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仮囲いとは?基準(高さ・面積)、種類、施工方法、注意点など

  • 仮囲いってなに?普通のフェンスと何が違う?
  • 高さは何mから必要?1.8mと3mがあるのはなぜ?
  • どんな素材があるの?鋼板とメッシュの使い分けは?
  • 設置するときの近隣対応や届出は?
  • 撤去のタイミングはいつ?

上記の様な悩みを解決します。

仮囲い(かりがこい)は、工事現場の周囲を一時的に囲うもの。安全と近隣保護のためにほぼ全現場で必要になるんですが、根拠法令が「建築基準法」と「建設工事公衆災害防止対策要綱」の2つに分かれているせいで、高さ要件が1.8mだったり3mだったりとややこしい。ここを整理しないまま発注すると、所轄の建築主事に指摘されて作り直し、なんてことも起きます。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

仮囲いとは?

仮囲いとは、結論「工事期間中だけ現場の境界に立てる、一時的な囲い」のことです。

建築・土木の工事現場では、解体・掘削・資材搬入・足場組みといった危険作業が日常的に行われます。第三者がうっかり敷地内に入ってしまうと、墜落・落下物・建設機械との接触といった重大事故に直結する。これを物理的に遮断するのが仮囲いの第一目的です。

ただ、第二・第三の目的も実は大きい。

  • 防犯(夜間・休日の資材盗難や不法侵入の抑止)
  • 騒音・粉塵・飛来物の遮断(近隣環境への配慮)
  • 視線遮蔽(工事現場の中身が外から丸見えになるのを防ぐ)

「とりあえず入れないように囲っておく」だけのもの、と思って軽く扱うと痛い目を見ます。実際、近隣からの苦情の半分くらいは「仮囲いから物が飛んでくる」「仮囲いと隣家の隙間が空いていて子供が入れてしまう」といった、囲い自体の品質に関する話だったりします。

仮囲いに似た用語に「養生シート」や「メッシュシート」がありますが、こちらは足場の外側に張る飛来落下物対策のシートで、地表に立てる仮囲いとは別物。混同しないように注意。

仮囲いの基準(建築基準法と公衆災害防止対策要綱)

ここが一番の山場で、根拠法令によって要件が違うので分けて押さえる必要があります。

①建築基準法施行令第136条の2の20(高さ1.8m以上)

建築基準法では、木造で高さ13m超もしくは軒高9m超の建築物、あるいは木造以外で2階建て以上の建築物の工事において、地盤面からの高さ1.8m以上の仮囲いを設けることが義務付けられています。

  • 対象:上記規模の建築工事
  • 高さ:1.8m以上
  • 設置位置:工事現場の周囲

逆に言えば、平屋の小規模住宅の改修などは基準法上は仮囲い義務の対象外。ただし、後述の公衆災害防止対策要綱や安全配慮義務はあるので、「立てなくていい」という判断にはほとんどなりません。

②建設工事公衆災害防止対策要綱(原則高さ3m以上)

国土交通省が定める「建設工事公衆災害防止対策要綱(建築工事編)」では、市街地で建築工事を行う場合、原則として高さ3m以上の仮囲いを設けることになっています。沿道の歩行者や近隣建物に対して、より高い遮蔽性能を求めるもの。

  • 高さ:原則3m以上
  • 例外:周辺状況によっては2m以上で可
  • 対象:市街地の建築工事

要綱は「直接の罰則を伴う法令」ではないものの、発注者・元請けの安全配慮義務・近隣対応の根拠となるので、無視はできません。公共工事の特記仕様書には大体「要綱に従うこと」と書かれています。

③労働安全衛生規則(墜落・落下物の観点)

労働安全衛生規則は仮囲いそのものを定めた条文はないんですが、足場の外側からの飛来落下物防止(第537条)や、関係労働者以外の立入禁止(第564条)の観点で、仮囲い・防護網と一体で扱われます。

つまり「基準法では1.8m、要綱では3m、安衛則では別途防護」という3層構造で、現場ごとに最大公約数を取るのが基本。住宅ならまだ1.8mで通るケースもありますが、駅前ビル工事で1.8mというのはまず通りません。

