、「配管の隙間にろう材を流し込んで固める接合方法」がろう付け、というイメージです。
ろう付けとはんだ付けの分かれ目
JIS Z 3001(溶接用語)では、母材の融点と接合温度の関係で次のように分類されます。
| 接合方法 | ろう材融点(接合温度) | 接合強度 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| ろう付け(硬ろう) | 450℃以上 | 強い | 冷媒配管、給湯管、医療ガス |
| はんだ付け(軟ろう) | 450℃未満 | 弱い | 電子部品、給水管(鉛フリー) |
「450℃」が分かれ目で、それより高い温度で行う接合を「ろう付け」、それより低い温度で行う接合を「はんだ付け」と呼ぶ、というのが業界共通のルール。
施工管理視点で押さえるべきポイントは、冷媒配管・給湯管はろう付けが標準(高圧・高温・気密性要求)、接合面の清浄度・酸化防止が品質の決め手、窒素ブロー(パージ)を行うのが冷媒配管の鉄則、ろう材の選定で接合強度・腐食耐性が決まる、というあたり。「配管をくっつける作業」と思われがちですが、配管の機能継手部品と同等以上の強度を作り出す精密作業です。設備工事の関連知識は下記も参考に。

ろう付けとはんだ付けの違い
最も混同されやすい2つの工法を比較します。
| 項目 | ろう付け(硬ろう) | はんだ付け(軟ろう) |
|---|---|---|
| 接合温度 | 450℃以上(一般に600〜800℃) | 450℃未満(一般に200〜350℃) |
| 接合強度 | 母材に近い強度(数百MPa) | 弱い(数十MPa) |
| ろう材 | 銀ろう、銅ろう、りん銅ろう等 | スズ・鉛系合金、鉛フリーはんだ |
| 加熱源 | 酸素アセチレンバーナー、トーチ | 半田こて、ガストーチ |
| 主な用途 | 冷媒・給湯・医療ガス配管 | 電子基板、給水管(鉛フリー) |
| 施工難度 | 高い(熟練要) | 比較的容易 |
| 耐熱・耐圧性 | 高圧・高温に耐える | 低圧・低温向け |
実務での選定基準
実務での選定基準としては、冷媒配管・高圧ガス配管はろう付け一択(高圧・気密要求)、給湯配管(銅管)はろう付けが多い(耐熱性確保)、給水配管(銅管)は鉛フリーはんだも可だがろう付け推奨、電子基板ははんだ付け一択、というあたり。
→ 「ろう付け」を「ハンダ付け」と読み違えて軽く見ると冷媒漏れ・水漏れの事故に直結します。「ろう付け=450℃以上の硬ろう」を必ず覚えておきましょう。
ろう材の主な種類
ろう材は大きく「銀ろう」「銅ろう」「りん銅ろう」「アルミろう」などに分かれます。建築設備で頻出するのは銀ろうとりん銅ろう。
りん銅ろうと銀ろう
りん銅ろう(最頻出)は、銅と銀とりんを主成分とするろう材。銅同士の接合に最適で、フラックス不要(りんがフラックスの役割を果たす)。冷媒配管・銅管同士の接合では標準で、代表規格はBCuP-2・BCuP-3(JIS Z 3261)。
銀ろう(高品質用)は、銀を主成分とするろう材。異種金属の接合(銅と鉄、銅と真鍮等)に強く、フラックスが必要で接合強度が非常に高い。医療ガス配管・高圧ガス配管で使われ、代表規格はBAg-1・BAg-2・BAg-7(JIS Z 3261)。
銅ろうとアルミろう
銅ろう(高融点用)は、銅100%または銅亜鉛系のろう材で、鋼管・ステンレス管の接合で使われます。融点が900℃前後と高い。
アルミろうは、アルミニウム合金を接合するろう材で、アルミ製エアコン部品・熱交換器などで使います。一般建築設備では使用機会は少なめ。
用途別の使い分け
| 用途 | 推奨ろう材 |
|---|---|
| 銅管同士(冷媒・給湯) | りん銅ろう(BCuP-2/3) |
| 銅と真鍮継手 | りん銅ろう or 銀ろう |
| 銅と鉄/ステンレス | 銀ろう(フラックス併用) |
| 医療ガス配管 | 銀ろう(高純度・高強度) |
| アルミ部品 | アルミろう |
ろう付けに必要な工具・材料
ろう付け作業に最低限必要なものを整理します。
加熱機器とろう材
加熱機器は、酸素アセチレンバーナー(プロ仕様・高温短時間作業向け)、酸素プロパンバーナー(プロ仕様・コスト面で有利)、ターボトーチ(プロパンガス)(軽工事向け・銅管25A程度まで)、携帯ガストーチ(DIY・小径配管向け)、というあたり。
ろう材は、線状(丸棒)(1.5〜3.0mm径が標準)、リング状(プリフォーム)(継手の中にあらかじめろうが仕込まれているタイプ)、ペースト状(精密接合・自動化ライン向け)、というかたち。
フラックスとその他工具
フラックス(銀ろうの場合)は母材表面の酸化膜を除去する役割で、りん銅ろうでは原則不要。その他には、管用パイプカッター(切断面の直角度確保)、バリ取り工具(リーマ)、配管クリーナー(接合面の油分除去)、窒素ガス+レギュレータ(冷媒配管の窒素ブロー用)、耐熱手袋・保護メガネ(必須)、というあたりが必要。
