- 片持ち梁って結局どういう梁?
- キャンチレバーって片持ち梁のこと?
- たわみの公式 δ=PL³/3EI って何を表してる?
- 集中荷重と等分布荷重で公式はどう変わる?
- 係数(1/3とか1/8)が覚えられない
- 実際の数値で計算してみたい
- 曲げモーメントは固定端で M=PL でいいの?
- たわみの許容値ってL/250?
- 単純梁と比べてどれくらいたわむ?
- バルコニーや庇って片持ちなの?
- 図面のCG・CB・CSって何の記号?
- 片持ちスラブの施工で注意することは?
上記の様な悩みを解決します。
片持ち梁(かたもちばり)は、一端だけを固定して反対側を宙に張り出す梁で、英語ではキャンチレバー(Cantilever)と呼ばれます。バルコニーや庇など建築でも身近に使われていますが、「公式を見てもどう計算に使うか分からない」「図面のCB・CS記号がピンとこない」という人は多いはずです。今回は定義・力学的特性・公式といった基本を押さえた上で、現役の施工管理目線で「公式の覚え方」「具体的な計算例」「図面記号の読み方」「片持ちスラブの配筋・固定端の注意点」まで、試験でも現場でも使える形で整理しました。
なお、片持ち梁の反力・応力の詳しい求め方は別記事で深掘りしているので、本記事は公式の使い方・計算例・建築での実例に軸足を置いて解説します。それではいってみましょう!
片持ち梁とは?(キャンチレバー)
片持ち梁とは、結論「一端を壁や柱にガッチリ固定し(固定端)、もう一端は何も支えがない(自由端)状態で荷重を支える梁」のことです。英語のCantilever(カンチレバー/キャンティレバー)と同じ意味で、建築でも「キャンチレバー」「キャンチ」と呼ばれます。
両端を支える単純梁(両端支持梁)と違って、片持ち梁は片側だけで全部の荷重を受け止めます。だからこそ「下に柱を立てなくても張り出せる」のが最大の強みで、バルコニー・庇・看板など、空間を遮らずに張り出したい場所で使われます。
片持ち梁の2つの端を整理すると次の通りです。
- 固定端:壁・柱などに固定された側。垂直方向の反力に加え、回転を止める固定モーメントも受け持つ。応力が集中する
- 自由端:何も支えがない側。荷重が載るとここのたわみが最大になる
ポイントは、「固定端に力(応力)が集中し、自由端でたわみ(変形)が最大になる」という非対称な性質です。この一文を押さえておくと、後述の公式が「なぜ固定端の値か」「なぜ自由端のたわみか」と腑に落ちます。
片持ち梁の反力・モーメント・応力の詳しい求め方は、こちらで深掘りしています。

片持ち梁の力学的な特徴
片持ち梁では、せん断力・曲げモーメント・たわみの3つが、いずれも固定端で最大になります。
- せん断力:梁を上下にずらそうとする力。集中荷重なら荷重点から固定端まで一定、等分布荷重なら固定端へ向かって直線的に増えて最大
- 曲げモーメント:梁を曲げようとする力。固定端で最大、自由端でゼロ
- たわみ:変形量。自由端で最大、固定端でゼロ
このうち設計で最も問題になりやすいのが「たわみ」です。片持ち梁のたわみは梁の長さLの3乗(または等分布で4乗)に比例するため、長さを少し伸ばすだけでたわみが急増します。たとえば長さを2倍にすると、集中荷重のたわみは2³=8倍にもなります。「片持ちは長く伸ばすほど一気に垂れる」と覚えておくと、設計でも現場でも感覚が掴めます。
なぜ固定端に応力が集中するかというと、自由端側の荷重を支えるモーメントを、固定端ひとつで全部受け止めなければならないからです。てこの原理と同じで、支点(固定端)から荷重が遠いほど、固定端にかかる曲げは大きくなります。
片持ち梁の公式(せん断力・曲げモーメント・たわみ)
片持ち梁の基本公式を、集中荷重と等分布荷重に分けて整理します。記号の意味は、P=集中荷重、w=等分布荷重(単位長さあたり)、L=梁の長さ、E=ヤング率、I=断面二次モーメントです(「^」は累乗を表します)。
| 荷重 | 固定端のせん断力 V | 固定端の曲げモーメント M | 自由端の最大たわみ δ |
|---|---|---|---|
| 先端に集中荷重 P | V=P | M=PL | δ=PL^3/3EI |