仮囲いの種類(鋼板パネル・メッシュフェンス・万能鋼板)

現場で見かける仮囲いは、用途と環境によって素材が分かれます。代表的な3種類を整理します。

種類 特徴 主な用途
鋼板パネル(万能鋼板) 厚さ0.4〜0.6mm程度の鋼板を成型したパネル。高さ3m・幅1mが標準 市街地の中規模以上のビル工事
メッシュフェンス 金網パネル。風を通すので強風に強く、視認性が良い 郊外・空地・短期工事
鋼板ゲート(出入口) 引き戸・観音開き式の搬入口専用パネル 全現場の搬出入口部分

①鋼板パネル(万能鋼板)

「万能鋼板」「Aパネル」と呼ばれることもあるのが、市街地工事の標準形。波板状の鋼板を1m幅・3m高に成型したもので、単管支柱と組み合わせて地表に固定します。表面は塗装やラッピングで、現場名・工事概要を印刷することが多いですね。

メリットは遮蔽性と耐久性。粉塵・騒音・視線をしっかり遮ります。デメリットは風荷重を全面で受けるため、強風で倒れるリスクがあること。後述しますが、控え(支え)の取り方で風対策が決まります。

②メッシュフェンス

金網状のパネル。風を通すので、強風時の倒壊リスクが低いのが最大の利点。ただし粉塵や視線を完全には遮れないので、市街地のクリーンな環境が求められる現場には向きません。

郊外の造成工事、駐車場の改修、短期間の足場工事の囲いなどでよく使われます。仮設機材リース会社のラインナップでは「メッシュゲート」「メッシュパネル」として並んでいます。

③出入口(ゲート)

仮囲いには必ず人と車両の出入口を設けます。ゲートは

  • 引き戸式(横にスライド)
  • 観音開き式(左右に開く)
  • 跳ね上げ式(上下に開く)

の3パターン。市街地の現場では、安全な出入と歩行者保護のために誘導員を配置するのが基本です。ゲート脇には看板や注意喚起の表示を貼り付け、夜間は施錠する運用にします。

選定の判断軸はおおよそ「市街地・長期=鋼板」「郊外・短期=メッシュ」「視線重視=鋼板+目隠し布」と覚えておけば実務で迷うことは少ないですね。

仮囲いの施工方法(建て込みの流れ)

施工の流れを、現場開設前から仮囲い完成までで追います。

①事前計画(着工2〜3週間前)

  • 敷地境界の確認(境界杭・境界標)
  • 仮囲いの位置・高さ・形状の決定
  • 出入口の位置・幅・形式の決定
  • 近隣周知(チラシ配布・挨拶回り)
  • 道路占用許可・道路使用許可の申請(境界外に出る場合)

ここで一番落とし穴になるのが「敷地境界の確認」と「道路占用許可」。特に道路占用は、警察と道路管理者(市町村か国交省)の両方の許可が要ることがあり、申請から許可までに2〜4週間かかることもあります。着工日から逆算しないと工程が遅れます。

②基礎・据付け

仮囲い本体を立てる位置の地盤を整地し、ベース(コンクリートブロック・H鋼ベース・くい打ち)で支柱を固定します。

  • ブロックベース:取り回しが楽、軟弱地盤や短期工事向き
  • 鋼製ベース+ウエイト:標準的な据付け方法
  • 杭打ち:強風地域・長期工事向き

鋼板パネル3mを単管支柱で建てると、風圧で倒壊するリスクがあります。控え(バックステー)を背面に伸ばすか、隣接物への控えロープで安定させるのが標準。最近は「自立型仮囲い」として控えなしで立てる商品もありますが、設置説明書通りのウエイト配置を守らないと簡単に倒れます。

