- 認定電気工事従事者って結局なに?
- 第二種持ってるのに、取ると何が増えるの?
- 会社に「取っといて」と言われたけど意味が分かってない
- また試験あるの?講習だけで取れるって本当?
- 自分は「申請のみ」?それとも「講習いる」?
- トータルでいくらかかって、何日で届く?
- 取ったら手当つく?現場で評価されるの?
- 無資格で簡易電気工事やってたけど、あれ大丈夫だったの…?
上記の様な悩みを解決します。
認定電気工事従事者は、第二種電気工事士では触れない「自家用電気工作物の簡易電気工事」に手を出せるようになる認定資格です。試験が無く、講習か申請だけで取れるので「会社に言われて取る」人が多い一方、「で、取って何が変わるの?」が曖昧なまま手続きだけ調べている人が多い資格でもあります。今回は定義・第二種との違い・取得パターンの判定・講習と申請の流れといった基本を押さえた上で、電気施工管理の目線で「現場での評価・手当の実際」「取らずに簡易電気工事をやるとどうなるか」まで踏み込んで整理しました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
認定電気工事従事者とは?できること・できないこと
認定電気工事従事者とは、結論「第二種電気工事士では触れない”自家用電気工作物の簡易電気工事”ができるようになる認定資格」のことです。
電気工事士法(第4条の2第4項)にもとづき、経済産業大臣が認定する資格です。具体的には、最大電力500kW未満の需要設備(=自家用電気工作物)のうち、電圧600V以下で使用する部分の電気工事(電線路に係るものを除く)に従事できるようになります。この600V以下の部分の工事を「簡易電気工事」と呼びます。
会社に言われて調べ始めた人がまず引っかかるのが「自家用電気工作物」と「電線路に係るものを除く」という2つの言葉だと思います。ここを噛み砕いておきます。
- 一般用電気工作物:一般住宅や小さな店舗など、低圧(600V以下)で受電している建物。第二種電気工事士の守備範囲
- 自家用電気工作物:高圧(6,600Vなど)で受電して、自前のキュービクルで降圧して使うビル・工場・商業施設など
- 簡易電気工事:その自家用電気工作物のうち「600V以下で使う部分」の工事。キュービクルの二次側から先のコンセント・照明・動力盤まわりなどがイメージしやすいです
つまり認定電気工事従事者は、キュービクルで受電しているビルや工場の「二次側(低圧側)」の工事ができるようになる、というのが現場感覚での理解です。受変電設備そのものの中身については、こちらが詳しいです。

逆に「できないこと」もはっきりさせておくべきです。「電線路に係るもの」、つまり高圧の電線路(ケーブルや母線など高圧側)の工事はできません。ここは第一種電気工事士や特種電気工事資格者の領域です。さらに注意したいのが、認定を取っても一般用電気工作物(普通の戸建てなど)の工事ができるわけではない、という点です。それは第二種電気工事士の資格でカバーする範囲なので、「第二種+認定」をセットで持って初めて、住宅も低圧の自家用設備も両方触れる状態になります。
僕の整理では、認定は「第二種の上に”自家用の低圧側”という守備範囲を1枚足す資格」と捉えると、できる・できないの線引きがスッと入ってきます。
認定電気工事従事者と電気工事士・電験の違い
ここで多くの人が悩むのが「第一種を取ったほうが早いのでは?」という点です。結論から言うと、目的とゴールが違うので、まずは違いを表で押さえるのが早いです。
| 資格 | 取り方 | 触れる範囲 |
|---|---|---|
| 第二種電気工事士 | 国家試験(筆記+技能) | 一般用電気工作物(住宅など低圧) |
| 認定電気工事従事者 | 講習+申請 or 申請のみ | 自家用電気工作物の600V以下(簡易電気工事) |
| 第一種電気工事士 | 国家試験+実務経験 | 一般用+自家用(最大電力500kW未満、高圧含む) |