| 全体に等分布荷重 w | V=wL | M=wL^2/2 | δ=wL^4/8EI |
曲げモーメントは、集中荷重なら固定端で M=PL(荷重×距離)、等分布荷重なら M=wL²/2 です。自由端から距離aの位置に集中荷重Pが載る場合は、固定端の曲げモーメントは M=P×a になります。
たわみは、集中荷重で δ=PL³/3EI、等分布荷重で δ=wL⁴/8EI。分母のEI(曲げ剛性)が大きいほど、たわみは小さくなります。つまり「硬い材料(Eが大きい)」「曲げにくい断面(Iが大きい)」ほどたわまない、という当たり前のことが式に表れています。
曲げモーメントの単位や考え方はこちらが参考になります。

公式の係数の覚え方
公式が覚えられないという人は、「共通ルール+係数」の2段階で覚えると楽です。
まず、たわみの式に共通して入る形を覚えます。
- 集中荷重によるたわみ:PL^3/EI(Lは3乗)
- 等分布荷重によるたわみ:wL^4/EI(Lは4乗)
集中荷重は3乗、等分布荷重は4乗、と覚えればここは固定です。あとは梁の種類ごとに係数を掛けるだけです。重要な係数は次の4つです。
- 単純梁・中央集中荷重:1/48(δ=PL³/48EI)
- 単純梁・等分布荷重:5/384(δ=5wL⁴/384EI)
- 片持ち梁・先端集中荷重:1/3(δ=PL³/3EI)
- 片持ち梁・等分布荷重:1/8(δ=wL⁴/8EI)
片持ち梁は「集中で1/3、等分布で1/8」とセットで覚えるのがコツです。この係数を見ると、片持ち梁(1/3)は単純梁(1/48)よりはるかに係数が大きい=同じ荷重でもよくたわむ、ということが数字からも分かります。
片持ち梁のたわみ計算例(集中・等分布)
公式は使って初めて身につくので、具体的な数値で計算してみます。
計算例1:先端に集中荷重
長さL=2m(2000mm)の片持ち梁の先端に、P=5kN の集中荷重が載る場合のたわみを求めます。断面はEI=2.0×10¹² N·mm² とします(仮の値)。
- 公式:δ=PL³/3EI
- 代入:δ=(5000 N ×(2000 mm)³)/(3×2.0×10¹² N·mm²)
- 計算:δ=(5000×8.0×10⁹)/(6.0×10¹²)=4.0×10¹³/6.0×10¹²≒6.7mm
自由端のたわみは約6.7mmと求められます。
計算例2:等分布荷重
同じ梁(L=2000mm、EI=2.0×10¹² N·mm²)に、w=3 N/mm(3kN/m)の等分布荷重が全体に載る場合です。
- 公式:δ=wL⁴/8EI
- 代入:δ=(3 N/mm ×(2000 mm)⁴)/(8×2.0×10¹² N·mm²)
- 分子:3×(2000)⁴=3×1.6×10¹³=4.8×10¹³
- 分母:8×2.0×10¹²=1.6×10¹³
- 計算:δ=4.8×10¹³ ÷ 1.6×10¹³=3.0mm
自由端のたわみは約3.0mmと求められます。
計算のコツは、単位をN(ニュートン)とmm(ミリメートル)に揃えてから代入することです。kNとm、NとmmなどがバラバラだとEIの単位と合わず、桁を間違えます。試験でも実務でも、まず単位を統一してから式に入れるのが鉄則です。
たわみの許容値(L/250)
たわみは「計算できた」だけでは不十分で、許容値に収まっているかの確認が必要です。日本建築学会の基準では、片持ち梁のたわみ許容値はおおむね L/250以下 とされています(一般の両端支持梁は L/300以下)。
| 梁の種類 | たわみ許容値 | 長さ2m(2000mm)の場合 |
|---|---|---|
| 片持ち梁 | L/250以下 | 8mm以下 |
| 両端支持梁 | L/300以下 | 約6.7mm以下 |
たとえば長さ2mの片持ち梁なら、許容たわみは 2000÷250=8mm。先ほどの計算例1(約6.7mm)は8mm以下なのでOK、というように判断します。たわみが許容値を超えると、床が揺れる・建具が動かない・仕上げにひびが入るといった使用上の不具合につながるので、断面を大きくするか長さを短くして調整します。
単純梁(両端支持梁)との違い・使い分け