特に冷媒配管では窒素ブロー(パージ)が必須です。加熱中に管内に空気が残っていると、内面に酸化スケールが生成し、後々冷媒回路の故障原因になります。
ろう付けの施工フロー
銅管同士のろう付けを例に施工手順を整理します。
配管の準備から仮組み
配管の準備として、パイプカッターで直角に切断、切断面のバリをリーマで除去、接合部をサンドペーパーまたは専用ブラシで磨く(酸化膜除去)、油分をウエスで完全除去、という流れ。
仮組み・芯出しでは、継手と配管をセット、挿入深さが規定通りか確認、配管の真直度・芯の出をチェック、というあたり。
冷媒配管の場合は窒素パージを行います。配管内に窒素を低流量で流し続け、加熱中の酸化スケール生成を防ぐ。フレア接合・銅管同士のろう付けで必須です。
加熱からろう材溶着
加熱では、バーナーで接合部全体を均一に加熱、継手側を主に加熱(接合部の温度差を作らない)、暗赤色〜赤色(700〜800℃)になったらろう材を当てる、というのが基本。
ろう材の溶着では、加熱した接合部にろう材を当てる、毛細管現象で隙間にろう材が浸透、接合部の周囲全周にろう材が行き渡るよう移動させる、という流れ。
冷却・後処理・気密試験
冷却・後処理では、自然冷却(急冷は避ける)、表面のフラックス残渣を温水で洗浄(銀ろうの場合)、外観目視でピンホール・空洞の有無を確認、というあたり。
気密試験では、冷媒配管が窒素加圧で気密試験(約4.15MPa前後)、給水・給湯配管が水圧試験(指定圧で保持)、医療ガス配管が特定の試験圧で気密確認、と用途別に試験を実施します。
→ 施工管理として最も重要なのは「ろう材が接合面の全周に行き渡っているか」。一部だけろうが乗っていると、運用後にピンホール漏れを起こします。
ろう付け配管に関する注意点
施工管理として現場で押さえるべきポイント。
加熱・フラックス・パージ
加熱不足ではろう材が溶けない・毛細管現象が起きない、過加熱では母材が変色・変形・接合部の強度低下、というトラブルが起きます。加熱目安は「赤色になり始めたらろう材を当てる」で、色温度は700℃前後で暗赤色、800℃前後で明赤色。
フラックスの取り扱いは、銀ろうではフラックスが必須、余ったフラックスは水洗いで完全除去しないと腐食原因、フラックスを使わないりん銅ろうの方が清浄管理が楽、というあたり。
冷媒配管で窒素パージを忘れると、管内に酸化スケール(黒い粉)が生成。冷媒回路に流れ込んで膨張弁・キャピラリチューブを詰まらせる重大事故になります。「パージなしのろう付けは絶対NG」を現場の標準ルールに。
油分・異種金属・火災・検査
配管の油分残りでは、切削油・防錆油が残っているとろうが弾かれて密着不良。ウエスとアルコールで完全脱脂が必須です。
異種金属の接合トラブルとしては、銅と亜鉛メッキ鋼管の接合(電食の原因、適切な絶縁継手が必要)、銅とステンレスの接合(銀ろうとフラックス併用必須)、というあたり。
火災・火傷リスクとして、ろう付けは裸火を扱う作業。周囲の可燃物を撤去、火花養生、消火器の準備が必須。点検口・天井裏で作業する場合は特に火災リスクが高いので、火気使用申請を必ず出すこと。
検査の徹底では、ろう付けの良否は目視+気密試験で確認。気密試験で漏れがあればろうを溶かして再ろう付けするのが原則ですが、慣れていないと再接合で別の場所が漏れることも。ベテラン職人が施工した場合でも気密試験は必ず実施します。
配管継手や配管材料の関連知識は下記も。


ろう付け配管に関する情報まとめ
- ろう付けとは:母材より低融点のろう材で配管同士を接合する工法(450℃以上)
- はんだ付けとの違い:温度(450℃以上 vs 未満)、強度、用途
- 主なろう材:りん銅ろう(銅管同士・冷媒)、銀ろう(高品質・異種金属)、銅ろう(鋼管・ステンレス)
- 必要工具:バーナー、ろう材、フラックス(銀ろう)、窒素ブロー(冷媒)、保護具
- 施工フロー:清浄→仮組→窒素パージ→加熱→ろう材→冷却→気密試験
- 温度目安:暗赤色(700℃)でろう材を当てる
- 注意点:加熱管理、フラックス除去、窒素パージ、火災対策、気密試験
- 失敗の主因:清浄不足、パージ忘れ、加熱不足/過加熱、油分残り
以上が配管のろう付けに関する情報のまとめです。
ろう付けは「経験で品質が決まる」典型的な作業です。施工管理として確認すべきは「窒素パージしているか」「接合面の清浄ができているか」「気密試験を実施しているか」の3点。冷媒漏れ・水漏れは引き渡し後に発覚すると追加工事費・損害賠償が膨らむので、「ろう付け工程は必ず立ち会う」くらいの気持ちで管理すると、後々のトラブルがぐっと減りますよ。
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