- 流量ってそもそも何?
- 流量と流速って何が違うの?
- L/min と m³/h ってどう換算するの?
- 流量計にはどんな種類があるの?
- 給水・排水・空調で流量の値ってどれくらい使うの?
- 施工管理として流量試験で何を見ればいいの?
上記の様な悩みを解決します。
「流量」は給排水・空調・消火・換気の設備設計において配管口径やポンプ容量を決めるベースになる数値で、施工管理が竣工検査・性能試験で立ち会う場面でも頻繁に出てきます。設計者が出した数字をそのまま受け取るだけでなく、「なぜこの値なのか」を1段だけ深く理解しておくと、現場での質問対応や竣工試験の見方が変わります。本記事では計算式・単位の基礎から、設備別の典型値、施工管理目線での確認ポイントまで一通りまとめました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
流量とは?
流量とは、結論「単位時間あたりに、ある断面を通過する流体の体積(または質量)」のことです。
水や空気のように流れる物質(=流体)が「1分間で何リットル流れるか」「1時間で何立方メートル流れるか」を表した量、と言い換えてもOK。設備設計では水と空気が対象になることがほとんどで、本記事も主にこの2つを扱います。
よく似た言葉との違い
- 流速(V):流体が流れる速さ(m/s など)
- 流量(Q):単位時間に流れる体積(L/min、m³/h など)
- 流体力(F):流体が物体に与える力(N など)
「流速 × 配管断面積 = 流量」という関係なので、流速と流量はセットで考えるのが基本。流速だけ速くても、配管が細ければ流量は小さくなります。
水と関係する物理量についてはこちらでも整理しています。

流量の計算式と単位
流量を扱う上で外せないのが、Q = A × V の式と単位の整理です。
基本公式:Q = A × V
流量の基本式は以下の通り。
Q(流量)= A(断面積)× V(流速)
- Q:流量 [m³/s]
- A:流路の断面積 [m²]
- V:平均流速 [m/s]
例:内径100mm(A = π×0.05² ≒ 0.00785 m²)の配管に、流速2 m/s で水が流れているとき、流量は 0.00785 × 2 ≒ 0.0157 m³/s = 56.5 m³/h = 942 L/min となります。
「口径と流速が決まれば、流量は計算できる」という関係は、配管口径選定の根本になる発想なので、丸暗記しておきたい1本目の式です。
流量の主な単位と換算
設備で頻出する流量単位の換算表です。
| 単位 | 読み方 | 主な用途 |
|---|---|---|
| L/min(リットル毎分) | エルパーミニッツ | 給水器具・消火・住宅給水 |
| L/s(リットル毎秒) | エルパーセック | 排水負荷計算 |
| m³/h(立方メートル毎時) | リューベパーアワー | 給水ポンプ・冷温水・水道メータ |
| m³/min | リューベパーミニッツ | 換気量・送風機 |
| m³/s | リューベパーセック | 大規模送風・河川流量 |
| CMH | シーエムエイチ | 換気量(m³/h と同義) |
主な換算関係
- 1 m³/h = 1,000 L/h ≒ 16.7 L/min
- 1 L/min = 0.06 m³/h
- 1 m³/min = 60 m³/h ≒ 16.67 L/s
「給水・冷温水は m³/h、消火・住宅は L/min、換気は m³/h(CMH)」という業界別の使い分けがあるので、計算するときに単位変換ミスをしないことが最重要。
質量流量と体積流量の違い
実は流量には2種類あります。
- 体積流量:単位時間あたりの体積(m³/h など)→ 設備で多用
- 質量流量:単位時間あたりの質量(kg/h など)→ プラント・蒸気で多用
水は密度がほぼ1,000 kg/m³ なので体積と質量の換算が単純ですが、空気や蒸気は温度・圧力で密度が大きく変わります。標準状態(20℃・1気圧)での体積(Nm³)か、実際の状態の体積(Am³)かを取り違えると、空調や工業ガスでは大事故になるので要注意。
流量計の種類
流量を測る計器が流量計(フローメーター)です。設備で使われる主要なタイプを整理します。
電磁流量計
電磁流量計は、配管内を流れる導電性の液体が磁場を横切ったときに発生する起電力から流量を求める計器。
特徴
- 圧力損失がほぼゼロ(流路に障害物がない)