| 電気主任技術者(電験) | 国家試験 | 工事ではなく自家用設備の「保安監督」 |
ポイントは3つあります。
ひとつ目は、認定は「工事の資格」だが電験は「保安監督の資格」で、そもそも役割が別物だという点です。電験は工事をするための資格ではありません。電気主任技術者の役割はこちらで整理しています。

ふたつ目は、認定 vs 第一種の判断軸です。第一種電気工事士は高圧側まで触れて守備範囲が圧倒的に広い反面、難関の国家試験に加えて免状交付に実務経験が必要で、5年ごとの定期講習もあります。一方の認定は試験なし・更新なし。「いま現場で低圧側の簡易電気工事に従事したいだけ」なら認定で十分、「将来的に自家用全般を任される立場を目指す」なら第一種、という分け方が現実的です。
みっつ目は、両者は対立ではなく階段だという点です。認定で簡易電気工事の実務を積むと、その経験が第一種電気工事士の免状交付要件(実務経験)にも効いてきます。つまり「まず認定で実務に入り、経験を貯めて第一種へ」という順番は理にかなっています。
個人的には、会社から認定を勧められた時点では「第一種と迷う」必要はないと思っています。認定は取得コストが低く、現場の選択肢を即増やせるので、先に取って実務を回しながら第一種を狙うのが無駄のないルートです。
取得パターンは2つ|あなたは「申請のみ」?「講習+申請」?
認定電気工事従事者の取り方は、保有資格と実務経験によって「申請のみ」と「講習+申請」の2パターンに分かれます。ここを最初に判定しておかないと、要らない講習を申し込んだり、逆に講習が必要なのに申請書だけ送って差し戻されたりします。
自分がどちらかは、次の基準で判定できます。
- 申請のみでOK:①第一種電気工事士試験に合格している/②第二種電気工事士の免状交付後3年以上の実務経験がある/③電気主任技術者(電験)または電気事業主任技術者の免状交付後3年以上の実務経験がある
- 講習+申請が必要:第二種電気工事士、または電験の免状は持っているが、免状交付後の実務経験が3年未満
ここで一番引っかかるのが「3年の実務経験はどこから数えるのか」です。答えは「免状の交付を受けた日から」です。第二種に受かった日でも、実務を始めた日でもなく、免状交付日が起点になります。第二種を取って何年も現場に出ている人でも、免状交付から3年に届いていなければ講習が必要、という点は要注意です。
ちなみに「第一種電気工事士試験に合格」だけで申請のみOKになるのは、第一種は試験合格と免状交付(実務経験が要る)が別だからです。試験に受かっていれば、まだ第一種の免状が手元になくても認定は申請だけで取れる、というのが地味に得なポイントです。
僕の感覚だと、現場で「会社に言われて取る」層の多くは第二種+実務3年未満で、講習+申請パターンに該当します。まずは自分の免状交付日を確認して、3年経っているかどうかをはっきりさせるところから始めるのがおすすめです。
認定講習の概要(受講資格・科目・費用・最新日程の確認)
講習+申請パターンに該当する人が受けるのが「認定電気工事従事者認定講習」です。試験ではなく講習なので、受講して修了すれば修了証がもらえます。落とすための試験ではない、というのは安心材料です。
講習は一般財団法人 電気工事技術講習センターが実施しています。概要は次の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受講資格 | 第二種電気工事士、または電気主任技術者の免状交付を受けている |
| 申込方法 | インターネットによるWeb申込み(書面不可) |
| 受講料 | 12,500円(税込) |
| 講習科目 | ①配線器具・材料・工具 ②電気工事の施工方法 ③自家用電気工作物の検査方法 ④保安に関する法令 |
| 開催形態 | オンライン講習/集合講習(東京・愛知・大阪など) |
ひとつ注意点があります。第二種電気工事士または電験の免状が「講習日の前日までに交付されていない」と、講習を修了しても認定証が交付されません。免状申請中の人は、講習日に間に合うかを必ず確認しておきましょう。
