- 給水ポンプってなに?
- 加圧/受水/直結ってどう違うの?
- 電気容量や制御はどうなる?
- 設置場所はどこ?
- 施工で気をつけることは?
- メンテナンスは何をする?
上記の様な悩みを解決します。
給水ポンプは、マンション・ビル・病院・学校といった中〜高層建物に水道水を届ける設備です。電気施工管理として絡むと、ポンプ自体の据付は機械屋(給水屋)の仕事ですが、電源・制御・自動運転・防災連動が全部「電気側」に返ってくる設備で、けっこう厄介。「機械屋がポンプ持ってきたから繋いどいて」と言われて、よく分からないまま結線したらポンプが空回りした、なんて事故が普通に起こります。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
給水ポンプとは?
給水ポンプとは、結論「上水道の水を建物の各階に送り届けるためのポンプ」のことです。
水道本管の圧力だけでは2〜3階程度までしか上がらない(標準的な水道圧で水柱20〜30m)ので、それ以上の階に水を届けるには加圧する必要があり、その加圧装置が給水ポンプです。
水道法・建築物環境衛生管理基準(建築物衛生法)に基づいて、給水設備全体の衛生・安全性が規定されており、ポンプ単体でも、製造はJIS B 8313(小形渦巻ポンプ)やJIS B 8326(建築設備用循環ポンプ)に準拠した製品が使われます。
電気施工管理として絡むのは、主に以下の場面。
– ポンプの動力電源(三相200Vが多い)
– 自動制御盤の電源・配線
– 圧力センサー・水位センサーの信号線
– 故障警報の中央監視への取り込み
– 防災時(停電時)の発電機からのバックアップ電源
ポンプ屋・配管屋・電気屋の3者協業が必須で、電気施工管理は「制御の頭脳」を担う立場という認識でいると、現場での立ち位置が分かりやすいです。
給水ポンプの種類(給水方式別)
給水ポンプは、建物の給水方式によって役割と種類が変わります。給水方式は4パターンに整理できます。
①直結直圧方式
水道本管の圧力をそのまま使う方式。ポンプ不要。低層住宅(2〜3階建て)で採用。
②直結増圧方式(直結加圧)
水道本管に直結した「増圧ポンプ」で、水を建物上層に押し上げる方式。中層マンション(5〜10階建て)で多用。受水槽がいらない=衛生管理が楽、というメリットで、近年急増しているパターン。
増圧ポンプはインバータ制御で、使用流量に応じてポンプ回転数を自動調整する「変流量制御」が標準。1台で運転して故障時は予備機に切替、という1号機・予備機構成が定番です。
③受水槽方式(高架水槽方式・圧力タンク方式)
水道水を一度「受水槽」に貯めて、そこから建物各所に給水する方式。中〜大規模建物の伝統的な方式。
- 高架水槽方式:屋上に高架水槽を置き、自然落下で給水。下から「揚水ポンプ」で水槽に水を上げる
- 加圧給水方式:受水槽から「加圧給水ポンプ」で各所に直接送水
④受水槽+直結増圧併用方式
中規模ビル・マンションで、防災用水の確保と日常給水の効率化を両立する目的で増えています。
| 方式 | 主なポンプ | 採用建物 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 直結直圧 | 不要 | 戸建・低層 | 水道本管圧力で完結 |
| 直結増圧 | 増圧ポンプ | 中層マンション | 受水槽不要、衛生的 |
| 高架水槽 | 揚水ポンプ | 中〜大規模 | 屋上水槽、停電時も給水可 |
| 加圧給水 | 加圧給水ポンプ | 中〜大規模 | 受水槽から直接加圧 |
最近は「直結増圧」が新築マンションのスタンダード、というのが業界の流れです。受水槽方式は屋上水槽の保守・衛生管理が大変なので、新築では避けられがち。
給水ポンプの構成
給水ポンプ設備は「ポンプ単体」ではなく、複数の機器がセットで構成されます。
①ポンプ本体
渦巻ポンプ(センチュガル型)が圧倒的多数。複数の羽根を高速回転させて水に圧力を与える方式。3相200V、出力0.4〜22kWクラスが住宅・ビル向け。
②モーター
ポンプを回す動力源。3相かご型誘導電動機(200V)が標準。インバータ制御の場合、汎用モーター + インバータ盤の組み合わせ。
③制御盤
ポンプの起動・停止・自動運転・故障警報を担う頭脳。中身は、漏電遮断器、電磁接触器、サーマルリレー、インバータ、PLC(プログラマブルコントローラ)など。
④センサー類
- 圧力センサー:吐出側の圧力を検知し、ポンプ運転を制御
- 水位センサー(フロートスイッチ):受水槽の水位検知
- 流量センサー:使用流量に応じてインバータ制御
- 温度センサー:モーター・軸受の温度監視
⑤付帯機器
逆止弁、仕切弁、エア抜き弁、圧力タンク、配管系統。これらは機械屋が施工するが、電気の制御に絡むものはセンサーで監視。
給水ポンプの電気容量・制御
