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風力係数とは?計算、表、屋根・外壁・内圧、ピーク風力係数など

  • 風力係数ってなに?
  • どんな計算式で使うの?
  • 屋根や外壁の値はどう決まる?
  • 内圧係数って何のこと?
  • ピーク風力係数との違いは?
  • 外装材設計ではどう使う?

上記の様な悩みを解決します。

風力係数は、結論「構造物の各部に風がどれくらい強く作用するかを表す無次元の係数 Cf」のことです。建築基準法施行令第87条と平成12年告示第1454号で、建物形状ごとに細かく数値が決まっています。風荷重を計算するときの基本式は W = q × Cf × A(速度圧 × 風力係数 × 受圧面積)。屋根・外壁・内圧の3か所で値が違い、外装材の設計ではさらにピーク風力係数 Ĉf という別の値を使うのが特徴。台風国・日本の構造設計では避けて通れない重要な係数ですね。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

風力係数とは?

風力係数とは、結論「速度圧 q を、構造物各部に作用する風圧 p に変換するための無次元の係数」のことです。

英語では wind force coefficient または wind pressure coefficient。記号は Cf(屋根や外壁の構造骨組用の場合)です。

基本式

W = q × Cf × A

ここで W が風荷重[N または kN]、q が速度圧[N/m²]、Cf が風力係数(無次元)、A が受圧面積[m²]です。

速度圧 q の式

q = 0.6 × E × Vo²

0.6が空気密度を含む係数(標準大気密度の半分)、Eが高さの補正係数(地表面粗度区分で決まる)、Voが基準風速[m/s](地域ごとに30〜46 m/s)、というあたり。

「Cf は何を表しているか」を一言で

風が建物に当たったときに、その面で風の動圧の何倍の圧力が作用するかを示す係数です。Cf = 1.2 なら速度圧の1.2倍の圧力、Cf = -1.0 ならその面で吸い出される(負圧)方向に同じ大きさが作用、というイメージです。

風荷重そのものの基礎はこちらの記事をどうぞ。

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風力係数の表(屋根・外壁の主な値)

告示第1454号に基づく代表的な値を表で整理します。実務では告示の表をそのまま参照しますが、感覚を掴むには下記の代表値が参考になります。

①外壁の風力係数(構造骨組用)

風上側と風下側で正圧・負圧の方向が違ってきます。

部位 Cf 値(目安) 方向
風上の外壁 +0.8 程度 内向き(押す)
風下の外壁 -0.4 程度 外向き(引く)
側面の外壁 -0.4 〜 -0.7 外向き(引く)

②陸屋根(フラットルーフ)の風力係数

部位 Cf 値(目安) 方向
屋根全面 -1.0 程度 上向き(吹き上げ)

陸屋根は基本的に負圧(吹き上げ)が作用すると考えるのが基本。

③切妻屋根の風力係数(勾配で大きく変わる)

屋根勾配 風上側屋根 風下側屋根
5°程度 -0.7 〜 -0.9 -0.5
30°程度 +0.2 〜 +0.4 -0.5
45°以上 +0.5 〜 +0.7 -0.5

急勾配の屋根は風上側で正圧、緩勾配では負圧」というのが面白いポイントです。

④内圧係数 Cpi

建物の内部にも空気が出入りすると圧力差が生まれるため、内圧係数で扱います。開口がほぼ閉じた建物ではCpi=-0.4(負圧)または+0.4(正圧)として両方を検討、大きな開口がある建物(倉庫など)では±0.4〜±0.6でより大きく振れる、というあたり。

外壁・屋根の Cf に、内圧の Cpi を合算したものが「正味の風力係数」になり、構造骨組の風荷重を計算するときはこの正味値を使います。

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風力係数の符号と方向

正負の符号を取り違えると設計が崩壊するので、整理しておきます。

①符号のルール

符号のルールは、正(+)が建物の外面から内側に押し込む方向の圧力、負(−)が建物の外面から外側に引き出す方向の圧力(吸引)、というあたり。

②風上・風下のイメージ

風上・風下のイメージは、風上の外壁が風が直接ぶつかる→押される→正圧、風下の外壁が渦ができて引っ張られる→負圧、側面の外壁が剝離流による負圧→負圧、陸屋根が上を風が通り過ぎる際の剝離流→負圧(吹き上げ)、というあたり。

③陸屋根が「飛ぶ」のはこの仕組み

台風で屋根材が飛ばされる事故の原因は、陸屋根や緩勾配屋根に作用する負圧(吹き上げ)です。建物全体の風荷重として計算する Cf より、屋根材1枚に作用するピーク風力係数(後述)の方が大きな値になるので、外装材設計では別途検討が必要なんですね。

