SI単位系とは?基本単位、組立単位、建築でよく使う単位など

  • SI単位系って結局、世界共通の単位ってこと?
  • 基本単位が7個あるらしいけど、建築で使うのは全部じゃないよね?
  • N/mm² って応力?強度?Pa や MPa との関係は?
  • kN と t(トン)、どっちで言えばいい?1t=何kN?
  • 昔の図面は kgf/cm² なのに、今は N/mm²。なんで変わったの?
  • 1kgf=9.8N?10Nでいいって人もいるけど、どっち?
  • 質量と重量って違うの?kg と kgf がごっちゃになる
  • k(キロ)や M(メガ)の接頭語、使い分けが曖昧
  • 単位を間違えると計算が桁違いになるって聞いて怖い
  • 結局、建築で覚えるべき単位だけ教えてほしい

上記の様な悩みを解決します。

SI単位系は、建築・設備の図面や構造計算で必ず使う「単位のルール」です。ただ、ネットで調べると物理や計測機器サイトの「7つの基本単位」の話ばかりで、現場で本当に困る「N/mm²って何?」「昔の図面のkgf/cm²とどう違うの?」には答えてくれないことが多いです。今回は基本単位・組立単位・接頭語といった土台を押さえた上で、建築で実際に使う単位だけに絞った「使う単位地図」と、旧単位(kgf・t)からの換算まで、施工管理目線で整理しました。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

SI単位系とは?

SI単位系とは、結論「世界共通で使えるように定められた単位の体系(国際単位系)」のことです。

SIはフランス語のLe Système International d’Unités(国際単位系)の略で、1960年の国際度量衡総会で採択されました。各国でバラバラだった単位を統一し、「一つの量には一つの単位」を理想として作られた実用的な単位体系です。日本でも計量法でSI単位への統一が進められ、建築・土木の世界も2000年前後を境にSI単位へ移行しました。だから古い図面と新しい図面で単位の表記が違う、という現象が起きています。

SI単位系は、ざっくり次の3つの部品でできています。

  • 基本単位:長さや質量など、土台になる7つの単位
  • 組立単位:基本単位を掛けたり割ったりして作る単位(面積m²、力Nなど)
  • 接頭語:単位の前につけて大きさを変える記号(k=1000倍、m=1/1000など)

「組立単位って何を組み立ててるの?」という疑問は、この構造を知ると解けます。たとえば面積は「長さ×長さ」なのでm²、速さは「長さ÷時間」なのでm/s、という具合に、基本単位を組み合わせて作っているわけです。

僕の整理では、SI単位系は「7つの土台(基本単位)+それを組み合わせた応用(組立単位)+大きさを調整するツマミ(接頭語)」という3層構造で捉えると一気に見通しが良くなります。全部を丸暗記するのではなく、この構造を握るのが先決です。

SI基本単位(建築で使うのはどれ?)

SI基本単位は7つありますが、結論「建築・施工管理で日常的に使うのは、長さ・質量・時間の3つがほとんど」です。

7つの基本単位は次の通りです。

基本量 名称 記号 建築での使用頻度
長さ メートル m 高い(寸法・スパン・高さ)
質量 キログラム kg 高い(材料・荷重の元)
時間 s 中(工程は時・日で扱う)
電流 アンペア A 設備・電気で高い
温度 ケルビン K 中(空調は℃が主)
物質量 モル mol 低い
光度 カンデラ cd 照明設計で使う

建築の構造・施工で主役になるのは長さ(m)と質量(kg)、そしてここから作られる力や応力の単位です。電流(A)は電気設備で必須、光度(cd)は照明設計、温度(K)は空調でそれぞれ顔を出します。物質量(mol)を現場で使う場面はほぼありません。

「7個全部覚えなきゃ」と身構える必要はなくて、自分の職種で使うものから押さえれば十分です。電気設備のアンペア、照明の光度などは、それぞれの記事で深掘りできます。

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個人的には、基本単位は「7つある」と知っておけば十分で、暗記の優先順位は長さ・質量・時間。残りは必要になった職種で覚える、というスタンスで全く問題ないと思っています。

SI組立単位とニュートン

SI組立単位とは、結論「基本単位を組み合わせて作る単位」で、建築では力のニュートン(N)が最重要です。

組立単位の中には、よく使うので固有の名前がついたものが22個あります。建築・設備に関係の深いものを挙げます。

組立量 名称 記号 基本単位での表し方
ニュートン N kg・m/s²
圧力・応力 パスカル Pa N/m²
仕事・エネルギー ジュール J N・m
仕事率 ワット W J/s
周波数 ヘルツ Hz 1/s

ここで一番つまずくのがニュートン(N)です。「Nは力の単位なのに、なぜkg×m/s²なの?」という疑問の答えは、力の基本式にあります。

力 F[N]= 質量 m[kg]× 加速度 a[m/s²]

