- 等分布荷重ってなに?
- 単位や記号はどう書くの?
- 集中荷重との違いって?
- 梁にかかる時の計算式は?
- たわみはどう求めるの?
- 現場では何が等分布荷重として効いてくるの?
上記の様な悩みを解決します。
等分布荷重(とうぶんぷ・かじゅう)は、構造計算の最初の山。建築学科の構造力学の授業で必ず出てくるし、施工管理者として図面の「積載荷重 1,800N/m²」のような表記を読み解く時の前提知識でもあります。集中荷重(P)と区別がつかないまま「とりあえずw」と書いてた、という人は意外と多いので、この記事で一回キッチリ整理します。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
等分布荷重とは?
等分布荷重とは、結論「同じ大きさの力が、長さ(または面積)あたり一定で分布してかかっている荷重のこと」です。
英語ではUDL(Uniformly Distributed Load)。要するに、ベタッと均一にかかっている力で、構造図の世界では「単位長さあたりの力」または「単位面積あたりの力」で表されます。
代表的なイメージは、
- 梁の上に均等に積み上げた砂袋
- 屋上の積雪荷重
- フロアに敷き詰めたタイル・カーペット
- 自重(部材自体の重さ)
など。これらは「ある1点に集中している」のではなく、「線状・面状に均一に効いてくる」という性質を持ちます。これに対して、柱の真上に置いた重機やパレット1個分の力は集中荷重(点荷重)になります。
等分布荷重の単位と記号
構造計算で書く時の単位と記号を、混同しないように整理しておきます。
線荷重(線分布)の場合
記号:w(小文字)または q
単位:N/m、kN/m、kgf/m
梁のような「線状の部材」に対して使います。例えば「w = 5 kN/m」と書けば、その梁の長さ1mあたりに5kNの荷重が均等にかかっていることを意味します。長さL[m]の全体にかかっている総荷重は w × L [kN] になります。
面荷重(面分布)の場合
記号:w(大文字Wを使うこともある)
単位:N/m²、kN/m²、kgf/m²
スラブや壁のような「面状の部材」、または建物全体の積載荷重を表すときに使います。「住宅の居室の積載荷重 1,800N/m²」というように、建築基準法施行令85条で用途別に値が決まっています(事務室は2,900N/m²、店舗売り場は2,900N/m²、教室は2,300N/m²、屋上の積雪地域は別途、など)。
単位変換でよくハマるところ
- 1kN/m = 1000N/m
- 1kN/m² = 約102kgf/m²(厳密には 1kgf ≒ 9.81N)
- 1tf/m² = 9.81kN/m²
「kN/m²」と「kgf/m²」を混同すると約10倍ズレるので、計算前に必ず単位を揃える癖をつけたいところ。施工管理者がトラブルになる時、9割は単位の変換ミスです。
等分布荷重と集中荷重の違い
ここが多くの学生がつまずくポイント。記号と意味、計算結果の出方が全部違います。
| 項目 | 等分布荷重 | 集中荷重 |
|---|---|---|
| 記号 | w(小文字) | P(大文字) |
| 単位 | N/m, kN/m | N, kN |
| 力の効き方 | 部材の長さ全体に均等 | ある1点だけ |
| 反力(単純梁) | wL/2 ずつ | スパン位置による |
| 最大曲げM(単純梁中央集中) | wL²/8 | PL/4 |
| 最大たわみ(単純梁等分布) | 5wL⁴/(384EI) | PL³/(48EI) |
形が違うので「足し算」できる
等分布荷重と集中荷重が同じ梁にかかっているとき、それぞれ別々にM図を描いて足し合わせるのが構造力学の基本姿勢。

「梁の自重(等分布)+ 中央に置いた機械(集中)」という現場でよくある組み合わせも、最終的にはこの2つを別々に解いてから重ね合わせます。
「m × 距離」 = 集中荷重に変換できる
等分布荷重は、計算上「全体の合計値を、その分布の重心位置に集中させた集中荷重」とみなして反力(梁の支点に発生する力)の計算ができます。
例:5kN/m × 6m = 30kN を、梁の中央(3m地点)に置いた集中荷重として扱う、という変換ですね。ただし曲げモーメント図やたわみは、この簡略化では正しく出ないので注意。あくまで「反力計算だけ」の便法です。
梁にかかる等分布荷重の代表計算
実務でよく出てくる単純梁(両端ピン支持)に等分布荷重がかかったケースを、抑えておくべき公式で整理します。スパンを L、等分布荷重を w、ヤング係数を E、断面二次モーメントを I とすると、
①支点反力
両支点に均等に分かれます。
R = wL / 2 [kN]
例:w = 4kN/m、L = 6m なら、R = 4 × 6 ÷ 2 = 12kN
②最大曲げモーメント(中央位置)
中央スパン位置で最大値となり、
Mmax = wL² / 8 [kN・m]
例:w = 4kN/m、L = 6m なら、Mmax = 4 × 6² ÷ 8 = 18kN・m
