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建築のふかしとは?種類、寸法、施工方法、ふかし壁の作り方など

  • 「ふかし」ってなに?
  • ふかし壁ってどう作るの?
  • 寸法はどうやって決めるの?
  • 躯体ふかしと壁ふかしの違いは?
  • 現場で何のために使うの?

上記の様な悩みを解決します。

「ふかし」は建築の現場で日常的に使われる用語ですが、初めて聞く人には何を指しているのか分かりにくい言葉。配管を隠したい仕上がり寸法を整えたい異なる仕上げの境目を綺麗に納めたいなどの理由で、現場ではしょっちゅう「ふかしを入れる」という調整が発生します。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

ふかしとは?

ふかしとは、結論「壁や天井、躯体の表面を、本来の位置より手前(室内側)に出すこと」です。

語源は「膨らます(ふくらます)」が転訛したもので、「もとの面より厚みを増やす」「面を出す」というイメージ。漢字で「吹かし」「噴かし」と書くこともありますが、現場では基本ひらがなで「ふかし」と表記します。

身近な例で言うと、「壁の中を通る配管が出っ張ってしまうので、配管が隠れる位置まで壁全体を手前に出してフラットにする」というのが一番典型的なふかしの例。柱の出っ張りを隠す、配管を隠す、寸法を整える――目的は色々ですが、共通しているのは「面を整えるために、わざと厚みを増やす」ことです。

意匠図や施工図には「FK」「ふかし」と注記されていることが多く、ベテランの大工さんや内装屋さんは図面を見た瞬間に「あー、ここふかすのね」と判断します。

なぜふかしが必要なのか?

「ふかし」が必要になる典型的な4パターンを紹介。

1. 配管・電線管を隠すため

壁の中を通る給排水管・空調冷媒管・電線管が、躯体面より飛び出してしまう場合。そのままだと壁を仕上げると配管が壁面より突出するため、配管が収まる厚み分だけ壁を手前にふかす、というのが定石です。

電気施工管理として現場を見てきた感覚だと、コンクリート壁にPF管を埋め込むスペースが取れなかったようなときに「じゃあLGSで壁ふかしして埋めてもらおう」という判断になることが多いですね。

電線管について詳しくはこちら。

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2. 柱や梁の出っ張りを揃えるため

RC造のリビングなどで、コンクリート柱が壁面から少し出っ張る場合。柱の面に合わせて壁全体をふかすことでフラットな壁面にする設計が一般的です。これがないとリビングのコーナーに柱型がボコッと出っ張って、見た目も家具レイアウトも厳しくなります。

3. 異種仕上げの境目を整えるため

タイル仕上げと塗装仕上げが隣り合うときに、それぞれの仕上げ厚が違うと段差ができます。薄い側を「ふかし」で持ち上げて段差をなくす、というのが内装デザインで頻出する調整。

4. 構造的には不要だが意匠的に厚みを持たせたいとき

エントランスや受付カウンター背面の壁を「重厚感を出したいから20mm出す」など、純粋に意匠的な理由でふかすケース。スケルトン物件のリノベーションでよく出てくるパターンです。

ふかしの主な種類

ふかしは「何をふかすか」で大きく3種類に分かれます。

種類 ふかすもの 主な施工方法
壁ふかし 壁の表面 LGS下地+プラスターボード/木下地+ボード
天井ふかし 天井の表面 LGS下地で吊り下げ/木下地
躯体ふかし RCコンクリートや鉄骨そのもの 型枠で増し打ち/溶接で部材を追加

壁ふかし

最も一般的なふかし。LGS(軽量鉄骨下地)またはMバー・木下地でふかし用の下地を組み、その上にプラスターボードを貼って仕上げる方法です。配管・電気配線の納まり調整に最もよく使われます。

LGSについて詳しくはこちら。

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天井ふかし

天井の一部だけ、もしくは全体を下げる施工。梁や設備機器を隠したい場合意匠的に天井に段差を付けたい場合に使われます。一部だけ低くする「下がり天井」も広い意味では天井ふかしの一種。

躯体ふかし(コンクリートのふかし)

これは少し特殊で、RCコンクリート躯体そのものを設計値より厚く打つこと。例えば設計の躯体面が1500mmだけど、配管を埋め込むため100mmふかして躯体厚を1600mmにする、といった調整。

施工図段階で「ふかし型枠」を立てて、増し打ち分のコンクリートを一緒に打設することで実現します。RC造の現場では、図面に「ふかし」と書かれていたら型枠の段階で対応が必要になるので、見落とすと躯体打ち直しという重い手戻りになります。

