- 豆板(ジャンカ)って結局なに?
- ジャンカと豆板って同じもの?
- 表面が荒れてるだけ?中までスカスカ?
- 叩いて剥落するのとしないので何が違う?
- 鉄筋が見えてるけど、これもうヤバい?
- 自分でモルタル詰めて直していいレベル?
- これ報告したら補修費は誰が持つの?
- 柱・梁と基礎・土間で対応は違う?
- 配管やスリーブの周りばかり豆板になるのなんで?
- 放置したら本当に建物が倒れるの?
- 次から豆板を出さないコツは?
上記の様な悩みを解決します。
豆板(ジャンカ)は、コンクリートの打設で必ずと言っていいほど話題になる代表的な施工不良です。問題は「豆板とは何か」よりも、現場で実際に見つけたときに「これは自分で補修していいレベルなのか、監理者と協議して打ち替えになるレベルなのか」を判断できるかどうかにあります。今回は定義・原因・レベル判定・補修方法といった基本を押さえた上で、設備・電気施工管理目線で「配管やスリーブ周りがなぜ豆板の好発部位なのか」「見つけた後にどう報告・記録・是正するか」まで、現場で実際に詰まるポイントを網羅的に整理しました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
豆板(ジャンカ)とは?
豆板(ジャンカ)とは、結論「コンクリートの一部にセメントペーストが回らず、粗骨材(砂利)が集まって空隙だらけになった不良部分」のことです。
骨材が豆を並べたように表面へ露出することから「豆板(まめいた)」、英語のhoneycomb(蜂の巣)から「ジャンカ」と呼ばれます。呼び方が2つあるだけで、指しているものは同じです。図面や是正書類では「豆板(ジャンカ)」と併記しておくと、世代を問わず通じます。
見た目は「表面の砂利がうっすら見える程度」から「叩くとポロポロ崩れて鉄筋まで露出している」まで幅があります。ここが重要で、ひとくちに豆板と言っても、表面だけの軽微なものと、内部までスカスカで構造に関わる重大なものは、対応がまったく別物です。後述するレベル判定で、自分の現場のジャンカがどの段階かを見極めるのが最初の一歩になります。
コンクリートの基本的な性質や打設の流れは、こちらも合わせて読むと整理しやすいです。

僕の整理では、豆板は「コンクリートが本来の密実さを失った部分」と捉えるのが一番実用的です。密実でない=強度も鉄筋の保護性能も落ちている、という1点さえ押さえておけば、なぜ放置がまずいのか、なぜレベルで対応が変わるのかが一本の線でつながります。
豆板(ジャンカ)の発生原因
豆板の原因は、結論「材料分離」と「締固め不足」の2つに集約され、そこに打設条件が絡んで発生します。
コンクリートは水・セメント・細骨材(砂)・粗骨材(砂利)を混ぜたものですが、比重が違うため放っておくと重い粗骨材が沈み、軽いセメントペーストが浮きます。この分離が進んだ状態で固まると、粗骨材ばかりの空隙が残る。これが豆板です。
主な発生要因を整理すると次の通りです。
- 材料分離:高所からの自由落下、長距離の横流し、過度なバイブレーター掛けで骨材とペーストが分かれる
- 締固め不足:バイブレーターの挿入間隔が広い、挿入時間が短い、下層への差し込みが浅い
- 過密配筋・狭い断面:鉄筋やセパが密でペーストが奥まで回らない部分に空隙が残る
- 打設条件:気温が高くスランプが早く落ちる、打重ね時間が空いてコールドジョイント気味になる
- 型枠・配管の障害:型枠の隅角部や、後述する埋設配管・スリーブの裏側にペーストが回らない
材料分離を防ぐにはそもそもの配合・スランプ管理が効きます。スランプの考え方はこちらが詳しいです。