それともうひとつ、本記事を含めてネット上の講習日程・申込期間は、書かれた時点の年度のものです。日程は毎年変わり、オンライン講習は抽選制の年もあります。実際に申し込む前には、必ず電気工事技術講習センターの公式サイトで最新の申込期間・開催日・会場を確認してください。「去年のブログに書いてあった日程で動いたら締め切り過ぎていた」というのが一番ありがちな失敗です。
正直なところ、講習自体は1日で終わる内容なので、身構える必要はありません。それより「申込期間が短く、回数も限られる」という運用面のほうが取りこぼしポイントです。
申請の流れと必要書類・費用・期間
講習修了証が出たら(または申請のみOKの人は最初から)、各地域の産業保安監督部に申請します。ここが「役所っぽくて面倒」と感じる山場ですが、揃えるものは決まっているので一度整理すれば難しくありません。
申請に必要な主な書類は次の通りです。
- 認定申請書・認定証交付申請書(様式は産業保安監督部のサイトでダウンロード)
- 写真(縦4cm×横3cm、裏に氏名・生年月日)
- 住民票の写し等、本人確認書類
- 返信用封筒(宛先記入)
- 収入印紙 4,700円分
- 免状のコピー(第二種電気工事士または電験)
- 講習修了証(講習を受けた人)/実務経験証明書(申請のみで実務3年の人)/試験合格証の写し(第一種試験合格者)
提出先は住んでいる地域を管轄する「産業保安監督部」です。北海道・東北・関東東北・中部近畿・中国四国・九州・那覇に分かれていて、自分の都道府県がどこの管轄かは各監督部のサイトで確認できます。「産業保安監督部って初めて聞いた」という人がほとんどだと思いますが、要は経済産業省の地方機関だと思っておけば大丈夫です。
費用と期間をまとめると、こうなります。
| パターン | 費用の目安 | 期間の目安 |
|---|---|---|
| 申請のみ | 収入印紙4,700円+住民票・写真代 | 申請から交付まで数日〜1か月 |
| 講習+申請 | 受講料12,500円+収入印紙4,700円+諸費用 | 講習日程に依存+申請後数日〜1か月 |
交付までの期間は地域差が大きく、郵送して数日で届くこともあれば1か月かかることもあります。「今度の現場までに必要」など期限がある人は、逆算してかなり早めに動くべきです。実務だと、申請のみOKの人でも書類の不備で差し戻されると1か月コースになるので、写真サイズや実務経験証明の事前FAX確認など、細かい指定を最初に潰しておくのが結局一番早いです。
現場での評価・手当は実際どうなのか
ここが、手続きサイトではあまり語られない部分です。「取ったら手当つくの?現場で評価されるの?」という心の声に、現場目線で答えます。
まず手当について。認定電気工事従事者は、第一種電気工事士や電験ほどの資格手当が付くことは正直少なめです。会社によっては数千円の手当や一時金が出るところもありますが、「これを取ったら毎月大きく給料が上がる」タイプの資格ではありません。手当そのものを狙うなら第一種電気工事士や施工管理技士のほうが効きます。1級電気工事施工管理技士のような上位資格の勉強法はこちらが参考になります。

では取る意味が薄いかというと、そうではありません。認定の評価は「手当」より「任される仕事の範囲」に出ます。自家用設備の現場で、認定を持っていれば低圧側の作業に正式に従事できる=戦力として数えられます。逆に認定が無いと、その作業は有資格者に回すしかなく、会社としては配置が組みにくい。だから「会社に取っといてと言われる」のは、手当をあげたいからではなく、現場に正規の戦力として入れたいからなんですね。
現場目線で言えば、認定の本当の価値は「自分が任される現場の幅が広がること」と「第一種に向けた実務経験を正規に積めること」の2点だと考えています。短期の給料アップではなく、中期のキャリアの土台として効いてくる資格、という整理がしっくりきます。
取らずに簡易電気工事をするとどうなる?