片持ち梁と単純梁(両端支持梁)は、たわみと応力の出方がまったく違います。
| 比較項目 | 片持ち梁 | 単純梁(両端支持) |
|---|---|---|
| 支持点 | 1か所(固定端のみ) | 2か所(両端) |
| 最大たわみの位置 | 自由端 | 中央 |
| 最大曲げの位置 | 固定端 | 中央 |
| 同じ集中荷重のたわみ | δ=PL³/3EI | δ=PL³/48EI |
| たわみの大きさ | 大きい | 小さい(片持ちの約1/16) |
同じ長さ・同じ集中荷重なら、片持ち梁のたわみ(1/3)は単純梁(1/48)の16倍にもなります。それだけ片持ち梁は変形しやすい構造ということです。
使い分けは次の通りです。
- 片持ち梁を選ぶ:両端を支持できない、下に柱を立てたくない、張り出し(バルコニー・庇)が必要、自由端へのアクセスを確保したい
- 単純梁を選ぶ:両端に支持点が取れる、荷重が大きい、たわみを小さく抑えたい、経済的な断面にしたい
僕の整理では、片持ち梁は「強度より先にたわみで決まることが多い構造」です。曲げが固定端でもつかは断面係数で確認できても、自由端のたわみが許容値に収まらず断面が決まる、というケースが実務では少なくありません。
最大曲げモーメントがどこに出るかは、断面設計や配筋の位置に直結します。最大曲げモーメントの考え方はこちらが詳しいです。

片持ち梁の建築での実例(バルコニー・庇・キャンチレバー)
建築では、片持ち梁(キャンチレバー)は「張り出し」を作るために使われます。代表例は次の通りです。
- バルコニー:建物本体のスラブを外壁から張り出した片持ちスラブ。下に柱がなく開放的にできる
- 庇(ひさし):雨よけ・日射遮蔽。下部空間を塞がずに張り出せる
- 張り出し廊下・キャンチ階段:通路や階段を片持ちで支える
- 壁面看板:壁から突き出す看板。看板重量+風荷重を固定端で支える
荷重の種類で見ると、バルコニーや庇の床(スラブ自重・積載)は等分布荷重として、看板や設備機器など一点に載る重量物は集中荷重として扱うのが実務の基本です。
「張り出し」という言葉と片持ち梁の関係を整理したい場合は、こちらも参考になります。

図面記号(CG・CB・CS)の読み方
構造図で片持ち部材を示すときには、専用の記号が使われます。図面を読むときに知らないと見落とすので、押さえておきましょう。
| 記号 | 意味 | 使われ方 |
|---|---|---|
| CG | Cantilever Girder(片持ち大梁) | 主要な構造部材としての片持ち梁 |
| CB | Cantilever Beam(片持ち小梁) | 二次的な支持部材としての片持ち梁 |
| CS | Cantilever Slab(片持ちスラブ) | バルコニー・庇の床面を構成する片持ち板 |
通常の梁が「G(大梁)」「B(小梁)」、スラブが「S」で示されるのに対し、頭に「C(Cantilever)」が付くと片持ち部材です。図面で CB・CS の符号を見たら、「ここは片持ち=固定端側に応力が集中する」と即座に意識できると、配筋やサポートの注意点に気づけます。
【施工】片持ちスラブの配筋と固定端の注意
施工管理目線で片持ち梁・片持ちスラブを扱うとき、最重要なのが「固定端の配筋(特に上端筋)」です。ここを間違えると、構造的に致命的な事故につながります。
片持ち部材で押さえるべき施工の注意点は次の通りです。
- 上端筋が主役:片持ちは上側が引張になるため、主筋(引張鉄筋)は上端に入る。単純梁の感覚で下端に主筋を集めると逆で、極めて危険
- 上端筋の定着:固定端側の上端筋を、本体の梁・スラブにしっかり定着させる。定着不足は片持ちの付け根が折れる原因
- かぶり厚さと有効せい:上端筋がコンクリート表面に近すぎる・下がりすぎると、有効せいが減って耐力が落ちる。スペーサー・バーサポートで上端筋の位置を保持する
- 配筋時の踏み下げ防止:施工中に職人が上端筋を踏んで下がると、設計通りの位置に入らない。打設直前まで位置を確認する
- 型枠・サポート:片持ち部分は下に支えがないので、コンクリートが強度を出すまで支保工を確実に保持し、早期に外さない