正直なところ、原因の大半は「打設計画と締固めの段取り」で説明がつきます。バイブレーターは内部振動機を鉛直に挿し、間隔はおおむね50cm以下、下層へ10cmほど差し込み、1か所5〜15秒、引き抜くときは穴を残さないようゆっくり——この基本が崩れた部位に豆板は集中して出ます。逆に言えば、豆板が出た位置を見れば「打設のどこで段取りが甘かったか」がかなり読めます。
豆板(ジャンカ)のレベル判定(A〜E)と補修要否
豆板は、結論「叩いたときの剥落具合と鉄筋への到達度」でA〜Eにレベル分けし、それで補修要否と方法が決まります。
業界で広く使われている目安は次の5段階です。自分の現場のジャンカがどこに当たるかを、まずここで仕分けします。
| レベル | 状態 | 補修の要否・方向性 |
|---|---|---|
| A | 表面に砂利が露出していない健全な状態 | 補修不要 |
| B | 砂利は露出しているが、叩いても剥落しない | 表層の軽微補修 |
| C | 叩くと砂利が剥落する箇所がある | はつり+充填補修 |
| D | 鉄筋が露出し、連続的に剥落する | はつり+無収縮モルタル、要協議 |
| E | 内部まで空洞が多く、叩くと連続剥落 | 打ち替え、構造判断必須 |
判定で迷いやすいのが「叩く」という行為です。テストハンマーや手の届く範囲なら金属棒の背などで軽く打診し、ポロッと骨材が落ちるか、面で浮いた濁った音がしないかを見ます。鉄筋が見えている時点で最低でもDレベルと考え、自己判断で塞がず必ず上位者・監理者へ上げるのが安全です。
判断の分かれ目を実務目線でまとめると、こうなります。
- 自分(自社)で補修してよい目安:B〜Cの非構造・表層。かぶり内で鉄筋に達していない
- 監理者・構造設計者との協議が要る目安:D以上、または柱・梁など構造部材、鉄筋が露出している
- 打ち替え・本格対応の目安:E、または断面の相当部分が空洞
かぶり厚さの考え方は、補修要否の判断に直結します。こちらも参照してください。

僕の感覚だと、レベル判定の本当の価値は「A〜Eのどれか」を当てることではなく、「自分で直していい/報告して指示を仰ぐ/打ち替え協議」の3つのどれに入るかを即決できることにあります。現場で先に決めるべきはそこで、材料の話はその後で十分です。
豆板(ジャンカ)のレベル別の補修方法
補修方法は、結論「レベルが上がるほど“はつって健全部を出してから充填する”度合いが増す」と覚えると整理できます。
レベル別の標準的な補修の流れは次の通りです。
| レベル | 補修方法の標準 |
|---|---|
| B | 下地を清掃し、ポリマーセメントペーストを塗布して表層を整える |
| C | 浮いた骨材をはつり取り、ポリマーセメントペースト+ポリマーセメントモルタルで充填 |
| D | 不要部をはつって健全部と鉄筋を露出させ、防錆処理後に無収縮モルタルを充填 |
| E | 空洞範囲をはつり、場合により型枠を組み直してコンクリートを打ち替え |
共通する下ごしらえのポイントを押さえておくと失敗しません。
- はつりは「健全部が出るまで」:中途半端に表面だけ削ると、奥の空隙が残って再劣化する
- 打継ぎ面の処理:旧コンクリート面は十分に吸水させる、または接着用のポリマーセメントを塗ってから充填する
- 無収縮モルタルを使う理由:通常モルタルは乾燥収縮で隙間ができやすく、断面修復には収縮を抑えた専用材が向く
- 鉄筋が露出していたら防錆:充填前にケレンと防錆処理を入れないと、塞いだ内側で錆が進む
はつり作業そのものの注意点はこちらにまとめています。

個人的には、補修で一番事故が多いのは「材料選び」より「はつり不足」だと思っています。表面だけ綺麗にモルタルを塗って蓋をすると、見た目は直っても内部の空隙はそのまま。数年後に同じ場所が浮いて、結局やり直しになります。直すなら健全部まで出し切る、出し切れないレベルなら自己判断で塞がない、この線引きが補修の肝です。
電気・設備配管/スリーブ/ボックス周りの豆板
設備・電気施工管理が特に注意すべきなのは、結論「埋設したCD管・PF管・スリーブ・アウトレットボックスの“裏側”が豆板の好発部位になる」点です。
理由はシンプルで、配管やボックスがコンクリートの流れとバイブレーターの挿入を物理的に邪魔するからです。配管が密集した壁、スリーブが並ぶ梁、ボックスを固定した型枠面の裏側は、ペーストが回り込みにくく、締固めの振動も伝わりにくい。結果として、設備配管の集中部の裏に空隙が残りやすくなります。
現場で効く対策を挙げると次の通りです。
- 配管・ボックスは型枠・鉄筋にしっかり固定:打設の流動で動くと、その隙間が空洞になる
- 過密部は事前に躯体・設備で取り合い調整:1か所に配管を寄せすぎない振り分けを打設前に決める
- 打設時の立ち会い:自分が埋設した過密部は、打設時にバイブレーターが効いているか声を掛ける
- スリーブ周りのかぶり確認:スリーブが寄りすぎてかぶりが薄い部分は、豆板+かぶり不足のダブルパンチになりやすい
埋設配管のかぶりの考え方は、土かぶりの記事も参考になります。