これはニュートンの運動の第二法則そのものです。1Nは「1kgの物体に1m/s²の加速度を生じさせる力」と定義されています。建築で扱う荷重(重さによる力)は、質量(kg)に重力加速度(約9.8m/s²)を掛けたものなので、ここからkgf→Nの換算が出てきます(後述)。

そして応力・強度で出てくるN/mm²は、このNを面積(mm²)で割ったものです。つまりN/mm²は「単位面積あたりにかかる力」=圧力・応力の単位。Paも本質は同じ(N/m²)で、N/mm²はPaの大きい版にあたります。応力や強度の具体は、引張・圧縮・せん断の各記事で深掘りできます。

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現場目線で言えば、ニュートンは「重さそのものではなく、重さが生む“力”」と捉えると腑に落ちます。質量(kg)は物の量、力(N)はそれが押す・引っ張る作用。この区別ができると、後の換算でも混乱しません。

接頭語(k・M・G)の使い方

接頭語とは、結論「単位の前につけて大きさを1000倍ずつ変える記号」です。

建築でよく使う接頭語を整理します。

接頭語 記号 倍率 建築での例
ギガ G 10億倍(10⁹) GPa(ヤング係数)
メガ M 100万倍(10⁶) MPa(=N/mm²)、MPa表示の圧力
キロ k 1000倍(10³) kN(荷重)、kPa(圧力)、km
(なし) 1倍 N、Pa、m
ミリ m 1/1000(10⁻³) mm、mPa・s(粘度)
マイクロ μ 100万分の1(10⁻⁶) μm(表面粗さ)

「kやMは全部1000倍ずつ?」への答えはほぼイエスで、k→M→Gは1000倍刻みです。ここで実務上とても便利な関係があります。

1 N/mm² = 1 MPa

N/mm²とMPaは完全に同じ大きさです。1mm²=10⁻⁶m²なので、N/mm²はN/m²(Pa)の100万倍=MPaになる、という計算です。構造図ではN/mm²、設備の圧力ではMPaやkPa、と表記が分かれていても、「N/mm²=MPa」を知っていれば頭の中で繋がります。

「給水圧はMPa表示なのに、別の圧力はkPaで混乱する」というのも、1MPa=1000kPaという接頭語の関係で整理できます。給水圧力の基準など、設備側の圧力の扱いはこちらが参考になります。

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僕の感覚だと、接頭語は「k・M・Gは1000倍ずつ上がる、m・μは1000分の1ずつ下がる」とリズムで覚えるのが楽です。そして建築で一番効くのは「N/mm²=MPa」の一本。これだけは確実に握っておきたいところです。

建築でよく使う単位の地図

ここが建築特化の本丸です。結論、建築・施工管理で出てくる単位は「寸法・荷重・応力・圧力」の4系統に整理できます。

実務で頻出する単位を、用途とセットで地図にします。

系統 主な単位 何を表すか 出てくる場面
寸法 mm, m 長さ・距離 図面の寸法、スパン、階高
荷重(力) N, kN 力・重さによる荷重 集中荷重、反力
面荷重 N/m², kN/m² 単位面積あたりの荷重 積載荷重、床荷重
線荷重 N/m, kN/m 単位長さあたりの荷重 梁にかかる等分布荷重
応力・強度 N/mm²(=MPa) 単位面積あたりの力 コンクリート強度、許容応力度
圧力 Pa, kPa, MPa 流体や気体の圧力 給水圧、風圧、水圧試験
トルク N・m 回転させる力 ボルトの締付け

「荷重はkN/m²、応力はN/mm²、なぜバラバラなの?」への答えは、対象のスケールが違うからです。建物全体にかかる荷重は大きいのでkN・kN/m²で扱い、材料の断面にかかる応力は小さな面積(mm²)あたりで見るのでN/mm²で扱う。スケールに合わせて単位を選んでいるだけで、本質はどちらも「力」と「面積」の組み合わせです。

具体的に建築で頻出の単位を補足すると、こんな感じです。

  • コンクリート強度:Fc24なら24N/mm²。設計基準強度の表し方
  • 荷重・反力:kNで表す。柱反力○○kNなど
  • 等分布荷重:kN/m(梁)やkN/m²(床)で表す
  • ボルト締付けトルク:N・mで管理する

各単位の中身は、ヤング係数・許容応力度・等分布荷重・トルクといった個別記事に繋がっています。

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僕の考えでは、建築の単位は「7基本単位を全部覚える」より、この4系統(寸法・荷重・応力・圧力)の地図を持っておく方がはるかに実戦的です。図面で見慣れない単位に出会っても、「これは荷重系か応力系か」と当たりをつけられれば、意味を見失いません。