片持ちスラブ(バルコニーなど)の事故で多いのが「上端筋の位置が下がって有効せいが不足」「定着不足で付け根が破断」です。施工管理としては、配筋検査で上端筋の位置・本数・定着を最優先で確認します。現場目線で言えば、片持ちは「上端筋がすべて」と言ってよく、ここの一点だけは図面と現物を必ず突き合わせるべきだと考えています。
配筋全般の確認ポイントはこちらが参考になります。

片持ち梁の長さ制限と断面の決め方
片持ち梁は長く伸ばすほどたわみと曲げが急増するため、実用上の長さには限界があります。一般的な目安は、鉄筋コンクリート造で2〜3m程度、鉄骨造で3〜5m程度とされ、これを超える張り出しが必要なら、中間支持を設けるか構造形式そのものを見直します。
断面を決めるときは、2つの条件を両方満たす必要があります。
- 曲げに対して:固定端の曲げモーメントMに対し、断面係数Zが足りるか(曲げ応力σ=M/Z が許容応力以下)
- たわみに対して:断面二次モーメントIが足りるか(δが許容値以下)
特にたわみは断面二次モーメントIで効くので、H形鋼のように「せい(梁の高さ)」を大きくするとIが効率よく増え、たわみを抑えられます。たわみが厳しいときは、まず梁せいを上げる・断面を大きくするのが定石です。材料を高強度のものに変えても、ヤング率Eはそれほど変わらないため、たわみ対策には断面(I)の方が効きます。
そして片持ち梁で最も気を使うのが固定端の補強です。固定端は全荷重とモーメントを受けるので、RC造では固定端の鉄筋量を増やして定着を確保し、鉄骨造では接合部のボルト・溶接と補剛材を十分に取ります。既存の建物に後付けで片持ちを足す場合は、取り付く既存壁・既存躯体が反力に耐えられるかの確認が特に重要です。
片持ち梁の反力・応力をさらに詳しく
本記事は公式・計算例・建築実例に絞って解説しましたが、片持ち梁の反力・曲げモーメント図・せん断力図・応力分布をもっと詳しく知りたい場合は、別記事で深掘りしています。
- 反力・モーメント・応力・実例の詳細:片持ち梁の基礎を体系的に
- 断面力(せん断力・曲げモーメント)の関係を理解したいとき
せん断力と曲げモーメントの関係はこちらが参考になります。

支点反力の求め方の基本はこちらです。

片持ち梁に関する情報まとめ
- 定義:一端を固定(固定端)、他端は自由(自由端)の梁。英語でキャンチレバー(Cantilever)
- 特徴:固定端に応力(せん断・曲げ)が集中、自由端でたわみが最大。たわみは長さの3乗(等分布は4乗)で効く
- 公式(集中):V=P、M=PL、δ=PL³/3EI
- 公式(等分布):V=wL、M=wL²/2、δ=wL⁴/8EI
- 係数の覚え方:集中はL³、等分布はL⁴。片持ちの係数は集中1/3・等分布1/8
- 計算のコツ:単位をN・mmに統一してから代入する
- たわみ許容値:片持ち梁はL/250以下(両端支持はL/300以下)
- 単純梁との違い:同条件で片持ちのたわみは単純梁の約16倍。張り出したいなら片持ち、たわみ・荷重重視なら単純梁
- 建築の実例:バルコニー・庇・張り出し廊下・壁面看板(床は等分布、看板は集中で扱う)
- 図面記号:CG(片持ち大梁)・CB(片持ち小梁)・CS(片持ちスラブ)
- 施工の要:片持ちは上端が引張=主筋は上端。上端筋の位置・定着・かぶりを配筋検査で最優先確認
- 長さと断面:RC造2〜3m・S造3〜5mが目安。たわみ対策は梁せい(I)を上げるのが効く。固定端補強が最重要
以上が片持ち梁に関する情報のまとめです。
片持ち梁(キャンチレバー)は、公式さえ押さえれば計算は決して難しくありません。集中荷重ならδ=PL³/3EI、等分布ならδ=wL⁴/8EI、固定端で曲げが最大、許容たわみはL/250——この核を押さえ、単位を揃えて計算する習慣をつければ、試験でも実務でも迷いません。そして現場では、片持ちは「上端筋が主役」「固定端が命」という2点を絶対に外さないこと。バルコニーや庇の付け根は、配筋一つで安全性が決まる場所です。公式の理解と現場の配筋、両方を押さえて初めて、片持ち梁を正しく扱えると言えます。
片持ち梁に関するよくある質問
Q1:片持ち梁とキャンチレバーは同じものですか?