ふかしの寸法の決め方

寸法は「ふかす目的に応じた最小値+仕上げ材の厚み+仕上げ精度の余裕」で決まります。

典型的な寸法例

用途 ふかし寸法(目安) 内訳
電線管隠し 30〜50mm 配管外径+ボード厚+クリアランス
給排水管隠し 70〜120mm 配管外径+保温厚+ボード厚+余裕
空調冷媒管・断熱付き 100〜200mm 配管+断熱+仕上げ
RC柱型ふかし揃え 柱出代+ボード厚+目地余裕 柱の出寸法に依存

寸法決定のポイント

  • 管の外径だけでなく、保温材・支持金具の厚みも見込む
  • 下地材(LGSのスタッド寸法)と仕上げ材の厚みを足す
  • 施工誤差を吸収できる余裕として5〜10mmは余分に取る

僕も電気施工管理時代、LGSスタッドの45mm幅で十分と判断したらVE管22の支持金具がギリギリ干渉して、結局65mmスタッドに変更してもらった経験があります。配管屋・電気屋・内装屋の三者で寸法調整するのが理想ですが、現場では建築意匠側が決めた寸法に他職種が合わせるのが一般的なので、初期の打ち合わせ段階で配管寸法を出してもらうのが大事ですね。

壁ふかしの施工方法

最も頻度の高い「LGSによる壁ふかし」の施工手順を簡潔に。

手順

  1. 墨出し:仕上がり面の位置から逆算して、ふかし下地を組む位置を床・天井に墨出し
  2. ランナー固定:床・天井にランナーを固定(コンクリートビスや釘打ち機)
  3. スタッド建て込み:縦のスタッドを所定の間隔(@300〜455mm)で立てる
  4. 配管・配線の通線:ふかし内部に配管・配線が通るので、内装より先に設備工事を完了させる
  5. 断熱材・吸音材:必要に応じて充填
  6. プラスターボード貼り:石膏ボードを下地に貼って仕上げ下地完成
  7. クロスや塗装:最終仕上げ

注意ポイント

  • 配管・配線の現物が入った後に下地を仕上げる(順序を間違えると壁を壊して配管をやり直すことになる)
  • 重量物(額縁・棚など)を後付けする可能性のある場所には合板下地を仕込む
  • コンセントボックスは下地組み中に位置を決める

墨出しについてはこちら。

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ふかしの施工管理上の注意点

施工管理として「ふかし」で押さえておくべきポイントを4つ。

1. 寸法管理

ふかし寸法は内装工程の起点。ふかし下地の出寸法がズレると、すべての仕上げ面にズレが連鎖するので、レーザーレベルや基準墨で正確に管理。±3mm程度の精度を目指したいですね。

2. 工程の順序管理

ふかし内部に配管・配線が入るので、設備工事と建築内装工事の順序が極めて重要。「内装の壁ボード貼った後に電線管が通っていないことに気付く」というのは、避けたいトラブルの代表例。

3. 図面整合性の確認

意匠図・電気設備図・機械設備図それぞれに「ふかし」の指示が散らばっていることがあるので、総合図に集約して全職種で共有するのが基本。

総合図については以下も参考に。

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4. 防火区画・遮音区画への影響

ふかし下地が防火区画や遮音区画の壁を貫通する場合は、規定の処理が必要。とくに配管がふかし内部を通るときは、防火区画貫通処理を忘れずに。

防火区画貫通処理について詳しくはこちら。

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ふかしに関する情報まとめ

  • ふかしとは:壁や天井、躯体の表面を本来より手前に出すこと
  • 目的:配管・電線管を隠す/柱型を揃える/異種仕上げを整える/意匠的な厚み
  • 3種類:壁ふかし、天井ふかし、躯体ふかし(RC増し打ち)
  • 寸法の決め方:配管外径+保温+下地+仕上げ材+余裕
  • 施工方法(壁ふかし):墨出し→ランナー→スタッド→設備配管→ボード→仕上げ
  • 管理ポイント:寸法精度/工程順序/図面整合性/区画への影響
  • 失敗あるある:仕上げ後に配管不通発覚/総合図にふかし指示が反映されていない

以上がふかしに関する情報のまとめです。

ふかしは現場用語の中でも初心者がつまづきやすい言葉ですが、本質は「仕上がり面を整えるために厚みを足す」というシンプルな概念。配管や設備機器が躯体に収まらないとき、まず最初に検討するのがふかしです。図面で「ふかし」「FK」を見つけたら、そこには必ず「何かを隠す/揃えるための調整」が入っていると思って、目的を確認する習慣をつけるといいですね。

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