- 高精度(±0.5% 前後)
- 導電率が一定以上ある液体に限る(純水や油は不可)
- 上水・冷温水・下水で広く採用
ビル・工場の冷温水系統や上水道では定番の流量計で、計装盤で流量・積算流量がモニタリングされます。
超音波流量計(クランプオン)
配管の外側にセンサを巻き付けるだけで流量を測れるタイプ。
特徴
- 配管を切断・加工しなくても測れる
- 既設配管の流量試験に最適
- 精度は電磁式より落ちる(±1〜2%)
- 配管材質・流体条件で適用範囲あり
施工管理として「既設配管の現状の流量を確認したい」と言われた時、最初に検討するのがこのタイプ。竣工後のクレーム対応や省エネ調査でも頻繁に登場します。
差圧式流量計(オリフィス・ベンチュリ)
配管に絞りを設けて、絞り前後の圧力差から流量を求める方式。
特徴
- 構造が単純で安価
- 圧力損失がやや大きい
- 蒸気・ガス・大流量水で使用
- 工業プラントの定番
容積式流量計(歯車式・回転式)
機械的な歯車やロータの回転回数で体積を計測するタイプ。
特徴
- 高精度で粘度の影響を受けにくい
- 油・薬品・水道メータで多用
- 構造が複雑で異物に弱い
水道メータは容積式や接線流羽根車式が中心で、各家庭に必ず1個ついています。
タービン式・羽根車式
配管内のタービンの回転数で流量を測る方式。住宅の水道メータで親しまれているタイプの仲間です。
流量計の選び方の早見
| 用途 | 推奨流量計 | 理由 |
|---|---|---|
| 上水・冷温水(ビル・工場) | 電磁式 | 高精度・低圧損 |
| 既設配管の現状調査 | 超音波(クランプオン) | 配管切断不要 |
| 蒸気・大流量ガス | 差圧式 | 構造単純で耐久 |
| 油・薬品 | 容積式 | 高粘度に強い |
| 各戸水道 | 羽根車式・容積式 | 安価・耐久 |
給排水・空調・消火・換気での流量の典型値
設備別に「だいたいこれくらい」の流量感覚を掴んでおくと、図面チェックが速くなります。
給水・給湯設備の流量
給水量は用途別の原単位(人・日あたり)から積み上げて計算します。
用途別の給水量目安(参考値)
- 戸建住宅:200〜400 L/人・日
- 集合住宅:200〜350 L/人・日
- 事務所:60〜100 L/人・日
- 学校:70〜100 L/人・日
- 病院(一般):1,500〜3,500 L/床・日
- 飲食店:55〜130 L/客・回
給水器具のピーク流量目安
- 大便器(フラッシュバルブ):110 L/min(瞬間)
- 大便器(ロータンク):12〜15 L/回
- 洗面器:8〜10 L/min
- 浴槽水栓:30 L/min
- シャワー:12〜18 L/min
- 流し(給湯):12〜20 L/min
「事務所の給水主管が3 m³/h くらい」「戸建のシャワーが12 L/min」という感覚値を持っておくと、流量計の表示を見たときに違和感に気付きやすくなります。
給水工事の流れはこちらでも整理しています。
排水設備の流量
排水は器具排水負荷単位(DFU)で集計してから流量に換算するのが定番。L/s 単位で扱います。
主な器具の排水負荷単位(住宅・小規模建物)
- 大便器:4〜6 DFU
- 洗面器:1 DFU
- 浴槽:2 DFU
- 流し(厨房):2〜3 DFU
排水主管は勾配と管径で流せる流量の上限が決まるので、流量計算と同時に勾配計画もセットで考えます。
排水勾配・排水ポンプはこちらの記事もどうぞ。
空調冷温水の流量
空調機(FCU・AHU)の冷温水流量は、Q(顕熱)= ρ × Cp × G × ΔT から逆算します。
よく使われる感覚値
- 冷水送り:7℃/戻り:12℃(ΔT = 5℃)
- 温水送り:50℃/戻り:40℃(ΔT = 10℃)
- 1RT(冷凍トン、約3.52 kW)あたり:約 10〜13 L/min(ΔT=5℃)
例:50RT のFCU群を冷水で受ける場合、約 500〜650 L/min の冷水流量が必要、というオーダー感。冷温水ポンプの流量・揚程は、空調機リストの合計から積み上げるのが基本ルートです。
空調設備の基礎はこちらでも整理しています。
換気量
換気は m³/h(CMH) で扱います。
法定換気量の代表例
- 居室の機械換気:1人あたり 20 m³/h(建築基準法施行令20条の2)
- 住宅24時間換気:0.5回/h(住宅居室)
- 厨房:火気使用設備に応じて算出(建築基準法)
- 浴室:100〜150 m³/h
