- パラペットってどこのこと?
- 何のためにあるの?
- 高さってどう決まるの?
- 笠木ってのはセットなの?
- 防水はどう納める?
- 現場で気をつけることは?
上記の様な悩みを解決します。
「パラペット」は屋上・バルコニーの縁にぐるっと立ち上がる小さな壁のこと。地味ですが屋上防水のキモに直結する部位で、施工管理として納まりを理解していないと漏水トラブルに直結します。短時間でしっかり押さえておきたいキーワードです。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
パラペットとは?
パラペットとは、結論「屋上やバルコニーの外周に立ち上がっている、低い壁状の構造物」のことです。
英語で「Parapet(パラペット)」。日本語では「胸壁(きょうへき)」とも呼ばれます。
パラペットの特徴
- 屋上・バルコニー・庇(ひさし)の外周部に立ち上がる壁
- 高さは300〜1,200mm程度が一般的
- 屋上防水の水切り基点になる
- 笠木(かさぎ)でトップを保護する
- 構造体の一部 or 後施工のいずれかで作られる
「屋上の縁にあるあの低い壁」と覚えておけばOK。マンションのバルコニー手すり下にもあるし、ビルの屋上を見上げると外周にぐるっと巡っているアレです。
パラペットの役割
地味な存在ですが、実は5つくらいの仕事を兼ねている重要部位。
パラペットの主な役割
- 転落防止:屋上・バルコニーからの人や物の落下を防ぐ
- 防水の立ち上がり基点:屋上防水を立ち上げる土台になる
- 雨水の流れの制御:雨水を屋上ドレンへ誘導
- 意匠の統一:建物外観の上端ラインを整える
- 設備機器の隠し:屋上のキュービクル等の見切り
「ただの飾り壁」ではなく、防水・安全・意匠の3面を担っているのがミソ。
新築工事の流れの中ではこちら。

パラペットの高さの基準
労働安全衛生法・建築基準法で最低高さの基準が定められています。
パラペットの高さの基準
- 屋上を人が利用する場合:1,100mm以上(建築基準法施行令)
- メンテ用屋上:原則として転落防止柵で代替可
- 共同住宅のバルコニー:1,100mm以上の手すり等
- 戸建住宅のバルコニー:おおむね1,100mm以上推奨
100mmを切ると、つまずいて落下するリスクが高くなるので、メンテ専用屋上でも最低300〜600mmは欲しいところ。
笠木(かさぎ)との関係
パラペットの上端には、笠木という被せ金物 or コンクリート天端が必須。
笠木の役割
- パラペット上端の防水保護:水の浸入を防ぐ
- 意匠の仕上げ:外観の見切り
- 構造体の保護:紫外線・雨水による劣化を防ぐ
- 安全性向上:縁の鋭さを和らげる
笠木の主な種類:
| 種類 | 特徴 | 用途 |
|---|---|---|
| アルミ笠木 | 軽量、防錆◎ | 戸建・低層 |
| ステンレス笠木 | 耐食性最強 | 沿岸・厳しい環境 |
| ガルバリウム笠木 | コスト中、防錆◎ | 中層・商業 |
| モルタル笠木 | 構造一体 | 中高層RC |
| コンクリート笠木 | 重厚、長寿命 | 高級RC建築 |
笠木は勾配付き(外側に向けて1〜3%程度)にして、雨水を屋上側に流さない設計が基本。
パラペットの防水納まり
パラペットは屋上防水の最重要ポイント。納まりを理解しておきましょう。
立ち上がり防水
屋上のシート防水・アスファルト防水を、パラペット内側に最低150mm立ち上げるのが基本。
立ち上がり防水の標準寸法
- アスファルト防水:パラペット内側に150〜300mm立ち上げ
- シート防水(塩ビ系):150〜250mm立ち上げ
- ウレタン塗膜防水:150〜200mm立ち上げ
- 押え金物・水切り金物で上端を固定
立ち上がり高さが足りないと、台風時の吹き上がり水が防水層を超えて躯体側に侵入します。
笠木下のシール処理
笠木とパラペット躯体の取り合いには、シーリングを充填。これがあるとないとでは、5〜10年後の漏水確率が天と地ほど違います。
シーリングの3面接着問題は外壁記事で詳しく書いています。

ドレン周りの納まり
パラペットの内側にルーフドレン(屋上排水口)を設置するのが標準。ドレン周りの防水補強は施工管理で必ずチェックすべきポイント。
パラペットの構造的な作り方
施工方法は構造種別で変わります。
RC造のパラペット
スラブと一体にコンクリート打設するのが基本。鉄筋を立ち上げて、型枠を組んで、屋上スラブと同時打設するパターンが多いです。
ハツリ作業で改修する場合はこちら。

鉄骨造のパラペット
LGS(軽量鉄骨)下地+外壁仕上げで組まれることが多い。RC造より軽量化できるのが利点ですが、剛性確保にちょっと工夫が必要。
LGSの基本はこちら。

木造のパラペット
戸建陸屋根住宅で見られる。木下地+金属板仕上げ+笠木の構成が標準。結露・腐朽のリスクが他構造より高いので、通気・防水設計を慎重に。
施工管理として押さえるパラペットのポイント
現場でパラペットを管理する際のチェックリスト。
パラペット施工管理のチェック項目
- 高さの確認:法基準+設計図書通りか
- 配筋検査(RC造):立ち上がり主筋・補強筋
- 防水立ち上がり寸法:150mm以上確保
- 笠木の勾配:外向きor内向き、設計通り
- シーリングの2面接着:3面接着NG
- ドレン周りの補強:防水増し張り
- ジョイント部の処理:パラペット内側の継手の納まり
- 避雷導線・アース・アンテナの取り合い:屋上設備
- メンテ通路の確保:将来の防水改修時の動線
パラペット貫通部は「漏水トップ3」の常連ポイント
屋上の避雷針設備・避雷導線・空調冷媒管・フード等はパラペットを貫通することが多く、その納まりが5年後の漏水クレームの典型原因になります。鉄則は「貫通スリーブ+立ち上げ150mm以上+傘金物(フード)+シーリング」の4点セット。貫通孔そのままに防水テープだけ貼って終わりは最悪パターン。屋上の漏水は階下の天井に直接出るので影響が大きく、防水業者・電気業者・元請の3者で納まり詳細を承認してから着手するのが安全です。
避雷針設備とパラペットの取り合いについては設備系の知識も必要。

パラペットに関する情報まとめ
- パラペットとは:屋上・バルコニー外周の立ち上がり壁(胸壁)
- 役割:転落防止/防水立ち上がり基点/雨水誘導/意匠統一/設備隠し
- 高さ:人が利用する屋上は1,100mm以上、メンテ用は300〜600mm目安
- 笠木:上端保護用。アルミ/ステンレス/ガルバ/モルタル/コンクリート
- 防水納まり:内側に150〜300mm立ち上げ/シーリング2面接着/ドレン周り補強
- 構造別:RC造(一体打ち)/鉄骨造(LGS下地)/木造(木下地+金属板)
- 施工管理の勘所:高さ/配筋/立ち上がり寸法/笠木勾配/シーリング/ドレン補強
以上がパラペットに関する情報のまとめです。
一通りパラペットの基礎知識は理解できたと思います。「パラペット=屋上防水の最前線」という意識を持っておけば、漏水トラブル予防の施工管理ができますね。
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