現場目線で言えば、ここは「電気・設備だからこそ気づける弱点」です。躯体担当は配管の埋まり方までは追い切れないことが多く、自分が入れた配管の裏で豆板が出ると、原因も対策も設備側が一番語れる立場になります。打設前の取り合い調整と、打設当日の過密部への一声。この2つで配管周りの豆板はかなり減らせます。
施工管理が豆板を見つけたときの動き方
豆板を発見したときにまずやるべきは、結論「自己判断で塞ぐ前に、記録して上位者・監理者へ報告する」ことです。
技術的な補修方法よりも、現場で評価を下げないために大事なのがこの初動です。良かれと思って勝手に補修すると、「不良を隠した」と受け取られかねません。順番を間違えないことが、結果的に自分を守ります。
推奨する動き方の流れは次の通りです。
- ① 記録する:補修前の状態を写真で残す(位置が分かる引き・状態が分かる寄り・スケールを当てた寸法の3点)
- ② レベルを仮判定:A〜Eのどこか、鉄筋露出の有無、構造部材か非構造かをメモ
- ③ 報告する:上位者・元請・監理者へ「位置・レベル・想定原因・補修案」をセットで上げる
- ④ 指示を受けて是正:補修方法と承認範囲を確認してから着手
- ⑤ 是正記録を残す:補修後の写真と使用材料を是正報告書にまとめる
費用負担が気になるところですが、これは「誰の施工に起因するか」で決まるのが基本です。自社施工に起因する手直しなら自社、というのが原則で、ここを曖昧にせず事実ベースで整理しておくと後の協議がもめません。だからこそ①の記録が効いてきます。
検査での指摘対応という意味では、配筋検査や社内検査の進め方も合わせて押さえておくと動きやすいです。

僕の考えでは、豆板対応の評価は「直す技術」より「報告と記録の段取り」で決まります。同じレベルのジャンカでも、写真と是正書類が揃っている現場と、黙って塞いだ現場では、監理者の心証がまったく違う。技術は後から身につきますが、初動の順番は今日から変えられます。
構造部位別の判断と監理者協議のライン
同じレベルの豆板でも、結論「どの部材に出たか」で深刻度と必要な手続きが変わります。
判断の軸は「その部位が建物を支えているか(構造部材か)」です。柱・梁・耐力壁など主要構造部のジャンカは、たとえ範囲が小さくても耐力に直結するため、自己判断はせず構造設計者・監理者の判断を仰ぐのが原則になります。
部位別の目安を整理すると次の通りです。
- 柱・梁・耐力壁(構造部材):D相当でなくても、鉄筋露出や断面欠損があれば必ず協議。補修方法も承認を取る
- 基礎・土間(重要だが判断幅あり):表層のB〜Cは是正報告のうえ補修、内部空洞のD〜Eは打ち替え検討
- 非構造の壁・雑コンクリート:B〜Cは標準補修で対応しやすい
協議が要るかどうかの実用的なラインは、「鉄筋が露出している」「構造部材である」「断面の相当部分が空洞」のいずれかに当てはまるか、です。1つでも当てはまれば、塞ぐ前に上げる。これで大きな判断ミスはほぼ防げます。
躯体としての位置づけを整理したい場合は、こちらも参考になります。

実務だと、ここで効くのは「構造か非構造かを即答できる図面理解」です。自分が見ている面が構造壁なのか間仕切りなのかが分かるだけで、報告の緊急度の判断が一段速くなります。
豆板(ジャンカ)を放置するとどうなるか
放置した豆板は、結論「強度低下→中性化の進行→鉄筋腐食→ひび割れ・爆裂」という順で構造物の寿命を削ります。
業者サイトは「倒壊する」と強めに書きがちですが、メカニズムを理解すれば過度に怖がる必要も、軽視する必要もないと分かります。順に見ていきます。
- 強度低下:空隙が多い=密実でないので、その部分は設計強度を発揮できない
- 中性化の進行:本来アルカリ性のコンクリートが、空隙から入る二酸化炭素・水で中性化し、鉄筋を守る力を失う
- 鉄筋腐食:かぶりが実質的に不足し、鉄筋が錆びる
- ひび割れ・爆裂:錆びた鉄筋は体積が膨張し、まわりのコンクリートを押し割って剥落させる
進行のスピードは、ジャンカの程度・かぶり厚・環境(屋外/屋内、塩害の有無)で大きく変わります。鉄筋まで露出したジャンカを屋外で放置すれば腐食は比較的早く進み、軽微な表層ジャンカが乾燥した屋内にあるなら進行は緩やかです。だからこそレベル判定と部位の見極めが効いてくるわけです。
中性化やかぶりとの関係は、こちらも合わせて読むと理解が深まります。