最後に、見落とされがちですが重要な話をします。「認定を取らずに自家用設備の簡易電気工事をやっていた」場合のリスクです。
結論から言うと、これは電気工事士法違反になり得ます。自家用電気工作物の簡易電気工事は、認定電気工事従事者か第一種電気工事士でなければ従事できません。第二種電気工事士の資格だけで自家用設備の低圧側を触っていたとしたら、それは資格範囲外の工事です。法令上、無資格での電気工事には罰則が定められています。
「先輩に言われて手伝っただけ」「現場ではみんなやってる」というケースもゼロではないと思います。ただ、感電・火災の事故が起きた時、無資格工事だったことが発覚すると、本人だけでなく会社の責任問題にも発展します。施工管理として現場を見る立場なら、誰がどの資格で何を施工しているかは管理対象です。
僕の考えでは、この資格は「自分のため」だけでなく「現場のコンプライアンスを守るため」に取る側面が大きいです。会社が取得を勧めるのは、無資格工事のリスクを潰しておきたいという意図も含まれているはずで、そう考えると「言われたから取る」も筋が通っています。電気工事業として正規に登録された会社で働く意味については、こちらも合わせて読んでみてください。

認定電気工事従事者に関するよくある質問
最後に、検索でよく出てくる細かい疑問をまとめておきます。
試験はありますか?
ありません。「申請のみ」か「講習+申請」のどちらかで、講習も修了が前提の内容なので、合否を競う試験はありません。試験勉強が要らないのがこの資格の特徴です。
更新は必要ですか?
不要です。一度交付された認定証に更新手続きはありません。第一種電気工事士のような5年ごとの定期講習も認定にはないので、取得後の手間はかかりません。
第二種を取ってすぐ申請のみで取れますか?
取れません。申請のみでいけるのは「第二種の免状交付後3年以上の実務経験」がある場合です。3年未満なら講習+申請になります。第一種試験に合格していれば、実務経験を待たず申請のみで取れます。
申請してからどれくらいで届きますか?
地域差がありますが、数日〜1か月が目安です。書類不備があるとやり直しで延びるので、現場の都合で期限がある人は早めに申請しましょう。
認定電気工事従事者に関する情報まとめ
- 認定電気工事従事者とは:第二種では触れない「自家用電気工作物の600V以下(簡易電気工事)」に従事できる認定資格
- できないこと:高圧の電線路、一般用電気工作物(住宅)。住宅も触るなら第二種とセットで持つ
- 第一種・電験との違い:認定は工事の資格、電験は保安監督の資格。広く任されたいなら第一種、まず実務に入るなら認定
- 取得パターン:第二種免状交付後3年以上の実務などなら「申請のみ」、3年未満なら「講習+申請」。3年は免状交付日から数える
- 講習:受講料12,500円、科目は配線器具・施工方法・検査・法令の4編。日程は公式サイトで最新を確認
- 申請:産業保安監督部へ。収入印紙4,700円+写真・住民票など。交付まで数日〜1か月
- 現場での評価:手当より「任される仕事の幅」と「第一種への実務経験」に価値が出る
- 無資格リスク:認定なしで簡易電気工事をすると電気工事士法違反になり得る
以上が認定電気工事従事者に関する情報のまとめです。
「会社に言われたから」で取り始める資格ですが、整理してみると”現場の戦力幅を広げ、第一種への土台を作り、無資格工事のリスクを潰す”という、施工管理側から見ても理にかなった資格だと分かります。まずは自分の第二種免状の交付日を確認して、「申請のみ」か「講習+申請」かを見極めるところから動いてみてください。電気施工管理としての次の一手を考えるなら、受変電設備や電気主任技術者の知識も合わせて押さえておくと、現場での立ち回りがぐっと楽になります。