同じものです。片持ち梁の英語名が Cantilever(カンチレバー/キャンチレバー)で、建築の現場では「キャンチ」と略して呼ばれることもあります。一端を固定し、もう一端を支えなしで張り出す梁を指し、バルコニーや庇のように下に柱を立てずに張り出したい場所で使われます。言葉が違うだけで、構造としては同じものを指していると考えて問題ありません。
Q2:片持ち梁のたわみの公式を教えてください。
先端に集中荷重Pが載る場合は δ=PL³/3EI、全体に等分布荷重wが載る場合は δ=wL⁴/8EI です。Lは梁の長さ、Eはヤング率、Iは断面二次モーメントで、EI(曲げ剛性)が大きいほどたわみは小さくなります。覚え方は「集中荷重はLの3乗・係数1/3」「等分布荷重はLの4乗・係数1/8」とセットにすると忘れにくいです。
Q3:片持ち梁の曲げモーメントは固定端でいくらになりますか?
固定端で最大になり、自由端でゼロです。先端に集中荷重Pが載る場合は M=PL、自由端から距離aの位置に載る場合は M=P×a です。全体に等分布荷重wが載る場合は M=wL²/2 になります。曲げモーメントが固定端で最大ということは、配筋(引張鉄筋)も固定端側を最も手厚くする必要がある、ということです。
Q4:片持ち梁のたわみの許容値はどれくらいですか?
日本建築学会の基準で、片持ち梁はおおむね L/250以下 とされています(一般の両端支持梁は L/300以下)。たとえば長さ2m(2000mm)の片持ち梁なら、許容たわみは 2000÷250=8mm です。計算で求めたたわみがこの値以下に収まっているかを確認し、超える場合は断面を大きくする(特に梁せいを上げる)か、長さを短くして調整します。
Q5:片持ち梁と単純梁では、たわみはどれくらい違いますか?
同じ長さ・同じ集中荷重なら、片持ち梁のたわみ(δ=PL³/3EI)は単純梁(δ=PL³/48EI)の約16倍になります。片持ち梁は片側だけで支えるぶん、はるかに変形しやすい構造です。そのため、たわみを小さく抑えたい・荷重が大きい場所では両端支持の単純梁が有利で、下に柱を立てずに張り出したい場所では片持ち梁を使う、という使い分けになります。
Q6:図面のCG・CB・CSは何を意味しますか?
頭の「C」はCantilever(片持ち)を表します。CGはCantilever Girder(片持ち大梁)、CBはCantilever Beam(片持ち小梁)、CSはCantilever Slab(片持ちスラブ=バルコニーや庇の床)です。通常の大梁G・小梁B・スラブSに対して、頭にCが付けば片持ち部材だと判断できます。図面でCB・CSを見たら「固定端に応力が集中する片持ち」と意識し、配筋や支保工の注意点を確認しましょう。
Q7:バルコニーの片持ちスラブで、配筋の注意点は何ですか?
最重要なのは「主筋(引張鉄筋)が上端に入る」ことです。片持ちは上側が引張になるため、単純梁の感覚で下端に主筋を集めると逆になり非常に危険です。さらに、上端筋を固定端側の躯体にしっかり定着させること、上端筋が下がらないようスペーサー・バーサポートで位置を保持すること、施工中に踏んで下げないことが重要です。配筋検査では、上端筋の位置・本数・定着を最優先で確認します。
Q8:片持ち梁はどのくらいの長さまで伸ばせますか?
実用上の目安は、鉄筋コンクリート造で2〜3m程度、鉄骨造で3〜5m程度です。たわみが長さの3乗で効くため、長くするほど急激に垂れやすくなり、許容値を超えやすくなります。これを超える張り出しが必要な場合は、中間に支持を設けるか、構造形式自体を見直します。長さを伸ばすより、梁せい(断面の高さ)を上げて断面二次モーメントを稼ぐ方が、たわみ対策としては効率的です。
合わせて読みたい記事はこちら。