僕の感覚だと、放置リスクの本質は「倒れるかどうか」より「鉄筋の保護機能を失う入り口になる」点にあります。豆板そのものより、そこから始まる鉄筋腐食の連鎖が建物の寿命を縮める。だから軽微でも記録して直す、という発想が現場では正解になります。
豆板(ジャンカ)の予防策
豆板の予防は、結論「打設前の配合・段取り、打設中の締固め、脱型後の確認」の3段階で押さえます。
出てから直すより、出さない段取りの方が圧倒的に安く確実です。打設の流れに沿って、効く対策を整理します。
- 打設前:ワーカビリティの良い配合とスランプ管理、過密配筋・配管部の取り合い調整、自由落下を避ける打込み計画
- 打設中:内部振動機を鉛直挿入・間隔50cm以下・1か所5〜15秒・下層へ10cm差し込み、高所はモルタル先行や縦シュートで落差を減らす
- 打設中(過密部):配管・スリーブ・ボックスの裏に振動が届くよう重点的に締固め
- 脱型後:早期に全面を打診・目視し、軽微なうちに発見して是正記録に残す
養生も含めた打設後の管理は、こちらも参考になります。

自分としては、予防で一番費用対効果が高いのは「打設前の取り合い調整」だと考えています。配管が一点に寄った過密部を、打設が始まってから何とかするのは無理がある。図面段階・打設計画段階で骨材とバイブレーターの通り道を確保しておけば、当日の苦労も脱型後の手直しも大きく減ります。
よくある質問(FAQ)
Q. ジャンカと豆板は違うものですか?
A. 同じものです。骨材が集まって空隙になった不良部分を、見た目から「豆板」、英語のhoneycombから「ジャンカ」と呼んでいるだけです。書類では「豆板(ジャンカ)」と併記すると確実に通じます。
Q. 軽微な豆板を自分で補修しても大丈夫ですか?
A. 表層のB〜Cレベルで、非構造かつ鉄筋に達していなければ補修対象になりますが、塞ぐ前に必ず写真で記録し、上位者・監理者へ報告してからの着手が原則です。黙って補修すると隠蔽と受け取られるリスクがあります。
Q. 鉄筋が見えている豆板はどうすればいいですか?
A. 最低でもDレベルで、自己判断は避けるべき段階です。はつって健全部と鉄筋を出し、防錆処理のうえ無収縮モルタルで補修するのが標準ですが、構造部材なら監理者・構造設計者の承認を取ってから進めます。
Q. 放置すると本当に建物が倒れますか?
A. 軽微なものが即倒壊につながるわけではありません。ただし放置は中性化→鉄筋腐食→爆裂という劣化の入り口になり、構造部材なら耐力低下に直結します。程度と部位を見極め、軽微でも記録して直すのが安全です。
Q. 補修費は誰が負担しますか?
A. 原則として不良の起因者です。自社施工に起因する手直しなら自社負担が基本になります。だからこそ発見時の写真・原因のメモが、後の費用協議で効いてきます。
まとめ
豆板(ジャンカ)は、コンクリートの一部に粗骨材が集まって空隙になった不良で、原因は材料分離と締固め不足に集約されます。ただ、現場で本当に大事なのは定義よりも判断です。A〜Eのレベルと「構造部材か」「鉄筋に達しているか」を見極め、「自分で補修してよいのか/報告して指示を仰ぐのか/打ち替え協議か」の3択を即決できることが、施工管理としての実力になります。
そして設備・電気施工管理にとっては、配管・スリーブ・ボックス周りという好発部位を打設前の取り合い調整と当日の締固めで潰せること、見つけたら塞ぐ前に記録・報告するという初動が、技術以上に評価を左右します。豆板は「出たら直す不良」であると同時に、「打設の段取りの通信簿」でもある——そう捉えると、予防にも補修にも一本筋が通ります。
コンクリートまわりの基礎知識は、打設・かぶり・配筋検査の記事も合わせて読むと、豆板の判断がさらに速くなります。