電気施工管理として最も重要な部分。ここで間違えると本当に動かないので、しっかり押さえてください。
電気容量の計算
ポンプの定格出力(kW)から、必要な電源容量を逆算。
– 0.75kWのポンプ × 1.5(始動時の余裕係数)= 1.1kVA程度の余裕
– 始動電流(直入れ始動の場合、定格の5〜7倍)に耐えるブレーカー選定
– 配線サイズはポンプ容量と距離から、許容電流の表で選定
主幹ブレーカーから給水ポンプ盤までは専用回路を引くのが原則。他の負荷と回路を共有すると、ポンプの始動電流で他の機器が瞬停する事故が起きます。

始動方法
- 直入れ始動:3.7kW以下の小容量で採用。シンプルだが始動電流が大きい
- スターデルタ始動:3.7〜22kW級で標準。始動電流を1/3に抑える
- インバータ始動:徐々に回転を上げて始動。起動電流が滑らかで、変流量制御も可能
近年は給水ポンプもインバータ化が標準で、固定速度(モーターを直入れで回す)方式は減ってきています。インバータの方が省エネ・水撃緩和・始動電流抑制と良いことづくめ。
制御回路
自動運転の基本動作は、
1. 圧力センサーが「圧力低下」を検知 → ポンプ起動
2. 圧力上昇 → 規定圧力で停止
3. 1号機が故障 → 警報出力+予備機自動切替
これを制御盤内のリレー・PLCシーケンスで組みます。アラート信号は中央監視盤・防災センターに引き込んで遠隔監視。
防災連動
火災発生時に、屋内消火栓・スプリンクラーに水が届かないと意味がないので、給水ポンプは非常用発電機からのバックアップ電源回路に接続するのが原則。停電時に自動で発電機側に切替えるシーケンスを電気盤で組みます。
給水ポンプの施工方法
施工フローは以下。
- 設計確認:給水方式、ポンプ容量、電源容量、設置場所、防災連動の有無
- 搬入計画:ポンプ本体・制御盤の搬入経路
- 基礎工事:ポンプ用コンクリート基礎の打設、防振パッド
- 本体据付:ポンプを基礎に固定、配管接続(機械屋)
- 電気配線:動力ケーブル、制御線、センサー線
- 制御盤設置・結線:盤を据付け、ポンプ・センサー・主電源を結線
- 試運転調整:水張り、エア抜き、圧力設定、自動運転試験
- 引渡し:取扱説明、点検契約案内
特に7の「圧力設定」は、現場で実機を回しながら調整するシビアな工程。圧力センサーの設定値(カットイン・カットアウト圧力)が建物の用途・階数で変わるので、設計値を機械屋・設計者と確認しながら進めます。
僕が経験した現場では、圧力センサーの設定が高すぎて、上層階の蛇口を開けるたびにポンプが「起動→停止→起動→停止」を繰り返す「ハンチング」状態に。設定圧力幅の調整、圧力タンク容量の見直し、インバータパラメータの調整、で何とか収束させました。試運転でじっくり調整できる時間を確保するのが大事ですね。
給水ポンプの注意点
実務でハマりやすいポイントを4つ挙げておきます。
①漏電遮断器の選定
水回りの設備なので、漏電対策は厳格に。給水ポンプ盤の主幹は必ず漏電遮断器(ELB)を設置。感度電流30mA、動作時間0.1秒以下が標準。漏電が発生してから人体に影響が出るまでの時間を考えた設定値です。
②空運転防止
ポンプは「水が来てない状態」で空運転すると、軸受が焼き付いて壊れます。受水槽方式の場合、水位センサーで「下限水位以下になったらポンプ停止」のシーケンスを組むのが必須。直結増圧方式でも、水道本管の断水を検知して停止する保護回路を組みます。
③インバータのノイズ対策
インバータはパワー半導体で電流を高速スイッチングするため、電磁ノイズ(EMI)が出ます。同じ盤内の制御回路や、近接する弱電線にノイズが飛び込むことがあるので、インバータと制御線の物理的分離・シールドケーブル使用・ノイズフィルタ設置で対策。
④ポンプ室の換気
ポンプ室は機械熱で気温が上昇しがち。換気扇を設置するか、機械室空調を入れる。室温が高いとモーターの寿命が短くなり、サーマルリレーが働いて停止する事故も起きます。
給水ポンプに関する情報まとめ
- 給水ポンプとは:建物の各階に水道水を加圧して送る設備
- 種類:直結直圧(ポンプ不要)/直結増圧/高架水槽式(揚水)/加圧給水の4パターン
- 構成:ポンプ本体+モーター+制御盤+センサー+付帯機器の5要素
- 電気容量・制御:始動方式、専用回路、自動運転シーケンス、防災連動が要点
- 施工:基礎→据付→電気配線→制御盤→試運転(圧力調整が肝)
- 注意点:漏電遮断器/空運転防止/インバータノイズ/ポンプ室換気
以上が給水ポンプに関する情報のまとめです。給水設備は「水が出る」のが当たり前で評価されない設備ですが、止まると一気にクレームに直結する重要設備。電気施工管理として、機械・電気・制御を横断して見る視野を持っておくと、給水ポンプの現場で頼られる存在になれます。一通り基礎知識は理解できたと思います。
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