「8で割る」が等分布荷重の代名詞のような公式。集中荷重の「PL/4」と混同しがちなので、何度も書いて手で覚えるのがコツ。
③最大たわみ(中央位置)
δmax = 5wL⁴ / (384EI) [m]
「分子5、分母384」というキリの悪い係数で覚えづらいですが、これも頻出。ヤング率(E)と断面二次モーメント(I)が大きい部材ほど、たわみは小さくなります。ヤング率の話はヤング係数の解説(https://seko-kanri.com/youngs-modulus/)も参考に。
④せん断力(端部最大)
両端で最大値となり、
Qmax = wL / 2 [kN]
つまり反力とイコール。中央でせん断は0になり、端部でwL/2、これがせん断力図(Q図)の基本形。
現場で出てくる等分布荷重の例
教科書だけで終わらせると面白くないので、施工管理として現場で「ああ、これが等分布荷重か」と意識すべき場面をいくつか挙げます。
①部材の自重
H形鋼の梁を架けるとき、その梁自身の重さが等分布荷重として梁全長に効いてきます。SS400のH-300×150(重量約 36.7kg/m)なら、自重として 36.7×9.81/1000 ≒ 0.36kN/m が常に乗っている状態。スパンが長くなる梁ほど、自重の影響が無視できなくなります。
②積載荷重(人・家具・物品)
居室の床に座る人や置かれた家具などは、現実には集中荷重と分布荷重が混在しているけれど、設計上は均一な等分布荷重として扱います。基準法で用途別に値が決まっており、居室1,800N/m²、事務室2,900N/m²、廊下・階段3,500N/m²、屋上広場(積雪除く)2,900N/m²、など。
③積雪荷重
屋根の上の雪は、まさに「面に均等に乗る」という等分布荷重の典型例。地域ごとに垂直積雪量(cm)が決まっていて、雪1cmあたり20N/m²が標準的な目安。新潟・北海道のような多雪区域だと、これが構造設計を支配する荷重になります。
④仕上げ荷重(タイル・モルタル・断熱材)
スラブの上に敷き詰めるタイル(https://seko-kanri.com/concreat/ の上に施工する仕上げ)、左官モルタル、グラスウール(https://seko-kanri.com/glass-wool/)などは、面に均一に乗るので等分布荷重として加算します。
⑤天井からの吊り荷重
逆向きですが、天井からH形鋼やC型鋼で吊られた配管・ダクトの自重は、上向きスラブから見ると等分布の反力として効いてきます。重量物を吊る場所では、天井スラブの設計時にこの「吊り荷重」を等分布で見込んでおく必要があります。
等分布荷重の計算で間違いやすい点
施工管理として図面・計算書を見るときのチェックポイントをまとめます。
①単位がkN/m なのか kN/m²なのか
「3.5」と書かれていても、線荷重なら3.5kN/m、面荷重なら3.5kN/m²。一字違うだけで、面積で受けてる梁の話になると、そこに梁の負担幅(例えば3m)を掛けて 3.5×3=10.5kN/m に変換してから梁解析する必要があります。
②梁の負担幅の取り違え
スラブの面荷重(kN/m²)を梁の線荷重(kN/m)に変換する時、「両側の負担幅の合計」を取ります。例えば両側で1.5mずつ負担している梁なら、合計3mを掛ける。片持ち側だけ計算してしまうと半分になるので注意。
③積雪・地震時の組み合わせ
長期荷重(自重+積載)と短期荷重(積雪・地震・風)は、構造計算で別々のケースとして組み合わせ係数を掛けて評価します。等分布で扱う部分でも、ケースによって値が変わるので、「どのケースのwを今見ているか」を都度確認。
④ピアノや書庫など特殊用途
法定の積載荷重は「一般的な居室」を想定した値なので、書庫(紙が重い)やピアノルームなどは特殊荷重として別途加算します。リフォームで用途変更する時、これを見落とすと床抜けの恐怖が現実になります。
等分布荷重に関する情報まとめ
- 等分布荷重とは:単位長さ・単位面積あたりに均等に分布している荷重
- 単位と記号:線荷重はw[kN/m]、面荷重はw[kN/m²]
- 集中荷重との違い:効き方/公式/重ね合わせの方法/反力計算時の便法
- 単純梁の代表式:反力wL/2、最大曲げwL²/8、最大たわみ5wL⁴/(384EI)、せん断wL/2
- 現場の実例:自重/積載/積雪/仕上げ/吊り荷重
- 計算の注意:単位(/m と /m²)/梁の負担幅/長期と短期/特殊用途
以上が等分布荷重に関する情報のまとめです。
公式を覚えるだけでなく「現場で何がwとして効いているか」を都度イメージできれば、構造計算書を読む解像度が一段上がります。施工管理として梁・スラブの図面を見る時、自重・積載・仕上げ・特殊用途の4つを足し算するクセをつけておくと、設計者と話す時にも噛み合いやすくなります。一通り基礎知識は理解できたと思います。
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