- トイレ:50〜75 m³/h
送風機選定の目安
換気送風機の運転点は、必要風量×静圧 の交点で決まるので、ダクト長・分岐数を踏まえた静圧計算と必ずセットで検討します。
換気量計算とダクト材料の話はこちらでも。

消火設備(スプリンクラー・屋内消火栓)の流量
消火設備は法令で流量・水源水量が直接定められています。
スプリンクラー(標準型ヘッド)
- 1ヘッドあたり 80 L/min 以上で20分間
- 同時開放数(10〜15個)× 80 L/min × 20分 = 水源水量
屋内消火栓(1号消火栓)
- 1栓あたり 130 L/min 以上で20分間
- 同時2栓開放想定 → 水源量約 5.2 m³
スプリンクラーの設置範囲・ヘッド種別はこちらの記事で。

施工管理視点で流量を確認するポイント
設計値を「ただ受け取る」のではなく、現場で確かめるべき場面が必ずあります。
流量試験(性能確認試験)の立ち会い
ビルの竣工試験で必ずやるのが、ポンプの性能確認試験と各系統のバランシング。
ポンプ性能試験で見るポイント
- 締切圧(吐出弁を絞った時の圧力)
- 規定点流量(設計流量・揚程の交点)
- 過負荷点(流量を増やしたときの電流値)
- ポンプの性能曲線と実測値の重ね合わせ
ポンプは「規定点で運転されているか」が一番大事。流量計の指示値が規定点に乗っていなければ、配管抵抗が想定と違うか、ポンプ羽根車の選定が違うか、いずれかで原因切り分けが必要です。
配管バランシングのチェック
冷温水系統や大規模給水系統では、各支管の流量が設計通り行き渡っているかを確認するのがバランシング。
バランシングで使う道具と数値
- 流量計(電磁式・超音波式)
- バランシングバルブ(流量調整弁)
- 系統別の設計流量リスト
各支管が設計流量より大きく外れていれば、バランシングバルブの開度調整で揃えていきます。流量計が設計値の±10%以内に入ることを目安に、現場で粘り強く合わせ込むのが施工管理として求められる動きです。
ポンプの選定が現場とずれた時の対応
「設計流量で運転すると、ポンプ電流が定格を超える」というトラブルは現場あるあるです。原因と対応の典型例:
- 配管摩擦が想定より小さい → ポンプが過負荷気味 → 吐出弁を絞って規定点に戻す
- 配管摩擦が想定より大きい → 流量が出ない → 配管経路や口径を見直す or インペラ径変更
- ストレーナ詰まり → 流量が出ない → 清掃で復旧
「流量と揚程はトレードオフ」というポンプの基本特性を知っていると、現場で起きる不具合の原因を1段速く絞り込めるようになります。
ポンプ・配管系のトラブルを切り分けるときは、配管工事側の知識も役立ちます。

流量計の取付位置の落とし穴
意外と現場で揉めるのが、流量計の取付位置。
- エルボや分岐の直近に取り付けると、流れが乱れて指示値がブレる
- メーカ指定の 直管部(上流5D・下流3D 程度) を確保する
- バルブやレジューサ(口径変換)の直後も避ける
「直前にエルボがあって流量計の値が安定しない」というトラブルは、僕も電気施工管理時代に他社の流量計まわりで何度か見ました。竣工試験で流量がバラつくときは、まず取付位置から疑うのが鉄則です。
流量に関する情報まとめ
- 流量とは:単位時間に流路を通過する流体の体積(または質量)
- 基本式:Q = A × V(断面積 × 流速)
- 主要単位:L/min・m³/h・L/s・m³/s(用途で使い分け)
- 流量計の種類:電磁式(高精度)、超音波式(既設対応)、差圧式(蒸気)、容積式(油・水道メータ)
- 設備別の感覚値:事務所給水60〜100 L/人日、大便器FV 110 L/min、冷水ΔT5℃で1RT≒10〜13 L/min、居室換気20 m³/h・人、SP1ヘッド80 L/min
- 施工管理視点:ポンプ性能試験・バランシング・取付位置の直管部確保
以上が流量に関する情報のまとめです。
流量は「設計の数字」と思われがちですが、現場ではポンプ運転点・バランシング・流量計指示値として施工管理が必ず立ち会うフェーズが出てきます。設計値の根拠を1段だけ深く理解しておくと、竣工試験で「この流量は設計通りなのか」を即座に判断できるようになります。「口径と流速が決まれば流量が出る」という関係を頭に入れて、図面・現場の双方で活かしていきましょう。
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