③パネル取付け・出入口設置

支柱を固定したらパネルをはめ込み、ボルトで連結します。出入口は別途ゲートユニットを取り付け。

④仕上げ・サイン施工

パネルの隙間(特に地面と仮囲い下端)をモルタルや木材でふさぎます。下端の隙間からの飛び石・粉塵漏れは近隣クレームの定番なので、ここは丁寧に。

最後に現場名標識(建築基準法第89条で工事現場の表示が義務付けられている)、建設業許可票、施工体系図、安全標語などを掲示すれば完了です。

道路占用許可で敷地外に仮囲いを出している場合は、夜間の自動点滅警告灯の設置、歩行者通路(仮設歩道)の確保など追加の安全措置が必要になります。

仮囲いの注意点(風対策・近隣トラブル・撤去まで)

施工管理として現場でよく遭遇するトラブルを5つ整理します。

①強風時の倒壊

最大の事故リスク。台風シーズンは特に要注意で、気象庁が暴風警報を発令する前に、控えの増設・パネル一部撤去(風抜き)・ロープ補強といった事前措置を取る必要があります。倒壊して通行人に当たれば即重大事故です。

過去の事例だと、自社施設の仮囲いが台風で倒れて隣接マンションの窓ガラスを割る、ということもあります。仮囲いリース会社からは台風直前にFAXやメールで「補強指示書」が来ることもあるので、これは無視せず対応すること。

②近隣トラブル(騒音・粉塵・視線)

仮囲いの下端隙間や、パネルとパネルの隙間からの粉塵・小石の飛び出しは、すぐに苦情につながります。隣家の窓に向く位置は、目隠し布や防音シートを追加で内側に張る配慮を。

工事看板に「ご迷惑をおかけしております」と記載するだけでなく、現場代理人の連絡先を24時間対応の番号で掲示しておくと、苦情を社内チャネルで受け止められて炎上を防げます。

③道路占用の更新忘れ

道路占用許可は、申請時の期限内のみ有効。長期工事で1年以上仮囲いを敷地外に出している場合、占用更新の手続きを忘れると無断占用扱いになり、行政指導が入ります。占用期限は工程表とは別に、必ず週次の確認項目に入れておきましょう。

④出入口の管理(夜間施錠・関係者外立入禁止)

夜間・休日にゲートを施錠し忘れて、第三者が現場に入って怪我をしたり、資材が盗難されたり、というのは定番の事案。施錠ルール・鍵管理ルールは明文化して、関係作業員全員に周知が必要です。

⑤撤去のタイミング

仮囲いの撤去は、工事完了直前のタイミング。早く撤去しすぎると、引っ越し業者・植栽業者・仕上げ業者の搬入動線が確保できなかったり、仕上げ後の外構工事中に新築建物が傷つけられたりします。逆に遅すぎると検査・引渡しに支障が出る。竣工検査の合格と、最終仕上げ業者の搬入計画を見て、最後の最後に撤去するのが安全。

近隣周知で「○月○日に仮囲い撤去します」と一報入れておくと、それまで遮られていた視線が突然開けることへの違和感を和らげられます。

仮囲いに関する情報まとめ

  • 仮囲いとは:工事期間中だけ現場の境界に立てる一時的な囲い。安全・防犯・近隣保護が目的
  • 基準:建築基準法は高さ1.8m以上、公衆災害防止対策要綱は原則3m以上(市街地は要綱優先)
  • 種類:鋼板パネル(万能鋼板)/メッシュフェンス/鋼板ゲート。市街地長期は鋼板、郊外短期はメッシュが基本
  • 施工:事前計画→基礎据付け→パネル取付け→現場名表示で完了。道路占用は警察・道路管理者の両方の許可が必要
  • 注意点:強風対策、近隣の苦情対応、占用更新、夜間施錠、撤去タイミング

以上が仮囲いに関する情報のまとめです。

仮囲いは「立てておけばいい」と思われがちですが、根拠法令が複数にまたがり、施工も近隣対応も意外に手間がかかる仕事です。特に台風時の倒壊リスクと、夜間施錠忘れによる第三者災害は、事故が起きたら現場代理人・元請け企業の責任問題に発展します。基準法の1.8mと要綱の3m、両方の根拠を押さえた上で、現場規模に合わせて設計・運用するのが安全な進め方ですね。

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