旧単位(重力単位系)との換算

ベテランと若手の単位がかみ合わない原因が、ここにあります。結論、昔の図面や会話で出てくる kgf・t は「重力単位系」という旧単位で、SI(N・kN)への換算を押さえれば一気に通訳できます。

なぜ単位が変わったのか。旧来は「1kgの物体にかかる重力」を1kgf(重量キログラム)として、力の単位に使っていました。これが重力単位系です。ただ、重力加速度は場所で微妙に変わるうえ、質量(kg)と力(kgf)で同じ「kg」を使うのが紛らわしい。そこで世界共通で厳密なSI(力はN)に統一された、という流れです。だから2000年前後を境に、図面が kgf/cm² から N/mm² に切り替わっています。

現場で効く換算は次の通りです。

旧単位(重力単位系) SI単位 換算の目安
1 kgf 約9.8 N(概算10N) 重力加速度9.8を掛ける
1 tf(トン重) 約9.8 kN(概算10kN) 1t≒約10kN
1 kgf/cm² 約0.098 N/mm²(概算0.1N/mm²)
210 kgf/cm² 約20.6 N/mm² ≒ 21N/mm² 昔の呼び強度の例

「1kgf=9.8N?10Nでいいの?」への答えは、用途で使い分けが正解です。厳密な計算では9.8(重力加速度)を使い、現場でのざっくりした感覚では「約10倍」で十分。「1t=約10kN」と覚えておけば、ベテランがtで言った荷重を図面のkNと頭の中で変換できます。これが心の声で多い「現場のtと図面のkNが繋がらない」の解消法です。

質量と重量の違いも、ここで整理しておきましょう。質量(kg)は「物そのものの量」で場所が変わっても不変、重量(力)は「質量×重力加速度」で重力の影響を受ける――この区別がSIと旧単位の混乱の根っこです。詳しくはこちらで深掘りしています。

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正直なところ、新旧の単位換算は「知らないと一生もやもやするが、対応表を一度頭に入れれば一生使える」たぐいの知識です。1t≒10kN、1kgf/cm²≒0.1N/mm²、この2つを押さえるだけで、古い図面とベテランの会話の大半が通訳できるようになります。

SI単位系に関するよくある質問

ここまでで触れきれなかった、現場で出やすい疑問をまとめておきます。

Q. N/mm² と MPa と Pa の関係は?

N/mm²=MPaで完全に同じ大きさです。Paはその100万分の1(N/m²)。建築の応力・強度はN/mm²(=MPa)、設備の圧力はkPaやMPaで表すことが多い、と覚えておけば混乱しません。

Q. 単位を間違えると、どれくらいヤバいの?

桁が変わるので致命的です。たとえば荷重をNとkNで取り違えると1000倍ズレます。kgfとNを混同すれば約10倍ズレる。構造計算で単位ミスは即・安全性の問題になるので、計算の前後で必ず単位を揃える癖が大事です。

Q. 換算をいちいち調べるのが面倒です

頻出の3つだけ暗記すれば大半が片付きます。「1N/mm²=1MPa」「1t≒約10kN」「1kgf≒約10N(厳密9.8N)」。この3本があれば、現場で出会う単位の通訳はほぼ網羅できます。

Q. 給水圧がMPa、別の圧力がkPaで混乱します

接頭語の違いだけです。1MPa=1000kPa。たとえば0.2MPa=200kPaなので、同じ土俵に乗せれば比較できます。

Q. 結局、建築で最優先に覚える単位は?

長さ(mm・m)、荷重(kN・kN/m²)、応力(N/mm²)、圧力(kPa・MPa)、トルク(N・m)。この5つの系統を押さえれば、建築・設備の図面と仕様書はほぼ読めます。

SI単位系に関する情報まとめ

  • SI単位系とは:世界共通の単位体系(国際単位系)。基本単位+組立単位+接頭語の3層構造
  • 基本単位:7つ。建築で主役は長さ(m)・質量(kg)・時間(s)、電気はアンペア(A)
  • 組立単位:基本単位の組み合わせ。建築は力のニュートン(N=kg・m/s²)が最重要
  • 接頭語:k・M・Gは1000倍ずつ上がる。重要関係は「1N/mm²=1MPa」
  • 建築の単位地図:寸法・荷重・応力・圧力の4系統で整理できる
  • 旧単位換算:1t≒約10kN、1kgf/cm²≒0.1N/mm²。質量(kg)と重量(力)は別物
  • 注意:単位ミスは桁違いの致命傷。計算前後で必ず単位を揃える

以上がSI単位系に関する情報のまとめです。

SI単位系は「物理の暗記項目」ではなく「図面とベテランの言葉を読み解く翻訳ルール」です。7基本単位を丸暗記するより、建築の4系統の単位地図と、旧単位との換算3本を握る方がはるかに実戦的だと思います。応力・荷重・圧力の各論は関連記事も合わせて読むと、単位の意味がさらに立体的になるはずです。

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