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構造骨組用とピーク風力係数の違い

実務で混同しやすい2つの風力係数を整理します。

①構造骨組用風力係数 Cf

構造骨組用Cfは、建物全体の構造設計(柱・梁・基礎)に使う、受圧面の平均値で比較的なだらかな分布、告示の本表に掲載されている、というあたり。

②ピーク風力係数 Ĉf(ハット)

ピーク風力係数Ĉfは、外装材(屋根材、サッシ、ガラス、外装パネル)の設計に使う、局所的な突風による瞬間的な圧力ピーク値、構造骨組用Cfより絶対値が大きい、屋根の隅角部・外壁のコーナーでは特に大きく出る、というあたり。

③ピーク風力係数の代表値(外装材用)

部位 Ĉf 値(目安)
屋根の隅角部 -2.5 〜 -3.0
屋根の周縁部 -1.5 〜 -2.0
屋根中央部 -1.0 〜 -1.4
外壁のコーナー部 -1.5 〜 -2.0
外壁の中央部 -1.0 〜 -1.2
外壁の風上面 +1.0 〜 +1.4

構造骨組に効く Cf は平均的、外装材を飛ばすのはピーク Ĉf」と覚えておけば実用上は十分ですね。

④外装材設計の式

W = q × Ĉf × A

形は同じですが、Cf が Ĉf に置き換わって絶対値が大きい値で計算するため、外装材は構造骨組以上に厳しい風荷重が掛かることになります。

風力係数を使った計算例

具体例で感覚を掴んでおきましょう。

前提条件

前提条件は、建物が軒高10mのRC造倉庫、地域が基準風速Vo = 36 m/s、地表面粗度区分Ⅲ(一般的な郊外)、高さ補正係数E≒1.7(10m高さ)、というあたり。

①速度圧 q の計算

q = 0.6 × 1.7 × 36² = 0.6 × 1.7 × 1,296 ≒ 1,322 N/m²

→ 約1.32 kN/m²

②風上外壁(Cf = +0.8、A = 5m × 10m = 50m²)の風荷重

W = 1,322 × 0.8 × 50 ≒ 52,880 N ≒ 53 kN

③屋根隅角部の外装材(Ĉf = -3.0、A = 1m²)

W = 1,322 × 3.0 × 1.0 ≒ 3,966 N ≒ 4 kN/m²

→ 屋根材1m²あたり約4 kN(408 kgf)の吸引力。屋根金物の保持力がこの値に耐えないと、台風で屋根が飛ばされます。

設計の感覚

数十m²の壁全体で受ける風荷重と、1m²の屋根材1枚で受ける吸引力、絶対値はオーダーが違うのに1枚あたりの破壊リスクは外装材の方が大きいところがポイント。台風被害で「窓が割れる」「屋根が剝がれる」事故が、構造躯体の倒壊より圧倒的に多いのはこの仕組みのせいです。

[talk words=’以前関わった倉庫の屋根改修で、隅角部の取り付けビスを既存の中央部と同じピッチで設計していたのを、屋根業者の親方が「ここはピーク風圧が3倍くらいかかる位置だから、ビスを倍密度にしたい」と提案してくれたことがあります。あの一言がなければ、台風直撃のときに角だけめくれていた可能性が十分にあった。ピーク風力係数が現場で実際に効いていることを思い知らされた経験です。’ name=”” avatarimg=”https://seko-kanri.com/wp-content/uploads/2020/02/c-run.png” avatarsize=70 avatarbdcolor=#d0d0d0 avatarbdwidth=1 bdcolor=#d0d0d0]

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風力係数に関する情報まとめ

  • 風力係数とは:建物各部に作用する風圧を、速度圧から換算する無次元係数
  • 記号:Cf(構造骨組用)、Ĉf(ピーク風力係数、外装材用)
  • 法的根拠:建築基準法施行令第87条、平成12年告示第1454号
  • 基本式:W = q × Cf × A
  • 符号:正は押す方向、負は引く(吸引)方向
  • 屋根・外壁の代表値:陸屋根 -1.0、風上外壁 +0.8、風下外壁 -0.4 など
  • 内圧係数 Cpi:±0.4 程度を加算して正味の風力係数とする
  • ピーク風力係数 Ĉf:屋根隅角部で -3.0 など局所的に大きい値
  • 外装材設計では Cf より厳しい Ĉf が支配する

以上が風力係数に関する情報のまとめです。

一通り風力係数の基礎知識は理解できたかなと思います。台風で「窓ガラスが内側に割れた」「屋根材が一部だけ剝がれた」というニュースを見たとき、それが正圧(押す)と負圧(吸い上げ)のどちらが原因かを区別できると、風荷重の世界が一気に現実の事象とつながってきます。建物全体を扱う Cf と、一枚の屋根材を扱う Ĉf の使い分けは、構造設計者と外装メーカーの間で意外なほど混乱が起きやすい論点でもあるので、両者の違いを明確に持っておくと現場での説明力もぐっと上がりますよ。

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